Claude Code v2.1.169 — セーフモード起動とキャッシュを壊さないディレクトリ移動
Claude Code v2.1.169は、全カスタマイズを無効化して起動する--safe-mode、キャッシュを保つ/cd、同梱skillを隠すdisableBundledSkillsが入った版です。誰に効くかを早見表で示します。
Claude Code v2.1.169では、CLAUDE.mdやプラグイン、skills、hooks、MCPサーバーといったすべてのカスタマイズを無効化したまま起動する--safe-modeが加わりました。あわせて、プロンプトキャッシュ(送信済みコンテキストの再利用キャッシュ)を壊さずに作業ディレクトリを移れる/cd、同梱のskillや組み込みコマンドをモデルから隠すdisableBundledSkillsが入っています。本稿では、この版で何が変わり、どの利用形態に効くのかを早見表とタイムラインで見ていきます。
このリリースで何ができるようになるか
このリリースの中核は、トラブルシュートと運用効率にまつわる3つの機能追加です。読者がまず把握したい変化は次の3点に絞れます。
第一に、--safe-modeフラグと環境変数CLAUDE_CODE_SAFE_MODEが加わりました。これを付けて起動すると、CLAUDE.md・プラグイン・skills・hooks・MCPサーバーといったすべてのカスタマイズを読み込まないまま立ち上がります。設定が原因で挙動がおかしいときに、素の状態から切り分けられます。
第二に、セッション途中で作業ディレクトリを移せる/cdコマンドが入りました。移動してもプロンプトキャッシュを壊さないため、再送によるコスト増や待ち時間が起きにくくなっています。第三に、disableBundledSkills設定と環境変数CLAUDE_CODE_DISABLE_BUNDLED_SKILLSが加わり、同梱のskills・workflows・組み込みスラッシュコマンドをモデルから隠せるようになりました。使わない機能の説明文を文脈から外し、コンテキストの占有を抑える方向の調整です。
あなたの開発フローはどう変わるか
最も体験が変わるのは、設定を多く重ねている利用者です。CLAUDE.mdやhooks、複数のMCPサーバーを積み上げた環境では、不調が起きたときに原因がカスタマイズ側なのか本体側なのかを切り分けるのに手間がかかりました。--safe-modeで素の状態を一度起動すれば、症状が消えるかどうかで原因の所在を絞り込めます。
# すべてのカスタマイズを無効化して起動し、原因を切り分ける
claude --safe-modeモノレポや複数のサブプロジェクトを行き来する利用者には、/cdが効きます。これまでディレクトリを変えるにはセッションを開き直すか、別の手段で移る必要があり、移動のたびに送信済みコンテキストのキャッシュが無効になりがちでした。/cdはキャッシュを保ったまま移れるため、サブプロジェクト間を往復しても再送の負荷が乗りにくくなります。
コンテキストを節約したい利用者には、disableBundledSkillsが効きます。同梱されたskillやworkflow、組み込みコマンドの説明はモデルに渡るコンテキストを占有します。それらを普段使わないなら隠すことで、文脈の枠をプロジェクト固有の情報に回せます。
主な変更点
機能追加が3項目に、多くの修正と改善が加わった構成です。ここからは技術的な内容を、誰の体験に効くかを添えて並べます。
機能追加
--safe-modeフラグと環境変数CLAUDE_CODE_SAFE_MODEで、CLAUDE.md・プラグイン・skills・hooks・MCPサーバーをすべて無効化して起動できます。設定起因の不調を切り分けたい利用者に効きます。/cdコマンドで、プロンプトキャッシュを壊さずにセッション途中で作業ディレクトリを移せます。モノレポや複数サブプロジェクトを往復する利用者に効きます。disableBundledSkills設定と環境変数CLAUDE_CODE_DISABLE_BUNDLED_SKILLSで、同梱skills・workflows・組み込みスラッシュコマンドをモデルから隠せます。コンテキストを節約したい利用者に効きます。
修正
主な修正は次のとおりです。利用環境ごとに効く相手が分かれます。
- エンタープライズ管理のMCPポリシー(
allowedMcpServers/deniedMcpServers)が強制されない複数の経路を修正しました。再接続時、IDEから入力されたconfig、インストール後初回セッションの--mcp-configサーバー、リモート設定のロード前という4つの場面で強制が抜けていた問題に手が入っています。あわせて、リモート設定を持たない組織でのコールドスタート(初回起動)の遅さも改善しました。 - 信頼していないプロジェクト設定が、trust確認を経ずにOpenTelemetry(OTEL)のクライアント証明書パスを設定できた問題を修正しました。セキュリティに関わる修正です。
- claude.ai認証でログインしたmacOSで、各ターン開始時に約30〜50ミリ秒のUI停止が起きていた問題を修正しました。
- Windowsで
claude -pが、スラッシュコマンドやskillのスキャン待ちで遅く見えたりハングして見えたりする問題を修正しました(v2.1.161で入った退行の修正です)。 - セッション再開時にOAuthトークンの更新が重なると、Remote Controlが「reconnecting」のまま固まる問題を修正しました。
- ワーカーが落ちたリモートセッションへの再接続時に、古い権限やダイアログのプロンプトが再び現れる問題を修正しました。
そのほか、claude agents --jsonがブロック済みやディスパッチ直後の背景セッションを省く問題を、--allオプションと新フィールドのid・stateの追加で修正しています。プリウォーム済みワーカーへディスパッチした背景エージェントがプロジェクト設定のenv値(例: ANTHROPIC_MODEL)を無視する問題、長い入力行の折り返し行をUp/Down矢印が飛ばす問題、カスタムstatuslineで「esc to interrupt」などのフッターヒントが出ない問題も解消しました。retire(休止)からwake(復帰)をまたいでも背景セッションが--ide・--chrome・--bare・--remote-controlなどのフラグを保つよう修正され、/workflowsがターン進行中でも即座に開くようになっています。Vertex / Foundryでは既定5分のアイドルタイムアウトが復活し、API_FORCE_IDLE_TIMEOUT=0でオプトアウトできます。
主な改善
改善側では、TaskCreateの信頼性が上がりました。壊れた入力を自動で修復し、未ロードのツールに対する検証エラーにスキーマを含めるようになっています。ストリーミング中・スピナー表示中のCPU使用も削減されました。「CLAUDE.md is too long」という警告のしきい値は、モデルのコンテキストウィンドウに応じてスケールします。Windowsの自動アップデータは、別プロセスがclaude.exeを握っている場合、セッション内での再試行を止めるようになりました。
--safe-modeで「設定起因か本体起因か」の切り分けが1コマンドで済む
この版の編集視点での核心は、--safe-modeがトラブルシュートの最初の一手を1コマンドにまとめた点だと読めます。CLAUDE.mdやhooks、MCPサーバーを重ねた環境では、想定外の挙動が出たときに「どれが原因か」を一つずつ外して確かめる作業が必要でした。--safe-modeはその確認を、起動オプション1つに集約します。
切り分けの流れは単純です。--safe-modeを付けて起動し、症状が消えればカスタマイズ側に原因があると分かります。消えなければ本体側、あるいはプロジェクトのコードや環境側を疑う、という順に絞れます。
# 環境変数でも同じ挙動を指定できる
CLAUDE_CODE_SAFE_MODE=1 claude無効化される対象は、CLAUDE.md・プラグイン・skills・hooks・MCPサーバーです。disableBundledSkillsが「同梱skillだけを隠す」のに対し、--safe-modeは「全カスタマイズを止める」点で範囲が広く、目的も異なります。前者はコンテキスト節約、後者は原因切り分けが主眼です。両者は併用というより、用途で使い分ける関係になります。
この切り分けの一手は、設定を厚く積んだ利用者ほど価値が出ます。逆に標準設定に近い環境では、無効化する対象が少ないため恩恵は限定的です。設定の重さと--safe-modeの効きは、おおむね比例すると整理できます。
v2.1.166・v2.1.168との違い
番号上の直前はv2.1.168で、こちらは不具合修正と安定性の改善のみの版でした。その前のv2.1.167も同じく修正のみで、機能追加を含む直前の版はv2.1.166になります(v2.1.165も修正のみ、v2.1.164は欠番でchangelogに存在しません)。v2.1.166ではモデルのフェイルオーバーが対話セッションでも効くようになり、権限の拒否ルールにglobが入っていました。本版はそこに、トラブルシュート起動とディレクトリ移動、同梱skillの非表示を重ねた位置付けになります。
| 領域 | v2.1.166 | v2.1.168 | v2.1.169 |
|---|---|---|---|
| 主な性格 | v2.1.166フェイルオーバー強化 | v2.1.168不具合修正のみ | v2.1.169起動・移動・節約の追加 |
| 起動オプション | v2.1.166変更なし | v2.1.168変更なし | v2.1.169--safe-modeで全カスタマイズ無効化 |
| ディレクトリ操作 | v2.1.166変更なし | v2.1.168変更なし | v2.1.169/cdでキャッシュを保ち移動 |
| MCP管理ポリシー | v2.1.166変更なし | v2.1.168変更なし | v2.1.169再接続時などの強制抜けを修正 |
直前の機能追加版v2.1.166の詳しい内容はClaude Code v2.1.166の変更点で、番号上の直前v2.1.168の内容はClaude Code v2.1.168の変更点で確認できます。シリーズ全体の位置付けはClaude Codeのプロダクトページからたどれます。
トラブルシュートと運用効率の直近の流れ
起動・権限・運用効率に絞ると、直近の数版で次のように積み上がってきました。番号付きで時系列を示します。
| バージョン | 日付 | 関連する変更 |
|---|---|---|
| v2.1.166 | 日付2026-06-06 | 関連する変更対話セッションへのフェイルオーバー適用、拒否ルールのglob |
| v2.1.167 | 日付2026-06-06 | 関連する変更不具合修正と安定性の改善 |
| v2.1.168 | 日付2026-06-06 | 関連する変更不具合修正と安定性の改善 |
| v2.1.169 | 日付2026-06-08 | 関連する変更--safe-mode、/cd、disableBundledSkills、MCPポリシー強制の修正 |
権限と管理ポリシーの観点では、v2.1.166で拒否ルールの表現力を広げ、本版で管理MCPポリシーの強制抜けを塞ぐ流れと読めます。エンタープライズ管理者にとっては、allowedMcpServers/deniedMcpServersが再接続時やインストール後初回セッションでも効くようになった点が実務に近い修正です。
利用形態ごとの影響
更新の効き方は利用形態で分かれます。段階を「明確な恩恵あり / 条件次第 / ほぼ影響なし」で示します。全員が同じ緊急度ではない点を確認できます。
| 利用形態 | 影響度 | 効く理由 |
|---|---|---|
| 設定を厚く積んだ環境 | 影響度明確な恩恵あり | 効く理由--safe-modeで原因切り分けが1コマンドになる |
| モノレポ・複数サブプロジェクト | 影響度明確な恩恵あり | 効く理由/cdでキャッシュを保ちつつ移動できる |
| エンタープライズ管理のMCP運用 | 影響度条件次第 | 効く理由再接続時などの強制抜けが塞がり挙動が変わりうる |
| コンテキストを節約したい運用 | 影響度条件次第 | 効く理由disableBundledSkillsが効くが設定の見直しが要る |
| ローカル単発・標準設定 | 影響度ほぼ影響なし | 効く理由機能の多くがカスタマイズや管理運用向け |
セキュリティ面では、信頼していないプロジェクト設定がtrust確認なしにOTELのクライアント証明書パスを設定できた問題が修正されています。信頼していないリポジトリを開く機会がある環境では、この修正が安全側の変化として効きます。一方、自分の管理下のプロジェクトだけを扱う環境では、体感の変化は小さい部類に入ります。
まとめ
Claude Code v2.1.169は、全カスタマイズを無効化して起動する--safe-mode、キャッシュを保ったまま移れる/cd、同梱skillをモデルから隠すdisableBundledSkillsが加わった版です。CLAUDE.mdやhooks、MCPサーバーを厚く積んだ環境では、本版で原因切り分けの手間が減ります。モノレポや複数サブプロジェクトを往復する利用者には、/cdがディレクトリ移動の摩擦を和らげます。エンタープライズで管理MCPポリシーを運用する環境では、再接続時などの強制抜けが塞がったため挙動を確認する価値があります。ローカルで標準設定のまま単発利用する場合は、急いで更新する必要は薄い版と言えそうです。