Claude Enterpriseとは — 法人プランの料金・セキュリティ・Teamとの違いと導入手順
Claude Enterpriseの料金は$20/座席+API単価の従量と営業経由の個別見積もりの2系統。SSO・監査ログ・SCIMなどの統制機能、データが学習に使われない条件、Teamとの違い、導入手順まで法人導入の判断材料をまとめます。
Claude Enterpriseとは — 組織向けの最上位プラン
Claude Enterpriseとは、高度なセキュリティ・コンプライアンス統制と組織横断のスケールを必要とする企業向けに提供される、Claudeの法人プランです。Teamプランの全機能(Claude CodeやCoworkを含む)に、監査ログ・SCIM・きめ細かな権限管理・カスタムデータ保持などの統制機能を上乗せした構成で、2024年9月に提供が始まりました。
法人導入の判断で押さえる点は3つに絞れます。第一に、料金は「$20/座席+従量」のセルフサーブ型と、営業経由の個別見積もり型の2系統があること。第二に、Enterpriseを含む商用プランでは入力・出力が既定でモデル学習に使われないこと。第三に、TeamとEnterpriseの分岐は人数ではなく統制機能の深さで決まることです。この3点と導入フローを順にまとめます。Claudeの全プラン(無料/Pro/Max/Team/Enterprise)を横並びで比べたい場合は、Claude料金プラン比較が起点になります。
Enterpriseの料金 — 公表されているのは$20/座席+従量
Enterpriseの料金は契約経路で2つに分かれます。自分で契約を完結できるセルフサーブ型は、座席あたり月$20(年間契約)に利用量に応じた従量費用が加算される体系で、料金ページに価格が明示されています。営業担当を通じた個別契約型には公表価格がなく、要問い合わせの個別見積もりです。
| 契約経路 | 価格 | 主な契約条件 |
|---|---|---|
| セルフサーブ | 価格$20/座席/月(年間契約)+利用量の従量加算 | 主な契約条件最低20席。クレジットカードまたはACH(米ドルのみ) |
| 営業経由(個別契約) | 価格要問い合わせ(個別見積もり) | 主な契約条件最低50席。請求書払い・複数通貨・HIPAA対応・個別契約条件 |
従量部分は、Claude・Claude Code・Coworkで消費したトークンが標準のAPI単価で別建て請求されます。座席料金に使用枠は含まれず、その代わり座席ごとの使用量上限がありません。Pro/Max/Teamのような「5時間セッション枠を使い切ると待つ」方式ではなく、「席で入場権を買い、使った分をAPI単価で払う」二階建ての構造です。参考として、主要モデルのAPI標準単価は次のとおりです(2026年6月時点)。
| モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) |
|---|---|---|
| Fable 5 | 入力(100万トークン)$10 | 出力(100万トークン)$50 |
| Opus 4.5〜4.8 | 入力(100万トークン)$5 | 出力(100万トークン)$25 |
| Sonnet 4.5 / 4.6 | 入力(100万トークン)$3 | 出力(100万トークン)$15 |
| Haiku 4.5 | 入力(100万トークン)$1 | 出力(100万トークン)$5 |
総額が事前に確定しない点は、稟議や予算策定で注意が必要です。座席数×$20の固定部分は読めますが、従量部分は利用密度で変わります。Enterpriseには管理者がユーザー単位・組織単位で支出上限を設定する機能があるため、予算超過はこの上限設定で機械的に止められます。見通しが立たない初期は支出上限を保守的に設定し、実績を見て調整する運用が現実的です。
座席の運用ルールも契約前に確認しておきたい点です。座席の追加は年間契約の期間中いつでもでき、残期間の日割りで即時請求されます。一方、座席の削減は年間契約の更新時にのみ反映されるため、初期は必要最小限の席数で始めるほうが安全です。なお、ACH(米国の銀行間送金)はセルフサーブの新規組織作成時のみ使え、TeamからEnterpriseへのアップグレードでは利用できません。
Teamプランに何が上乗せされるか — Enterprise固有の機能
Enterpriseの機能は「Teamプランの全機能+統制機能」という構成です。料金ページでEnterprise側に列挙されているのは、いずれもIT部門・情報システム部門・コンプライアンス部門が必要とする管理系の機能です。
- 支出上限の設定: 管理者がユーザー単位・組織単位で利用額の上限を設定できます
- きめ細かな権限管理(RBAC、役割ベースのアクセス制御): 誰が何にアクセスできるかを役割単位で細かく定義できます
- SCIM(利用者情報の自動同期): IDプロバイダーと連携し、入退社に伴うアカウントの作成・削除を自動化します
- 監査ログ: ユーザーの操作・システムイベント・データアクセスの記録を取得でき、セキュリティ監査に対応できます
- コンプライアンスAPI: 活動ログ・チャット履歴・ファイル内容へプログラムからアクセスでき、監視基盤に組み込めます
- アナリティクスAPI: 組織全体の利用状況・定着度の集計データを取得できます
- カスタムデータ保持設定: データの保持期間を組織のポリシーに合わせて制御できます
- ネットワークレベルのアクセス制御とIP許可リスト: 接続元を組織のネットワークに限定できます
- Claude Security(ベータ): セキュリティ用途向けの機能群がベータ提供されています
- HIPAA対応構成: 米国の医療情報規制に対応した構成とBAA(事業提携契約)の締結は、営業経由の個別契約で利用できます
SSO(シングルサインオン)自体はTeamプランでも設定できますが、Enterpriseではドメインキャプチャが加わります。会社ドメインのアカウントを組織管理下に取り込み、検証済みドメインでの個人アカウントの乱立を制限できる機能で、シャドーIT(管理部門が把握しないIT利用)への対策として効きます。
コンテキストウィンドウ(一度に扱える文章量)は、2024年9月の発表当初はEnterprise限定の500Kトークンが目玉でした。現在はチャット利用時の500Kトークンが対応モデル(Opus 4.6/4.7/4.8、Sonnet 4.6)で有料プラン共通になり、その他のモデルは200Kトークンです。一方Claude Codeの1Mトークンコンテキスト(Fable 5、Opus 4.6以降、Sonnet 4.6が対応)は、従量課金型のEnterpriseなら利用クレジットの有効化なしで使えます(Pro等では有効化が必要)。
セキュリティとデータ学習方針 — 入力が学習に使われない条件
法人のセキュリティ審査で最初に確認されるのは、業務データがモデル学習に使われるかどうかです。結論として、Enterprise・Teamを含む商用プランでは、入力も出力も既定でモデル学習に使われません。プライバシーセンターに「By default, we will not use your inputs or outputs from our commercial products to train our models」と明記されています。
ただし「既定で使われない」には例外条件があり、ここを正確に押さえることが社内ポリシー策定の要点になります。
- 明示的なフィードバック送信: 評価ボタン(サムズアップ/ダウン)やバグ報告を明示的に送信した場合、そのチャットやコーディングセッションが学習に使われることがあります。フィードバックは最長5年保存され、利用前にユーザーIDと顧客IDから切り離されます(de-link)
- 管理者による無効化が可能: Team/Enterpriseの管理者は組織設定の「Rate chats」でフィードバック機能そのものを無効化でき、従業員の誤送信による学習提供を組織として遮断できます
- コネクター経由の生データは対象外: Google DriveやMCP(Model Context Protocol、外部ツール連携の仕組み)サーバーから取得した生コンテンツはフィードバックに含まれません。ただし会話へ直接コピーした内容は含まれることがあります
個人向けプラン(無料/Pro/Max)では、学習への利用可否を各ユーザーが自分のプライバシー設定で選ぶ方式が採られており、組織としての一括統制はできません。従業員が個人のProアカウントで業務データを扱う状態を放置するより、商用プランへ集約して「既定で非学習+管理者統制」の体制に揃えるほうが、情報管理の観点では一貫します。
第三者認証の面では、SOC 2 Type I/Type II、ISO 27001:2022(情報セキュリティ管理)、ISO/IEC 42001:2023(AIマネジメントシステム)を取得済みです。監査レポートなどのコンプライアンス文書はTrust Portal(trust.anthropic.com)から入手できます。
TeamとEnterpriseの比較 — 分岐は人数ではなく統制の深さ
TeamとEnterpriseの選択は、利用人数よりも「情報システム部門がどこまでの統制を要求するか」で決まります。データが学習に使われない点は両プラン共通のため、学習回避だけが目的ならTeamで足ります。
| 項目 | Team | Enterprise |
|---|---|---|
| 価格 | Team標準$20〜25/座席/月、上位$100〜125/座席/月 | Enterprise$20/座席/月+従量(セルフサーブ)、個別契約は要問い合わせ |
| 最低座席数 | Team5席 | Enterprise20席(セルフサーブ)/50席(営業経由) |
| 使用量の扱い | Team座席ごとの使用枠(上位座席で拡大) | Enterprise座席ごとの上限なし、使った分をAPI単価で従量請求 |
| SSO | Team設定可能 | Enterprise設定可能+ドメインキャプチャ |
| SCIM / 監査ログ / RBAC | Team— | Enterpriseあり |
| コンプライアンスAPI / アナリティクスAPI | Team— | Enterpriseあり |
| データ保持・ネットワーク制御・HIPAA | Team— | Enterpriseあり(HIPAAは営業経由) |
| 学習への利用 | Team既定で使われない | Enterprise既定で使われない |
Teamで足りるのは、一元請求・SSO・管理者によるユーザー管理があれば運用が回る組織です。5〜150人の規模で、業界規制による監査要件がなく、利用ログの証跡提出を求められない場合はTeamが価格面で有利になります。使用量が多いメンバーだけ上位座席にする混在運用も可能です。
Enterpriseが必要になる典型は、(1)監査ログや活動記録の証跡をセキュリティ監査・内部統制で求められる、(2)入退社のアカウント管理をIDプロバイダーと自動同期したい(SCIM)、(3)データ保持期間を社内規程に合わせたい、(4)接続元ネットワークを制限したい、(5)医療情報などの規制対応(HIPAA)が要る、のいずれかに当てはまる組織です。逆に言えば、この5つに当てはまらないなら、20席の最低要件を抱えてまでEnterpriseを選ぶ必然性は薄いと言えます。組織でのAI活用がチャット中心ではなく業務エージェント中心なら、Coworkの活用範囲も含めて検討すると判断材料が揃います。
導入フロー — 契約からSSO設定までの4ステップ
Enterpriseの導入は「契約経路の選択 → 座席設計 → 認証基盤の接続 → 統制設定」の順で進みます。セルフサーブ型なら営業との商談なしで開始できます。
- 契約経路を選ぶ: セルフサーブはclaude.ai上の専用ページ(claude.ai/create/enterprise)から直接購入できます。請求書払い・複数通貨・HIPAA対応・独自の契約条件が必要な場合は営業経由の個別契約(最低50席)、調達要件によってはAWS Marketplace経由の購入も選べます
- 座席を設計する: セルフサーブは最低20席・年間契約です。座席の追加は契約期間中いつでも可能で、残期間の日割りで即時請求されます。一方、座席の削減は年間契約の更新時にのみ反映されるため、初期は必要最小限の席数で始めるのが安全です
- ドメイン検証とSSOを設定する: 組織設定からドメインのDNS検証(TXTレコードの追加)を行い、SAML対応のIDプロバイダー(Okta、Microsoft Entra ID、Google Workspace、OneLogin、JumpCloud、Duo)と接続します。アカウント発行は、初回ログイン時に自動作成するJIT(ジャストインタイム)プロビジョニングと、SCIMによる自動同期から選べます
- 統制を設定する: RBACで役割と権限を定義し、データ保持期間・支出上限・IP許可リストを社内規程に合わせます。監査ログとコンプライアンスAPIをSIEM(セキュリティ情報イベント管理)など既存の監視基盤に接続すれば、利用状況の証跡化まで完了します
よくある質問
Claude Enterpriseの料金は公開されていますか
セルフサーブ型は公開されています。座席あたり月$20(年間契約)に、使うモデルとタスクに応じた従量費用がAPI単価で加算される体系です。営業経由の個別契約は公表価格がなく、要問い合わせの個別見積もりになります(2026年6月時点)。
最低何席から契約できますか
セルフサーブのEnterpriseは最低20席、営業経由の個別契約は最低50席からです。Teamプランの最低5席と比べると初期コミットメントが大きいため、20席に満たない組織はまずTeamで運用を始める選択肢があります。
入力したデータがClaudeの学習に使われることはありますか
Enterprise・Teamなどの商用プランでは、入力・出力とも既定でモデル学習に使われません。例外は評価ボタンやバグ報告を明示的に送信した場合で、管理者は設定でこのフィードバック機能自体を無効化できます。
TeamとEnterpriseはどちらを選べばよいですか
監査ログ・SCIM・カスタムデータ保持・ネットワーク制御・HIPAA対応のいずれかが要件にあるならEnterprise、一元請求とSSOと管理者制御で足りるならTeamが目安です。学習に使われない条件は両プラン共通のため、その点だけならTeamで十分です。
セキュリティ認証はどこまで取得していますか
SOC 2 Type I/Type II、ISO 27001:2022、ISO/IEC 42001:2023を取得しており、HIPAA対応構成(BAA締結)も営業経由の契約で提供されています。監査レポートはTrust Portal(trust.anthropic.com)から入手できます。
日本円や請求書払いには対応していますか
セルフサーブ型はクレジットカードまたはACHによる米ドル払いのみです。請求書払いと複数通貨への対応は、営業経由の個別契約(最低50席)で利用できます。日本円での支払いを要件にする場合は、個別契約の検討が前提になります。
まとめ
Claude Enterpriseは、Teamの全機能に監査ログ・SCIM・RBAC・コンプライアンスAPI・データ保持制御・ネットワーク制御を上乗せした法人向け最上位プランです。料金はセルフサーブ型($20/座席/月+API単価の従量、最低20席・年間契約)と営業経由の個別見積もり型(最低50席、請求書払い・複数通貨・HIPAA対応)の2系統で、「完全非公開の料金」ではない点が実態です。データは商用プラン共通で既定で学習に使われず、例外となるフィードバック送信も管理者設定で遮断できます。
選定の分岐は統制機能の深さです。監査証跡・ID自動同期・保持期間制御・接続元制限・規制対応のいずれかが要件化しているならEnterprise、そうでなければTeamから始めて要件の成熟に合わせて引き上げる順序が、コミットメントを最小化できます。プラン全体の価格・使用枠・選び方はClaude料金プラン比較で、Claudeというプロダクト自体の全体像はClaudeとは(完全ガイド)で確認できます。