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Anthropicの採用面接でAIを使える場面・使えない場面

Anthropicの採用面接でAIを使える場面・使えない場面

Anthropicは応募書類の下書き後の推敲と面接準備でのClaude利用を歓迎し、持ち帰り課題とライブ面接では原則禁止としています。選考段階ごとの線引きをまとめます。

選考段階ごとの可否は4つに分かれる

Anthropicは、応募者が選考の各段階でClaude(または他のAIツール)をどう使うかについて、公式のガイダンスを公開しています。最終更新は2025年7月10日で、AIの能力の変化に合わせて見直す方針です。結論は段階ごとに違います。書類と面接準備では使ってよく、持ち帰り課題とライブ面接では原則として使えません。

線引き

選考4段階のAI利用

  • 応募書類

    履歴書と応募設問は推敲に使えます。最初の下書きは自分で作り、Claudeで磨きます。

  • 持ち帰り課題

    指示がない限りClaudeなしで取り組みます。許可する課題は案内に明記されます。

  • 面接準備

    Anthropicの調査、回答の練習、こちらから聞く質問の準備に使えます。

  • ライブ面接

    指示がない限りAIの支援はありません。アクセシビリティの配慮は早めにリクルーターへ伝えます。

同じ「AI利用可」でも、書類段階は「下書きは自分で」という条件付きです。面接準備は条件が付かず、最も自由度が高い段階です。

Anthropicがこの方針の根底に置く理由は、応募者の実際の経験と、その場で考える力を見たいからです。AIそのものを避けたいわけではありません。社内でも毎日Claudeを使っているため、AIと協働できる人を探していると説明しています。

応募書類ではAIをどこまで使えるか

履歴書と応募設問については、「最初の下書きは自分で作り、その後Claudeで磨く」という順序が示されています。実際の経験は自分の言葉で書き、伝え方の整え方をClaudeに手伝わせる分担です。

許可・不許可の例は次の対比です。

  • 推奨: 「私はチームのプラットフォーム移行を主導した」という下書きを出し、「移行の成果を定量化する方法を考えて」と頼む
  • 不許可: 「AI安全性リサーチャー職の応募設問への回答を書いて」と頼み、経験のない一般的な内容を出力させる

線引きは、事実の出どころです。自分に実際にあった経験を、より伝わる形にするのは歓迎されます。経験そのものをClaudeに作らせるのは認められません。

書類段階で試せるプロンプトの型

公式のプロンプト例は、職務経歴書と求人票を渡し、応募回答で強調すべき経験を特定させる形です。ここでは、その型を手元の作業に落とした例を挙げます(ガイダンスの例に沿った形で、実際の出力は環境により変わります)。

以下は私の職務経歴書の下書きと、応募先の求人票です。
私が書いた事実は変えずに、求人要件と最も重なる経験を
3つ挙げ、それぞれ成果をどう数字で示せるか質問してください。
新しい経験や数字は付け足さないでください。

最後の一文がポイントです。Claudeに「質問させる」形にすると、数字や事実は本人の記憶から出てきます。生成させた文章をそのまま貼る運用より、ガイダンスの線引きに収まりやすくなります。

応募設問への回答の推敲には、「明瞭さと流れの観点でレビューし、改善案を出して」というプロンプトが例示されています。中身は本人の経験で、Claudeに頼むのは伝え方の調整です。ほかの例は後の例文集の表にあります。日本語の職務経歴書の整え方はClaudeで志望動機・自己PR・履歴書の文章を整える手順にまとめています。

持ち帰り課題はなぜ原則AIなしか

持ち帰り課題では、指示がない限りClaudeを使わずに完成させます。理由は「あなた固有のスキルと強みを評価したいから」です。AIを許可する場合は、課題ごとに明示するとしています。例文は「このコーディング課題ではClaudeを使ってかまいません」です。

許可されていない課題でClaudeにコードを書かせる行為は、ガイダンスで不許可の例に挙がっています。

例外の実例: パフォーマンスエンジニアの課題

原則には例外があります。パフォーマンスエンジニアの持ち帰り課題を解説したエンジニアリングブログには、この課題ではAIの利用を明示的に許可している、と書かれています。ガイダンス本文の「指示がない限り使えない」の「指示」にあたる実例です。

許可に踏み切れた理由は、長い時間をかけて取り組む問題ほど、AIが単独で解き切るのが難しいからです。候補者は自分のエディタで、誰にも見られず、説明を求められることもなく取り組みます。制限時間は4時間でしたが、のちに2時間へ短縮されました。

ただし、その前提はモデルが進むたびに崩れてきました。同じ課題がどう破られ、作り直されたかを年表にします。

あゆみ

パフォーマンスエンジニア課題の作り直し

  1. 2023年11月課題の設計を始める

    TwitterでAnthropicへのメール応募を呼びかけたところ、通常の面接では評価しきれない数の候補者が集まりました。担当者が2週間かけて持ち帰り課題を設計しています。

  2. 2025年5月Claude Opus 4が人間の大半を上回る

    Claude 3.7 Sonnetの時点で、過半数の候補者はClaude Codeに任せたほうが良い結果になる水準でした。リリース前のClaude Opus 4は、4時間の制限内で、ほとんどの人間より最適化された解答を出しました。

  3. 版2Claudeが詰まった地点から出題し直す

    Opus 4が行き詰まった位置を新しい出発点にし、初期コードを整理して機能を足しました。数か月は機能しました。

  4. Claude Opus 4.5版2も1時間以内に合格ライン

    2時間の作業で、最良の人間の成績に並びました。担当者は、最良の戦略がClaude Codeへの丸投げになるモデルを出す直前だったと振り返っています。

  5. 版3既存の知識が効きにくい問題へ

    可視化もデバッグ用の道具も渡さず、極端に制約された命令セットでパズルを解く形です。Opus 4.5が解けないことを確かめて採用されました。

AI禁止を選ばなかった担当者の判断

Opus 4.5に破られた時点で、同僚からは2つの案が出ました。担当者がどちらも退けた理由が、ブログに書かれています。

くらべる

持ち帰り課題をどう守るか

退けた案

AIの利用を禁止する

執行が難しいことに加え、AIのある環境でも人が差を示せるはずだと考えていました。人間が優位なのは数時間より長い課題だけ、という結論に先に屈したくなかった、と書かれています。

退けた案

Claude Code単独を大きく超える基準にする

Claudeは速く、人間は課題の理解に制限時間の半分を使います。Claudeを操縦する人は常に後追いになり、横で見ているだけが最善手になりかねないという懸念です。

版3の説明には、応募者にも使える具体的な手がかりがあります。デバッグ用のツールは意図的に渡されず、自作が前提です。print文を挟んで確かめる方法も、コーディングモデルに対話型デバッガーを数分で作らせる方法もあり、ツールへの投資の判断自体が評価の対象だと述べられています。

数字

公開された元の課題の記録

  • Opus 4(長時間のハーネス)

    2164

    長時間の試行後

  • Opus 4.5(普段のClaude Code)

    1790

    2時間の人間の最良とほぼ同等

  • Opus 4.5(ハーネスで11.5時間)

    1487

    11.5時間かけた最良値

シミュレータ上のクロックサイクル数。少ないほど良い成績です

元の課題は制限時間なしの公開チャレンジになり、1,487サイクルを下回れば、コードと履歴書をperformance-recruiting@anthropic.comに送るよう案内されています。通常の選考とは別の入口です。

応募者にとっての実務的な含意は単純です。持ち帰り課題の案内文に「AI利用可」と書いてあれば使え、書かれていなければ使えません。迷ったら自己判断せず、案内文か採用担当に確認する形になります。この課題が3つの版を経た経緯はAnthropic採用試験はなぜ2度もClaudeに解かれたかで詳しく扱っています。

面接準備ではClaudeをどう使うか

面接準備は、条件が付かずに勧められている段階です。

公式の例の中心は学習ガイドの作成です。「この職種の面接用の学習ガイドを作って。AI安全性の概念、Anthropicの研究の重点、技術面・行動面で出やすい質問を含めて」という依頼になっています。

例文集は3つの区分に分かれている

ガイダンス末尾の例文集は、Refining(推敲)、Preparing(準備)、Researching(調査)の3区分です。各区分に3本ずつ、計9本が並びます。応募書類の段階では推敲、面接の直前は準備、Anthropicという会社を知る段階は調査、と使い分けられます。

区分例文の内容
Refining例文の内容チームプロジェクトの説明で事業への影響を明確にする / 応募設問の回答を明瞭さと流れで見直す / 技術的成果を非技術者向けに平易に説明する
Preparing例文の内容公開情報からAnthropicが候補者に求めるものを尋ねる / 機械学習エンジニア面接の練習問題を作る / 「自己紹介」を2分で話せる構成にする
Researching例文の内容Constitutional AIへの取り組みを公開論文から要約する / 公式サイト・発表・最近のニュースから見たAnthropicの文化を尋ねる / AIアラインメントの技術的課題を理解する

別の例として、自分のTransformerモデルの経験を説明する練習も面接準備の例に挙がっています。

Researchingの文化を尋ねる例は、回答が報道や解釈に左右されやすい領域です。Claudeの答えは出発点にとどめ、採用ページや公式の発表で裏を取ってから面接で触れる形が安全です。数字や社名、発表日も、Anthropicの公式ページで確かめてから話題にしてください。

面接本番の前に、自分で答えられない部分を洗い出す使い方が向いています。答えを丸暗記する用途では、ライブ面接で、その場で考える過程を知りたいという趣旨と噛み合いません。

日本語で練習したい場合は、Claudeに面接官役を任せる方法が使えます。手順はClaudeを面接官役にして模擬面接を練習する方法、逆質問の準備はClaudeで転職面接の逆質問リストを作る手順が参考になります。

ライブ面接ではAIを使えない

ライブ面接は「すべてあなた自身」の場です。指示がない限りAIの支援は受けられません。リアルタイムで問題をどう考えるかを見たい、というのが理由です。

アクセシビリティ上の配慮が必要な場合は、選考の早い段階で採用担当(リクルーター)に伝えるよう案内されています。面接の進め方に関する要望は、当日でなく事前に共有する扱いです。

出題する側にも事情があります。先のエンジニアリングブログによると、2023年に作ったライブ面接の問題は、前半をClaude 3 Opus、後半をClaude 3.5 Sonnetに解かれました。ほかのライブ問題も、AIに強い設計ではないと書かれています。

Anthropic側はClaudeを採用にどう使っているか

ガイダンスには、Anthropic自身のClaude利用も開示されています。応募者に透明性を求める代わりに、会社側も同じ透明性を示す構成です。

  • 求人票の作成
  • 面接質問の作成
  • 応募者へ送る連絡文の下書きと推敲
  • 採用指標の分析
  • 面接の文字起こし
  • 候補者の探索(ソーシング)

一方で、応募者のデータでClaudeを学習させることはなく、Claudeに採用の意思決定をさせることもない、と明記されています。ガイダンスの文章自体も、人間がClaudeと共同で書いたものだと書かれています。

応募者に求められる姿勢は3つです。Claudeを考えて使うこと、自分らしくいること、透明であること。アイデアを磨くために使い、置き換えるために使わない、という説明があります。

運用で迷いやすい点と確認先

ガイダンスは短く、細部は書かれていません。

論点ガイダンスの記述
書類で「どこまで下書き」とみなすかガイダンスの記述明確な基準は書かれていない。「最初の下書きは自分で」とのみ
AI利用の申告方法ガイダンスの記述応募者に透明性を求めるが、申告の書式や場所は書かれていない
面接の形式ごとの違い(オンライン・対面)ガイダンスの記述書かれていない。ライブ面接は一律に「指示がない限りAIなし」
課題でAIが許可されるかどうかガイダンスの記述課題ごとに案内で明示される

書かれていない部分は、推測で判断せず、リクルーターに問い合わせる運用になります。

Anthropic以外の選考にも使える考え方

ガイダンスには、採用プロセスを設計する組織向けの一文があります。この枠組みは自社に合わせて調整してよく、明確な指針は採用に関わる全員の利益になる、という内容です。

応募者の側では、案内でAI利用が明示されているかを段階ごとに見ます。書類は自分の下書きを先に作り、指示のない課題と面接はAIなしで臨みます。

給与や職種など、応募先としてのAnthropicの全体像はAnthropic求人の年収・職種・東京採用を読み解くで扱っています。

まとめ

Anthropicの線引きは「準備と推敲にはAI、評価の場では本人だけ」ですが、例外は課題ごとに案内で明示されます。「Anthropicだから全部AI禁止」でも「AI企業だから全部OK」でもないため、案内文の記載を段階ごとに見るのが確実です。

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