CLAUDE_CODE_PROVIDER_MANAGED_BY_HOSTとは — ホスト管理を優先する環境変数
CLAUDE_CODE_PROVIDER_MANAGED_BY_HOSTは、Claude Codeを組み込んだホストがルーティング・モデル選択・テレメトリを一括管理するための環境変数です。上書きされる設定と例外をまとめます。
CLAUDE_CODE_PROVIDER_MANAGED_BY_HOSTは、Claude Codeを自社製品に組み込んだホストプラットフォームが設定する環境変数です。開発者本人が手元で設定する変数ではありません。設定されると、接続先・認証情報・モデル選択に関わる変数と管理設定のキーの多くが無視され、ホスト側の指定が優先されます。上書きされる範囲と、上書きされない例外を見ていきます。90種を超える環境変数を用途別に見渡したい場合はClaude Code環境変数リファレンスが役立ちます。
誰が設定する変数か
この変数はエンドユーザーではなく、Claude CodeをSDKなどで自社アプリに埋め込んだホスト側が設定します。公式の変数表の説明は「Claude Codeを組み込み、モデルプロバイダーへのルーティングを代行管理するホストプラットフォームが設定する」というものです。changelogにはClaude Desktopが例として出てきます。
ホストが自前のルーティング・認証基盤を持っているとき、ユーザーのsettings.jsonやシェルの環境変数がホストのルーティングを上書きできないようにします。この変数は、そのためのフラグです。
利用者の側からは挙動が逆向きに映ります。自分のANTHROPIC_BASE_URLや、管理設定で配ったfallbackModelが効かないとき、原因が設定ミスではなく、組み込み先のホストがこのフラグを立てていることもあります。
上書きされる領域
CLAUDE_CODE_PROVIDER_MANAGED_BY_HOSTが設定されると、Claude Codeは次の領域で自前の判定を止め、ホスト側の指定に従います。
| 領域 | 無視される設定 | 優先されるもの |
|---|---|---|
| 接続先・認証 | 無視される設定CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK、ANTHROPIC_BASE_URL、ANTHROPIC_API_KEY(設定ファイルに書かれたもの) | 優先されるものホストが管理するルーティング |
| モデル選択(管理設定のキー) | 無視される設定model・fallbackModel・modelPicker・modelOverrides(どの管理ソースが配っても対象) | 優先されるものホストのモデル設定 |
モデル選択(管理設定のenvブロック) | 無視される設定ANTHROPIC_MODEL・ANTHROPIC_DEFAULT_*_MODEL系 | 優先されるものホストのモデル設定 |
接続先・認証の無視は設定ファイルに書かれた値が対象で、モデル選択は管理設定(managed settings)のどの配布経路から来た値かを問いません。公式の設定ページ(「Exceptions to managed settings precedence」の節)は、この変数を使うアプリを例外として挙げています。アプリ自身のモデル設定が、あらゆる管理ソースのmodel・fallbackModel・modelPicker・modelOverridesの各キーより優先されます。
fallbackModelは設定の5階層をまたぐマージ対象外のキーです。通常は最高優先度のファイルが定義したチェーンだけが採用されますが、この変数が立っていると、管理設定から来たチェーンはホスト側の指定に譲ります。Claude Code fallbackModelの優先順位で管理設定にチェーンを書いても、ホスト組み込み環境で反映されないのはこのためです。
譲らないものが1つあります。管理設定のavailableModels許可リストは、ホストが自前のリストを持っていない限り引き続き適用されます。ホストが指定したモデルでも、組織の許可リストに無ければ選べません。「使わせないモデル」を組織側が止める仕組みは、ホスト管理下でも完全には無効になりません。
managedSettingsから直接読まれる3項目
ホストがAgent SDKでセッションを起動するとき、ホストはmanagedSettingsとしてポリシー層の設定を渡せます。管理者がデプロイした管理設定があるマシンでは、管理者側の最優先ソースがparentSettingsBehavior: 'merge'を設定していない限り、この値は無視されます。policyHelperが管理設定を供給している間は、マージされることもありません。マージされる場合も、値は制限を強める方向のものだけを通すフィルターを経由します。
CLAUDE_CODE_PROVIDER_MANAGED_BY_HOSTを立てたホストだけは例外で、次の3キーがこの経路を通らずペイロードから直接読まれます。
| 項目 | 必要バージョン | 適用条件 |
|---|---|---|
| モデル設定 | 必要バージョンv2.1.222以降 | 適用条件ペイロードから直接読まれる |
modelPricing | 必要バージョンv2.1.246以降 | 適用条件他の管理ソースが未設定のときだけ |
ENABLE_TOOL_SEARCH(envエントリ) | 必要バージョンv2.1.247以降 | 適用条件ペイロードから直接読まれる |
modelPricingは、組織が契約しているレートで金額を表示させる管理設定です。/usage、ステータスライン、Agent SDKのtotal_cost_usd、--max-budget-usdの上限、OpenTelemetryのコスト指標に反映されます。レートは自分で書く必要があり、契約書やConsoleから読み取る機能ではありません。未設定なら定価で表示されますが、ホストがテーブルを渡していればそちらが使われます。他の管理ソースがすでにmodelPricingを配っているときは、管理設定側が勝ちます。
modelPricingはmultiplierだけで一律の割引や割増を、overridesだけでモデル別の単価を指定でき、両方の併用もできます。設定自体にv2.1.242以降が必要で、1を超えるmultiplier(上限10)による割増はv2.1.271以降です。古いバージョンでは警告を出して割増を無視し、残りの設定は維持します。
ENABLE_TOOL_SEARCHは、ホストのペイロードから直接読まれる3項目に入っています。ANTHROPIC_BASE_URLが自社以外のホストを指すと、MCPツール検索は既定で無効になります。プロキシがtool_referenceブロックを通すならENABLE_TOOL_SEARCH=trueで有効化する、というのが環境変数表の案内です。ゲートウェイ経由の接続では、この設定がツール検索の有無を左右します。
テレメトリは向きが逆になる
接続先とモデル選択が「無視される」方向なのに対し、テレメトリはこの変数で既定が変わります。
Bedrockなど既定オフのプロバイダーでのテレメトリ
変数なし
Amazon Bedrock・Claude Platform on AWS・Google CloudのAgent Platform・Microsoft Foundryでは、利用状況メトリクスの送信は既定でオフです。
この変わり方が及ぶのは利用状況メトリクスだけです。エラー報告と/feedbackでの送信は、ホスト管理下でも既定でオフのままです。セッション品質調査とWebFetchのドメイン安全性チェックは、プロバイダーを問わず動く扱いなので、この変数があってもなくても変わりません。品質調査だけを止めるならCLAUDE_CODE_DISABLE_FEEDBACK_SURVEY=1を使います。調査を含む非必須の通信をまとめて止めるならCLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFICです。後者はWebFetchの安全性チェックには効きません。
サードパーティープロバイダーでもフィーチャーフラグの取得が動く
Claude CodeはAnthropicから配信されるフィーチャーフラグを取得し、一部の機能をそれでオンにしています。この取得をスキップするセッションの条件の1つが、Bedrock・Google CloudのAgent Platform・Microsoft Foundryなどのサードパーティープロバイダーへの接続です。取得をスキップするセッションは、ほかにもあります。DISABLE_GROWTHBOOK・DISABLE_TELEMETRY・DO_NOT_TRACK・CLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFICのいずれかを設定したセッションと、Claude appsゲートウェイのセッションです。ただし、Claude Codeを組み込んだホストがCLAUDE_CODE_PROVIDER_MANAGED_BY_HOSTを設定していれば、サードパーティー接続でも取得は止まりません。
取得が止まっているセッションでは、環境変数リファレンスによると次のような機能が使えません。
| 使えなくなる機能 | 内容 |
|---|---|
/auto-mode-setup | 内容autoMode.environmentエントリの下書き生成 |
| Remote Control | 内容CLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFICまたはDISABLE_GROWTHBOOKを設定したとき |
| 別マシンへのセッション間メッセージ | 内容同じマシン内のセッション間は動く |
claude import・/import | 内容他ツールの設定の取り込み |
/skill-doctor | 内容未使用スキルのレポート |
| スキル・プラグインの同期 | 内容claude.aiアカウントで有効にしたものをターミナルへ反映 |
| advisorツール | 内容補助モデルへの相談 |
| アーティファクトのコメント | 内容読み取りと返信 |
| 他組織の公開アーティファクト | 内容Claudeに読ませる機能 |
| Claude起草のフィードバック | 内容SendFeedbackツールによる下書き作成 |
| MCPプロトコル改訂2026-07-28の探索 | 内容MCP_PROTOCOL_NEGOTIATION=autoを設定すれば回避できる |
Windowsでは、Git Bashが入っているclaude.aiアカウントとConsoleアカウントでPowerShellツールが既定で付かなくなる点も、同じ一覧に載っています。大きな貼り付けを「貼り付けたテキスト」として扱う挙動や、入力スキーマがAPIに拒否されるMCPツールの除外も、取得が止まると働きません。
ホストがこの変数を設定していれば、サードパーティープロバイダー経由でもこれらの機能が候補に上がります。MCPの新しいバージョン管理方式で扱ったプロトコル改訂の探索も、このフラグ取得の可否と関わっています。
挙動の変遷
この変数自体は以前からありますが、周辺の挙動はバージョンを追って調整されています。
ホスト管理まわりの修正
- v2.1.126(2026-05-01)アナリティクスの自動無効化を解除
ホスト管理のデプロイで、Bedrock・Vertex・Foundry上のアナリティクスが自動では無効にならなくなりました。
- v2.1.222(2026-08-04)ホストのモデル選択キーが優先される
更新されていない
managed-settings.jsonがディスクに残っていても、ホスト側のモデル選択キーが優先されない問題が直りました。 - v2.1.251(2026-08-28)Bedrockの起動待ちが減る
この変数配下のAmazon Bedrockセッションで、BedrockのモデルIDやARNを渡された場合に、inference-profileの探索を待たなくなりました。
導入時に全領域が一度に完成していたわけではなく、モデル設定は後から、modelPricingとENABLE_TOOL_SEARCHはさらに後から直接読まれる対象に加わりました。
設定が効かないときの切り分け
ホスト管理かどうかを調べる流れ
- 1
変数の有無を見る
Claude Codeを起動するシェルで、値が入っているかを表示します。
echo $CLAUDE_CODE_PROVIDER_MANAGED_BY_HOST値が空でなければ、組み込み先のホストがルーティングを管理しています。
- 2
効かない設定が無視される側か調べる
次の3種は、変数が立っていれば無視されます。設定ファイルに書いた
ANTHROPIC_BASE_URL・CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK・ANTHROPIC_API_KEY、管理設定のmodel系のキー、管理設定のenvにあるモデル変数です。 - 3
許可リストと配布経路を考える
availableModelsは無視されません。モデル設定・modelPricing・ENABLE_TOOL_SEARCH以外のキーをmanagedSettingsで渡すときは、管理者側のparentSettingsBehavior: 'merge'が要る場合があります。 - 4
ホストの窓口に聞く
ルーティング先やモデルは、ホストが決めた値で動いています。設定値を変えたいときは、ホスト側の設定画面やドキュメントが入口になります。
切り分けでは、設定ミスを疑う前に変数の有無を見るのが早道です。
まとめ
利用者が自分で選べるのは、組織の許可リスト(availableModels)の範囲でホストが選ばせてくれるモデルまでです。接続先やモデルの既定を変えたいときは、設定ファイルをいじるより、ホストの設定画面や運営に頼む方が筋道が通ります。