Claude Desktopでプロンプト提案が出ない — コードタブでの切り分け
設定がOnのままClaude Desktopのコードタブで次の入力候補(Tabで承認)が出ない報告が続いています。設定側の確認項目と、報告者が突き止めた原因の仮説をまとめます。
Claude Desktopのコードタブで、返信のあとに入力欄へ出ていたグレーの次の入力候補(Tab で承認する提案)が出なくなった、という報告が続いています。Settingsの「Prompt suggestions」はOnのままで、アプリの再起動や新規セッションでも変わりません。GitHubのIssue #103335はopenで、報告者の調べでは2026年10月13日前後の更新以降に起きています。
結論から言うと、設定を触って直る可能性は低いと読めます。報告者たちは、Desktopが新しく入れた「次のステップ欄」が提案の要求を消している、という仮説を挙げています。ただしAnthropic側の確認は、Issueのコメントには見当たりません。
自分の症状がこの件に当たるか
Issueが扱う症状は、次の条件がそろった場合です。
- Claude Desktopのコードタブ(ローカルセッション)で起きている
- Settings > Claude Codeの「Prompt suggestions」がOn
- 新規セッションで数ターン会話しても、入力欄にグレーの候補が一度も出ない
- 以前は出ていた
報告されている環境は、macOSとWindowsの両方です。Desktopのバージョンは2.37337.1から3.6556.2までまちまちで、同梱のClaude Codeは2.1.295から2.1.308が挙がっています。3.6556.2(Claude Code 2.1.308)でも再現するという報告が10月23日以降に複数あり、最新ビルドで直ったという書き込みはありません。
まず設定側を確かめる
Desktopのドキュメントでは、候補は空の入力欄にグレーで出て、Tab か右矢印キーで取り込み、Enter で送る仕組みです。入力欄が空で、ファイルが添付されていないときだけ表示されます。ここで見落としやすい条件を先に潰します。
| 確認項目 | 見る場所 | 出ない理由になるか |
|---|---|---|
| Prompt suggestionsのトグル | 見る場所Settings > Claude CodeのSessions | 出ない理由になるかOffなら出ない。変更は次のセッション開始・再開から効く |
| 設定ファイルのキー | 見る場所promptSuggestionEnabled(どの設定ファイルにも書ける) | 出ない理由になるかfalse なら出ない |
| 環境変数 | 見る場所CLAUDE_CODE_ENABLE_PROMPT_SUGGESTION | 出ない理由になるかfalse だと設定より優先して止まる |
| 利用上限 | 見る場所5時間枠・週次枠の残り | 出ない理由になるか上限に近いと既定で出ない |
| plan mode | 見る場所権限モード | 出ない理由になるかplan mode中は出ない |
| 直前の返信 | 見る場所エラー終了していないか | 出ない理由になるかエラーの直後は出ない |
| キャッシュ | 見る場所長く放置したセッション | 出ない理由になるかプロンプトキャッシュが冷えていると、その回は出ない |
これらはCLI側の仕様で、Desktopのコードタブも同じClaude Codeを使っています。詳しい条件はClaude Codeのプロンプト提案の仕組みとオフにする方法にまとめています。
元のIssueの報告者は、この表をひととおり確かめています。トグルはOn、上書き用の設定と環境変数はなし、利用状況は5時間枠が約4%・週次が約1%で、plan modeでもありませんでした。さらに ~/.claude.json に「20回連続で使われなかった」ときの間引きを示す promptSuggestionUnusedStreak もなく、機能フラグの tengu_prompt_suggestion は true でした。それでも出ていません。
手元で上の設定側を一気に見るなら、次のコマンドで足ります(macOSとLinuxの例です)。
claude --version
env | grep CLAUDE_CODE_ENABLE_PROMPT_SUGGESTION
grep -n promptSuggestion \
~/.claude/settings.json ~/.claude/settings.local.json \
.claude/settings.json
grep -c promptSuggestionUnusedStreak ~/.claude.jsonenv と grep に何も出なければ、上書きは入っていません。~/.claude.json の件数が0なら、間引きも働いていません。ここまで何もなければ、手元の設定が原因ではない可能性が高まります。
同じアカウントで出る面と出ない面
Issueのコメントには、設定を疑うより先に役立つ比較が並んでいます。
同じアカウントでの提案の出方(コメントの報告)
出ない
Desktopのコードタブで新規に始めたローカルセッション。空のフォルダで始めても出ません。
出る
ターミナルのCLI、クラウドセッション、スマホのRemote Controlから始めたセッション、2026年10月13日以前に作った古いセッションの再開。
CLIはv2.1.309で、最初のターンのあとに候補が出たという報告です。つまり「アカウント全体で提案が止まった」のではなく、Desktopが新しく始めるローカルセッションに限った現象です。切り分けの最初の一手は、同じアカウントのCLIで候補が出るかを見ることになります。CLIで出るなら、アカウント側の要因は薄れます。
報告者が突き止めた原因の仮説
原因について、複数の報告者がアプリ本体(app.asar)の中身を調べて同じ結論に至っています。流れは次のとおりです。
- Desktopは、リモート設定で有効になっていると、ターン終了時の「次のステップ欄」(
turnBox)を付けてセッションを起動する - この欄が起動時に載ると、アプリはSDKのオプションを
promptSuggestions = undefinedで消す(turnBoxMountedが真のとき) - Claude Code側には提案の要求が届かず、提案の生成が動かない
この欄の正体は、ターンの最後に呼ばれる mcp__ccd_turn__wrap_up などのツールです。欄の挙動と不具合はwrap_up欄が提案を見せずに承認を求める件に書いています。
裏付けとして挙がっているのは、次の観察です。
- 10月14日以降に作ったセッションは、セッションファイルの
turnBoxMountedが真で、どれも提案が出ない - 古い、欄のないセッションは再開しても提案が出る
- アプリを閉じた状態でセッションの記録を書き換え、欄の宣言(
turnBoxとturnBoxDeclared)を偽にしたセッションでは、提案が出た。書き換えていない新規セッションでは出なかった
最後の観察は、書き換えた報告者自身が「1回の試行であり証明ではない」と断っています。それでもこの仮説は、他の説明と比べて観察の説明力が高めです。
一方で、仮説が当てはまらない例も報告されています。あるmacOSの利用者は、ローカルのセッションを月別に集計しました。提案の記録があるセッションは7月の89件中28件、8月は23件中0件、9月は44件中0件、10月1日から14日は39件中0件です。10月15日以降の32件のうち28件が欄ありで、提案はやはり0件でした。この環境では提案が8月に止まっていて、欄の登場より前です。報告者は「ホスト側の機能フラグと、欄による消去の2つが独立に効いているのではないか」と推測しています。片方を直しても戻らない人がいる、という含みです。
どちらも報告者の推測です。Issueのラベルは bug、has repro、area:desktop などです。
切り分けの手順
ここまでを順番に並べると、次の流れになります。
提案が出ないときの確認順
- 1
バージョンと設定を確認する
先ほどのコマンドで、バージョン、環境変数、設定キー、間引きの記録を見ます。Offになっているなら、Settingsで戻して新しいセッションを始めます。
- 2
CLIで同じアカウントを試す
ターミナルで
claudeを起動し、数ターン会話します。候補が出るなら、アカウントやサブスクリプションの問題ではありません。 - 3
Desktopで古いセッションを再開する
2026年10月13日以前のセッションを開いて返信を受けます。ここで出るなら、新規セッションに付く仕組み(次のステップ欄)が疑わしくなります。
- 4
Issueに情報を足す
どれにも当てはまらないなら、Issue #103335にDesktopのバージョン、OS、同梱のClaude Codeのバージョンを書き足せます。報告者はアプリのフィードバック機能から送った例もあります。
3番目と4番目が決め手です。Issueの報告者は設定をすべて確かめても出なかったので、手順1と2で手元に原因がないと分かったら、設定をやり直しても結果は変わりません。
提案を取り戻したいときの現実的な選択肢
報告の中で挙がっている手段は次のとおりです。いずれも暫定策で、恒久的な修正ではありません。
- 提案を使う作業だけCLIで行う: CLIでは出る、という報告が複数あります
- クラウドセッションを使う: 同じアカウントのクラウドセッションには出る、という報告があります
- 自作のmodで代わりを作る: ある報告者は、
turn.completeのあとにモデルを分岐呼び出しして次の入力を予測し、入力欄の上に「Next: …」と表示するmodを公開しています。送信・コピー・閉じるのボタン付きで、SDKのpromptSuggestionsオプションを通らないので、欄に消されません。ただしグレーのTab候補ではなく、返信のたびにモデル呼び出しが1回増えます。modのフック自体は先行提供の段階で、更新で動かなくなる可能性が書かれています。フックの扱いはprompt.submitの記事が入門になります - セッション記録を書き換える: 欄の宣言を偽にして提案を出した報告もありますが、アプリを閉じた状態で内部のファイルを編集する方法です。非公式で、元の状態に戻せる保証もありません
Desktopのドキュメントは、提案が出る仕組みを通常の機能として説明していて、次のステップ欄との関係には触れていません。設定画面の「Prompt suggestions」がOnなのに効かない点は、報告者から「欄が上書きするなら、設定をグレーアウトするか注記してほしい」と要望が出ています。
修正の進み具合を確かめる場所と、この件の見立て
要望は大きく2つに分かれています。提案と次のステップ欄を併存させること、そして欄をオフにできる設定を用意することです。後者は別のIssue #102273(次のステップ欄が議論の邪魔になるという機能要望)にも関連して挙がっています。
見立てとして、この不具合は「設定で直せない」型です。自分の環境を疑って設定を何周もするより、CLIとの差を見て切り分けを終わらせ、Issueの状況を追うほうが早く済みます。修正が入ったかどうかは、Issueの状態(open/closed)と、Desktopの更新後に新規セッションで候補が出るかで判断できます。