advisor toolのモデル互換性 — executorとadvisorの全11パターン
advisor toolのexecutorとadvisorは自由に組み合わせられません。Sonnet4.6以上かつexecutor以上という2条件と、11種類のexecutorそれぞれが選べるadvisorの全パターンをまとめます。
このTipsでできること
Claude APIのadvisor toolを実装する最小構成では最小構成の実装を扱いましたが、本記事はexecutorとadvisorの組み合わせに絞った互換性のリファレンスです。advisor toolのexecutorとadvisorは、任意の組み合わせを自由に選べるわけではありません。無効な組み合わせを指定すると、リクエストは実行前に400で弾かれます。ルールはシンプルですが、Anthropicのモデルラインアップは11段階あり、段階ごとに選べるadvisorの範囲が変わります。公式が示す全パターンの組み合わせ表と、判定ルールの中身、Claude Managed Agentsでの扱いの違いまでをまとめます。
互換性の基本ルール — advisorはSonnet4.6以上、かつexecutor以上
判定条件は2つです。advisorはClaude Sonnet 4.6以上の性能を持つモデルでなければならず、かつexecutorと同等以上の性能でなければなりません。どちらか一方だけを満たしても組み合わせは成立しません。
たとえばexecutorにOpus 5を指定した場合、Sonnet 4.6はadvisorの下限条件こそ満たしますが、Opus 5より下位のためexecutor以上の条件を満たさず、組み合わせとしては無効です。逆にexecutorをHaiku 4.5にすれば、Sonnet 4.6以上のほぼ全モデルがadvisorとして有効になります。
同格のモデル同士は相互にadvisorになれます。Claude Opus 4.7をexecutorにしてClaude Opus 4.8をadvisorにする、あるいはその逆の組み合わせも有効です。「同格」は公式ドキュメント上の分類であり、バージョン番号の大小だけで機械的に判定されるものではありません。
executor/advisorの組み合わせ表(全11パターン)
11種類あるexecutorモデルそれぞれについて、advisorとして選べるモデルの全範囲は次のとおりです。
| executorモデル | advisorに選べるモデル |
|---|---|
| Haiku 4.5 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 / Opus 4.8 / Opus 4.7 / Opus 4.6 / Sonnet 5 / Sonnet 4.6 |
| Sonnet 4.6 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 / Opus 4.8 / Opus 4.7 / Opus 4.6 / Sonnet 5 / Sonnet 4.6 |
| Sonnet 5 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 / Opus 4.8 / Opus 4.7 / Sonnet 5 |
| Opus 4.6 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 / Opus 4.8 / Opus 4.7 / Opus 4.6 / Sonnet 5 |
| Opus 4.7 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 / Opus 4.8 / Opus 4.7 |
| Opus 4.8 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 / Opus 4.8 / Opus 4.7 |
| Opus 5 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 |
| Fable 5 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 |
| Mythos 5 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 / Fable 5 / Opus 5 |
| Fable 5.1 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 |
| Mythos 5.1 | advisorに選べるモデルMythos 5.1 / Fable 5.1 |
表を上から下に読むと、executorの性能が上がるほどadvisorの選択肢が減っていく傾きが見えます。Haiku 4.5とSonnet 4.6はSonnet 4.6以上のほぼ全域を選べる一方、Fable 5.1とMythos 5.1は互いにしかadvisorになれません。最上位のexecutorには、それを上回るadvisorがそもそも存在しないためです。
Opus 4.7とOpus 4.8の行を見比べると、advisorの選択肢が完全に一致しています。この2モデルが同格として扱われていることが、表の対称性からも読み取れます。Opus 5・Fable 5・Mythos 5の3行も同様に、選べるadvisorの範囲が同一です。
表の読み方 — 具体例で境界線を確認する
表は行ごとに眺めるだけでなく、隣接する2つの階層を見比べると境界線がはっきりします。
Sonnet 5をexecutorにした場合、advisorに選べるのはOpus 4.7以上とSonnet 5自身です。Opus 4.6もSonnet 4.6も選べません。一方、Haiku 4.5をexecutorにしてSonnet 4.6をadvisorに指定する組み合わせは、下限条件(Sonnet 4.6以上)を満たしたうえでexecutor以上の条件も満たすため有効です。同じ「Sonnet 4.6」というモデルが、executor側の性能次第で選べたり選べなかったりするのは、比較の基準が絶対的なモデル名ではなく、executorとの相対的な性能差だからです。Sonnet 5はSonnet 4.6より新しく性能でも上回っているため、Sonnet 4.6はadvisorとして「executor以上」の条件を満たしません。組み合わせを設計するときは、表の行を上から順に、executorとの相対的な性能差でadvisorの可否が決まる点を意識すると把握しやすくなります。
なぜこの制約があるのか
advisorの役割は、executorが自力で出す計画より質の高い戦略的な助言を返すことです。advisorがexecutorと同等以下の性能しか持たなければ、相談しても実質的に同じレベルの判断が返るだけで、追加の推論コストを払う意味がなくなります。Sonnet 4.6という下限は、この仕組みが成立するために必要な「advisor役として十分な計画能力」の最低ラインをAnthropicが引いた結果だと考えられます。executorより弱いモデルをadvisorに立てられない制約も、同じ理由で説明がつきます。executorが自分より劣ったモデルに相談しても、計画の質が上がる見込みがないからです。
無効な組み合わせを指定するとどうなるか
無効な組み合わせをリクエストすると、モデルの推論が始まる前にAPIが弾きます。
{
"type": "error",
"error": {
"type": "invalid_request_error",
"message": "..."
}
}エラーメッセージには、サポートされていない組み合わせの名前が含まれます。これは実行時エラーではなくリクエスト時点の検証なので、無駄なトークン消費が発生しません。なお、設定したadvisorモデルが利用できない場合は、この400とは別にadvisor_tool_result内でmodel_not_foundが返ります。
Claude Managed Agentsでの互換性はどう変わるか
Claude Managed Agentsのセッションでもadvisorを使えますが、設定の場所が異なります。通常のMessages APIではツール定義の一部としてadvisorをtools配列に足しますが、Managed Agentsではエージェントのマルチエージェント構成(roster)に{"type": "advisor", "model": ...}というエントリを足す形になります。ロースターのエントリにはmax_uses・max_tokens・cachingのオプションがありません。advisorの助言はadvisor_tool_resultブロックではなく、セッションのイベントストリーム上のスレッドイベントとして届きます。
モデル同士の互換性ルール自体(Sonnet 4.6以上、かつexecutor以上)は、Messages APIのtools配列経由でもManaged Agentsのロースター経由でも変わりません。変わるのは設定の書き方と、助言の受け取り方です。
プラットフォーム別の利用可否
advisor toolはベータ機能として、Claude APIとClaude Platform on AWS上で使えます。Amazon Bedrock・Google Cloud・Microsoft Foundry経由では、モデルの組み合わせ以前にadvisor tool自体が使えません。マルチクラウドでexecutor/advisorのペアを設計する前に、対象プラットフォームがadvisor toolに対応しているかを先に確認します。
組み合わせを選ぶときの実務的な指針
同じexecutorに対して複数のadvisorが有効な場合、どれを選ぶかはコストと助言の質のトレードオフになります。表の中で選択肢が並んでいるとき、上位のモデル(たとえばHaiku executorに対するMythos 5.1やFable 5.1)を選ぶほど助言の質は上がりますが、advisorはexecutorとは別料金のサブ推論として課金されるため、上位モデルほど単価も上がります。すべてのタスクに最上位のadvisorを充てる必要はなく、タスクの複雑度や失敗時のコストに応じて、表の中で条件を満たす最も安価なモデルから試すという選び方もできます。
executorとして選べるモデルは表のとおり11段階ですが、advisor側の候補になるのはSonnet 4.6以上の10モデル(Haiku 4.5はどのexecutorに対してもadvisorになれない、下限未満のモデルです)に絞られます。新しいモデルがラインアップに加わるたびに、この表自体が更新される可能性があります。組み合わせのリストをアプリケーション側でハードコードすると、モデル追加のたびに更新漏れが起きやすくなります。実装では組み合わせのリストをハードコードで持たず、無効な組み合わせを400エラーとして検知し、エラーメッセージに含まれる詳細を見てから対処する設計にしておくと、モデルラインアップの変化に強くなります。
まとめ
advisor toolのモデル互換性は「advisorはSonnet 4.6以上」「advisorはexecutor以上」という2条件で決まり、11種類あるexecutorモデルごとに選べるadvisorの範囲が変わります。最上位のFable 5.1・Mythos 5.1は互いにしかadvisorになれず、Opus 4.7とOpus 4.8のように同格のモデル同士は相互にadvisorになれます。無効な組み合わせはリクエスト時点で400エラーとして弾かれ、実行時の無駄なトークン消費を防ぎます。Claude Managed Agentsでもルール自体は同じですが、設定はツール定義ではなくエージェントのロースターに書きます。advisor toolの最小構成の実装はClaude APIのadvisor toolを実装する最小構成、Fable 5.1・Mythos 5.1 executorに関わるtool_choiceの制約はadvisor toolのHaikuナッジで通過率を7ポイント上げる実装にまとめています。