Claudeのdocumentationスキルで、README・runbook・導入資料を書く
engineeringプラグインのdocumentationスキルは、README・APIドキュメント・runbook・アーキテクチャ文書・オンボーディングガイドの5種別を書き分けます。種別ごとの項目と渡す材料を説明します。
engineeringプラグインのdocumentationスキルは、技術文書を5つの種別に分けて書くスキルです。README、APIドキュメント、runbook、アーキテクチャ文書、オンボーディングガイドの5種で、種別ごとに入れる項目があらかじめ決まっています。
SKILL.mdは約50行と短く、中身は種別ごとの項目表と5つの原則だけです。短いぶん、使い方の勘所は「どの種別を選ぶか」と「何を渡すか」に集まります。この記事では、入れ方、5種別の項目、種別の選び方、渡す材料、CLAUDE.mdへの載せ方を順に説明します。
documentationスキルが担う範囲
SKILL.mdの説明文は、このスキルを技術文書の作成と保守のためのものとしています。呼び出しのきっかけとして挙がっている語句は、次の5つです。
- 「write docs for」
- 「document this」
- 「create a README」
- 「write a runbook」
- 「onboarding guide」
APIドキュメント、アーキテクチャ文書、運用手順書(runbook)を含む技術文書全般が対象です。engineeringプラグインのREADMEでは、code-review や tech-debt と並ぶ6つのスキルのひとつで、「ドメイン知識としてClaudeが関連する場面で自動的に使う」側に分類されています。
architectureスキルのように /architecture と書けるコマンド版はありません。READMEのコマンド一覧にあるのは /standup、/review、/debug、/architecture、/incident、/deploy-checklist の6つで、documentationはそこに入っていません。
ただし、SKILL.mdのフロントマターは name と description の2項目だけです。呼び出しを自動に限る disable-model-invocation も、直接呼び出しを禁じる user-invocable: false も書かれていません。Claude Codeの公式ドキュメントでは、どちらも既定では無効です。つまり話題に応じた自動起動に加えて、プラグインのスキルを /プラグイン名:スキル名 で呼ぶ形、ここでは /engineering:documentation でも呼べる想定です。
engineeringプラグインを入れる
導入はマーケットプレイスの追加とプラグインの導入の2コマンドです。
claude plugin marketplace add anthropics/knowledge-work-plugins
claude plugin install engineering@knowledge-work-plugins入れたあと、/engineering:documentation に続けて文書の種別と対象を書けば始められます。自動起動に任せる場合も、「READMEを書いて」「このサービスのrunbookを作って」のように種別を言葉にしておくと、スキルが選ばれやすくなります。
Claude Codeでの導入のスコープ(ユーザー・プロジェクト)や、チームへの配り方は、同じプラグインを扱うarchitectureスキルの記事に詳しく書いています。
5種別に入れる項目
SKILL.mdが種別ごとに挙げている項目は、次のとおりです。
documentationスキルの5種別
README
何であり、なぜ存在するか。5分未満で最初の成功に着く「クイックスタート」。設定と使い方。コントリビューションの案内。
APIドキュメント
リクエストとレスポンスの例つきのエンドポイント一覧。認証とエラーコード。レート制限とページネーション。SDKの例。
Runbook
使う場面。前提条件と必要な権限。手順。ロールバック手順。エスカレーション経路。
アーキテクチャ文書
背景と目標。図を含む高水準の設計。主な決定とトレードオフ。データフローと連携箇所。
オンボーディングガイド
環境構築。主要なシステムとその接続。よくある作業の手順例。誰に何を聞くか。
READMEのクイックスタートにだけ「5分未満」という数値の基準が付いています。ほかの種別は、項目名が並ぶだけで分量の指定はありません。
種別の選び方 — 読み手と使う場面で決める
SKILL.mdの最初の原則は「読み手のために書く」で、「誰が読み、何を必要としているか」を問います。種別選びも同じ問いから決まります。迷いやすい組み合わせを、読み手の動作で分けてみます。
| 読み手の動作 | 選ぶ種別 |
|---|---|
| 初めてリポジトリを開き、動かしてみる | 選ぶ種別README |
| 外部のコードからAPIを呼ぶ | 選ぶ種別APIドキュメント |
| 障害や定常作業の最中に、手順を追う | 選ぶ種別Runbook |
| 設計の全体像と理由を知りたい | 選ぶ種別アーキテクチャ文書 |
| 入社・異動で、環境と人を把握する | 選ぶ種別オンボーディングガイド |
この表は、SKILL.mdの項目から導いた分け方の一例です。公式の判定基準ではありません。
アーキテクチャ文書とADRは別物
アーキテクチャ文書の項目には「主な決定とトレードオフ」が入ります。ただし、個々の技術選定を1件ずつ記録するのはADRの役割です。engineeringプラグインでは、決定1件を残すならarchitectureスキル、システム全体の説明ならdocumentationスキルのアーキテクチャ文書、と分かれます。
前者の記録を積んでおき、後者からリンクする形にすると、SKILL.mdの5つめの原則「リンクして、複製しない」と合います。
runbookは書く場面が2つある
runbookには、定常作業用と障害対応用があります。障害対応そのものの流れ、状況更新の型、ポストモーテムはincident-responseスキルが扱います。documentationスキルのrunbookは、そこで参照される「手順書」の側を書くための型です。
なお、operationsプラグインにもrunbookの作成があります。そちらは業務運用の手順書が主題です。比較はoperationsプラグインの記事を参照してください。
種別ごとに渡す材料
スキルは、渡された情報から文書を組み立てます。項目表の欄を埋められるだけの材料がなければ、一般論で埋まった文書になります。種別ごとに、次の材料を添えると項目が具体的になります。以下は項目表から逆算した一例です。
- README: 実際に動かすコマンド、必要なランタイムの版、設定の環境変数名、ライセンスと貢献の窓口
- APIドキュメント: OpenAPI定義やルーターのコード、認証方式、エラー応答の実例、レート制限の値
- Runbook: 対象システムの構成、手順で使うコマンド、必要な権限の名前、直前の状態に戻す方法、連絡先と当番表
- アーキテクチャ文書: 構成図の元データ、既存のADR、非機能要件、連携先システムの一覧
- オンボーディングガイド: セットアップ手順の実績、主要リポジトリの一覧、担当者とチャンネルの対応表
Claude Codeなら、材料を貼る必要はありません。リポジトリを読ませる形で渡せます。
/engineering:documentation このリポジトリのREADMEを書いて。
package.jsonのscriptsとdocker-compose.ymlを読んで、
クイックスタートはコマンドを順に実行して確認してから書く最後の一文が効きます。READMEの「5分未満で最初の成功」は、書き手が実際に通したかどうかで品質が分かれます。Claude Codeはシェルを実行できるので、書いたクイックスタートを自分で走らせる指示を足せます。公式のワークフロー集にも、生成後に「プロジェクトの基準に沿っているか確認して」と頼む手順があります。
渡さないと空欄になりやすい項目
Runbookの「前提条件と必要な権限」「エスカレーション経路」、オンボーディングの「誰に何を聞くか」は、コードからは読み取れません。組織の情報だからです。渡さないまま書かせると、もっともらしい名前が入る恐れがあります。
これらは「未定の項目は TBD と書き、推測で埋めない」と指示しておくと、人が埋めるべき箇所が文書に残ります。
5つの原則をレビューの観点に使う
SKILL.mdの原則は、書かせるときだけでなく、出てきた文書を読むチェックリストにもなります。
- 読み手のために書く
- 最も役に立つ情報から始める
- 見せる(コード例、コマンド、スクリーンショット)
- 最新に保つ(古い文書は無いより悪い)
- リンクして、複製しない
レビューでは、各原則を問いに変えると使いやすくなります。冒頭の3行で、読み手が目的を判断できるか。手順にコマンドがあるか。別の文書に書いてある内容を、写していないか。
4つめの「最新に保つ」は、書いた後の話です。スキルは文書を一度作るのは得意でも、コードが変わったときに更新を促す仕組みは持ちません。次の節のとおり、保守のルールはリポジトリ側に置きます。
CLAUDE.mdに文書の規約を書く
SKILL.mdには、文書の保存先、ファイル名、文体の指定がありません。ここはチーム側で決める部分です。プロジェクトのCLAUDE.mdに、次のような節を足すと、毎回の指示が減ります。保存先は一例なので、チームの慣行に合わせて変えてください。
## ドキュメントの書き方
- 技術文書の作成は /engineering:documentation を使う
- READMEのクイックスタートは、書いた後に実際のコマンドで通して確認する
- runbookは docs/runbooks/ に置き、手順の末尾にロールバックと連絡先を必ず書く
- 設計判断は docs/adr/ のADRに残し、アーキテクチャ文書からはリンクで参照する
- コードの挙動を変えるPRでは、関連する文書の更新も同じPRに含める最後の1行が、原則4に当たる運用です。更新漏れを防ぐには、人の注意に頼らず、PRの作法に入れるほうが残ります。
JSDocやdocstringの一括生成、変更ログの更新、CIからの生成は、スキルではなくClaude Code本体の使い方としてドキュメント生成の記事にまとめています。documentationスキルは、そのコード内コメントより上の層、つまり人に向けた文書の型を担当します。
コネクタで既存の文書基盤とつなぐ
READMEの連携表では、Notion、Confluenceが「ナレッジベース」として挙がり、ADR、runbook、オンボーディング資料を扱う基盤と位置づけられています。ソース管理(GitHub、GitLab)や監視(Datadog、New Relic)もつなげられます。
READMEは、すべてのコマンドとスキルが単体でも動く、と書いています。コネクタなしでも、システムの説明を貼れば文書は書けます。つなぐ価値が出るのは、文書の元になる情報、たとえば既存のrunbookや過去の障害対応記録が基盤側にあるときです。
どのコネクタがどの文書に効くのかは、documentationのSKILL.mdには書かれていません。READMEの表は、engineeringプラグイン全体についての一覧です。
まとめ
documentationスキルの中身は、5種別の項目表と5つの原則に尽きます。項目表は埋めるべき欄の見取り図で、原則はレビューの観点です。実際の中身は、渡す材料と、保存先・更新ルールを決めるCLAUDE.mdで決まります。
特に、組織の情報(権限、連絡先、担当者)はコードから読み取れません。ここを人が埋める前提で運用すると、もっともらしい架空の名前が文書に混ざる事故を避けられます。
参照した一次ソース
この記事の記述は、次の一次ソースと照合しています。更新時に参照先が変わった場合は一覧も更新します。