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賞与の原資配分をClaude for Excelで評価区分ごとに試算する

賞与の原資配分をClaude for Excelで評価区分ごとに試算する

原資総額を評価区分と係数で配り、支給額の案と総額の収まりを検算するExcelの組み方。按分方式と係数方式の違い、Claude for Excelへの指示例、社会保険料の上限の見方まで。

賞与の原資配分は、決まった原資総額を評価区分ごとに配り、一人ひとりの支給額の案を作る作業です。難しいのは配り方そのものより、案を変えるたびに「総額が原資に収まっているか」を確かめ直す手間にあります。

Claude for Excelは、数式の関係を保ったまま前提の値を変えられ、表の組み立ても任せられます。この記事では、原資・評価区分・係数から支給額を出すブックの作り方と、総額が収まっているかを検算する手順を示します。

賞与の配分でClaude for Excelに任せる範囲

Claude for ExcelはExcelに入れて使うアドインです。開いているブックについて質問するとセル単位の出典つきで答え、前提の値を変えると下流のセルを再計算させられます。ソートやフィルタ、データ入力規則のドロップダウン作成のようなExcelの操作も、直接頼めます。

賞与の配分では、任せる作業と人が決める前提をはっきり分けます。

くらべる

Claudeに任せる作業と、人が決める前提

作業

Claudeに任せる

シートの骨組み、配分の数式、区分別の集計、検算の列を作ります。係数や原資を変えたときの再計算も頼めます。

前提

人が決める

原資総額、基礎部分と評価部分の比率、評価区分ごとの係数、個人の評価結果です。規程や労使の取り決めに従う値で、Claudeに決めさせません。

利用できるのはPro・Max・Team・Enterpriseの各プランです。対応するExcelは、Web版、WindowsのMicrosoft 365版(ビルド16.0.13127.20296以降)、Macのバージョン16.46以降です。

配り方は2通り — 按分方式と係数方式

先に、配り方を決めます。評価係数を使う配分には、総額の扱いが違う2つの方式があります。

方式個人の支給額の出し方総額が原資と一致するか
按分方式個人の支給額の出し方原資を、基礎部分と評価部分に割り、それぞれ比率で按分する総額が原資と一致するか端数処理の前なら必ず一致する
係数方式個人の支給額の出し方算定基礎額 × 基準月数 × 評価係数総額が原資と一致するか一致しない。調整率で合わせる

按分方式は、原資を先に固定して配る考え方です。係数方式は、支給額を先に決めて後から総額を見る考え方です。係数方式で総額が原資を超えたときは、全員に同じ「調整率」(原資 ÷ 係数方式の合計額)を掛けて合わせます。

この記事のブックは按分方式を主にし、係数方式は比較のために調整率の列を足します。

数値で見る2方式の違い

説明用に、20人で算定基礎額がすべて40万円、原資が1,600万円(基準月数2.0)という仮の条件を置きます。基礎部分の比率は70%、端数は1,000円単位で切り捨てます。係数は次のとおりです。

評価区分係数人数按分方式の支給額(1人)区分の小計
S係数1.30人数2按分方式の支給額(1人)873,000円区分の小計1,746,000円
A係数1.10人数5按分方式の支給額(1人)825,000円区分の小計4,125,000円
B係数1.00人数8按分方式の支給額(1人)801,000円区分の小計6,408,000円
C係数0.80人数4按分方式の支給額(1人)752,000円区分の小計3,008,000円
D係数0.60人数1按分方式の支給額(1人)704,000円区分の小計704,000円

小計の合計は1,599万1,000円で、原資との差は9,000円です。これは1,000円未満の切り捨てで出た端数で、20人×1,000円(2万円)を超えることはありません。

係数方式で同じ係数を使うと、合計は1,592万円になり、原資に8万円足りません。調整率は約1.005です。係数の並びが同じでも、総額の収まり方は方式で変わります。

按分方式では、S区分とD区分の支給額の差は約1.24倍です。係数の比は1.30対0.60で約2.2倍ですが、70%が基礎部分として全員に同じ割合で配られるため、差は圧縮されます。評価の差をどこまで付けるかは、基礎部分の比率で動きます。

ブックは4シートに分ける

前提と計算が同じシートに混ざると、後の検算ができません。次の4シートに分けます。

シート置くもの手入力するか
前提置くもの原資総額、基礎部分の比率、端数単位、基準月数手入力するかする(人が決める値)
評価区分置くもの区分名と係数手入力するかする
台帳置くもの識別番号、部署、算定基礎額、評価区分、在籍按分率手入力するかする
計算置くもの基礎部分、評価部分、支給額、検算手入力するかしない(数式のみ)

台帳には氏名を入れず、識別番号にします。賞与は個人の評価に直結するため、Claudeに渡す表は個人を特定できない形にしておくのが無難です。

台帳の列は次のとおりです。

列内容例
A内容識別番号例E001
B内容部署例開発
C内容算定基礎額(配分の基準にする月額)例400,000
D内容評価区分例A
E内容在籍按分率(期中入社などは1未満)例1

「算定基礎額」に何を使うか(基本給のみか、手当を含めるか)は、賞与規程で決まる事項です。この記事では基本給を想定しています。

前提シートは、B2に原資総額、B3に基礎部分の比率(0.7など)、B4に端数単位(1000)を置きます。評価区分シートは、A2からA6に区分名、B2からB6に係数です。

按分方式の式を組む

計算は台帳の右側に列を足して行います。2行目の式は次のとおりです。空行を許す前提で、A列が空なら空文字を返します。

列項目式(2行目)
F項目配分基礎額式(2行目)=IF($A2="","",C2*E2)
G項目評価係数式(2行目)=IF($A2="","",INDEX(評価区分!$B$2:$B$6,MATCH(D2,評価区分!$A$2:$A$6,0)))
H項目基礎部分式(2行目)=IF($A2="","",前提!$B$2*前提!$B$3*F2/SUM($F$2:$F$201))
I項目評価部分式(2行目)=IF($A2="","",前提!$B$2*(1-前提!$B$3)*F2*G2/SUMPRODUCT($F$2:$F$201,$G$2:$G$201))
J項目支給額(端数前)式(2行目)=IF($A2="","",H2+I2)
K項目支給額式(2行目)=IF($A2="","",FLOOR(J2,前提!$B$4))

評価部分の分母は、配分基礎額に係数を掛けた値の合計です。分子と分母で同じ「配分基礎額×係数」を使っているので、全員の評価部分を足すと必ず評価部分の原資になります。

台帳に200行ぶんの余裕を持たせた式です。人数が増えたときは範囲を伸ばします。範囲の外に行を足したまま気づかないと、総額の検算で差が出ます。

係数方式の列を比較用に足すなら、次の2列です。

列項目式(2行目)
L項目係数方式(調整前)式(2行目)=IF($A2="","",C2*E2*前提!$B$5*G2)
M項目係数方式(調整後)式(2行目)=IF($A2="","",L2*前提!$B$2/SUM($L$2:$L$201))

前提のB5は基準月数です。M列の掛け率が、先ほどの調整率にあたります。

Claudeへの指示の出し方

骨組みが決まったら、Claudeに数式を組ませます。指示は、シート名・列・参照先まで具体的に書くほうが、期待どおりの式になります。公式のベストプラクティスも、変更したい内容を具体的に伝えることを挙げています。

前提・評価区分・台帳の3シートに入力済みです。
台帳のF列からK列に、次の列を数式で追加してください。
F=算定基礎額×在籍按分率、G=評価区分の係数(INDEX/MATCH)、
H=基礎部分、I=評価部分、J=H+I、K=Jを前提!B4の単位で切り捨て。
原資は前提!B2、基礎部分の比率は前提!B3を参照し、
式の中に数値を直接書かないでください。
A列が空の行は空文字を返してください。

組ませたあとは、数式の中身をClaudeに説明させます。「K列の支給額は、どのセルの値から決まっていますか」と尋ねると、出典のセルが示されます。式の中に原資や比率が直接書かれていないか、ここで確かめます。

既存の数式を壊したくないときは、先に台帳のコピーを作ってから頼みます。公式も、広く編集させる前に信頼できるコピーで始めることを勧めています。

書式の好みは、アドインの設定にある「Instructions」欄に書いておくと、Excelでの全会話に効きます。「金額は桁区切りで表示する」「ヘッダー行は太字にする」のような決まりを置く使い方が公式に挙がっています。

検算の5手順

数式が組めたら、結果を使う前に次の5つを回します。計算シートの下に検算欄を作り、Claudeにも同じ項目を数式で作らせると、毎回同じ確認ができます。

手順

総額の収まりを確かめる5手順

  1. 1

    端数前の合計と原資を突き合わせる

    J列の合計から前提のB2を引き、0になることを確かめます。0にならないときは、台帳の範囲外の行か、評価区分の入力ミスを疑います。

  2. 2

    端数後の差額を見る

    K列の合計と原資の差は、端数単位と人数の積を超えません。超えているなら、端数処理の式が想定と違います。

  3. 3

    人数を台帳と区分別で照合する

    区分別の人数をCOUNTIFで数え、合計が台帳の対象人数と一致するか見ます。区分名の表記ゆれがあると、MATCHが#N/Aを返して見つかります。

  4. 4

    区分別の平均が係数の順に並ぶか見る

    算定基礎額が近い集団なら、区分別の平均支給額は係数の高い順に並びます。逆転があれば、基礎額の偏りか式の誤りです。

  5. 5

    前回支給額との差が大きい人を出す

    前回支給額の列を足し、増減率の上位と下位を並べます。想定外に動く人は、評価区分の入力ミスの可能性があります。

5つめは、原資を動かさずに区分や係数だけを変えた案を比べるときにも使えます。案ごとの結果は、比較用のシートに値で貼って残しておきます。

社会保険料の上限は会社負担に響く

支給額の案を作ったら、会社負担の保険料にも目を配ります。賞与にかかる保険料は、実際に支払う賞与額(税引き前の総支給額)から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、保険料率を掛けて決まります。保険料は事業主と被保険者が折半で負担します。

標準賞与額には上限があります。

数字

標準賞与額の上限

  • 健康保険

    573万円

    年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計

  • 厚生年金保険

    150万円

    1か月あたり。同月内に2回以上支給すれば合算して判定

日本年金機構の案内にある値

高い支給額の人が出る案では、この上限を超えた部分には保険料がかかりません。ブックに会社負担の列を足すときは、支給額に率を掛けるだけにせず、MINで上限を挟みます。

標準賞与額(厚生年金) =MIN(ROUNDDOWN(支給額,-3), 1500000)

保険料率は、加入先や年度で変わります。前提シートに率を置き、確認した日と出典を隣のセルに書いておくと、翌年の更新で迷いません。この記事では率の数値を書きません。

健康保険の年度累計が573万円を超えたときの扱いは、被保険者期間が続いているかで分かれます。同一年度内に資格の喪失・取得がなければ、超えた月の標準賞与額が573万円になるよう決まり、翌月以降の賞与の標準賞与額は0です。転職などで資格の取得・喪失をまたぐ人は、被保険者からの申し出に基づく届書が別に要ります。

賞与を支給したときは、支給日から5日以内に、支給額などを日本年金機構へ届け出ます。

結果を使う前に押さえる制限

公式は、Claude for Excelを次の用途には勧めないとしています。

  • 人の確認を経ない、顧客向けの最終成果物
  • 検証なしの、監査で問われる計算
  • 機微な・規制対象のデータを、適切な管理なしに扱うモデル

賞与の配分は評価結果と報酬を結ぶ機微なデータです。承認に回す前に、人が数式と総額を確かめる前提で使います。

落とし穴

感度分析にデータテーブルは使えない

原資を何通りか動かして支給額の変化を見たいとき、Excelのデータテーブル機能は使えません。公式が、データテーブルとマクロ・VBAを未対応としています。原資の案ごとに列を分けるか、前提のセルを書き換えて結果を値で貼る方法で比べます。

外部から受け取ったファイルは、隠された指示が仕込まれていることがあります。他部署や外部の評価データをそのまま開くのではなく、値だけを自分の台帳に移してから使います。Claudeが危険な操作を提案したときは、実行前に確認を求められるので、内容を読んでから承認します。

データの扱いも、取り込む前に確かめます。入出力はバックエンドで受領または生成から30日以内に削除され、チャット履歴はブラウザのIndexedDBに保存されて、Anthropicのサーバーには保存されません。組織に独自のデータ保持設定があっても、Claude for Excelには引き継がれません。Enterpriseの監査ログにも含まれない点は、社内の規程と照らして判断します。

まとめ

賞与の配分は、按分方式なら原資に必ず収まり、係数方式は調整率で合わせます。どちらを採るかは、規程と評価制度の考え方で決まる事項です。Claude for Excelに任せるのは数式と検算欄の組み立てまでで、原資・比率・係数・評価結果は人が決めた値を入れます。

同じ作業の隣にある業務として、評価コメントの下書きはOKR・MBOの評価コメントをClaudeで下書きする手順、配分後の人件費の見通しは要員計画の人件費シミュレーションにあります。支給後の給与明細の問い合わせ対応は給与計算の検算と問い合わせへの返答が扱っています。

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