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ABC分析で倉庫のロケーションを見直す — Claudeで出荷実績を集計する手順

ABC分析で倉庫のロケーションを見直す — Claudeで出荷実績を集計する手順

倉庫の出荷実績を品目別に集計し、累積構成比でA・B・Cに分け、回転率と並べてロケーションの見直し案にするまでを、Claude for Excelで進める手順です。

ABC分析は、品目を出荷の多い順に並べ、累積構成比で3つの区分に分ける手法です。倉庫のロケーション見直しでは、A区分(出荷の大半を占める少数の品目)を出荷口に近い取りやすい棚へ寄せる根拠になります。集計と区分の式はClaude for Excelに組ませられます。

ただし、何を軸に順位を付けるかで、A区分に入る品目が変わります。この記事では、出荷実績の集計から、回転率との突き合わせ、ロケーション案の表までを、検算を挟みながら順に示します。

ロケーションの見直しは、数量でなく出荷行数で順位を付ける

ABC分析の軸には、出荷数量、出荷金額、出荷行数(ピッキングの回数)があります。棚の配置を決めるときに効くのは、作業者がその棚へ足を運ぶ回数です。つまり出荷行数です。

次の表は、後のステップで使う10品目の例です。出荷明細の1行を1回のピッキングとみなし、行数と数量の両方で順位を付けると、区分が入れ替わる品目が出ます。

品目年間出荷行数年間出荷数量行数基準の区分数量基準の区分
P02年間出荷行数1,260年間出荷数量2,520行数基準の区分A数量基準の区分B
P03年間出荷行数980年間出荷数量9,800行数基準の区分A数量基準の区分A
P06年間出荷行数300年間出荷数量3,600行数基準の区分C数量基準の区分B

P02は1,260回も棚へ行くのに、数量は少ないため数量基準ではBに落ちます。逆にP06は、行数は少なくても1回の出荷数が多く、数量基準ではBに上がります。数量で順位を付けると、頻繁に取りに行く品目が奥に残り、たまにしか動かない品目が出荷口の近くを占めることがあります。

在庫金額の管理が目的なら、金額基準のABC分析を使います。ロケーションが目的なら行数基準を主にし、数量は補助の列として並べます。

前提 — 使える環境と、ブックに入れるデータ

Claude for Excelは、Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランで使えます。対応するのは、Excel on the web、Microsoft 365版のExcel on Windows(ビルド16.0.13127.20296以降)、Excel on Mac(バージョン16.46以降)です。Excel 2016・2019の永続ライセンス版、iPad、Androidでは動作しません。倉庫の事務所PCが古い永続版の場合は、web版で開けるかを先に確かめます。

ブックは次の4シートで組みます。

シート中身
出荷明細中身出荷日、品目コード、出荷数量(直近12か月)
在庫中身品目コード、月末在庫数量(12か月分)
品目別集計中身行数・数量・構成比・累積構成比・区分・回転率
設定中身A区分とB区分の累積構成比の境界

出荷明細は、WMSや基幹システムから出したCSVを貼ります。顧客名や届け先の住所は、ABC分析に要らない列です。貼る前に消しておけば、Claudeに渡る情報が減ります。

もう1つ、ファイルの出どころに注意します。公式のドキュメントは、外部から受け取ったファイルに隠れた指示文が含まれ、Claude for Excelが意図しない操作を取る可能性を挙げています。取引先や委託先から届いた出荷データを開くときは、中身を確認した社内用のコピーに値だけを貼り直してから作業します。元のブックの複製で始めるのも、公式が挙げる使い方の1つです。

ステップ1: 品目別に出荷行数と数量を集計する

「品目別集計」シートのA列に品目コードを並べ、行数と数量を出します。Claudeへの依頼は、シート名と列の意味を具体的に書きます。

「出荷明細」シートのA列が出荷日、B列が品目コード、C列が出荷数量です。
「品目別集計」シートのA列にある品目コードごとに、B列へ出荷行数
(COUNTIFS)、C列へ出荷数量(SUMIFS)を入れてください。
出荷実績が無い品目は0にしてください。

式は、例えば次のような形になります(例示であり、Claudeの出力そのものではありません)。

B2: =COUNTIFS(出荷明細!$B:$B, $A2)
C2: =SUMIFS(出荷明細!$C:$C, 出荷明細!$B:$B, $A2)

集計が終わったら、合計が元データと合っているかを先に見ます。

=COUNTA(出荷明細!B:B)-1 - SUM(品目別集計!B2:B200)
=SUM(出荷明細!C:C) - SUM(品目別集計!C2:C200)

どちらも0になるのが正常です。0でなければ、品目コードの全角半角の違いや、末尾の空白で一致しなかった行があります。マスタにない品目コードが出荷明細に混じっているときも、差として現れます。

ステップ2: 累積構成比でA・B・Cに分ける

行数の多い順に並べ替え、構成比と累積構成比を出し、境界で区分します。並べ替えはExcelの標準操作で、Claude for Excelにも依頼できます。公式のドキュメントには、並べ替えやフィルター、ピボットテーブルの編集、条件付き書式を直接頼めるとあります。

境界の値は、式に埋め込まず「設定」シートに置きます。

設定!B1: 0.70   (累積構成比がこの値以下ならA)
設定!B2: 0.90   (累積構成比がこの値以下ならB、超えればC)

70%・90%は例として置いた値です。80%・95%などにする職場もあるため、値は人が決めます。依頼文には「境界は設定シートを参照し、値を変えないこと」と書きます。

D2: =B2/SUM($B$2:$B$11)
E2: =SUM($D$2:D2)
F2: =IF(E2<=設定!$B$1,"A",IF(E2<=設定!$B$2,"B","C"))

例の10品目で計算すると、次のようになります。年間の出荷行数の合計は5,830行です。

品目出荷行数構成比累積構成比区分
P01出荷行数1,840構成比31.6%累積構成比31.6%区分A
P02出荷行数1,260構成比21.6%累積構成比53.2%区分A
P03出荷行数980構成比16.8%累積構成比70.0%区分A
P04出荷行数610構成比10.5%累積構成比80.4%区分B
P05出荷行数420構成比7.2%累積構成比87.7%区分B
P06出荷行数300構成比5.1%累積構成比92.8%区分C
P07出荷行数210構成比3.6%累積構成比96.4%区分C
P08出荷行数120構成比2.1%累積構成比98.5%区分C
P09出荷行数60構成比1.0%累積構成比99.5%区分C
P10出荷行数30構成比0.5%累積構成比100.0%区分C

P03の累積構成比は4,080÷5,830で69.98%です。表示を小数第1位に丸めると70.0%に見えますが、式の比較は丸める前の値で行われるため、0.70以下としてAに入ります。表示と判定がずれて見える箇所なので、境界ぎりぎりの品目は、セルの値そのものを見て確認します。

10品目中3品目が、出荷行数の7割を占めています。ここがロケーション見直しの中心です。

落とし穴

並べ替えのあとで累積構成比が崩れる

累積構成比は「上から順に足す」式なので、行数の降順に並んでいないと意味を持ちません。集計後に品目コード順へ戻すと、区分の列が不規則に並びます。式を入れる前に、行数の降順であることを目で確認します。降順の前提を依頼文にも書いておけば、並べ替えの抜けをClaudeが警告しやすくなります。

ステップ3: 回転率を並べて、A区分の中身を見分ける

出荷行数が多い品目でも、在庫の持ち方で扱いは変わります。回転率を並べると、その違いが見えます。

回転率 = 年間出荷数量 ÷ 平均在庫数量
G2: =C2/AVERAGE(在庫!B2:M2)

在庫シートの月末在庫数量12か月分の平均を、平均在庫数量とみなす簡易な求め方です。例の10品目では次のようになります。

品目区分年間出荷数量平均在庫回転率
P01区分A年間出荷数量5,520平均在庫300回転率18.4
P02区分A年間出荷数量2,520平均在庫180回転率14.0
P03区分A年間出荷数量9,800平均在庫1,200回転率8.2
P06区分C年間出荷数量3,600平均在庫900回転率4.0
P10区分C年間出荷数量60平均在庫90回転率0.7

P03は同じA区分でも、1回の出荷数が多く、平均在庫も1,200とかさみます。回転率は8.2で、P01やP02ほど高くありません。こうした品目は、ピッキングの回数は多くてもパレット単位に近い保管になりがちで、出荷口の近い通路に置くかどうかは、棚のサイズや荷姿を見て決めます。

P10のように回転率が1を割る品目は、年間の出荷より在庫のほうが多い状態です。ロケーションの問題というより、在庫の持ちすぎを疑う品目なので、別の表に切り出します。

ステップ4: ロケーションの見直し案にまとめる

区分と回転率が揃ったら、現在の保管場所と並べて、動かす候補を出します。現在の棚番はWMSの在庫一覧から取り、ブックに貼ります。次の表は、架空の棚配置での例です。

品目区分現在の棚提案理由
P01区分A現在の棚C列奥・上段提案A列・中段理由年間1,840回。移動距離と上段作業を減らす
P02区分A現在の棚B列中ほど提案A列・中段理由年間1,260回。P01の隣に集める
P03区分A現在の棚A列・下段提案現状維持(床置き)理由数量が大きく、重量物の扱いを変えない
P04区分B現在の棚A列・中段提案B列・中段理由A列の中段を空けるため
P06区分C現在の棚A列・上段提案C列理由年間300回。取りやすい段を譲る

依頼文では、この表を作る条件をはっきり書きます。

「品目別集計」のA区分の品目を、出荷口に近いA列の中段へ寄せる案を
「見直し案」シートに作ってください。現在の棚番は「棚番」シートに
あります。A列の中段は空きが6スペースです。収まらない場合は、
出荷行数が多い順に優先し、溢れた品目を別の一覧にしてください。

「空きが何スペースか」「重量物は下段」のように、現場の制約は依頼文に入れます。ブックに無い制約は、Claudeには見えません。

作業が重なる点にも気を付けます。見直し案は、棚替えの作業量そのものです。A区分を一度に動かすと、出荷が止まる日が出ます。動かす品目数に上限を置く、土日に分けるなど、実行計画は現場の責任者と決めます。

検算 — 区分の結果を2か所で確かめる

区分の列ができたら、集計表の結果を別の角度から確かめます。

  • A区分の出荷行数の合計が、全体の7割前後になっているか。例では1,840+1,260+980=4,080行で、全体5,830行の約70%
  • 最後の品目の累積構成比が100%になっているか。ならなければ、構成比の分母の範囲が一部の行を落としている

1品目は手で計算します。P01なら、1,840÷5,830=31.6%で、最初の行の累積構成比と同じです。P02は1,840+1,260=3,100、3,100÷5,830=53.2%で、表の値と一致します。

件数が数百品目になると、境界付近の品目の区分が1つ変わるだけで、A区分の顔ぶれが入れ替わります。境界±数%の品目を一覧にして、人が目を通す手順を入れておくと安全です。

この分析で外れる品目

ABC分析は過去12か月の実績が、これからも続く前提です。次の品目は、結果をそのまま使えません。

  • 季節商品: 繁忙期に集中する出荷が、通年ではC区分に見える。期間を区切って別に集計する
  • 新商品: 12か月に満たない実績では、構成比が過小になる
  • キャンペーンで出荷が跳ねた品目: 特定の月だけでAに入っている。月別の推移を確認する
  • 同時に出荷される組み合わせ: 単品の行数だけでは、同じ棚の近くに置く理由が見えない。受注単位の同時出荷は、別の分析になる
  • 欠品していた期間のある品目: 出荷できなかった分が実績に出ず、行数が実態より少ない

どれも、出荷明細の外にある事情です。営業側のキャンペーン予定や、欠品の記録と照合して、人が判断します。

使えない機能と、データの扱い

Claude for Excelは、データテーブルとマクロ・VBA操作に対応していません。WMSから出したCSVを毎月同じ形に整える作業をマクロで自動化している職場では、その部分は従来どおりの運用です。

公式の制限事項には、人のレビューを経ない最終成果物、検証のない監査上重要な計算、統制のない機密・規制対象データが、推奨されない用途として挙がっています。ロケーションの見直し案は社内の改善資料ですが、取引先ごとの出荷が識別できるブックは、社内のデータ取り扱いルールを確認してから使います。

会話履歴はブラウザ内のIndexedDBに保存され、Anthropicのサーバーには保存されません。入出力はバックエンドで、受領または生成から30日以内に削除されます。上書きの前には確認が出るので、既存の集計表に結果を書き込むときは、確認の中身を読みます。

InstructionsとSkillsで、毎月の依頼を揃える

アドインのSettingsにあるInstructionsに前提を書いておくと、Excelでの会話すべてに反映されます。PowerPointやWordの設定とは別です。

- 出荷行数は出荷明細の1行を1回として数える
- ABC分析の境界は設定シートのB1・B2を参照し、値を勝手に変えない
- 累積構成比の列は、行数の降順に並んでいる前提で作る
- 式を追加したら、参照しているセルの意味を一覧で示す

有効にしたSkillsは、Claude for Excelでも自動で使われます。サイドバーで/を入力すると、使えるSkillsを選べます。毎月の集計手順をSkillにしておけば、依頼文を毎回書き直さずに済みます。

回転率の高い品目の発注点は、安全在庫と発注点をClaudeにExcelで計算させ検算する手順で決められます。見直し後の棚と帳簿の突合は、実地棚卸と帳簿在庫の棚卸差異をClaudeで分析する手順に続きます。売上側から品目の動きを見る場合はPOS売上CSVをClaudeで分析して店長の週次メモにする手順が参考になります。

まとめ

ロケーションの見直しでは、順位の軸を出荷行数に置き、回転率を並べてA区分の中身を見分けるのが要点です。境界の値と現場の制約は人がブックに書き、Claudeには、それを参照する式と案の表を組ませます。区分の合計が全体の7割前後か、累積構成比が100%で終わるか、この2点が配置を動かす前の関門になります。

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