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Claudeで点検整備記録簿の抜けを洗う — Excelで3か月点検の期限超過を出す

Claudeで点検整備記録簿の抜けを洗う — Excelで3か月点検の期限超過を出す

車両台帳と整備記録から、3か月・6か月・1年点検の期限超過、記載欄の空白、日常点検の記録がない運行日を洗い出す手順です。法が定める記載事項と保存期間に合わせた列の設計つきです。

点検整備記録簿の抜けは、Claude for Excelに「車両台帳」と「整備記録」の2枚の表を渡し、期限超過・記載欄の空白・記録のない運行日の3種類に分けて洗わせると見つかります。点検をしたかどうか、整備が必要かどうかの判断はClaudeには渡せません。渡せるのは、記録が法の求める形でそろっているかの突き合わせです。

この記事では、法が記録簿に書かせる事項と保存期間を物差しにして、列の設計、依頼文、Excelの数式、人が確かめる箇所の順に手順を示します。車両番号や日付はすべて架空の例です。

記録簿の抜けは「期限」「欄」「日常点検」の3種に分けて洗う

記録簿の抜けと言っても、原因は1つではありません。次の3つに分けると、依頼文も検算も別々に組めます。

分類

洗い出す抜けの3種類

  • 期限超過

    最後に定期点検をした日から、車の区分ごとの周期(3か月・6か月・1年)を過ぎている車両です。

  • 記載欄の空白

    点検の結果、整備の概要、整備を完了した年月日、総走行距離など、記録簿に書く事項が空いている行です。

  • 日常点検の記録がない運行日

    車が動いた日に、運行前の日常点検の記録が見当たらない組み合わせです。

3つとも、表の突き合わせで機械的に拾えるものです。拾えるのは「記録がない」までで、「点検していない」とは言い切れません。記録を書き忘れただけの場合もあるため、見つけた行は人が現場に聞き取ります。

記録簿に書く事項は法と点検基準に書かれている

物差しにするのは、道路運送車両法(以下、車両法)の第49条と、自動車点検基準(以下、点検基準)の第4条です。

法第49条第1項は、使用者に点検整備記録簿を車に備え置かせ、前条(第48条)の規定による点検または整備をしたときは、遅滞なく次を記載させています。

  • 点検の年月日
  • 点検の結果
  • 整備の概要
  • 整備を完了した年月日
  • そのほか国土交通省令で定める事項

最後の「国土交通省令で定める事項」が、点検基準の第4条第1項の3つです。

省令の事項内容
識別番号内容登録自動車は自動車登録番号、車両番号の指定を受けた自動車は車両番号、そのほかは車台番号
総走行距離内容点検または特定整備をしたときの総走行距離
実施者内容点検または整備をした者の氏名または名称と住所(使用者本人なら氏名または名称)

この7項目が、記載欄の空白を洗うときの列になります。第49条が記載を求めるのは、第48条の定期点検整備をしたときの点検と整備です。日常点検の結果をどの書式で残すかは条文が決めておらず、整備管理者を選任している事業者では、日常点検の実施方法を整備管理者が定める(車両法の施行規則第32条第1項第1号)形になります。

トラック事業者の場合は、トラック事業者向けの輸送安全規則(第3条の3)が、定期に行う点検の基準を作って点検・整備をすること、点検・整備をしたときは法第49条に準じて記録簿に記載して保存することを事業者に求めています。運転者には、第17条で日常点検の実施またはその確認を求めています。

点検の周期は車の区分で3か月・6か月・1年に分かれる

期限超過を出すには、車ごとの周期を台帳に持たせる必要があります。法第48条第1項は、使用者に次の期間ごとの点検を求めています。

周期対象(法第48条第1項と点検基準第3条から)
3か月対象(法第48条第1項と点検基準第3条から)自動車運送事業の用に供する自動車、車両総重量8トン以上の自家用自動車、車両総重量8トン未満で乗車定員11人以上の自家用自動車など
6か月対象(法第48条第1項と点検基準第3条から)自家用の有償旅客運送の用に供する自家用自動車、業として有償で貸し渡す自家用自動車、貨物の運送の用に供する自家用の普通自動車・小型自動車など
1年対象(法第48条第1項と点検基準第3条から)上の2つ以外の自動車

区分の判定が微妙な車は、台帳の「周期」列にClaudeが推測で入れてはいけない項目です。点検基準第3条の条文と車検証の記載を見て、人が1台ずつ決めます。Claudeに頼めるのは、決めた周期を使った期限の計算までです。

点検基準第2条は、周期ごとに点検項目の別表を定めています。3か月ごとの点検、6か月ごとの点検、1年ごとの点検で、どの項目を点検したのかは、台帳の列では表せません。記録簿の本体や整備工場の点検表で確かめます。

保存期間は周期で1年と2年に分かれる

記録簿は、書いたら終わりではなく保存の義務があります。点検基準第4条第2項は、記載の日からの保存期間を次のように定めています。

車の区分保存期間
3か月点検・6か月点検の対象(第2条第1号から第4号)保存期間1年間
1年点検の対象(第2条第5号・第6号)保存期間2年間

表の読み方で間違えやすいのは、保存期間が周期の長さに応じて逆転して見える点です。3か月ごとに点検する車の記録簿は1年間、1年ごとに点検する車の記録簿は2年間保存します。点検の回数が多い車ほど、保存の期間は短くなります。台帳に「保存期限」の列を作り、記載日に1年または2年を足して持たせると、早すぎる廃棄を防げます。

なお、継続検査などを受けるときには、その自動車の点検整備記録簿を提示する必要があります(車両法の施行規則第39条)。記録簿が抜けていると、検査の場面で困ります。

渡す2枚の表と、前提シートの列を決める

Claude for Excelは、開いているブックのシートを読み、数式や条件付き書式を設定できます。表は次の3枚のシートに分けます。

車両台帳

列項目例
A項目管理番号例T-01
B項目用途例トラック
C項目周期例3月
D項目最終定期点検日例(数式で出す)
E項目次回期限例(数式で出す)
F項目状態例(数式で出す)
G項目保存期間(年)例1

整備記録

列項目
A項目管理番号
B項目種別(日常・定期のどちらか)
C項目点検年月日
D項目点検結果
E項目整備概要
F項目整備完了年月日
G項目総走行距離
H項目実施者(社内の担当コード)

前提シートのB1に基準日、B2に近日と扱う日数を置きます。この記事の例では基準日を2027年1月15日、日数を30日にします。

車両は登録番号ではなく社内の管理番号で持ちます。登録番号・車台番号・実施者の氏名と住所は記録簿そのものに書くもので、Claudeに渡す表には入れません。実施者は「社内A」「外注B」のような担当コードにして、対応表は別の場所に置きます。

種別の列は「日常」と「定期」の2択に固定します。自由に書かせると、「3か月点検」「定期」「3M」のように揺れて、後の集計から漏れます。依頼文で、種別と周期にドロップダウンを設定させておきます。

手順1: 最終点検日から次回期限を出し、期限超過を拾う

最初の依頼は、車両台帳のD列からF列を作ることです。

車両台帳のD列に最終定期点検日、E列に次回期限、F列に状態を数式で作ってください。
D列は、整備記録シートで種別が「定期」の行のうち、
同じ管理番号の点検年月日の最大値です。
E列は、D列にC列の周期(3月は3か月、6月は6か月、1年は12か月)を足した日付です。
F列は、E列が前提シートB1より前なら「期限超過」、
B1からB1+B2以内なら「近日」、それ以外は空白にしてください。
値の貼り付けにはせず、数式にしてください。元の列は変更しないでください。

数式は、例えば次の形になります(Excelの標準関数を使った一例です)。

D2: =MAXIFS(整備記録!$C:$C, 整備記録!$A:$A, A2, 整備記録!$B:$B, "定期")
E2: =EDATE(D2, IF(C2="3月",3,IF(C2="6月",6,12)))
F2: =IF(E2<前提!$B$1,"期限超過",IF(E2<=前提!$B$1+前提!$B$2,"近日",""))

月の単位で足すのは、90日や180日で足すと月の長さの分だけ日付がずれるためです。同じ考え方で満期日から連絡開始日を出す手順は、保険の満期管理の連絡リストでも使っています。

架空の4台で、基準日を2027年1月15日として計算すると、次のようになります。

管理番号周期最終定期点検日次回期限基準日との関係
T-01周期3月最終定期点検日2026/10/20次回期限2027/1/20基準日との関係あと5日(近日)
T-02周期3月最終定期点検日2026/9/30次回期限2026/12/30基準日との関係16日超過
T-03周期6月最終定期点検日2026/8/5次回期限2027/2/5基準日との関係あと21日(余裕あり)
V-01周期1年最終定期点検日2025/12/10次回期限2026/12/10基準日との関係36日超過

T-02とV-01が「期限超過」になります。ここで人が確かめるのは2点です。

  • 最終定期点検日が空になっている車両がないか。MAXIFSは該当行がないと0を返すので、1900年の日付が出ている行は、定期点検の記録が1件もない車です
  • 周期が合っているか。V-01が1年点検の車でよいのかは、点検基準第3条と車検証から人が決めます

期限の起算の考え方(前回点検日から数えるか、車検の日から数えるか)は、会社の運用で決まります。この表は前回の点検日からの月数を目安にしているため、運用と違う場合は、依頼文のE列の定義を差し替えます。

手順2: 記録簿の記載欄の空白と、走行距離の逆転を拾う

次に、整備記録シートに「記載チェック」の列(I列)を足します。ここでは、法第49条と点検基準第4条の事項が書かれているかを見ます。

整備記録シートのI列に「記載チェック」を数式で作ってください。
種別が「定期」の行について、次のどれかに当たれば、該当する内容を文字で返します。
・点検年月日が空: 「点検日なし」
・点検結果が空: 「結果なし」
・整備概要が入っているのに整備完了年月日が空: 「完了日なし」
・総走行距離が空: 「走行距離なし」
・実施者が空: 「実施者なし」
複数に当たる場合は、読点でつないでください。
シートは管理番号、点検年月日の順で並べ替え、
同じ管理番号で前の行より総走行距離が小さい行には「走行距離逆転」も足してください。

整備概要が空で整備完了年月日も空の行は、整備なしで点検が終わった行です。誤って拾わないよう、「整備概要が入っているのに完了日が空」の形に条件を限っています。逆の組み合わせ(完了日が入っているのに整備概要が空)は、記載漏れの疑いが濃く、別の条件に足してもよい箇所です。

走行距離の逆転は、入力ミスか、記録簿の取り違えのどちらかを疑う印です。メーターの交換や車両の入れ替えで本当に下がる場合もあるため、見つけた行は人が元の記録簿と照らします。

並べ替えは、Claude for Excelが直接実行できるExcelの標準操作です。依頼文で順序を指定しておけば、手で並べ直す手間がなくなります。

手順3: 運行日に日常点検の記録がない組み合わせを拾う

日常点検は、運行の前に行う点検です。法第47条の2第2項は、3か月点検・6か月点検の対象にあたる車(第48条第1項第1号・第2号の自動車)について、使用者またはその車を運行する者に、1日1回、運行の開始前に点検をさせています。

記録の抜けを見るには、運転日報や配車表から「どの車がどの日に動いたか」を取り、日常点検の記録と突き合わせます。運行日シートにA列の管理番号、B列の運行日を並べ、C列に次の数式を入れてもらいます。

C2: =IF(COUNTIFS(整備記録!$A:$A, A2, 整備記録!$B:$B, "日常", 整備記録!$C:$C, B2)=0, "記録なし", "")

架空の例で、T-01が1月12日・13日・14日に動いたとします。整備記録に日常点検の行があるのが12日と14日だけなら、13日の行に「記録なし」が付きます。

管理番号運行日日常点検の記録
T-01運行日2027/1/12日常点検の記録あり
T-01運行日2027/1/13日常点検の記録記録なし
T-01運行日2027/1/14日常点検の記録あり

「記録なし」の行は、点検をしなかったのか、した点検を記録しなかったのか、運転日報が間違っているのかの3通りに分かれます。運転日報側の確認は、運行管理の点呼記録・運転日報の確認と同じ見方で進めます。

使える環境と、渡さないデータの線引き

Claude for Excelは、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えるExcelのアドインです。Excel on the webのほか、Windows版はMicrosoft 365契約のビルド16.0.13127.20296以降、Mac版はバージョン16.46以降が対象で、Excel 2016・2019の買い切り版、iPad、Androidでは動きません。

動かせない機能もあります。マクロとVBAの操作、データテーブルは対象外です。「期限超過の車両だけを自動でメールする」のようなマクロは組めません。連絡は人が行う前提で組みます。

データの扱いでは、次の点を先に押さえます。

  • 入力と出力は、受け取りまたは生成から30日以内にバックエンドで削除される(例外あり)
  • チャット履歴はブラウザー内に保存され、Anthropicのサーバーには保存されない
  • 外部から届いたファイルには、Claudeへの隠れた指示が仕込まれていることがある。信頼できるファイルだけで使い、整備工場から届いた点検表は、中身を確かめてから台帳に取り込む
  • 監査で重要になる計算や、高い機密性のあるデータを、人の確認や統制なしで扱うことは推奨されていない

最後の項目に沿って、運転者の氏名や住所のような個人情報、車検証の記載そのものは、Claudeに渡す表に入れません。管理番号と日付だけの表で足ります。

Claudeに任せない判断

この手順でClaudeがするのは、台帳の日付を計算し、記録簿の欄を突き合わせることです。次の判断は、これまでどおり人が行います。

  • 点検を実施すること、点検の合否を決めること、整備が必要かを決めること
  • 車の区分(3か月・6か月・1年)を決めること
  • 保安基準に適合しているかを判断すること
  • 空白の行や「記録なし」の行について、実態を聞き取り、記録を直すこと

整備管理者を選任している事業者では、点検整備記録簿を管理するのは整備管理者の権限です(車両法の施行規則第32条第1項第7号)。Claudeが洗い出した一覧は、整備管理者に渡す資料として使います。

月次で回すときの運用

月初に1回、次の順で回します。

手順

月次の点検手順

  1. 1

    基準日を更新する

    前提シートのB1を、その月の基準日に直します。

  2. 2

    整備記録に新しい行を追記する

    前月分の点検結果を、種別をドロップダウンで選んで入力します。

  3. 3

    3つの洗い出しを見る

    「期限超過」「記載チェック」「記録なし」の行を、フィルターで絞り込みます。

  4. 4

    見つけた行を現場に回す

    実態を聞き取り、記録簿の本体を直します。

数式の列は、元の表の行が増えても効くように、列全体を参照する形で作ってもらいます。数式が壊れていないかは、既知の答えが出る行を数件入れて、毎月の初回に確かめます。

まとめ

点検整備記録簿の抜けは、期限、記載欄、日常点検の3つの観点で表を突き合わせると洗い出せます。物差しは、法第49条の記載事項、点検基準第4条の追加事項、周期ごとの保存期間(3か月・6か月点検の車は1年、1年点検の車は2年)です。Claude for Excelには数式と並べ替えまでを頼み、区分の判定、点検の合否、記録の訂正は人と整備管理者が行います。

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