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Claudeで歯科の滅菌記録の抜けと再滅菌を点検 — オートクレーブのログをExcelで集計

Claudeで歯科の滅菌記録の抜けと再滅菌を点検 — オートクレーブのログをExcelで集計

歯科医院のオートクレーブの日次ログを、Claude for Excelで点検する手順です。記録のない診療日、バッチ番号の欠番、インジケーターの空欄、再滅菌のつながりを式で拾い、判定別に集計します。

歯科医院のオートクレーブには、毎日のようにログが溜まります。バッチ番号、インジケーターの結果、担当者。1件ずつは短い記録ですが、1か月分を眺めて「この日は書いてあるか」「番号が飛んでいないか」を目で追うのは骨が折れます。

この記事では、日次の滅菌ログを1枚のExcelシートにまとめ、記録の抜けと再滅菌のつながりをClaude for Excelに洗い出させる手順を示します。使うのは装置、バッチ番号、セット名、インジケーターの結果、担当コードだけです。患者さんの情報は入れません。

このログ点検で見えるものと、見えないもの

最初に線を引いておきます。ログの点検で分かるのは、記録の抜け、番号の飛び、結果欄の空き、再滅菌のつながりの途切れです。器具が実際に滅菌できていたかどうかは、記録だけでは分かりません。

その判断は、自院の手順書で決めた方法と、インジケーターの現物にあります。Excelの判定表は、書き忘れを見つけるための道具です。

洗い出す項目

点検の対象にする4つの抜け

  • 記録のない診療日

    診療日なのに、その日のバッチが1件もないケースです。

  • バッチ番号の欠番

    同じ日、同じ装置で番号が飛んでいるケースです。

  • 結果欄・担当欄の空き

    インジケーターの結果や、担当コードが書かれていないケースです。

  • 再滅菌のつながりの途切れ

    不適の後に再滅菌がない、または再滅菌の元バッチが台帳にないケースです。

ここで扱うのは日次のログだけです。機器台帳と保守点検計画の突き合わせは医療機器の保守点検記録の確かめ方に、マニュアルの改訂と研修への落とし込みは院内感染対策マニュアルの改訂にあります。

Claude for Excelが使える環境か

Claude for Excelは、Pro、Max、Team、Enterpriseのプランで使えるアドインです。対応するのはWebのExcel、Microsoft 365のWindows版(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac版(バージョン16.46以降)です。

動かない環境もあります。Excel 2016と2019の永続・ボリュームライセンス版、iPad、Androidです。院内の端末が古いExcelなら、先にここで引っかかります。

組織で配る場合は、管理者がMicrosoft 365管理センターから展開します。医院の端末を管理している人が別にいるなら、導入はその人に頼みます。

使える操作と、使えない操作も押さえておきます。並べ替え、フィルター、ピボットテーブルの編集、条件付き書式、入力規則のドロップダウンは、Claudeに頼めます。マクロとVBA、データテーブルは対象外です。この記事の手順は通常の関数だけで組むので、制約には触れません。

手順1: ログの列を決める

滅菌ログを、次の列で1枚のシートにまとめます。紙の記録簿を使っている医院は、月に一度まとめて転記するか、日々入力する運用に変えます。

滅菌ログシート

列項目入れる値の例
A項目日付入れる値の例2026/10/13
B項目装置入れる値の例AC-1
C項目バッチ番号入れる値の例1013-01(月日-通番)
D項目セット名入れる値の例基本セット、抜歯セット
E項目化学的インジケーター結果入れる値の例適 / 不適
F項目担当コード入れる値の例S1、S2
G項目再滅菌の元バッチ入れる値の例再滅菌のときだけ元の番号
H項目判定入れる値の例式で出す
I項目通番入れる値の例式で出す
J項目欠番入れる値の例式で出す

担当は氏名ではなくコードにします。シートを外に出すことになっても、個人名が載らないようにするためです。バッチ番号はExcelが日付に変換しないよう、C列とG列の表示形式を文字列にしておきます。

結果欄は自由記述にせず、入力規則のドロップダウンで「適」「不適」の2択にします。Claudeに頼めば設定してくれます。表記がばらつくと、あとの集計式が空振りします。

自院で生物学的インジケーターを使っているなら、結果の列を足して構いません。列の考え方は同じです。どの頻度でどのインジケーターを使うかは、自院の手順書で決めた内容を前提にしてください。

もう1枚、診療日のシートを用意します。

診療日シート

列項目備考
A項目診療日備考その月の診療した日を入れる
B項目稼働装置備考AC-1
C項目記録バッチ数備考式で出す
D項目判定備考式で出す

診療日の一覧は、予約システムの休診日カレンダーなど、滅菌ログとは別の出どころから作ります。同じ出どころから作ると、ログに抜けがあることまで写し取ってしまいます。

手順2: 例のデータを置く

以下の数値は、手順を示すための架空のものです。診療日は2026年10月13日から16日の4日間で、装置はAC-1の1台とします。

日付バッチ番号セット名結果担当元バッチ
10/13バッチ番号1013-01セット名基本セット結果適担当S1元バッチ
10/13バッチ番号1013-02セット名抜歯セット結果適担当S1元バッチ
10/13バッチ番号1013-04セット名ハンドピース結果適担当S2元バッチ
10/14バッチ番号1014-01セット名基本セット結果不適担当S2元バッチ
10/14バッチ番号1014-02セット名基本セット結果(空)担当S2元バッチ1014-01
10/14バッチ番号1014-03セット名抜歯セット結果適担当(空)元バッチ
10/16バッチ番号1016-01セット名基本セット結果適担当S1元バッチ

診療日シートは、13日から16日までの4行です。15日のログは1件もありません。

手順3: 判定の式をClaudeに書かせる

ログシートの2行目から、H列に判定を入れます。依頼文は次の形です。

滅菌ログシートのH列に判定の式を入れてください。
上から順に、最初に当たったものだけを返します。
- F列が空なら「担当なし」
- E列が空なら「結果なし」
- E列が「不適」で、G列にそのC列のバッチ番号を元にした行が無ければ
  「不適で再滅菌なし」
- G列が入っていて、C列にその番号が無ければ「元バッチなし」
- どれにも当たらなければ空欄
既存のセルは上書きしないでください。式を入れる範囲を先に教えてください。

最後の1文は保険です。Claude for Excelは、既存のデータを上書きする前に警告を出しますが、範囲を先に言わせておけば、意図しない列を壊す事故を避けられます。

返ってくる式は、例えば次のような形になります(標準的な関数で組んだ例です)。

H2: =IF($F2="","担当なし",
     IF($E2="","結果なし",
     IF(AND($E2="不適",COUNTIFS($G:$G,$C2)=0),"不適で再滅菌なし",
     IF(AND($G2<>"",COUNTIFS($C:$C,$G2)=0),"元バッチなし",""))))

判定の順番には理由があります。担当と結果の空欄は、ほかの判定の前提を崩すので先に拾います。結果が空のまま「不適かどうか」を見ても、意味のある答えにならないからです。

欠番を拾う列も足します。バッチ番号の末尾2桁を通番として取り、同じ日、同じ装置で1つ前の通番があるかを見ます。

I2: =VALUE(RIGHT($C2,2))
J2: =IF($I2=1,"",
     IF(COUNTIFS($A:$A,$A2,$B:$B,$B2,$I:$I,$I2-1)=0,
        "直前番号なし",""))

この式で拾えるのは、番号の途中が飛んだケースです。その日の最後の番号が丸ごと抜けたケースは、後ろに番号がないので拾えません。日の終わりに「本日の最終番号」を別に記入する運用にすると、突き合わせできます。

式は読める人が自分の目で確認してください。Claude for Excelは、監査に関わる計算を検証なしで使うことを推奨していません。判定表は点検の抜けを見つける道具で、結果の正しさは人が検算して初めて保証されます。

手順4: 診療日の記録なしを拾う

診療日シートのC列とD列にも式を入れます。

診療日シートのC列に、滅菌ログシートで同じ日付・同じ装置のバッチ数を
数える式を入れてください。D列は、C列が0なら「記録なし日」、
それ以外は空欄にしてください。
C2: =COUNTIFS(滅菌ログ!$A:$A,$A2,滅菌ログ!$B:$B,$B2)
D2: =IF($C2=0,"記録なし日","")

例のデータでは、13日が3件、14日が3件、15日が0件、16日が1件になり、15日だけが「記録なし日」になります。

「記録なし日」は、滅菌をしなかった日の可能性もあります。その日に器具を使う診療がなかったのか、ログを書き忘れたのかは、シートからは分かりません。予約や診療の実績と照らして、人が決めます。

手順5: 例のデータの判定結果

式を入れると、ログシートの判定は次のようになります。

バッチ番号判定(H)欠番(J)
1013-01判定(H)欠番(J)
1013-02判定(H)欠番(J)
1013-04判定(H)欠番(J)直前番号なし
1014-01判定(H)欠番(J)
1014-02判定(H)結果なし欠番(J)
1014-03判定(H)担当なし欠番(J)
1016-01判定(H)欠番(J)

読み取れることは、次の3点です。

  • 10月13日は、1013-03が抜けています。記録されていないだけか、通番を飛ばして振ったのかは、現場に聞かないと分かりません。
  • 10月14日の1014-01は「不適」でしたが、1014-02で再滅菌されています。つながりは保たれています。ただ、1014-02の結果欄が空なので、再滅菌が適だったという記録がありません。
  • 1014-03は、担当コードが空です。誰が運転したのかを後から追えません。

1014-01の行は、判定の列が空欄です。「不適」の行に空欄が出ると、不安になります。この空欄は、不適の後に再滅菌がつながっているため、つながりの検査に当たらないという意味です。不適であること自体は、E列に残っています。

手順6: 判定別に集計する

月末に、判定ごとの件数を出します。ピボットテーブルを使う方法もありますが、小さな表なら数える式のほうが速いです。

別シートに、判定の種類ごとの件数表を作ってください。
種類は「担当なし」「結果なし」「不適で再滅菌なし」「元バッチなし」
「直前番号なし」「記録なし日」の6つです。
=COUNTIFS(滅菌ログ!$H:$H,"担当なし")
=COUNTIFS(滅菌ログ!$J:$J,"直前番号なし")
=COUNTIFS(診療日!$D:$D,"記録なし日")

例のデータでは、「担当なし」「結果なし」「直前番号なし」「記録なし日」が各1件で、残る2つは0件です。

件数を毎月並べると、どの項目が繰り返し抜けるかが見えてきます。担当コード別に「結果なし」の件数を出せば、特定の時間帯や運用に偏った抜けかどうかも調べられます。ただし、コードの偏りは個人の評価に使うものではありません。入力の手間を減らす改善の材料として読みます。

外部のファイルを開かせない

滅菌装置のメーカーが出力するログファイルや、他院から受け取った様式を、そのままClaude for Excelで開かせるのは避けます。

外部から受け取ったファイルには、アドインを操って情報を抜き出させたり、データを書き換えさせたりする指示が仕込まれている場合があります。ダウンロードしたテンプレートやベンダーのファイルが、その例として挙がっています。そうしたファイルは、必要な列だけを自分で転記してから使います。

もう1つ、Claude for Excelは、機密性が高いデータや規制対象のデータを含むブックを、適切な管理なしに扱うことを推奨していません。この記事の手順では、患者さんの氏名や診察券番号は入れません。包ごとに患者さんと紐づける運用の医院でも、その紐づけは別の台帳に置き、ここには載せないようにします。

チャットの履歴は、ブラウザのIndexedDBにローカル保存されます。Anthropicのサーバーには保存されず、端末間で同期もされません。共用のパソコンで使うなら、設定から履歴を消せることを覚えておくと役に立ちます。

まとめ

日次の滅菌ログの点検は、診療日の突き合わせ、番号の連なり、結果と担当の空欄、再滅菌のつながりの4つに絞ると、式で組めます。Claudeに頼むのは式の下書きと範囲の確認で、結果の読みは人が持ちます。

ひと月分を一度回すと、抜けが出やすい箇所が分かります。そこへ、入力規則のドロップダウンや、当日の終わりに最終番号を書く欄を足せば、翌月の抜けは減らせます。診療録の側の記載の点検は歯科の診療録の記載を点検する手順にまとめています。

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