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Claudeで医療機器の保守点検計画と点検記録の抜けを確かめる手順 — 台帳と突き合わせる

Claudeで医療機器の保守点検計画と点検記録の抜けを確かめる手順 — 台帳と突き合わせる

医療機器の保守点検計画は医療法施行規則に定めがあります。機器台帳と点検記録をExcelで突き合わせ、期限超過・記録なし・台帳外の記録をClaude for Excelで洗い出す手順です。

医療機器の保守点検は、計画を立てるだけでは終わりません。計画どおりに点検が行われ、その記録が残っているかを、台帳と記録の両方から見て初めて抜けが分かります。この突き合わせは、Claude for Excelに任せやすい作業です。

ここでは、機器台帳と点検記録の2枚のシートを用意し、期限超過・記録なし・台帳にない記録・項目の欠けを洗い出す手順を示します。患者の情報は一切使いません。使うのは機器の管理番号と点検日だけです。

条文が求めているのは「計画の策定」と「適切な実施」

医療法施行規則の第1条の11は、病院、診療所、助産所の管理者が確保する安全管理の体制を定めています。第2項第3号は医療機器の分で、医療機器安全管理責任者を配置し、次の3点を行わせるよう求めています。

第1条の11第2項第3号

医療機器安全管理責任者に行わせる3事項

  • イ 研修の実施

    従業者に対する、医療機器の安全使用のための研修です。

  • ロ 保守点検の計画と実施

    保守点検に関する計画の策定と、保守点検の適切な実施です。従業者による実施を徹底するための措置も含まれます。

  • ハ 情報の収集と改善

    医療機器の安全使用に必要な使用情報などを集め、改善の方策を実施します。

この記事が扱うのは、ロの「計画」と「実施」のずれです。計画が台帳、実施が点検記録に当たります。

条文の文言を読むと、点検の周期や記録の様式、保存期間は書かれていません。書かれているのは「計画の策定」と「適切な実施」です。周期の根拠は条文の外にあるため、台帳には「周期の根拠」の列を設け、自施設が何を根拠に周期を決めたかを人が書き入れます。Claudeは根拠の妥当性を判断できないので、この欄が空かどうかだけを見る役に回します。

同じ第1条の11の第1項第6号は、医療に係る安全管理に関する記録を整備することも求めています。点検記録をこの記録に含めるかどうかは、条文からは読み取れません。施設の規程で決めます。

外部に任せる点検は、受託側の基準も見る

保守点検を業者に委託している機器があるなら、台帳に「院内」「委託」の区分が要ります。受託する側の基準は第9条の12にあり、次の内容が並びます。

  • 受託業務の責任者は、医療機器の保守点検業務に関し3年以上の経験を持つこと
  • 保守点検の方法と点検記録を記載した標準作業書を常備し、従事者に周知していること
  • 保守点検の方法、故障時の連絡先と対応方法、業務の管理体制を記載した業務案内書を常備していること

委託先の標準作業書には、点検記録が記載事項として入っています。自施設の側では、委託先がどの様式で点検記録を出すのかを台帳に残しておくと、報告書の回収漏れを見つけやすくなります。

なお、第9条の8の2は、委託できる業務の対象となる医療機器を、医薬品医療機器等法の特定保守管理医療機器と定めています。台帳に「特定保守管理医療機器か」の列を置く場合も、該当するかどうかは製品の区分を見て人が書きます。

Claudeに渡す材料と、渡さない材料

渡すのは、機器台帳と点検記録の2枚だけです。

材料渡すか下ごしらえ
機器台帳(管理番号・機器名・周期など)渡すか渡す下ごしらえ設置病棟の細かな名称は記号にしてもよい
点検記録(管理番号・実施日・結果)渡すか渡す下ごしらえ担当者名は区分(院内・委託)に置き換える
委託先から届いた点検報告書のファイル渡すか原則渡さない下ごしらえ必要な項目だけを自分で転記する
患者名・診療情報渡すか渡さない下ごしらえ点検の突き合わせには不要

委託先の報告書ファイルを直接開かせない理由は、Claude for Excelの注意書きにあります。外部から受け取ったファイルには、アドインを操って情報を抜き出させたり、データを書き換えさせたりする指示が仕込まれている場合があります。ダウンロードしたテンプレートやベンダーのファイルが、その例として挙がっています。信頼できるシートだけで使い、外部ファイルは値を転記してから扱うのが安全です。

Claude for Excelを使える環境を確かめる

Claude for Excelは、Pro、Max、Team、Enterpriseのプランで使えるアドインです。対応するのはWebのExcel、Microsoft 365のWindows版(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac版(バージョン16.46以降)です。Excel 2016と2019の永続・ボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません。

医療機関の端末は、アドインの導入が組織の管理者に握られていることが多いはずです。組織への展開はMicrosoft 365管理センターから行う形なので、自分で入れられないときは管理者に依頼します。

使う前に、規制対象のデータについての注意書きも読んでおきます。Claude for Excelは、機密性が高いデータや規制対象のデータを含むブックを、適切な管理なしに扱うことは推奨されていません。この記事の台帳には患者情報が入らないので、その点は避けられます。

手順1: 台帳と記録の列を決める

2枚のシートの列を、次のように決めます。列名は日本語のままで構いません。

機器台帳シート

列項目備考
A項目管理番号備考一意の番号。記録との結合キー
B項目機器名備考
C項目点検区分備考院内 / 委託
D項目周期(月)備考空欄なら周期未設定
E項目周期の根拠備考自施設が根拠にした資料名
F項目最終点検日備考式で出す
G項目記録件数備考式で出す
H項目次回期限備考式で出す
I項目判定備考式で出す

点検記録シート

列項目
A項目管理番号
B項目実施日
C項目実施者区分(院内 / 委託)
D項目結果
E項目報告書番号(委託の場合)

次の例の数値は、手順を示すための架空のものです。周期の月数を示すものではありません。

管理番号機器名区分周期(月)根拠
IP-01機器名輸液ポンプ区分院内周期(月)12根拠自院規程
VT-01機器名人工呼吸器区分委託周期(月)6根拠(空欄)
EC-02機器名除細動器区分院内周期(月)6根拠自院規程
SY-03機器名シリンジポンプ区分院内周期(月)12根拠自院規程
MN-04機器名生体情報モニタ区分委託周期(月)12根拠自院規程

点検記録のほうは、IP-01が2025年11月5日、VT-01が2026年6月10日(報告書番号なし)、EC-02が2026年1月20日(結果欄なし)、MN-04が2025年8月20日です。SY-03の記録は1件もありません。さらに、台帳にないXX-09の記録が1件紛れています。基準日は2026年10月31日とします。

手順2: 判定の式をClaudeに書かせる

台帳シートの上部のセルK1に基準日を入れておき、Claudeに次のように頼みます。

機器台帳シートのF〜I列に式を入れてください。
- F: 点検記録シートから、同じ管理番号の最新の実施日
- G: 点検記録シートでの、同じ管理番号の記録件数
- H: 周期(D列)が入っていて記録があるとき、F列にD列の月数を足した日
- I: 周期が空なら「周期未設定」、記録件数が0なら「記録なし」、
  H列がK1の基準日より前なら「期限超過」、それ以外は「期限内」
既存のセルは上書きせず、式を入れる前に範囲を教えてください。

Claude for Excelは、セルを上書きする前に警告を出します。それでも、式を入れる範囲を先に言わせておけば、意図しない列を壊す事故を防げます。

返ってくる式は、例えば次のような形になるはずです(Excelの標準的な関数で組んだ例です)。

F2: =MAXIFS(点検記録!$B:$B,点検記録!$A:$A,$A2)
G2: =COUNTIFS(点検記録!$A:$A,$A2)
H2: =IF(OR($D2="",$G2=0),"",EDATE($F2,$D2))
I2: =IF($D2="","周期未設定",IF($G2=0,"記録なし",
      IF($H2<$K$1,"期限超過","期限内")))

式の中身は、読める人が自分の目で確認してください。Claude for Excelは、監査に関わる計算を検証なしで使うことを推奨していません。この判定表は点検の抜けを見つける道具ですが、結果の正しさは人が検算して初めて保証されます。

例の台帳に入れると、判定は次のようになります。

管理番号最終点検日次回期限判定
IP-01最終点検日2025/11/05次回期限2026/11/05判定期限内
VT-01最終点検日2026/06/10次回期限2026/12/10判定期限内
EC-02最終点検日2026/01/20次回期限2026/07/20判定期限超過
SY-03最終点検日(なし)次回期限(なし)判定記録なし
MN-04最終点検日2025/08/20次回期限2026/08/20判定期限超過

手順3: 記録の側の抜けを洗う

台帳から見える抜けは、手順2で出ました。逆向きに、記録のほうから見えるものがあります。点検記録シートの右に列を足し、次の2種類を見ます。

手順

点検記録シートの抜けを見る順番

  1. 1

    台帳にない管理番号を探す

    記録の管理番号が台帳に1件も無ければ、台帳の登録漏れか、番号の入力ミスです。例ではXX-09がこれに当たります。

  2. 2

    空欄の項目を探す

    実施者区分や結果が空の行、委託なのに報告書番号が空の行を拾います。例ではEC-02の結果欄と、VT-01の報告書番号です。

Claudeへの依頼文と式は、次の形です。

点検記録シートのF列に、次の判定を入れてください。
- 管理番号が機器台帳シートのA列に無ければ「台帳にない」
- C列かD列が空なら「項目欠け」
- C列が「委託」でE列が空なら「報告書番号なし」
- どれにも当たらなければ空欄
F2: =IF(COUNTIFS(機器台帳!$A:$A,$A2)=0,"台帳にない",
      IF(OR($C2="",$D2=""),"項目欠け",
      IF(AND($C2="委託",$E2=""),"報告書番号なし","")))

この式の判定の順番にも意味があります。台帳にない番号の行は、ほかの欠けを数える前に先に拾います。台帳が正しいという前提で他の列を見ると、番号の誤入力が「項目欠け」に紛れてしまうからです。

台帳側にも、周期の根拠が空の機器を拾う列を足せます。例ではVT-01が当たります。

J2: =IF(AND($D2<>"",$E2=""),"根拠欄が空","")

ここまでで、例の機器から見つかる抜けは6種類です。

結果

例の台帳と記録から出る抜け

  • 期限超過

    EC-02とMN-04。最終点検日に周期を足した日が基準日より前です。

  • 記録なし

    SY-03。台帳には載っているのに、点検記録が1件もありません。

  • 台帳にない記録

    XX-09。台帳の登録漏れか、管理番号の誤記が疑われます。

  • 結果欄の空欄

    EC-02の点検記録。実施日はあっても、点検の結果が書かれていません。

  • 報告書番号なし

    VT-01の委託点検。委託先の報告書と記録をひも付けられません。

  • 周期の根拠が空

    VT-01。周期の月数だけが入り、何に基づく周期かが追えません。

Claudeに頼む範囲と、人が確かめる範囲

Claudeに任せられるのは、列の突き合わせと、空欄・期限の機械的な判定です。セル単位の引用付きで答えさせれば、どの行が根拠かをクリックして追えます。質問の例は、次のとおりです。

判定が「期限超過」の機器を、超過日数の多い順に並べてください。
各行について、根拠にしたセルの場所も示してください。

一方で、次の点はClaudeが判断できません。

  • 点検が実際に行われたかどうか(記録の存在は、実施の証拠にはなりません)
  • 周期の月数が機器に対して妥当かどうか
  • 機器が特定保守管理医療機器に当たるかどうか
  • 条文のどの措置を、自施設のどの運用で満たすか

これらは、医療機器安全管理責任者と施設の管理者が決める領域です。この記事の手順は、決めるための材料(抜けの一覧)を作るところまでです。

台帳の周期を書き換える場合も、Claudeに任せず人が行います。Claude for Excelは、セルの値を更新するときに数式の関係を保つ作りですが、台帳の周期は後の判定の前提を変えます。書き換える前に、元のブックのコピーで試すのが無難です。

つまずきやすい点

落とし穴

結合キーの表記ゆれで「台帳にない」が大量に出る

「IP-01」と「IP-01」(末尾の空白)や、全角の「IP−01」が混ざると、同じ機器でも突き合わせで一致しません。大量の「台帳にない」が出たら、まず管理番号の表記を揃える列を足すところから始めます。Claudeに表記ゆれの候補行を拾わせて、直すのは人が行うと確実です。

落とし穴

記録が複数あるとき、古い記録を最新と取り違える

最終点検日をMAXIFSで取れば、同じ機器の複数の記録から最新の日付だけが選ばれます。最新の行を目で探す運用だと、並び順によって古い記録を拾います。式にしておく利点はここにあります。

落とし穴

Excelの式が通るだけで、判定が正しいと思い込む

式にエラーが出ないことと、判定が正しいことは別です。例の5台のように、答えが分かっている小さなデータで式を一度試してから、本番の台帳に広げます。Claude for Excelの注意書きにあるとおり、出力は人が確認して組織の基準と照らす前提です。

委託先の管理として見るなら

委託している保守点検が多い施設では、この突き合わせは「委託先から報告書が届いているか」の確認と重なります。契約書や回答書の条文を点検表にして突き合わせる考え方は、個人情報の委託先監督をClaudeで点検表にする手順と同じ型です。そちらは個人情報保護法の委託先監督が対象ですが、「基準を列にして、文書を1行ずつ当てる」進め方は共通します。

基準と記録の突き合わせで抜けを探す手法は、研究費の申請書類でも使えます。科研費の研究計画調書を点検する手順は、評定基準を列にして抜けを探す例です。

Excelで式を書かせ、人が検算する分担の取り方については、ゲージR&RをExcelで計算する手順が詳しく扱っています。

医療の現場で記録を整えるときの、事実と所見の分け方は疑義照会の記録を整える手順にもあります。点検記録でも、実施した事実と、そこから出る判断を別の列にしておくと、後から読む人が迷いません。

運用に乗せるときの設定

毎月の確認に使うなら、Claude for Excelの設定にあるInstructionsに、表記の約束を書いておくと依頼文が短くなります。このInstructionsはExcelだけに効き、PowerPointやWordの設定とは別です。

このブックは医療機器の保守点検の突き合わせ用です。
- 管理番号は半角英数字とハイフンのみ
- 既存の台帳の値は、依頼がない限り書き換えない
- 判定は式で出し、結果を値に貼り替えない

Claude for Excelに入力した内容は、バックエンド側で受信または生成から30日以内に削除されると案内されています。ただし、組織で独自に設定したデータ保持の設定は引き継がれず、Enterpriseの監査ログにも活動が含まれません。施設の情報管理の方針と合うかは、導入前に管理者と確認してください。

まとめ

条文が求めているのは、保守点検の計画の策定と、その適切な実施です。周期や記録の様式までは書かれていないので、台帳に「周期の根拠」を持たせ、点検記録と結合キーで突き合わせるのが最小の構成になります。

Claudeに任せるのは、期限超過・記録なし・台帳にない記録・項目欠けを式で洗い出す部分までです。点検が実際に行われたか、周期が妥当かは、記録の外にある事実なので、責任者が現物と照らして判断します。最初は5台程度の小さな台帳で式を試し、結果が手計算と一致してから全台に広げてください。

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