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ゲージR&RをExcelで計算し判定基準で読む — Claudeに式を書かせて検算する

ゲージR&RをExcelで計算し判定基準で読む — Claudeに式を書かせて検算する

5部品×3人×2回の測定値から、繰返し性・再現性・部品間の分散をExcelの式で出し、%Study Varや区分数で読む手順です。Claudeに式を書かせ、人が検算する分担も示します。

ゲージR&Rは、測定のばらつきを部品のばらつきと比べる検査

ゲージR&Rは、測定器と測定者が生む誤差が、製品そのもののばらつきに対してどれだけ大きいかを数える検査です。測定値のばらつきを「繰返し性」「再現性」「部品間」に分け、前の2つの合計を全体と比べます。この比が大きいと、管理図やCpkに使う測定値そのものが信用できません。

NISTのハンドブックは、この検査を測定プロセスの特性評価の一部に置いています。見る対象は繰返し性(Repeatability)、再現性(Reproducibility)、安定性(Stability)、バイアスの4つです。

  • 繰返し性: 同じ測定者が同じ部品を同じ器具で続けて測ったときのばらつき
  • 再現性: 測定者(または日)を変えたときの、平均のずれ
  • 部品間: 測った部品そのものの違い。小さければ、器具は区別をつけられません

この記事では、Claude for Excelに式を組ませ、人が別経路で検算する流れで、5部品を3人が2回ずつ測ったデータを計算します。出てきた数値は、区分数・%Study Var・%Contributionの3つの目安で読みます。

Claude for Excelは、Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランで使えるExcelアドインです。ヘルプは、監査が絡む計算を検証なしで使うことや、人のレビューなしで最終成果物にすることを推奨しない用途に挙げています。測定システムの合否は品質記録に残る判断なので、式はClaudeに書かせても、数値は人が確かめます。

試験の設計 — 部品・測定者・回数を先に決める

計算の前に、何を何回測るかを決めます。NISTの設計の節は、条件を次のように置いています。

項目目安条件
部品(チェックスタンダード)目安2個より多く条件通常その器具で測る種類のもの
測定者目安2人より多く条件母集団を代表させるなら無作為に選ぶ
測定者が1人だけ目安2日より多い日数条件日ごとに測り直す
器具目安3台より多く条件少数なら全台を入れる

測定者は、器具に慣れた人に限ります。測定者が少数しかいないなら全員を入れます。パラメータの水準や運転方法が複数あるときは、最初は1〜2水準に絞ってから広げます。

部品の選び方は、表に出ない落とし穴です。部品が工程のばらつきの幅を覆っていないと、「部品間」が小さく出て、誤差の割合が実際より大きく見えます。逆に、わざと幅の広い部品を選ぶと、割合は良く見えます。何を代表させたいかを先に決めておきます。

この記事の例題は、5部品×3人×2回=30件です。説明のために最小限にした設計で、部品・測定者の数は上の表の下限を超えています。回数や部品数を増やすと、推定は安定します。

例題データをシートに置く

数値は説明用に作った架空のデータです。単位はmm、部品1〜5の順に並べています。列は測定者A・B・Cの1回目と2回目です。

30件の測定値(コピー用)
部品  A-1    A-2    B-1    B-2    C-1    C-2
1    10.00  10.02  10.01  10.02  10.03  10.02
2    10.04  10.06  10.05  10.05  10.06  10.07
3    10.08  10.06  10.08  10.09  10.10  10.09
4    10.11  10.13  10.12  10.12  10.13  10.14
5    10.16  10.14  10.15  10.17  10.17  10.16

シートの置き場所は、次のように決めます。式の参照が崩れにくいように、Claudeへの指示にも同じ番地を書いておきます。

A1:H1   見出し(部品, A-1, A-2, B-1, B-2, C-1, C-2, 部品平均)
A2:A6   部品番号 1〜5
B2:G6   測定値
H2:H6   部品平均   =AVERAGE(B2:G2)
J2:L6   部品×測定者の平均(2回分)
        J2 =AVERAGE(B2:C2)  K2 =AVERAGE(D2:E2)  L2 =AVERAGE(F2:G2)
J8:L8   測定者の平均   J8 =AVERAGE(J2:J6) を右へ

部品平均と測定者平均は、部品間と再現性の平方和の材料になります。

分散分析表を式で組む

ゲージR&Rの標準的な計算は、部品と測定者の二元配置の分散分析です。Excelの関数だけで、平方和までを出せます。

A12 部品       B12 =6*DEVSQ(H2:H6)       C12 =4
A13 測定者     B13 =10*DEVSQ(J8:L8)      C13 =2
A14 交互作用   B14 =2*DEVSQ(J2:L6)-B12-B13   C14 =C12*C13
A15 繰返し     B15 =DEVSQ(B2:G6)-2*DEVSQ(J2:L6)   C15 =15
A16 合計       B16 =DEVSQ(B2:G6)         C16 =COUNT(B2:G6)-1
D12:D15        =B12/C12 を下へ(平均平方)

係数の6は「測定者数×回数」、10は「部品数×回数」、2は回数です。自由度の15は、部品数×測定者数×(回数−1)です。B12:B15の合計がB16と一致するかを、先に見てください。

この例題の結果は次のとおりです。

要因平方和自由度平均平方
部品平方和0.075087自由度4平均平方0.018772
測定者平方和0.001487自由度2平均平方0.000743
交互作用平方和0.000213自由度8平均平方0.0000267
繰返し(誤差)平方和0.001550自由度15平均平方0.000103
合計平方和0.078337自由度29平均平方

交互作用は、特定の部品だけ特定の測定者がずれる現象です。F値は平均平方の比で、E14 =D14/D15 で0.258、p値は =F.DIST.RT(E14,C14,C15) で約0.97です。交互作用のp値が0.05以上なら、モデルから外します(Minitabのヘルプの手順)。外すと交互作用の平方和は誤差に合算されます。

D18 プール後の誤差の平均平方   =(B14+B15)/(C14+C15)    → 0.0000767(自由度23)

平方和から分散成分と標準偏差を出す

分散成分は、平均平方の差から求めます。測定者の項は「部品数×回数」、部品間の項は「測定者数×回数」で割ります。計算結果が負になる分散成分は、Minitabのヘルプと同じくゼロとして扱います。

B20 繰返し性       =D18
B21 測定者         =MAX(0,(D13-D18)/(5*2))
B22 部品間         =MAX(0,(D12-D18)/(3*2))
B23 再現性         =B21
B24 ゲージR&R      =B20+B23
B25 全変動         =B24+B22
C20:C25            =SQRT(B20) を下へ(標準偏差)
D20:D25            =6*C20 を下へ(Study Var)
E20:E25            =C20/C$25 を下へ(%Study Var)
F20:F25            =B20/B$25 を下へ(%Contribution)

この例題の結果は次のとおりです。

要因標準偏差6×SD%Study Var%Contribution
ゲージR&R標準偏差0.011976×SD0.0718%Study Var20.97%%Contribution4.40%
繰返し性標準偏差0.008766×SD0.0525%Study Var15.34%%Contribution2.35%
再現性(測定者)標準偏差0.008166×SD0.0490%Study Var14.30%%Contribution2.05%
部品間標準偏差0.055826×SD0.3349%Study Var97.78%%Contribution95.60%
全変動標準偏差0.057096×SD0.3425%Study Var100.00%%Contribution100.00%

%Study Varの列は足しても100になりません。%Study Varは標準偏差の比で、%Contributionは分散の比です。%Study Varは%Contributionの平方根にあたります。足して100になるのは、%Contributionのほうです。ここを取り違えて、%Study Varの合計が100にならないことを不具合と見るのは、よくある早合点です。

判定基準で読む — 区分数・%Study Var・%Contribution

数値の読み方は、Minitabのヘルプが、AIAGの指針として次のように紹介しています。

指標良好条件付き不可
%Study Var(%Tolerance・%Processも同じ)良好10%未満条件付き10〜30%不可30%超
%Contribution良好1%未満条件付き1〜9%不可9%超
区分数良好5以上条件付き不可5未満

条件付きの帯は、用途・測定器の費用・修理の費用などで判断が分かれる範囲です。ヘルプはこの帯を「用途しだいで受け入れられる」と書いています。

例題を当てはめます。

数字

例題の判定

  • %Study Var

    20.97%

    10〜30%の条件付き帯

  • %Contribution

    4.40%

    1〜9%の条件付き帯

  • 区分数

    6

    5以上

  • %Tolerance

    11.97%

    公差幅0.60で試算

架空データ。公差幅0.60は仮置き

区分数は =MAX(1,INT(1.41*C22/C24)) で出します。Minitabのヘルプは、部品の標準偏差をゲージの標準偏差で割って1.41を掛け、小数を切り捨てる計算で、1未満のときは1にするとしています。例題は6.57で、切り捨てて6です。

この結果は「測定器は区別をつけられるが、%Study Varは条件付き」と読めます。区分数が5以上でも、%Study Varが10%を超えれば、そのまま合格にはなりません。用途が工程の改善なら、%Study Varを重く見ます。規格との照合が目的なら、%Toleranceを見ます。Minitabのヘルプは、この使い分けを明記しています。

%Toleranceは =D24/公差幅 です。例題では公差幅を0.60と仮置きし、0.0718÷0.60で約12%になりました。公差幅の置き方で結果は大きく動くので、実際の図面の値を入れます。

式をMinitabの公開例で検算する

組んだ式が合っているかは、手元のデータとは別の例で確かめられます。Minitabのヘルプには、結果の表が公開されています。分散成分から先は、Excelで次のように追えます。

  • 繰返し性0.03997と測定者0.05146の和で、ゲージR&Rの分散成分は0.09143
  • 部品間は1.08645、全変動は1.17788
  • 標準偏差は√0.09143=0.30237、6倍で1.8142
  • %Study Varは0.30237÷1.0853で27.86%、%Toleranceは公差幅8を使って22.68%
  • 区分数は1.41×1.04233÷0.30237=4.86で、切り捨てて4

この例は、ヘルプ自身が「AIAGでは区分数が5以上必要で、4では不足」と評価しています。%Study Varが27.86%でも、区分数が足りない例です。自分の式がこの数値に一致すれば、分散成分から判定までの式は正しく組めています。分散分析表の手前(平方和)は、手元の例題で、B12:B15の和がB16に一致することで見ます。

Claudeに頼む範囲と、人が確かめる範囲

Claude for Excelは、数式の参照をたどって説明し、セル単位の引用を付けます。式が崩れたときは、原因のセルを探す作業も任せられます。頼み方の例を挙げます。

B2:G6 に部品5個×測定者3人×2回の測定値があります。
J2:L6 に部品×測定者の平均、H列に部品平均を作ってください。
次に A12:E16 に二元配置の分散分析表を、DEVSQ と AVERAGE だけで組み、
最後の行に合計を置いて、平方和の和が合計と一致するか確かめてください。
既存のセルは上書きせず、空いている範囲に書いてください。

Claudeの答えは、そのまま信じません。確かめる手段は次の3つです。

  1. 平方和の和が合計に一致する(B12:B15の和=B16)。
  2. 先の分散分析表から1か所を手計算で照合する(例: 繰返し性の平均平方D15)。
  3. Minitabの公開例の数値を同じシートに入れ、%Study Varと区分数が合うか見る。

同じ式をClaudeにもう一度書かせる方法は、検算になりません。同じ誤りを繰り返すおそれがあるためです。

アドインの設定にあるInstructionsに、前提を書いておくこともできます。Excelだけに効き、PowerPointやWordの指示とは別です。

測定値の表は B2:G6 に固定する。
分散分析は DEVSQ と AVERAGE で式にし、値の貼り付けにしない。
負の分散成分は MAX(0, …) でゼロにそろえる。
既存セルを上書きする前に、対象範囲を示して確認を取る。

マクロとVBAは、ヘルプが非対応と書いています。測定値の取り込みを自動化したい場合は、Excelの関数で完結する構成にします。

ゲージR&Rの結果を誤らせる落とし穴

落とし穴

部品が少なすぎて分散成分が安定しない

5部品・3人・2回は、式の動きを追うための最小の例です。部品間の自由度が4しかなく、推定の幅は広くなります。実際の評価では、NISTの設計の節が求める条件を満たしたうえで、部品数と回数を増やします。

  • 部品が工程の幅を覆っていない: 良品だけを選ぶと「部品間」が小さくなり、ゲージR&Rの割合が悪く出ます。
  • 負の分散成分がそのまま残る: NISTの再現性の節にも、日ごとの分散成分が負になる例があります(−0.00028072)。負の値はゼロの意味に読み、自由度が10しかない点も添えて解釈します。
  • 測定値の桁が粗い: 器具の読み取り幅が部品差に比べて粗いと、同じ値が並び、繰返し性が不自然に小さく出ます。分解能は、NISTがゲージ評価の他の目的として挙げる項目です。
  • 外部から受け取ったファイルをそのまま開く: ヘルプは、外部由来のファイルには隠れた指示が入りうると警告しています。測定記録を他社から受け取る場合は、信頼できるコピーで作業します。

NISTの時間入れ子型との違い

NISTのゲージR&Rの節は、AIAG型の「部品×測定者」とは別の分け方を取ります。日・実験(run)の入れ子で、水準1が繰返し性(短期の精度)、水準2が再現性(日間)、水準3が安定性(実験間)です。

表の作り方は単純です。1日分のJ回の繰返しから平均と標準偏差を出し、日ごとの平均の列から水準2の標準偏差を出します。日間の標準偏差は、次の式で求めます。

s_days = SQRT(s2^2 - s1^2/J)

s1は繰返し性の標準偏差、s2は水準2の標準偏差、Jは1日あたりの繰返し数です。この式が負になることがあり、その場合はゼロと読みます。NISTは同じ節で、日ごとの効果を、自由度が小さいと確実には判断できないと注意しています。

測定者を変える評価ならAIAG型、時間を変える評価ならNIST型、と使い分けます。1人の測定者しかいない現場は、NISTの設計に従い、日数を変えて測ります。

校正期限の管理は、測定システムの評価とは別の作業です。証明書の期限を台帳で追う手順は、Claudeで校正管理台帳を回す手順にあります。測定が信頼できると確かめたあとで管理図とCpkを作る流れは、管理図と工程能力Cpkを作る手順に続きます。分散分析そのものを実験計画の側から見たい場合は、実験計画法の直交表と分散分析が近い内容です。

まとめ

ゲージR&Rは、平方和・平均平方・分散成分の順に、Excelの関数だけで組めます。Claudeには式の組み立てを任せ、平方和の和が合計に一致するかと、Minitabの公開例が再現できるかで、人が検算します。

判定は、1つの指標で閉じません。例題のように、区分数が5以上でも%Study Varが条件付きの帯に入ることがあります。用途が改善か規格の判定かで、見る列を決めてから、表を読んでください。

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