Claude Media
Claudeで3PLの見積を比較する手順 — 保管料と荷役料を同じ出荷量にそろえる

Claudeで3PLの見積を比較する手順 — 保管料と荷役料を同じ出荷量にそろえる

保管料はパレット単位、坪単位、日割りと会社ごとに違います。3PLの料金表をClaude for Excelで同じ月間出荷量に換算し、最低保証の効き方まで含めて比べる手順を数値例つきで示します。

3PL(物流の外部委託先)の見積を3社分並べても、保管料の単価がそのまま比べられるとは限りません。A社はパレット1枚あたり月額、B社は契約した坪数あたり月額、C社はパレット1枚あたり1日、という具合に、課金の単位が違うからです。

単価の大小を眺めても結論は出ません。同じ月間の出荷量を3社の料金表に当てはめ、請求額の見込みに直してから比べます。この換算表をClaude for Excelに組ませ、人が検算する手順を、架空の数値例つきで書きます。

数値例では、通常月と出荷が半減した閑散月で、最安の会社が入れ替わります。きっかけは最低保証と固定面積の契約です。料金表の単価欄だけを見ていると、この差は出てきません。

見積書のPDFを項目ごとに読み解く場面は、Claudeで自動車保険の見積書PDFを比較するに近い手順があります。この記事は、Excelの表になった料金表を出発点にします。

使える環境とプラン

Claude for Excelは、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えます。対応するExcelは次のとおりです。

環境条件
Excel on the web条件条件なし
Windows版条件Microsoft 365契約でビルド16.0.13127.20296以降
Mac版条件バージョン16.46以降、ビルド21011600以降

Excel 2016・2019の永続ライセンスやボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません。現場の事務所に買い切り版のPCが残っているなら、先にweb版で開けるかを試します。

料金表はPDFで届くことが多いのですが、Claude for Excelの案内ページには、PDFをアドインに読み込ませる手順の記載がありません。ここでは、各社の料金が既にExcelのシートに入っている状態から始めます。

月間の出荷量を前提シートに1か所だけ置く

換算の土台は、自社の月間の物量です。これを「前提」シートに1か所だけ置き、各社の換算シートはすべてここを参照します。数字を各シートに直接打つと、3社の条件がいつの間にかずれます。

数値例の前提は次のとおりです。すべて架空で、自社の実績に置き換えて使います。

セル項目通常月閑散月
B2項目平均在庫パレット数通常月400閑散月400
B3項目月の日数通常月30閑散月30
B4項目入庫パレット数通常月120閑散月60
B5項目1パレットのケース数通常月40閑散月40
B6項目出荷オーダー数通常月6,000閑散月3,000
B7項目出荷ピース数通常月18,000閑散月9,000
B8項目流通加工の枚数通常月5,000閑散月2,500
B9項目1坪に置けるパレット数通常月2閑散月2

B9は、坪単位の料金表をパレットに直すための換算値です。この値は委託先ごとの積み方で変わるので、先方に確かめて入れます。閑散月は在庫を通常月と同じにしてあります。出荷が減っても、置いてある在庫の保管料はすぐには減らないからです。

各社の料金表を、課金単位ごとに換算シートへ起こす

各社の料金表を「換算_A社」「換算_B社」「換算_C社」に起こします。列は、項目、課金単位、単価、数量、金額の5つに固定します。

アドインのサイドバーには、設定の「Instructions」欄があります。ここに書いた内容は、Excelでのすべての会話に適用されます。換算の作法を先に置いておくと、依頼のたびに繰り返さずに済みます。

このブックは3PLの料金比較用です。
- 数量は必ず「前提」シートのセルを参照して求める。数字を直接打たない。
- 課金単位が前提の単位と違うときは、換算式を数量の列に書き、換算の根拠を備考に残す。
- 料金表の原文の項目名は書き換えない。
- 料金表に載っていない項目は、金額を推測で入れず、確認メモに「未記載」と書く。
- 金額は税抜の円単位で、桁区切りを付ける。

「推測で入れない」の一行は大事です。料金表に載っていない項目を、それらしい値で埋められると、見かけ上は完成した表になります。未記載のまま残せば、先方への質問リストにそのまま使えます。

換算シートへの起こし方は、Claudeへの依頼文で範囲と出力先を具体的に書きます。

「シート『原文_B社』のA列からD列に、B社の料金表を貼りました。『換算_B社』に、項目・課金単位・単価・数量・金額の5列で起こしてください。数量は『前提』シートのセルを参照する式にして、坪単位の保管料は契約坪数を数量にしてください。料金表の備考にある最低保証や割増の条件は、確認メモに原文のまま書き出してください」

Claude for Excelは、回答にセル単位の出典を付けます。出典はクリックでそのセルへ移動できます。数量の式に疑問があるときは、「この数量はどのセルを根拠にしていますか」と尋ねると、参照先を確かめられます。

B社の換算シートは、次の形になります。A列が項目、C列が単価、D列が数量、E列が金額です。

E2  保管(契約坪数220坪):  =C2*D2
D3  入庫ケース数:         =前提!B4*前提!B5
E3  入庫荷役:             =C3*D3
D4  出荷ピース数:         =前提!B7
E4  出荷作業:             =C4*D4
D5  流通加工枚数:         =前提!B8
E5  流通加工:             =C5*D5
E6  小計:                 =SUM(E2:E5)
E7  最低保証(入力):       2000000
E8  請求見込み:           =MAX(E6,E7)
E9  1オーダーあたり:      =E8/前提!B6
E10 面積チェック:         =IF(D2<前提!B2/前提!B9,"面積不足","")

E8のMAXが、最低保証の効き方を表します。小計が最低保証を下回る月は、小計でなく最低保証の額が請求の見込みになります。E10は、契約した坪数が置きたいパレット数に足りているかの確認です。足りなければ、追加の面積を借りる費用が別に要ります。

保管料の換算も、会社ごとに式が変わります。A社はパレット1枚あたり月額なので、数量は平均在庫パレット数そのものです。C社はパレット1枚あたり1日なので、数量は「平均在庫パレット数×月の日数」で求めます。

換算_A社 D2(月額のパレット数):    =前提!B2
換算_C社 D2(パレット日数):        =前提!B2*前提!B3

通常月と閑散月で、最安の会社が入れ替わる

ここからは、3社の架空の料金表を同じ前提に当てはめた結果です。料金表の内容は次のとおりです。

項目A社B社C社
保管A社パレット1枚・月3,200円B社契約220坪・坪あたり月5,000円C社パレット1枚・1日95円
入庫荷役A社パレット1枚500円B社1ケース12円C社パレット1枚700円(検品込み)
出荷作業A社1オーダー90円+1ピース20円B社1ピース48円(梱包資材込み)C社1オーダー110円+1ピース15円(梱包資材込み)
流通加工A社1枚12円B社1枚10円C社1枚15円
そのほかA社システム利用料 月80,000円。梱包資材は実費B社最低保証 月2,000,000円C社システム利用料 月50,000円

A社の梱包資材は、料金表に単価がなく実費としか書かれていません。ここでは1オーダー50円と仮に置き、後で別の行として扱います。

通常月の請求見込みは次のとおりです。

項目A社B社C社
保管A社1,280,000円B社1,100,000円C社1,140,000円
入庫荷役A社60,000円B社57,600円C社84,000円
出荷作業A社900,000円B社864,000円C社930,000円
流通加工A社60,000円B社50,000円C社75,000円
システム利用料A社80,000円B社0円C社50,000円
料金表どおりの合計A社2,380,000円B社2,071,600円C社2,279,000円
梱包資材(仮置き)A社300,000円B社込みC社込み
請求見込みA社2,680,000円B社2,071,600円C社2,279,000円

B社の小計2,071,600円は最低保証の2,000,000円を上回るので、そのまま請求見込みになります。1オーダーあたりに直すと、A社は約447円、B社は約345円、C社は約380円です。

出荷が半分になった閑散月で同じ換算をすると、順位が変わります。

項目A社B社C社
料金表どおりの小計A社1,870,000円B社1,585,800円C社1,734,500円
梱包資材(仮置き)A社150,000円B社込みC社込み
最低保証の適用A社なしB社2,000,000円に引き上げC社なし
請求見込みA社2,020,000円B社2,000,000円C社1,734,500円
1オーダーあたりA社約673円B社約667円C社約578円

閑散月は、B社の小計1,585,800円が最低保証を下回るため、請求は2,000,000円に引き上がります。結果として、通常月に最安だったB社は、閑散月にはC社より約265,500円高くなります。

通常月だけで決めると、B社を選んでしまいます。閑散月を並べると、「B社は出荷が一定以上ある月が続く前提でないと割高になる」という条件が見えてきます。

くらべる

通常月と閑散月の1オーダーあたり

6,000オーダー

通常月

A社は約447円、B社は約345円、C社は約380円。B社が最安です。

3,000オーダー

閑散月

A社は約673円、B社は約667円、C社は約578円。最低保証が効くB社は、C社より高くなります。

料金表に載らない項目を、確認メモに拾う

数値例のA社の梱包資材のように、金額が料金表に出てこない項目は、合計を押し下げて見せます。換算シートの隣に「確認メモ」を置き、載っていない項目を先方への質問として残します。

質問の候補は、次のようなものです。Claudeには、料金表の備考と見積の注記を読ませて、該当しそうな行を拾わせます。

  • 保管の課金基準は、月末在庫、月間の平均、月間の最大のどれか
  • 最低保証の対象は、合計請求か、保管料のような一部の項目か
  • 梱包資材は料金に含まれるか、実費か
  • 出荷の繁忙期や急ぎの依頼に、割増があるか
  • 契約坪数の途中変更や、パレット数が契約を超えたときの扱い
  • システム利用料や初期費用が、見積の本体と別に請求されるか

依頼文は、「料金表の備考、注記、脚注から、請求額に影響しそうな条件を拾い、『確認メモ』に項目、原文、金額への影響の見立てを書いてください。原文にない条件は書かないでください」とします。最後の一文があると、書かれていない条件を作り出す余地を減らせます。

落とし穴

料金表の単価欄だけで合計を作ると、条件が消える

最低保証、固定面積、実費の資材は、単価欄ではなく備考や別紙に書かれがちです。単価と数量の掛け算だけの表は、きれいに合計が出るぶん、これらの条件が抜けたことに気づきにくくなります。換算シートには、小計と請求見込みを別々の行で持ちます。

出荷量の感度は、データテーブルでなくシナリオ列で見る

出荷量を変えたときの請求額を一覧にするには、Excelの「データテーブル」機能が思い浮かびます。ただ、Claude for Excelの案内ページは、データテーブルとマクロ・VBAを非対応の機能として挙げています。

代わりに、前提シートに通常月と閑散月の列を並べ、換算シートの数量を「選んだシナリオの列」から引く方式にします。シナリオを切り替えるセルを1つ置き、その値で参照する列を変えます。比較用の要約シートには、シナリオごとの請求見込みを値として並べます。

前提!B12 選択シナリオ(1=通常月 2=閑散月)
数量の参照例:  =INDEX(前提!C4:D4, 前提!B12)

3つ目以降のシナリオ(繁忙月など)を足すときも、列を1本足してINDEXの範囲を広げるだけで済みます。

取引先のファイルを開く前に

料金表は、委託先から受け取ったファイルです。Claude for Excelの案内ページは、外部から来たファイルには隠れた指示が含まれ、アドインを操作して情報を抜き出したりデータを書き換えたりさせる恐れがあると注意しています。ダウンロードしたテンプレートや取引先のファイルが、その例に挙げられています。

扱いは次のとおりです。

手順

取引先の料金表をブックに入れるときの手順

  1. 1

    料金表は値だけを新しいブックに貼る

    受け取ったファイルの上ではClaudeを動かさず、項目名と数値だけを、自分で作った比較用ブックに貼ります。

  2. 2

    比較用ブックのコピーで試す

    広範囲を書き換えさせる前に、信頼できるコピーで試します。案内ページも、信頼できるコピーから始めることを勧めています。

  3. 3

    確認を求められたら中身を読む

    Claudeが危険な操作を提案すると、実行前に確認を求められます。外部由来のファイルでは、この確認を読み飛ばしません。

  4. 4

    既存の値を上書きする操作は止まる

    既存のデータを上書きする前に、Claudeは警告を出します。換算シートの式を壊さないよう、依頼は書き込む範囲を具体的に指定します。

もう1つ、扱う情報の範囲があります。料金表は、委託先との取引条件そのものです。案内ページによると、入力と出力はバックエンドで受け取りから30日以内に削除されます。Claude for Excelの会話履歴はブラウザ内に保存され、Anthropicのサーバーには保存されません。組織が設定したデータ保持の設定は引き継がれず、Enterpriseの監査ログにも活動は含まれません。秘密保持の取り決めがある料金表を入れてよいかは、自社の規程で判断します。

案内ページは、顧客に出す最終成果物を人の確認なしで作ること、監査に直結する計算を検証なしで使うことは勧めないとしています。委託先を決める判断は人が行い、このブックは候補を絞って質問を整理する道具として使います。

まとめ

3PLの見積比較で効くのは、単価の比較をやめて、同じ物量を各社の料金表に当てはめることです。保管料の単位が違っても、前提シートの数字から数量を引けば、請求見込みという同じ物差しに乗ります。

もう1つは、小計と請求見込みを分けて持つことです。最低保証や実費の資材が見えるのは、この2行の差です。通常月だけでなく、出荷が減る月を1本並べておくと、固定面積や最低保証の重さが数字で見えます。

倉庫内の棚の配置を変える場面は、ABC分析で倉庫のロケーションを見直すで扱っています。複数社の見積を同じ工種の行にそろえる一般的な手順は、相見積もりの比較表をClaude for Excelで作るにあります。物流費の請求側の突合は、デマレージ請求の突合に手順があります。

この記事を共有:XはてブLinkedIn