Claude for Excelで採用単価を媒体別に出す手順 — ATSのCSVと費用から
応募・面接・内定・入社の件数と媒体ごとの費用を同じブックに置き、Claude for Excelで媒体別の採用単価を出す手順です。費用の範囲の決め方、式の組み方、入社1人で単価が動く媒体の見分け方まで扱います。
採用単価は「何で割るか」で4種類になる
採用単価とは、採用にかかった費用を、人数で割った1人あたりの金額です。割る数が応募・面接・内定・入社のどれかで、同じ媒体でも4つの単価が出ます。
ATS(採用管理システム)から書き出したCSVに応募から入社までの件数があり、別に媒体ごとの費用が手元にあるなら、Claude for Excelで媒体別の単価表まで作れます。ExcelのアドインとしてブックのセルをClaudeが読み、答えにはセル単位の根拠が付きます。
媒体別の採用単価を出す流れ
- 1
費用表と件数表を別シートに置く
媒体名を共通のキーにして、費用は1媒体1行にまとめます。
- 2
費用に含める範囲を決めて書き出す
掲載費だけか、担当者の人件費まで入れるかを先に固定します。
- 3
単価の式を入れて、割り算の失敗を拾う
入社0人の媒体は「算出不可」と表示させます。
- 4
入社が1人増減したときの単価を並べる
単価が人数のぶれに弱い媒体を見分けます。
媒体ごとの応募から承諾までの転換率は、採用の歩留まりをClaudeで分析する手順で出し方を扱っています。ここでは、その件数に費用を掛け合わせて単価にする部分に絞ります。
費用表と件数表は別シートにして、媒体名で結ぶ
単価の式は「費用 ÷ 件数」の1つだけです。ミスが入るのは式ではなく、費用と件数が別々のファイルで管理されていて、媒体の呼び名がそろっていないことです。ブックは次の2シートに分けます。
| シート | 1行の単位 | 主な列 |
|---|---|---|
| 費用 | 1行の単位1回の支払い | 主な列媒体、費目、金額(税抜)、支払月 |
| 件数 | 1行の単位1媒体 | 主な列媒体、応募、面接、内定、入社 |
件数のシートは、ATSのCSVを媒体ごとに数えた結果です。CSVから最終到達ステージ別に数える手順は歩留まりの記事に任せ、ここでは数え終わった表を前提にします。
費用のシートは、支払い1回を1行にして、媒体名を件数のシートと一字一句そろえます。「求人媒体A」と「求人媒体A」のように空白が違うだけで、集計の式は別の媒体として扱い、費用が0円に見えます。まず次のように頼むと、表記ゆれを先に拾えます。
「費用」シートのA列と「件数」シートのA列について、
媒体名の一覧を重複なしで出してください。
片方にしかない媒体名と、空白や全角半角だけが違う組を別枠で挙げてください。
修正はまだしないでください。直す前に一覧を出させるのは、Claude for Excelが既存のデータを上書きする前に警告する仕組みを持っていても、どちらの表記が正かは人にしか決められないためです。
個人を特定する値は件数の表に持ち込まない
ATSのCSVには、氏名や連絡先、場合によっては現年収の列があります。単価の計算に必要なのは媒体ごとの件数だけです。個人別の行はこのブックに置かず、集計済みの件数だけを貼ります。人材紹介の手数料も、候補者別の明細ではなく媒体の合計額に直します。
費用に何を含めるかを先に決める
単価は分子の決め方で大きく変わります。「掲載費だけ」で出した数字と、「担当者の工数まで含めた」数字を並べて比べても意味がないので、次の3段階のどこまでを入れるかを最初に決めます。
| 範囲 | 含める費用 | 向く使い方 |
|---|---|---|
| 媒体費のみ | 含める費用掲載料、成功報酬、紹介報酬 | 向く使い方媒体どうしの比較 |
| 採用活動費 | 含める費用媒体費に、ATS利用料、説明会の会場費、面接官の交通費を加える | 向く使い方採用予算の実績管理 |
| 全部入り | 含める費用採用担当者の人件費、面接官の工数まで含める | 向く使い方採用1人あたりの総コスト |
この記事の例は「媒体費のみ」と、共通費を按分した「全部入り」の2列で出します。範囲が変われば、媒体どうしの単価の差が大きく動くためです。
費用の型は固定型と変動型に分ける
媒体の費用は、入社の人数に関係なく払う固定型と、入社に応じて払う変動型に分かれます。
- 固定型: 求人媒体の掲載料、自社サイトの運用費、説明会の出展料
- 変動型: 人材紹介の成功報酬、リファラル(社員紹介)の紹介報酬
費用シートに「固定/変動」の列を足しておくと、後の読み方で効いてきます。人材紹介の成功報酬は、入社が決まって初めて発生する支払いです。したがって、内定が出たけれど辞退された人については、費用が1円も発生していません。
共通費は按分の基準を書き残す
ATSの月額利用料のように、特定の媒体に紐づかない費用は共通費です。媒体に割り振るなら、基準を1つ決めて表に書きます。応募数、面接数、入社数のどれで割るかで、各媒体の負担額が変わるためです。例では、共通費40万円を応募数の比で割ります。
単価を出す依頼文と式
件数と費用がそろったら、Claude for Excelのサイドバーに依頼します。変更の範囲を絞るため、元のシートは触らせず、新しいシートに表を作らせます。
「費用」「件数」の2シートから、新しいシート「単価」を作ってください。
- 行は媒体、列は 媒体費、応募単価、面接単価、内定単価、入社単価
- 媒体費は「費用」シートの金額を、媒体名で SUMIFS を使って合計する
- 件数が0のセルは、エラーではなく「算出不可」と表示する
- 元の2シートは変更しない
- 使った式の例を、最後に1行ぶん示す出てきた式は、セルを開いて目で確かめます。基本の形は次のとおりです。
B2: =SUMIFS(費用!$C:$C,費用!$A:$A,$A2)
C2: =IF(件数!B2=0,"算出不可",$B2/件数!B2)B2は媒体費の合計、C2は応募単価です。面接・内定・入社の単価は、割る列を件数シートの該当列に変えるだけで同じ形になります。IFERRORで割り算の失敗をまとめて隠すと、媒体名の不一致で費用が0円になった場合も気づけなくなります。0件のときだけを式で分け、それ以外の失敗は表に出す形のほうが検算に向きます。
共通費を足した全部入りの列も作る
共通費を応募数で按分する列は、次の頼み方になります。
「単価」シートの右側に、共通費の按分列と全部入りの入社単価を追加してください。
- 共通費の合計は400,000円(前提シートのB2)
- 按分の基準は、各媒体の応募数が応募総数に占める比率
- 按分額の合計が共通費と一致しているかの確認行も作る最後の確認行が大切です。按分した額を足し戻して40万円にならなければ、比率の合計が100%になっていません。
出力の例と、数字の読み方
次の表は、動作確認のために作った架空のデータです。実在する企業の実績ではありません。
| 媒体 | 費用の型 | 媒体費 | 応募 | 面接 | 内定 | 入社 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 求人媒体A | 費用の型固定 | 媒体費600,000円 | 応募90 | 面接27 | 内定6 | 入社4 |
| 人材紹介 | 費用の型変動 | 媒体費2,700,000円 | 応募50 | 面接40 | 内定8 | 入社3 |
| リファラル | 費用の型変動 | 媒体費200,000円 | 応募30 | 面接22 | 内定4 | 入社2 |
| 自社サイト | 費用の型固定 | 媒体費120,000円 | 応募30 | 面接12 | 内定3 | 入社1 |
これを「媒体費のみ」で割ると、単価は次のようになります。
| 媒体 | 応募単価 | 面接単価 | 内定単価 | 入社単価 |
|---|---|---|---|---|
| 求人媒体A | 応募単価6,667円 | 面接単価22,222円 | 内定単価100,000円 | 入社単価150,000円 |
| 人材紹介 | 応募単価54,000円 | 面接単価67,500円 | 内定単価337,500円 | 入社単価900,000円 |
| リファラル | 応募単価6,667円 | 面接単価9,091円 | 内定単価50,000円 | 入社単価100,000円 |
| 自社サイト | 応募単価4,000円 | 面接単価10,000円 | 内定単価40,000円 | 入社単価120,000円 |
全体では、費用362万円を入社10人で割った36.2万円が入社単価です。共通費40万円を応募数で按分して足すと、各媒体の入社単価は次のように動きます。
| 媒体 | 按分額 | 全部入りの入社単価 |
|---|---|---|
| 求人媒体A | 按分額180,000円 | 全部入りの入社単価195,000円 |
| 人材紹介 | 按分額100,000円 | 全部入りの入社単価933,333円 |
| リファラル | 按分額60,000円 | 全部入りの入社単価130,000円 |
| 自社サイト | 按分額60,000円 | 全部入りの入社単価180,000円 |
自社サイトの入社単価は、按分前の120,000円から180,000円に上がり、150,000円から195,000円になった求人媒体Aとの差が3万円から1.5万円に縮みます。自社サイトは按分額が60,000円と小さくても、入社が1人だけなので、1人あたりの上乗せは求人媒体Aの4人で割った45,000円より大きくなるためです。範囲の決め方で差の大きさが変わる媒体は、どの範囲で比べたかを書き添えておく必要があります。
人材紹介の内定単価は、実際に払った金額ではない
人材紹介の内定単価は337,500円と出ますが、これは費用を内定8人で割った計算上の値です。成功報酬は入社した3人にしか発生しないので、内定単価は払った金額を表していません。変動型の媒体では、入社単価を主役にして、応募・面接・内定の単価は「その段階まで進めるのに平均いくらの費用を使ったか」の目安として見ます。
固定型の媒体は、入社1人で単価が大きく動く
もう1つ、入社の人数が少ない期間の数字は、1人の違いで大きく変わります。入社が1人増減したときの入社単価を並べます。
| 媒体 | 費用の型 | 入社が1人少ない | 現状 | 入社が1人多い |
|---|---|---|---|---|
| 求人媒体A | 費用の型固定 | 入社が1人少ない200,000円 | 現状150,000円 | 入社が1人多い120,000円 |
| 人材紹介 | 費用の型変動 | 入社が1人少ない900,000円 | 現状900,000円 | 入社が1人多い900,000円 |
| リファラル | 費用の型変動 | 入社が1人少ない100,000円 | 現状100,000円 | 入社が1人多い100,000円 |
| 自社サイト | 費用の型固定 | 入社が1人少ない算出不可 | 現状120,000円 | 入社が1人多い60,000円 |
固定型の2媒体は、1人の違いで単価が2〜5割動きます。自社サイトは入社1人の単価120,000円が、2人なら半分の60,000円です。一方、変動型は1人あたりの報酬が一定なら、人数が変わっても単価は動きません。ここで人材紹介を「高い」、自社サイトを「安い」と決めきるのは早く、自社サイトは入社が1人だった期間の数字にすぎません。
人材紹介の成功報酬が年収に連動する契約なら、入社者の年収によって単価も多少動きます。契約の料率を費用シートに添えておくと、後から理由をたどれます。
件数が少ない媒体の転換率をどう割り引いて読むかは、歩留まりの記事の結果の読み方に同じ考え方があります。この記事の単価では、人数の少なさは「1人で単価が半分になる」という形で現れます。
費用と入社の時期はずらして数える
求人媒体の掲載料は掲載の前に払い、入社は数か月後です。四半期ごとに区切ると、第1四半期の掲載費を第2四半期の入社数で割ることになりかねません。避ける方法は2つあります。
- 期間を1年に広げて、費用と入社のずれを小さくする
- 応募日の期間で費用と件数をそろえ、その期間の応募者のその後を追う
後者は、直近の応募ほど「まだ選考中」の人が多く、入社が未確定になります。入社単価は期間が終わった後に確定する数字なので、途中の期間では参考値として扱います。選考中の候補者を分母から外す考え方は、歩留まりの記事に具体的な依頼文があります。
Claude for Excelに任せる範囲と、任せない範囲
Claude for Excelは、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えるExcelのアドインです。対応するExcelは、Excel on the web、Microsoft 365のWindows版とMac版です。Excel 2016と2019の永続・ボリュームライセンス版、iPad、Android版には対応していません。
単価表づくりで任せやすい作業は、SUMIFSなどの式の入力、媒体名の表記ゆれの洗い出し、割り算の失敗(#DIV/0!)の原因探しです。ソート、フィルタ、ピボットテーブルの編集も依頼できます。
逆に、次の3点は人が持ちます。
- 費用の範囲と、共通費の按分基準の決定
- 契約書や請求書の金額との突き合わせ
- 結果を経営会議や予算の根拠に使う前の検算
使用上の注意に「検証なしの監査上重要な計算には勧められない」とあるため、採用予算の実績としてまとめる数字は、手計算かほかの集計と照合します。マクロとVBA、データテーブルは未対応です。
媒体の請求書や外部ファイルは信頼できるものだけを開く
Claude for Excelを使うときの注意として、外部から受け取ったファイルには、Claudeを誤作動させる隠れた指示が含まれうると示されています。媒体や紹介会社から届いた請求明細のExcelをそのままブックに貼ると、この危険に当たります。自社のATSから書き出したCSVと違い、取引先のファイルは出どころが外部です。次の運用が手堅い形です。
- 取引先の請求明細は、金額と媒体名だけを自分で新しいブックに写す
- 編集前に、信頼できるコピーを取る
- Claudeが危険な操作を提案して確認を求めてきたら、中身を読んでから許可する
毎回同じ前提を伝える場合は、永続的な指示に書く
「金額は税抜」「通貨は円で3桁区切り」「見出し行は太字」のような前提は、サイドバーの設定にある指示欄に書いておくと、Excelでの全会話に反映されます。範囲の定義(媒体費のみ)や、算出不可の表示ルールも、ここに置くと毎回の依頼文が短くなります。この指示欄はExcelにだけ効き、PowerPointやWordの指示とは別です。
結果を信じる前の検算
単価表ができたら、次の3点を手で確かめます。
- 媒体費の合計が、費用シートの総額と一致する(例では362万円)
- 件数の合計が、ATSの全体件数と一致する(例では応募200、入社10)
- 1媒体を選び、電卓で費用 ÷ 入社数を計算して、表の値と一致する
1と2が合わなければ、媒体名の不一致で行が落ちているのが典型的な原因です。ここで合わせてから、単価の議論に入ります。
採用担当者の人件費まで含めて試算するときは、要員計画の人件費シミュレーションと同じ考え方で、前提シートに単価と工数を置いて式で結ぶ形が使えます。共通費の按分を一般的に扱う場合は、セグメント別損益の共通費配賦が参考になります。
まとめ
採用単価の差は、媒体の優劣ではなく、費用の範囲と費用の型の差として現れます。固定型の媒体は入社が1人変わるだけで単価が2〜5割動き、変動型は人数が変わっても動きません。単価の表は、費用の型の列と、入社±1人の感度を添えて初めて、判断の材料になります。
作業の順は、媒体名をそろえて、費用の範囲を決め、単価を出し、合計を突き合わせるだけです。Claude for Excelには式の入力と表記ゆれの洗い出しを任せ、範囲の決定と最後の検算は人が持つ分担にすると、採用会議に出せる数字になります。