Claude Media
Claudeで清掃の見積を面積・床材・頻度から組む手順 — 人工と前提欄まで

Claudeで清掃の見積を面積・床材・頻度から組む手順 — 人工と前提欄まで

ビル清掃の見積を、面積・床材・作業頻度から月間の作業時間と人工に落とす手順です。Claude for Excelで計算シートを組み、仮の作業速度を前提欄に残す方法を数値例つきで示します。

清掃の見積で手間がかかるのは、金額を出す計算より、その前の前提集めです。事務室はカーペット、廊下は長尺シート、トイレは陶器タイルというように、床材ごとに道具も作業の速さも違います。

そのうえ「毎日」「週3回」「年4回」と頻度もばらばらです。これを面積×作業速度×回数の表に並べ、月間の作業時間と人工(1人が1日働く量)へ換算すると、見積の根拠が説明できる形になります。

この計算シートをClaude for Excelで組み、前提を欄に残す手順を、架空のオフィスビルの数値例で書きます。作業速度の数字はすべて仮の値です。自社の実績に置き換える前提で読んでください。

使える環境とプラン

Claude for Excelは、Excelにつなぐアドインです。ワークブックについての質問、数式の関係を保った前提の変更、モデルの新規作成やテンプレートへの入力ができます。

対象はPro、Max、Team、Enterpriseの各プランです。動作するExcelは、Web版、Microsoft 365契約のWindows版(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac版(バージョン16.46以降、ビルド21011600以降)です。

Excel 2016・2019の永続ライセンス版、iPad、Androidでは動きません。マクロとVBA、データテーブルも未対応です。この記事の手順は、通常の関数とシートだけで組んでいます。

前提欄に置く3つの表

見積の計算は、1つのシートに混ぜず、前提シートと計算シートに分けます。前提を1か所に集めておくと、数字を変えたときの影響を追えるからです。

前提

前提シートに置く表

  • ゾーン表

    清掃する場所ごとに、名称、面積(平方メートル)、床材、作業頻度を1行ずつ書きます。

  • 作業速度表

    床材と作業の組み合わせごとに、1時間あたりに片付く面積を置きます。ここが仮の値になる部分です。

  • 料金の前提

    時間あたりの請求単価、準備・移動の加算率、資材費、管理費率を置きます。

数値例のゾーン表は次のとおりです。月の稼働日は週5日運用で21日とします。

ゾーン床材面積頻度月の回数
執務室床材タイルカーペット面積600㎡頻度週5回(掃除機)月の回数21回
廊下・EV前床材長尺シート面積150㎡頻度週5回(モップ)月の回数21回
トイレ床材陶器タイル面積40㎡頻度週5回(洗浄)月の回数21回
エントランス床材石材面積80㎡頻度週3回(モップ)月の回数13回

月の回数は、祝日や休館日がある契約では月ごとに欄を持たせます。定期作業は別の表にします。長尺シートのワックスが年4回、タイルカーペットの洗浄が年2回です。

床材ごとの作業速度は仮の値で置く

作業速度表は、この見積で最も根拠が弱い部分です。公開されている標準値を引いて書くのではなく、自社の過去の現場の実績から置くのが筋です。数値例では、次の仮の値を使います。

床材・作業仮の作業速度
タイルカーペット・掃除機仮の作業速度400㎡/時
長尺シート・モップ仮の作業速度250㎡/時
陶器タイル(トイレ)・洗浄仮の作業速度20㎡/時
石材・モップ仮の作業速度200㎡/時
長尺シート・ワックス仮の作業速度40㎡/時
タイルカーペット・洗浄仮の作業速度100㎡/時

トイレの速度が極端に遅いのは、便器や洗面の洗浄を面積あたりに均した結果だからです。ここは現場ごとのずれが大きく、衛生器具の数で見積もる会社もあります。数値例は計算の流れを見せるためのもので、相場を示すものではありません。

ClaudeにExcelで計算シートを組ませる

前提シートができたら、ClaudeにExcel上で計算シートを作らせます。指示は、式の構造まで言葉にして渡します。

前提シートのゾーン表と作業速度表を使って、計算シートを作ってください。
- 1回あたりの作業時間(時間)=面積÷作業速度
- 月間の作業時間=1回あたりの作業時間×月の回数
- 値は直書きせず、前提シートのセルを参照する
- 定期作業は年間回数÷12で月換算する
- 最後に、準備・移動の加算率を掛けた合計時間と、人日(8時間で割る)を出す

アドインは、セルへの引用つきで答えを返し、数式の関係を保ったまま前提を変えられます。直書きの数字が計算シートに残ると、この利点が消えます。指示に「前提シートを参照する」と書いたのは、そのためです。

もう1つ、アドインの設定画面には、すべての会話に効く指示を置く欄があります。「面積は㎡、時間は小数1桁、金額は円で3桁区切り」のような表記の約束を入れておくと、毎回の指示が短くなります。この欄の設定はExcelだけに効き、PowerPointやWordとは別です。

数値例で月間の作業時間と金額を出す

日常清掃の月間作業時間は、次のとおりです。

ゾーン1回あたり月の回数月間
執務室1回あたり600÷400=1.5時間月の回数21月間31.5時間
廊下・EV前1回あたり150÷250=0.6時間月の回数21月間12.6時間
トイレ1回あたり40÷20=2.0時間月の回数21月間42.0時間
エントランス1回あたり80÷200=0.4時間月の回数13月間5.2時間

日常の合計は91.3時間です。定期作業は、ワックスが150÷40=3.75時間を年4回で15時間、カーペット洗浄が600÷100=6時間を年2回で12時間です。年間27時間を12で割り、月2.25時間になります。

日常と定期を足すと月93.55時間です。準備・移動の加算率を10%とすると102.905時間、人日は8時間換算で約12.9人日になります。

金額は、請求単価を仮に1時間2,400円として組みます。

項目計算金額(税抜)
労務費計算102.905時間×2,400円金額(税抜)246,972円
資材・消耗品計算前提欄の固定額金額(税抜)15,000円
管理費計算(労務費+資材)×10%金額(税抜)26,197円
月額合計計算金額(税抜)288,169円

Claudeが出した合計は、必ず電卓か別のセルで検算します。サポート記事は、Claude for Excelを、人の確認なしの最終的な顧客向け成果物や、監査に関わる計算には勧めないとしています。見積書は顧客に渡る書類なので、この線の内側に入ります。

床材と頻度を変えたときの差を見る

前提を変えたときの差分は、一覧にして残すと商談で答えやすくなります。Claudeには「前提を1つずつ変えて、月額合計の差を表にして」と頼みます。

くらべる

前提を変えたときの月額合計の差

+40,656円

トイレの作業速度を15㎡/時に

トイレの月間作業時間が42時間から56時間に増えます。14時間分が加算率と管理費を通って、月額に約4万円乗ります。

-34,848円

執務室の掃除機を週3回に

月の回数が21回から13回になり、執務室は31.5時間から19.5時間に減ります。12時間分の減額です。

数値は、先ほどの前提から計算しています。トイレは14時間×1.1×2,400円×1.1で40,656円、執務室は12時間×1.1×2,400円×1.1で34,848円です。

見積で値引きを求められたとき、床材の速度をいじるのか、頻度を落とすのかで、話の中身が変わります。頻度の減額は仕様の変更ですが、速度の引き上げは根拠のない値引きになりかねません。この区別が、差分表からすぐ読めます。

見積に残す前提欄

顧客に出す見積書には、金額だけでなく前提を添えます。後から「この面積で足りなかった」「床材が違っていた」となったとき、どこがずれたかを示せるからです。

  • 面積の出典(図面の室面積か、現地の実測か)
  • 床材の種別と、日常で使う道具
  • 作業頻度と、月の稼働日数
  • 作業速度が自社の実績値か、仮の値か
  • 含まない作業(窓ガラス、外構、特別清掃、ごみの搬出など)

最後の「含まない作業」が、追加費用の争いを減らします。Claudeには、ゾーン表と計算シートから前提欄の文面を起こさせ、人が現場の状況と照らして直します。

落とし穴

面積は図面と現地で食い違う

図面の面積には、柱型や造作家具の下が含まれ、実際に清掃できる床とずれることがあります。Claudeは入力された数字をそのまま使うので、面積の出どころは前提欄に書き、現地調査で確かめた値は別の列に残します。

取引先から受け取ったファイルを開く前に

発注元から面積表や仕様書のExcelを受け取って取り込むとき、注意が1つあります。サポート記事は、外部から来たファイルに、アドインを操作させるための隠し指示が入っている可能性を挙げ、信頼できるスプレッドシートだけで使うよう求めています。

受け取った面積表は、別のブックに値だけ貼り付けてから、前提シートに取り込みます。Claudeが既存データを上書きしようとするときは、アドインが事前に警告を出します。ここで内容を確かめてから進めます。

手順

受け取った面積表を前提シートに入れる手順

  1. 1

    値だけを貼る

    受け取ったファイルは直接開かず、新しいブックに値のみ貼り付けます。

  2. 2

    ゾーン表に整える

    Claudeに、列の見出しをゾーン表の形に合わせさせます。面積が文字列になっていないかも見させます。

  3. 3

    現地と照合する

    面積の大きいゾーンから順に、図面や現地調査の値と合うかを人が確かめます。

  4. 4

    計算シートを再計算する

    前提が確定してから、計算シートの合計を見直します。

隣り合う見積の作業

清掃の人工は、現場の人数の決め方にもつながります。工数を幅つきで書き出す考え方は、工数見積(人月)をClaudeで書き出す手順が参考になります。複数社の見積を並べて抜けを洗う作業は、相見積もりの比較表をClaude for Excelで作る手順で扱っています。

物流の見積を同じ作業量にそろえる流れは、3PLの見積比較と共通しています。仕上がりの点検は、客室清掃の写真点検に分けて考えると整理しやすくなります。

まとめ

清掃の見積は、ゾーン表、作業速度表、料金の前提の3つに分け、計算シートは前提を参照する式だけで組むと、後から差分を追えます。

作業速度は、この記事では仮の値です。実際の見積では、自社の過去の現場の実績から置き、仮の値のままの欄は前提欄にそう書いて残します。Claudeが出した合計は検算し、顧客に渡す前に人が現場の状況と照らします。

この記事を共有:XはてブLinkedIn