Claudeで宿泊予約サイトの口コミを分析する手順 — 低評価の原因を項目別に集計
宿泊予約サイトの口コミを表にして、清掃・食事・接客・設備に分類し、低評価の原因を部屋タイプ別に集計します。Excelの式で件数と引用を検算し、担当部署ごとの改善点に落とす流れです。
口コミの山を「どの部屋で、何が、何件」に変える
宿泊施設の口コミは、総合点の平均だけ眺めても直す場所が決まりません。「清掃が悪い」と書かれた3点の口コミと、「朝食が少ない」と書かれた4点の口コミでは、動かす部署も、効く対策も違うからです。
口コミを表にしてClaudeに渡せば、項目別の分類と件数の集計までを会話で進められます。ただし、分類結果をそのまま報告書に載せると、件数のずれや、原文にない引用が紛れ込みます。この手順では、分類に必ず「口コミID」と「原文の引用」を付けさせ、Excelの式で検算してから、部署別の改善点に落とします。
口コミ分析の5段階
- 1
個人情報を落として表にそろえる
投稿者名や予約番号を外し、口コミIDを振ります。
- 2
宿泊特有の分類軸を固定する
清掃・食事・接客・設備などの定義と、迷ったときの決め方を先に渡します。
- 3
分類させて、式で検算する
IDの実在、引用の一致、重複を、Excelの式で確かめます。
- 4
部屋タイプ別・月別に集計する
低評価の原因が、どの客層・どの季節に偏るかを見ます。
- 5
担当部署ごとの改善点にする
件数と原文を根拠に、直す順番と担当を決めます。
商品レビュー一般の分類と検算は商品レビューCSVの分析手順、アプリストアの星の帯とバージョン別の見方はアプリのレビュー分析にあります。ここでは、宿泊の口コミに固有の軸の立て方と、客室・部署への割り振りを中心に進めます。
口コミの表を用意する
分析に使うのは、口コミを1行1件にした表です。予約サイトの管理画面から書き出せる列は、サイトごとに違います。書き出せる場合はその表を、書き出せない場合は自施設の口コミを表にまとめ直したものを使います。サイトの利用規約で口コミの二次利用がどう扱われているかは、各サイトの規定で確かめてください。
最低限そろえたい列は、次のとおりです。列名は例なので、手元の表に合わせて読み替えます。
| 列 | 内容 | 用途 |
|---|---|---|
| review_id | 内容自分で振る連番(R0001など) | 用途分類結果との突き合わせ |
| date | 内容宿泊月または投稿日 | 用途月別の推移 |
| rating | 内容総合点 | 用途低評価の線引き |
| room_type | 内容部屋タイプ(シングル・和室など) | 用途客室別の偏り |
| purpose | 内容宿泊目的(出張・家族など。取れる場合のみ) | 用途客層別の偏り |
| body | 内容口コミ本文 | 用途分類と引用の元 |
予約サイトによっては、総合点とは別に項目別の点数が付くことがあります。点数が取れる場合は、その列も残します。本文の分類と点数を突き合わせると、「点数は高いのに本文で不満が出ている項目」が見つかるためです。
投稿者名、予約番号、客室番号、宿泊日の特定につながる記述は、Claudeに渡す前に列ごと削ります。本文に名前が書かれている口コミは、該当箇所を伏せ字にします。
Claudeに渡す経路は2つある
CSVは、Claudeのチャットに直接添付できる形式の一つです。Excelブックのまま渡す場合は、アカウントでコード実行とファイル作成を有効にしておく必要があります。チャットへの添付は1チャット20ファイル、1ファイル500MBまでで、コード実行とファイル作成はFree・Pro・Max・Team・Enterpriseの全プランで使えます。ただし、この機能は通常のチャットより使用量上限を多く消費します。
もう一つの経路が、Excelのアドイン「Claude for Excel」です。開いているブックの中で、分類した列の追加、ピボットテーブルの編集、条件付き書式、入力規則のドロップダウン作成を頼めます。Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランで使え、Excelのウェブ版、Windows版(Microsoft 365)、Mac版が対象です。Excel 2016と2019の永続ライセンス版、iPad、Androidでは動きません。
| 用途 | 向く経路 |
|---|---|
| 数百件の本文を分類して、タグの表を作る | 向く経路チャットにCSVを添付 |
| 分類済みの表を集計し、ピボットや書式を整える | 向く経路Claude for Excel |
| 分類の手直し(誤分類の修正) | 向く経路Excelの入力規則ドロップダウンを使う |
数千件を超える場合は、月単位に分けて回します。1回に渡す量を抑えるほうが、分類の取りこぼしを見つけやすいためです。
宿泊の分類軸は「定義」と「迷ったときの決め方」で固定する
「改善点を教えて」と頼むだけでは、実行のたびにカテゴリの名前と粒度が変わります。宿泊の口コミで特に揺れるのは、同じ現象がどのカテゴリに入るかです。たとえば「部屋がカビ臭い」は、清掃の問題とも設備(空調・換気)の問題とも読めます。
そこで、カテゴリごとに含める内容を決め、境界の判断ルールまで先に渡します。
| カテゴリ | 含める内容 | 担当の目安 |
|---|---|---|
| 清掃 | 含める内容汚れ、髪の毛、ごみ、シーツ・タオルの状態、清掃後の仕上がり | 担当の目安ハウスキーピング |
| 食事 | 含める内容朝食・夕食の味、品数、量、提供の早さ、アレルギー対応 | 担当の目安料飲・厨房 |
| 接客 | 含める内容フロント・スタッフの対応、案内、クレームへの初動 | 担当の目安フロント・支配人 |
| 設備 | 含める内容空調、水回りの水圧・湯温、Wi-Fi、エレベーター、大浴場 | 担当の目安施設・工務 |
| 客室 | 含める内容広さ、防音、においの原因が不明なもの、ベッドの寝心地 | 担当の目安客室企画・仕入れ |
| 立地・アクセス | 含める内容駅からの距離、周辺環境、送迎 | 担当の目安変えにくい(説明側で対応) |
| 価格 | 含める内容料金に対する満足度、追加料金への不満 | 担当の目安営業・料金設定 |
| 予約・チェックイン | 含める内容予約内容の食い違い、チェックイン・アウトの待ち時間 | 担当の目安フロント・予約 |
担当の列はClaudeに分類させる項目ではなく、あとで改善点を割り振るための目安です。施設の組織に合わせて書き換えてください。
境界の判断ルールは、プロンプトに明文で入れます。次の例は、チャットにCSVを添付したうえで貼る形です。
添付のreviews_clean.csvを分析します。次のルールを守ってください。
- 1つの口コミに複数のカテゴリを付けてよい。ただし各行に原文の引用を付ける
- 引用は本文(body)の一部を一字も変えずに抜き出す。要約や言い換えは不可
- 出力はreview_tags.csvに保存する
列: review_id, category, polarity, quote
polarity は「不満」「称賛」「要望」のいずれか
- カテゴリは、清掃/食事/接客/設備/客室/立地・アクセス/価格/予約・チェックイン
のいずれか。当てはまらないものは「その他」とする
- 境界の決め方:
汚れ・髪の毛・ごみが書かれていれば清掃。
においだけで原因が書かれていなければ客室。
湯が出ない・冷房が効かないなど機器の動作は設備。
スタッフの言動が書かれていれば接客。
- 本文が外国語のときは、quoteは原文のまま、別列translationに日本語訳を付ける
- 判断に迷う口コミは捨てず「その他」に入れる極性(不満・称賛・要望)を分けておく理由は、同じ「食事」でも、褒めている口コミと不満の口コミが混ざると、件数が意味を失うからです。低評価の原因を探る目的でも、3点の口コミの中に称賛が含まれることがあります。
件数と引用をExcelの式で検算する
Claudeが保存したreview_tags.csvを開き、元の表と同じブックの別シートに入れます。ここでは、シートReviews(元の口コミ。A列がreview_id、C列が総合点、D列がroom_type、F列が本文)と、シートTags(分類結果。A列がreview_id、B列がcategory、C列がpolarity、D列がquote)を想定します。
Tagsシートに検算用の列を足します。
E2: =COUNTIF(Reviews!A:A, A2)>0
F2: =IF(LEN(D2)=0, FALSE, ISNUMBER(FIND(D2, XLOOKUP(A2, Reviews!A:A, Reviews!F:F, ""))))
G2: =COUNTIFS(A$2:A2, A2, B$2:B2, B2, C$2:C2, C2)>1
H2: =XLOOKUP(A2, Reviews!A:A, Reviews!C:C, "")
I2: =XLOOKUP(A2, Reviews!A:A, Reviews!D:D, "")各列の意味は、次のとおりです。
| 列 | 判定 | 見るもの |
|---|---|---|
| E | 判定IDが元の表にあるか | 見るものFALSEなら存在しないID |
| F | 判定引用が本文にそのまま含まれるか | 見るものFALSEなら引用が崩れている |
| G | 判定同じID・カテゴリ・極性の行が2行目以降に重複していないか | 見るものTRUEなら二重計上の2回目以降(1回目はFALSEで残る) |
| H | 判定総合点(Reviews!C列)を引いた列 | 見るもの低評価の絞り込みと平均点に使う |
| I | 判定room_type(Reviews!D列)を引いた列 | 見るもの部屋タイプ別の集計に使う |
FINDは大文字小文字を区別し、SEARCHのようなワイルドカードの解釈をしません。引用の照合にはFINDのほうが安全です。
E列かF列がFALSEの行と、G列がTRUEの行は、条件付き書式で色を付けると拾いやすくなります。Claude for Excelなら、「E・F・G列のFALSEとTRUEの行を赤く塗って」と頼めます。ただし、書式を付けるのは見つけやすくするためで、検算そのものは式の結果が担います。
F列がFALSEの行は、IDを指定してClaudeに引用を取り直させます。
Tagsシートのreview_id R0123 の引用が本文と一致しません。
本文から該当箇所を一字も変えずに抜き出し直してください。直らない行は集計から外し、報告書の脚注に「引用を確認できなかった行は除外」と書いておきます。
落とし穴
ブック内のClaudeに、外部の口コミ本文を読ませる危険
口コミ本文は、不特定の外部の人が書いた文章です。Claude for Excelの説明には、外部由来のファイルに隠れた指示が含まれ、データの抜き出しや書き換えに誘導される可能性があると書かれています。信頼できるブックだけで使うこと、危険な操作は確認を求められること、編集前に信頼できるコピーを作ることが案内されています。口コミ表は、元の管理画面のデータとは別のコピーのブックで扱い、確認ダイアログは読んでから進めます。
部屋タイプ別・月別に、低評価の原因を偏りで見る
検算が済んだら、集計に移ります。総合点の線引きは施設ごとに決めます。たとえば5段階なら、3以下を低評価とするなど、先に一つ決めて固定してください。途中で線引きを動かすと、月ごとの比較ができなくなります。
低評価の原因を知りたいときは、低評価の口コミに付いた「不満」の行だけを集めます。ただし、低評価の口コミの中の件数だけを見ると、口コミの母数が多い部屋タイプが常に上位に来ます。そこで、各部屋タイプのレビュー数に対する割合で比べます。
=COUNTIFS(Tags!B:B, $A2, Tags!C:C, "不満", Tags!E:E, TRUE, Tags!F:F, TRUE, Tags!G:G, FALSE,
Tags!H:H, "<=3", Tags!I:I, B$1) / COUNTIFS(Reviews!D:D, B$1)上の式は、A列にカテゴリ、1行目に部屋タイプを置いた表の1セルです。TagsシートのH列(総合点)とI列(room_type)は、前の節の式で引いてある前提です。"<=3"は先に決めた低評価の線引きで、施設に合わせて変えます。分子は、検算を通った低評価の「不満」の行数です。G列がFALSEの行だけを数えるので、同じID・カテゴリ・極性の重複は1行分だけ残ります。分母は、その部屋タイプの口コミ全体の件数です。
ピボットテーブルでも同じ表を作れます。Claude for Excelは、ピボットテーブルの編集を直接頼める操作に挙げています。ただし、ピボットのデータ個数は行数を数えるため、重複行を除いた表を元にしてください。
次の表は、読み方を示す仮の例です。数字は説明のための架空の値で、実際の出力ではありません。
| カテゴリ | シングル | ツイン | 和室 | 読み取り |
|---|---|---|---|---|
| 清掃 | シングル4% | ツイン3% | 和室12% | 読み取り和室だけ突出。畳・布団まわりの清掃手順を疑う |
| 設備 | シングル9% | ツイン8% | 和室6% | 読み取り部屋タイプを問わず一定。建物全体の設備が原因の可能性 |
| 食事 | シングル2% | ツイン6% | 和室5% | 読み取りツインに多い。家族客が多い部屋で量や品数への声があるかを原文で確認 |
| 接客 | シングル3% | ツイン3% | 和室4% | 読み取り偏りなし。個別の対応を見る |
割合の表で偏りが見えたら、そのカテゴリの引用を、IDごとに読みます。偏りの理由は、数字からは出ません。たとえば和室の清掃が12%でも、原文を読むと「布団の湿り気」の指摘が大半で、清掃の質ではなく干す頻度や仕入れの問題かもしれません。
月別に見ると、設備と季節の関係が見える
同じ表を宿泊月で並べると、季節に連動する不満を切り分けられます。冷房や暖房、大浴場の湯温、虫に関する不満は、特定の月に固まりやすい項目です。通年で一定の不満は設備や運用の問題、季節で増減する不満は、繁忙期の人員や空調の能力の問題、と切り分けると、対策の方向が変わります。
月ごとの口コミ数が少ない施設では、割合が大きく揺れます。数件の月は、割合ではなく件数と原文で並べ、「傾向」とは書かないほうが安全です。
改善点を担当部署ごとの依頼に変える
集計表は、そのまま改善点にはなりません。「和室の清掃の不満が12%」を、ハウスキーピングが動ける依頼にするところまで、Claudeに下書きさせます。
次の集計と引用をもとに、担当部署ごとの改善依頼メモを作ってください。
- 部署は、ハウスキーピング/料飲/フロント/施設/営業のいずれか
- 各依頼に、根拠のreview_idを2つ以上添える
- 引用にない原因は書かない(「畳の劣化」と書いた口コミがなければ書かない)
- 直す難しさ(すぐ/設備投資が要る/変えにくい)を各依頼に付ける
- 称賛が多いカテゴリは、「守りたい強み」として別枠にまとめる「引用にない原因は書かない」の指定が肝心です。口コミの要約から原因を推測すると、現場が検証できない改善案になります。review_idが付いていれば、読んだ人が元の声を確かめられます。
優先順位は、次の3つを並べて決めます。
| 観点 | 見るもの |
|---|---|
| 広がり | 見るもの全レビューに対する割合、複数の部屋タイプにまたがるか |
| 痛み | 見るものそのカテゴリの口コミの平均点 |
| 直しやすさ | 見るもの担当部署が自分で動かせるか、設備投資が要るか |
割合が高く平均点も低いのに、設備投資が要る項目は、投資判断の資料にします。割合は低くても、すぐ直せて平均点が低い項目は、先に手を付けられる候補です。一方で、立地・アクセスのように変えられない項目は、予約ページの説明を直すなど、期待値の側で対応するのが現実的です。
称賛の集計も、残しておく価値があります。口コミで繰り返し褒められている項目は、改善のときに誤って崩さないための基準になります。
返信と集計を混ぜない
個別の口コミへの返信文は、別の作業です。口コミを1件ずつ読む返信の下書きはGoogleのクチコミ返信の下書きに手順があります。集計用のチャットに返信の依頼を混ぜると、分類のルールが崩れやすくなるため、チャットを分けます。
つまずきやすい点
宿泊口コミの分析で起きやすい失敗
1つの口コミを複数に数えて割合が100%を超える
複数のカテゴリを許す設計では、カテゴリ別の合計がレビュー数を超えます。報告書には「複数回答」と書き、割合の分母は口コミ数にそろえます。
途中で低評価の線引きを動かす
3以下から2以下に変えると、月ごとの推移が比べられなくなります。変えるときは、過去分も同じ線で集計し直します。
データ分割のたびに分類軸が変わる
月ごとに別のチャットで分類すると、カテゴリ名の揺れが出ます。分類軸のプロンプトは保存し、毎回同じものを貼ります。
検算せずにClaudeの集計表を報告書へ貼る
会話の中の集計表と、ブックの式の結果は別々に作られた数字です。報告書には式の結果を載せ、Claudeの表とずれていないかを見比べます。
Claude for Excelの説明では、最終的な顧客向け成果物は人の確認なしで使わないこと、検証なしで監査に関わる計算に使わないことが挙げられています。口コミの集計も、経営会議や取引先に出す資料にするときは、式の結果と原文を人が見て確かめてから使います。
よくある質問
口コミが外国語で書かれているときはどうするか
プロンプトで、引用は原文のまま、日本語訳は別の列に出すよう指定します。引用の照合は原文で行うため、訳を引用の代わりにしないでください。
Excelの式が苦手でも検算できるか
Claude for Excelに、「Tagsシートの各行について、IDの実在と、引用が本文に含まれるかを確かめる列を足して」と頼めます。足された式は、自分で読んで意味を確かめます。なお、マクロとVBAの操作は、Claude for Excelの対象外です。