Claudeで団体旅行の行程表と手配依頼書を同じ元表から作る手順
団体旅行の人数・日程・アレルギーを1枚の元表にまとめ、Claudeのプロジェクトで行程表と宿・貸切バス・食事先への依頼書を作り分けます。変更時の反映手順と個人情報の扱いも解説します。
団体旅行の幹事仕事で手間がかかるのは、書類を作ることよりも、同じ事実を書類ごとに書き写して、変更のたびに直して回ることです。参加者が3人減った、昼食の店が変わった、1日目の出発が30分遅れた。こうした変更は、行程表、宿への依頼書、バス会社への依頼書、食事先への連絡のすべてに及びます。
この記事では、人数・日程・アレルギーを1枚の元表に集め、Claudeのプロジェクトに置いて、そこから宛先別の書類を作る流れを説明します。元表を1か所だけ直せば全書類を作り直せる状態が目標です。個人情報を扱うので、後半に置き方の注意もまとめました。個人旅行のしおりならClaudeで旅行のしおり(日程表)を作らせる手順が出発点になります。
書類をバラバラに作ると、どこでずれるのか
団体旅行の書類は、宛先ごとに必要な項目が違います。それでも元になる事実は共通です。
| 宛先 | 必要な項目 | 元表のどの列か |
|---|---|---|
| 参加者向け行程表 | 必要な項目集合・出発時刻、立ち寄り先、解散 | 元表のどの列か日程シート |
| 宿 | 必要な項目到着予定時刻、人数、部屋割、夕朝食、食事制限 | 元表のどの列か日程と名簿 |
| 貸切バス会社 | 必要な項目乗車人数、乗降地、時刻、車椅子や大型荷物 | 元表のどの列か日程と名簿 |
| 食事先 | 必要な項目日時、人数、コース、アレルギー | 元表のどの列か日程と名簿 |
人数は4種類の書類すべてに出てきます。行程表は修正したのにバスの依頼書は旧人数のまま、という食い違いは、元表が書類の数だけ存在するときに起きます。元表を1つに絞り、書類はそこから派生させるのが、この記事の考え方です。
元表の作り方 — 日程シートと名簿シートに分ける
元表はExcelのブック1つ(またはCSV2つ)にまとめます。シートは2枚です。
日程シートは1行を1つの予定にします。
日,時刻,種別,場所,人数,備考
1,08:00,集合,東京駅 丸の内南口,32,
1,08:30,バス出発,東京駅,32,大型荷物あり
1,12:00,昼食,〇〇食堂,32,アレルギー対応あり
1,17:00,宿泊,△△旅館,32,2名1室を基本
2,09:00,バス出発,△△旅館,32,名簿シートは1行を1人にします。氏名の代わりに管理番号を使うと、依頼書に載せる情報を絞りやすくなります。
番号,区分,部屋,食事制限,配慮事項
001,大人,101,卵,
002,大人,101,,
003,子ども,102,そば,車椅子列の名前は、後で依頼書の指示に書く言葉とそろえてください。「食事制限」と「アレルギー」が混在すると、Claudeがどちらを拾うか曖昧になります。
プロジェクトに元表と作成ルールを置く
ここからClaudeの設定です。Projectsは、専用のチャット履歴と知識ベースを持つ作業スペースです。ドキュメントやテキストなどをプロジェクトの知識として置くと、プロジェクト内のチャットがその内容を前提に動きます。プロジェクトごとに指示(プロジェクト指示)も定義できます。
プロジェクトの用意
- 1
プロジェクトを作る
旅行ごとにプロジェクトを1つ作ります。名前は「2026秋 社員旅行」のように旅行単位にします。
- 2
元表をファイルとして置く
プロジェクトのFilesに、日程シートと名簿シートを置きます。XLSXを置くには、アカウントでコード実行とファイル作成を有効にしておく必要があります。CSVで置くなら不要です。
- 3
プロジェクト指示に作成ルールを書く
宛先ごとに載せてよい項目と、載せてはいけない項目を指示に書きます。例は次の節に置きます。
プロジェクトに置いたファイルには上限があります。ファイルあたり30MBで、枚数は無制限ですが、全体がClaudeのコンテキストウィンドウに収まる必要があります。そしてテキスト抽出のみが対象です(マルチモーダルPDFは例外)。団体旅行の元表は数十KBで収まるので、この上限に当たることはまずありません。ただし、バス会社から届いた見積書のPDFや、宿のパンフレットの画像を足していくと話は変わります。
内容が増えて上限に近づく有料プランでは、RAGモードが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。元表のように全行を漏れなく見てほしい資料では、全文投入との違いを知っておくと安全です。詳しくはClaude ProjectsのRAG検索はいつ発動する? 全文投入との違いにあります。
プロジェクト指示の書き方 — 宛先ごとの出力規則
次は、プロジェクト指示に入れる文面の例です。そのまま貼って、旅行に合わせて直してください。
このプロジェクトは団体旅行の書類作成用です。
元データは「日程」「名簿」の2つだけです。ここにない情報は推測せず、
「元表に記載なし」と書いて、私に確認してください。
書類は宛先ごとに次の項目だけを載せます。
- 行程表(参加者向け): 時刻、場所、集合場所、持ち物。名簿は載せない。
- 宿への依頼書: 到着予定、人数、部屋割(番号のみ)、夕朝食、食事制限。
氏名は載せず、管理番号と制限の種類だけ書く。
- バス会社への依頼書: 日時、乗降地、人数、車椅子・大型荷物の有無。
アレルギー情報は載せない。
- 食事先への依頼書: 日時、人数、アレルギーの種類と該当人数。
どの書類にも先頭に「版: YYYY-MM-DD / 通し番号」を入れます。この指示の要点は2つです。1つ目は、宛先ごとに載せる項目を先に決めていることです。バス会社にアレルギー情報は要りません。要る情報だけを渡す設計にすると、依頼書を送る側の判断が楽になります。2つ目は、元表にない項目を埋めさせないことです。Claudeに「適切な時刻」を補わせると、もっともらしい数字が入ってしまいます。分からない項目は空欄のまま私に聞く、と指示しておきます。
4種類の書類を一度に作らせる
指示を置いたら、プロジェクト内の新しいチャットで書類を作らせます。依頼文は短くて構いません。
日程シートと名簿シートから、次の4つを作ってください。
1. 参加者向け行程表(Word)
2. 1日目の宿への依頼書(Word)
3. 貸切バスの依頼書(Word)
4. 昼食先への依頼書(Word)
作成後、人数が書類間で一致しているか、確認結果を表で見せてください。ファイル作成が有効なら、Excel(.xlsx)、PowerPoint(.pptx)、Word(.docx)、PDFを生成してダウンロードできます。Google Driveへの保存にも対応しています。ファイル1つの上限は、アップロードもダウンロードも30MBです。
最後の一文が大事です。書類を作らせたら、人数の突き合わせを同じチャットで頼みます。ただしClaudeの確認結果が正しいという保証はないので、人数が決まる局面では、元表の合計と見比べる最終確認は人間が行ってください。
変更が出たときの反映手順
団体旅行で本当に難しいのは初版ではなく、変更が出た後です。手順は決まった型にします。
変更の反映手順
- 1
元表を直す
参加者の増減や時刻の変更は、元表のExcelだけを直します。書類を直接いじりません。
- 2
プロジェクトのファイルを入れ替える
直した元表をプロジェクトに置き、古い版は外します。古い版を残すと、新旧の人数が併存して食い違いの原因になります。
- 3
新しいチャットで差分を出させる
「前回の依頼書と何が変わったか、宛先別に列挙してください」と頼みます。変更のない宛先は再送が要りません。
- 4
影響のある書類だけ作り直す
版の通し番号を上げて、該当する書類だけを再生成します。
古い版を外すのは、プロジェクトの知識が、プロジェクト内のすべてのチャットの前提になるためです。旧ファイルが残っていると、新しいチャットでも旧人数が前提に入りえます。
差分の列挙は、そのまま送付メールの文面にも使えます。「前回送付分から、人数を32名から29名に変更します」のように、何が変わったかを冒頭に書けば、受け取る側が全文を読み直さずに済みます。
個人情報の扱い — 名簿に何を入れ、どこまで共有するか
アレルギー情報は健康に関わる情報です。名簿をClaudeに渡すこと自体を決める前に、社内の規程や参加者への説明がどうなっているかを確認してください。個人情報の扱いは組織の規程と法令に左右されるため、ここでは設計上の工夫だけを挙げます。
- 氏名を入れない: 名簿は管理番号で作り、氏名との対応表は別管理にします。依頼書に必要なのは、制限の種類と該当人数です
- 宛先ごとに出す項目を絞る: 先の指示のとおり、バス会社にアレルギー情報を渡さないように規則にしておきます
- 外部サイトの内容を取り込ませない: コード実行とファイル作成には、悪意ある指示が埋め込まれた外部ファイルやウェブサイトに誘導されるリスクが、公式に説明されています。名簿を置いたプロジェクトで、出所の不明なファイルを読ませるのは避けます
Team・Enterpriseプランでは、プロジェクトを他のメンバーと共有できます。共有時の権限は「閲覧」(内容の閲覧とチャットはできるが編集不可)と「編集」の2つです。幹事が複数いる旅行では、元表を編集する人だけに「編集」を与え、他は「閲覧」にします。また、プロジェクトが組織内に公開されていても、プロジェクト内のチャット自体は、手動で共有しない限り他のメンバーには見えません。名簿を置くプロジェクトは、非公開(招待した人のみ)で作るのが基本です。
個人データを置いたプロジェクトの運用は、保有個人データの開示請求対応をClaudeで整えるでも別の角度から扱っています。
書類が実際に使えるかを確かめる観点
出力された依頼書は、送る前に次の観点で見ます。
| 観点 | 確認の中身 |
|---|---|
| 人数の一致 | 確認の中身全書類の人数が、元表の合計と同じか |
| 時刻の整合 | 確認の中身バスの出発時刻と、行程表の出発時刻が同じか |
| 載せない項目 | 確認の中身バスの依頼書にアレルギー情報が混ざっていないか |
| 空欄の扱い | 確認の中身元表にない項目が、勝手に補われていないか |
| 版の番号 | 確認の中身再送分の通し番号が前回より進んでいるか |
Claudeは誤った内容を、もっともらしく出力することがあります。依頼書は外部の事業者に渡る書類です。送る前の確認は人の仕事として残してください。
よくあるつまずき
Excelを置いたのに読み込まれない: XLSXのアップロードには、コード実行とファイル作成の有効化が前提です。設定を確認するか、CSVに書き出して置きます。
シートが複数あるのに片方しか参照されない: 元表が1ブックに複数シートだと、意図しないシートが使われることがあります。依頼文でシート名を明示するか、CSVを2つに分けます。
書類ごとに人数が違って見える: 子ども・幹事・添乗員を人数に含めるかが、書類ごとに違っていないかを見ます。区分の列を持たせ、「参加者合計」と「バス乗車人数」で数え方を指示に定義しておくと防げます。
変更後も旧人数で出てくる: 古い元表がプロジェクトに残っていないかを確認します。新しいチャットで試すと、古い会話の影響を切り分けられます。
まとめ
団体旅行の書類は、元表を1つに絞り、宛先ごとの載せる項目を指示で固定すると、作るのも直すのも1か所で済みます。変更が出たら元表を直し、差分を宛先別に出させて、影響のある書類だけ版を上げて再送します。名簿は管理番号で持ち、プロジェクトは非公開が基本です。最終確認の人数照合だけは、人の目で行ってください。