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Claudeで婚礼のキュー表を作る — ヒアリングシートから音響・照明の進行表へ

Claudeで婚礼のキュー表を作る — ヒアリングシートから音響・照明の進行表へ

婚礼の打合せヒアリングシートをプロジェクトに入れ、当日の進行表を音響・照明・司会の担当別キュー表に分ける手順。出し合図の抜けは簡単なスクリプトで拾います。

Claudeで婚礼のキュー表を作る — ヒアリングシートから音響・照明の進行表へ

婚礼の打合せで集めた希望は、新郎新婦の言葉のまま残っています。「入場はしっとり、でも扉が開いたら明るく」「中座のときは暗くしたい」。これを当日の現場が動かせる形にするには、時刻・担当・合図に分けた表が要ります。この表が婚礼のキュー表(進行表)です。

Claudeに任せる手順は3つです。ヒアリングシートをプロジェクトの知識に入れる。キュー表の列と書き方をプロジェクトの指示に書く。出てきた表を、抜けの検査で確かめる。この記事では、この3つを架空の披露宴(17時開始)を例に示します。

キュー表は進行表の何を足したものか

進行表は「何時に何をするか」を並べた表です。キュー表はそこに「誰が、何を合図に、何を出すか」を足したものになります。婚礼では、司会・音響・照明・キャプテン(会場スタッフの進行役)が同じ表を別々の目で読みます。

同じ1行でも、読む人によって知りたいことが違います。

担当その行で知りたいこと
司会その行で知りたいこと何を言って、次に誰が動くか
音響その行で知りたいことどの曲を、どこから、どう終えるか
照明その行で知りたいことどの明るさに、いつ切り替えるか
キャプテンその行で知りたいこと誰をどこへ案内するか

イベント一般の持ち時間を積み上げて検算する手順は、Claudeでイベントの進行表を作り持ち時間を検算するにあります。ここでは、その手前にある「ヒアリングの言葉を担当別の指示に分ける」ところを扱います。

ヒアリングシートの項目をキュー表の列に対応させる

最初に決めるのは、聞き取った項目がキュー表のどの列に入るかです。対応を決めておくと、Claudeへの指示が短くなり、抜けにも気づきやすくなります。

ヒアリングの項目キュー表での置き場
入場・中座・お色直しの演出キュー表での置き場司会の行と、演出ごとの行
希望の曲(曲名・使う場面)キュー表での置き場音響の行(曲名と尺)
明るさの希望(暗くしたい・華やかに)キュー表での置き場照明の行
ゲストへの配慮(席・来賓の順)キュー表での置き場キャプテンの行
時間の希望(乾杯は何時ごろまで)キュー表での置き場時刻の列

自由記述の希望は、1つの文に複数の担当が混ざっています。「入場はしっとり、でも扉が開いたら明るく」なら、音響には「しっとりした曲で入場」、照明には「扉が開いた時点で明るく」の2行が要ります。Claudeには、この分解を頼みます。

プロジェクトにヒアリングシートと指示を置く

Claudeのプロジェクトは、独立した作業場所です。チャット履歴とナレッジ(知識)を持ち、書類や文脈をアップロードしておけます。婚礼のように、打合せが数回にわたり、同じシートを何度も参照する作業に向きます。

プロジェクトは無料アカウントを含む全ユーザーが使え、無料プランで作れるのは5件までです。作り方はこの順です。

手順

婚礼用プロジェクトの作り方

  1. 1

    プロジェクトを作る

    Projectsを開いて新規作成し、名前と説明を付けます。この名前と説明は、Claudeからは見えません。

  2. 2

    ヒアリングシートを知識に入れる

    ナレッジの「+」から、ヒアリングシートや前回の打合せメモをアップロードします。知識に入れた内容は、プロジェクト内のすべてのチャットで使われます。

  3. 3

    指示を保存する

    「Set project instructions」から、キュー表の書き方を指示として保存します。以降のチャットで共通して使われます。

  4. 4

    チャットでキュー表を頼む

    プロジェクトの中で新しいチャットを始め、キュー表の作成を頼みます。

注意したいのは、プロジェクト内でもチャットをまたいだ文脈は共有されない点です。ヘルプセンターには、知識に追加した情報だけが共有されると書かれています。打合せで決まった変更は、チャットの中で言うだけでは次のチャットに残りません。更新したシートを知識に入れ直す運用にします。

指示に書くこと

指示に書くのは、キュー表の列、空欄の扱い、言葉遣いです。次の文面は、そのまま貼れる形の例です。

あなたは婚礼の進行を整理する補助役です。ヒアリングシートの内容から、当日のキュー表を作ります。
 
出力する列: 時刻 / 担当(司会・音響・照明・キャプテン) / キュー番号 / 内容 / 出し合図
- 1つの希望に複数の担当が関わるときは、担当ごとに行を分ける
- 音響の行には曲名と尺を書く。シートに無い場合は「要確認」と書く
- 暗転や特殊な照明の後には、戻しのキューを必ず入れる
- 出し合図が決まっていない行は、空欄のまま出す
- シートに書かれていないことを推測で埋めない
- 新郎新婦の氏名は、シートの表記に合わせる

「推測で埋めない」「空欄のまま出す」の2行が肝心です。足りない項目をもっともらしい値で埋められると、曲の尺や出し合図が根拠のない数字で入ってしまいます。空欄で返させれば、聞き直す項目の一覧がそのまま手に入ります。

ヒアリングの言葉を担当別の行に分ける

シートを知識に入れたら、チャットで依頼します。

知識にあるヒアリングシートから、17:00開始の披露宴のキュー表を作ってください。
入場から中座までを対象にします。担当ごとに行を分け、
決まっていない曲の尺と出し合図は空欄にしてください。

返ってくる表は、次のような形になります(以下は列の構成を示すための例示で、Claudeの実際の出力ではありません)。

時刻担当キュー内容出し合図
17:00担当音響キューS1内容入場BGM「曲A」(3:40)を頭から出し合図司会「新郎新婦の入場です」
17:00担当照明キューL1内容会場を落とし、扉にスポット出し合図S1と同時
17:03担当照明キューL2内容スポットを新郎新婦へ追従出し合図扉が開いた時
17:06担当照明キューL3内容通常点灯に戻す出し合図着席後
17:06担当音響キューS2内容BGMを3秒でフェードアウト出し合図着席後

照明は「戻す」まで1セットで書きます。暗転で終わったキュー表は、現場で止まります。この例は指示にも書いた「戻しのキュー」に当たる部分です。

一度に全部を頼まず、場面ごとに分けると直しやすくなります。入場から乾杯、歓談とお色直し、余興からお見送り、という3つほどの塊で頼めば、どこで抜けが出たかを追えます。

表の受け取り方

表をスプレッドシートで使いたいときは、xlsxで作らせる方法があります。ヘルプセンターによると、Claudeはコード実行でExcel、PowerPoint、Word、PDFのファイルを作れます。1ファイルの上限は、アップロードもダウンロードも30MBです。作ったファイルはダウンロードするか、Google Driveに保存できます。

Free、Pro、Maxでは、設定のCapabilitiesで「Code execution and file creation」をオンにします。xlsxをアップロードして使うときも、この設定が要ります。TeamとEnterpriseでは組織の設定で既定は有効ですが、オーナーが切れます。

出し合図の抜けをスクリプトで拾う

Claudeが作った表は、読むだけだと抜けに気づけません。曲の尺が空欄、暗転の戻しが無い、合図が空という3つは、現場で一番困る抜けです。この3つを、ルールで機械的に検査します。キュー表をCSVで書き出し、次のスクリプトにかけます。

import csv, io
from datetime import datetime
 
DATA = """時刻,担当,キュー,内容,トリガー
17:00,音響,S1,入場BGM「曲A」(3:40) 頭から再生,司会「新郎新婦の入場です」
17:00,照明,L1,会場全体を落とし、扉にスポット,S1と同時
17:03,照明,L2,スポットを新郎新婦へ追従,扉が開いた時
17:06,照明,L3,通常点灯に戻す,着席後
17:06,音響,S2,BGM「曲A」を3秒でフェードアウト,着席後
17:20,音響,S3,乾杯用BGM再生,
17:22,照明,L4,暗転,キャンドルサービス開始
17:40,音響,S4,中座BGM「曲B」,新郎新婦の中座
"""
 
def minutes(s):
    t = datetime.strptime(s, "%H:%M")
    return t.hour * 60 + t.minute
 
rows = list(csv.DictReader(io.StringIO(DATA)))
problems = []
prev = -1
for r in rows:
    m = minutes(r["時刻"])
    if m < prev:
        problems.append(f'{r["キュー"]}: 時刻が前の行より戻っている')
    prev = m
    if not r["トリガー"]:
        problems.append(f'{r["キュー"]}: 出し合図(トリガー)が空')
    if (r["担当"] == "音響" and "曲" in r["内容"]
            and "(" not in r["内容"] and "フェード" not in r["内容"]):
        problems.append(f'{r["キュー"]}: 曲の尺が未記入')
 
lights = [r for r in rows if r["担当"] == "照明"]
for i, r in enumerate(lights):
    if "暗転" in r["内容"] and not any(
            "戻" in x["内容"] or "点灯" in x["内容"] for x in lights[i + 1:]):
        problems.append(f'{r["キュー"]}: 暗転の後に戻しのキューがない')
 
for p in problems:
    print("要確認 ->", p)
print(f"キュー {len(rows)} 件 / 要確認 {len(problems)} 件")
python3 cue_check.py

手元(Python 3)で実行した出力です。

要確認 -> S3: 出し合図(トリガー)が空
要確認 -> S4: 曲の尺が未記入
要確認 -> L4: 暗転の後に戻しのキューがない
キュー 8 件 / 要確認 3 件

3件とも、実際の打合せでは聞き直す項目です。S3は乾杯の曲を出す合図、S4は中座の曲の長さ、L4はキャンドルサービスの暗転を戻すタイミングを確かめます。

この検査は、列の名前や文言の判定を単純な文字列一致で書いた例です。会場や担当の書き方に合わせて、判定語を直して使ってください。Claudeにコード実行で同じ検査をさせる方法もあります。その場合は、実行したコードも見せるよう頼むと、何を検査したかを追えます。

担当別に1枚ずつ切り出して渡す

全員に同じ全体表を渡すと、各担当は自分の行を探すところから始めます。担当別の1枚にすれば、現場での確認が速くなります。

Claudeには、完成した全体表から切り出させます。

上のキュー表から、音響担当向けの1枚を作ってください。
音響の行だけを時刻順に並べ、曲名・尺・出し合図を残します。
照明の行は削り、音響の出し合図に関わる照明のキュー番号だけを備考に入れてください。

照明のキュー番号を備考に残すのが、切り出しのコツです。音響の合図が「S1と同時」のように、他の担当のキューを指している場合があります。参照先を削ると、渡された側で意味が通りません。

切り出しのたびに全体表との食い違いが出ないよう、元の全体表を直したら、担当別の1枚も作り直します。担当別の表だけを手で直すと、全体表との間にずれが生まれます。

落とし穴

打合せの変更が、知識のシートに入っていない

「曲を変えたい」という変更を、チャットで伝えただけで終わらせると、次のチャットで古い曲のままキュー表が出ます。プロジェクトは、チャットをまたいだ文脈を共有しません。更新した内容は、知識のシートに反映してからキュー表を作り直します。

共有・記憶・個人情報の扱い

ヒアリングシートには、新郎新婦や家族の氏名、日程、会場が入ります。プロジェクトに入れる前に、載せる範囲を決めておくと安心です。氏名をイニシャルや呼び名にしても、キュー表の用は足ります。

共有は、TeamとEnterpriseのプランだけが対象です。プロジェクトを組織内のメンバーに共有でき、権限は「Can view」と「Can edit」から選びます。「Can view」は内容を見てチャットもできますが、編集はできません。会場担当に確認してもらうだけなら、閲覧権限で足ります。管理者が共有を切っている場合は共有できません。

メモリ(記憶)は、プロジェクトごとに別々です。プロジェクトの中では、そのプロジェクトのメモリと、プロジェクト外のチャットのメモリが併用され、他のプロジェクトのメモリは使われません。別の婚礼の情報が混ざるのが気になるときは、プロジェクトのページで「Use account memory」をオフにします。

知識の量が増えても、有料プランでは大きな文書量にも対応します。ナレッジがコンテキストの上限に近づくと、RAGモードに切り替わり、容量が最大で10倍に広がります。婚礼のシート数枚という量なら、この仕組みを意識する場面は多くないはずです。

新しい版のプロジェクト(ベータ)について

ヘルプセンターには、プロジェクトの新しい版がベータとして段階的に提供されると書かれています。新しい版では、1つのプロジェクトが1つの会話になり、Claudeが作業を並列のスレッドに分けてクラウドで進めます。ただしこの版は、Claude Codeを使う一部のProとMaxの利用者から順に提供されており、既存のプロジェクトは、チャットとCoworkでは当面現行の版のままです。

この記事で使ったナレッジと指示の仕組みは、現行の版の説明に基づいています。画面が違って見えるときは、自分のプロジェクトがどちらの版かを先に確かめてください。

本番前に人の目で確かめる点

スクリプトが拾えるのは、書式上の抜けだけです。曲の尺が実際の音源と合っているか、会場の機材で再生できる形式か、照明の明るさの段階が会場の設備で出せるかは、書類からは分かりません。リハーサルや会場との打合せで、人が確かめる部分です。

また、Claudeに任せた表は下書きです。司会や会場スタッフの習慣で、キュー表の書き方は違います。会場の書式があるなら、その書式の見本を知識に入れ、「この書式に合わせて」と頼むと、読み替えの手間が減ります。当日の運営担当ごとの持ち場と想定問答はClaudeでイベント当日の運営マニュアルと想定問答を作るにまとめました。婚礼の挨拶や乾杯の原稿を時間に合わせて作る方法はClaudeで結婚式の乾杯の挨拶・スピーチ原稿を作るにあります。

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