建築確認申請の添付図書を施行規則でClaudeに点検させる手順
建築基準法施行規則1条の3の表一・表二を図書一覧にして、提出PDFと照合し、不足している図書を表にまとめる手順を示します。構造や法適合の判断は対象外です。
建築確認申請では、申請書に添える図書がそろっていないと審査の入口で止まります。何を添えるかは建築基準法の施行規則1条の3に表の形で書かれていますが、表二だけで90項を超え、読み比べながら提出PDFと突き合わせるのは手間がかかる作業です。この突き合わせをClaudeに任せ、不足している図書を表にして返させる手順を、条文の構造から順に示します。点検するのは「図書があるか」「条文が求める明示事項が載っているか」までです。構造や法適合の判断はしません。
施行規則1条の3は申請書に何を含めると定めているか
建築基準法6条1項の確認の申請書は、施行規則1条の3第1項で「次の各号に掲げる図書及び書類」と定義されています。つまり、いわゆる添付図書は申請書そのものの一部です。第1項各号の骨格は次のとおりです。
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 1号 | 内容別記第2号様式の申請書(正本1通・副本1通)に、表一の図書と、該当する場合は表二〜表五の図書・書類を添えたもの |
| 2号 | 内容別記第3号様式による建築計画概要書 |
| 3号 | 内容代理者が申請する場合の委任状またはその写し |
| 3号の2 | 内容建築物等情報モデル図書申請を行う場合の誓約書 |
| 4号 | 内容建築士が構造計算で安全性を確かめた建築物で、建築士法20条の2の適用がない場合の、同法20条2項の証明書(構造計算書を除く)の写し |
1号には条件が付いています。正本に添える図書は、設計者の氏名が記載されたものに限られます。点検の対象に「設計者氏名の欄が埋まっているか」を加えておくと、差し戻しの原因になりやすい箇所を拾えます。
第2項から第6項にも、図書の増減に関わる規定があります。
- 第2項: 建築基準法86条の7の既存建築物の増改築等では、表一の(い)項の図書に「適用されない規定がある旨」を明示する
- 第3項: 全体計画認定、またはその変更の認定を受けた建築物では、通知書(別記第67号の5様式)と添付図書の写しを添える
- 第4項: 計画に建築設備が含まれる場合の申請書も、各号に掲げる図書及び書類として別に定められている
- 第6項: 図書に明示すべき事項を、他の図書に明示して添えてもよい
第6項は点検の精度に直結するので、後半で改めて扱います。
表一と表二は何を決める表か
条文の表は、役割の違う複数の表で構成されています。点検用の一覧を作る前に、この分担を押さえておきます。
図書を決める表の役割
表一(い)(ろ)(は)
どの申請でも基本になる図書の表です。(い)項は付近見取図・配置図・各階平面図・床面積求積図、(ろ)項は二面以上の立面図・二面以上の断面図・地盤面算定表、(は)項は基礎伏図・各階床伏図・小屋伏図・構造詳細図です。
表二
建築物に適用される条文ごとに、追加で必要な図書と明示事項を定める表です。(い)欄が「どの条文が適用される建築物か」、(ろ)欄が「その場合に要る図書」に当たります。
表三・表四・表五
構造計算書(表三)、建築主事等が求める場合の書類(表四)、計算書(表五)など、構造計算に関わる図書・書類の表です。
表一の(い)項から順に、図書ごとに「明示すべき事項」が決められています。たとえば配置図には、縮尺と方位、敷地境界線、敷地内の建築物の位置、延焼のおそれのある部分、敷地の接する道路の位置・幅員・種類、下水管やためますの位置と排出経路などが並びます。各階平面図なら、縮尺と方位、間取りと各室の用途・床面積、壁と筋かいの位置と種類、通し柱と開口部の位置、増築等の場合はその部分、といった具合です。
表一は一律に全部が必要なわけではありません。1号イの括弧書きで、次の場合は該当する図書が除かれます。
- 用途変更の場合は、(は)項の図書が除かれる
- 特定木造建築物(構造計算で安全性を確かめたものを除く木造の建築物)の場合は、(は)項のうち基礎伏図・各階床伏図・小屋伏図が除かれる
- 国土交通大臣があらかじめ安全であると認定した構造で、認定書の写しを添えた場合は、(は)項のうち大臣が指定した図書が除かれる
表二は(一)項から(九十三)項まで、枝番を含めて並んでいます。(一)項が建築基準法20条、(二)項が21条というように、ほぼ法の条番号の順です。法令の分野もまたぎ、消防法、屋外広告物法、都市計画法、駐車場法、バリアフリー法、建築物省エネ法、都市緑地法など、他法令の規定が適用される建築物の項も含まれます。付近見取図に「敷地の位置」を明示させる項が多いのも特徴で、同じ図書が複数の項から繰り返し要求されます。
点検用の図書一覧をClaudeで作る
最初の作業は、条文から「この案件で要る図書と明示事項」の一覧を作ることです。ここで重要なのは、表二のどの項が適用されるかを、Claudeに推測させないことです。適用の有無は敷地の用途地域、防火指定、建築物の規模・構造といった案件の事実で決まり、これを間違えると一覧そのものが誤ります。
役割分担は次のようにします。
一覧づくりの手順
- 1
条文の該当部分を貼る
e-Govの法令検索から施行規則1条の3の本文を取得し、表一と、適用される項だけを抜き出して渡します。条文全体を貼ると長いので、表二は該当項に絞ります。
- 2
適用される項を自分で決める
設計者や申請担当が、案件に適用される表二の項番号を決めて伝えます。迷う項は、確認申請の窓口や民間の確認検査機関に聞く前提で「要確認」と書きます。
- 3
図書名と明示事項の一覧にさせる
Claudeには、渡した条文から図書名と明示事項を機械的に書き出させます。項に書いていないことは補わせません。
次のようなプロンプトで依頼できます。
添付した建築基準法施行規則1条の3の条文(表一と、表二の(一)(三)(四十)(八十五の二)項)から、
この案件の確認申請書に添える図書の一覧表を作ってください。
案件の前提(私が確認済み):
- 用途: 木造2階建ての一戸建て住宅
- 表二で適用される項: (一)(三)(四十)(八十五の二)
- 用途変更ではない
条件:
- 列は「図書名」「明示すべき事項」「根拠(表一(い)項など)」にする
- 条文に書かれていない図書や事項を足さない
- 条文の解釈が分かれそうな箇所は、末尾に「要確認」としてまとめる返ってくる表は、例えば次のような形になります(これは書式の例で、実際の出力ではありません)。
| 図書名 | 明示すべき事項(抜粋) | 根拠 |
|---|---|---|
| 付近見取図 | 明示すべき事項(抜粋)方位、道路、目標となる地物 | 根拠表一(い)項 |
| 配置図 | 明示すべき事項(抜粋)縮尺・方位、敷地境界線、建築物の位置 ほか | 根拠表一(い)項 |
| 各階平面図 | 明示すべき事項(抜粋)縮尺・方位、間取り・各室の用途・床面積 ほか | 根拠表一(い)項 |
| 床面積求積図 | 明示すべき事項(抜粋)求積に必要な各部の寸法と算式 | 根拠表一(い)項 |
この一覧は、条文を読み上げた結果にすぎません。作った時点で一度、元の条文と見比べて、図書名の取りこぼしがないかを人が確認します。ここを省くと、以降の照合がすべて誤った一覧の上に乗ります。
提出PDFと照合して不足図書を表にする
一覧ができたら、提出予定のPDFと突き合わせます。照合は「図書の有無」と「明示事項の有無」の2段階に分けると、結果を読みやすくなります。
1段階目は図書の有無です。PDFのしおり(ブックマーク)や図面の表題欄から、一覧の図書が存在するかを調べます。2段階目は、存在する図書に、条文が求める明示事項が載っているかです。たとえば配置図があっても、敷地の接する道路の幅員や種類が書かれていなければ、明示事項の不足になります。
添付の提出PDFを、先ほどの図書一覧と照合してください。
出力:
- 表の列は「図書名」「PDF内の所在(ページ番号)」「判定」「不足している明示事項」
- 判定は「あり」「なし」「明示事項に不足の疑い」の3つだけ
- 図面の内容が条文に適合しているかの評価は書かない。有無と記載の有無だけを見る
- 読み取れなかった図面は「判読不可」とし、推測で埋めない判定を3つに絞るのは、Claudeが「適合している」「問題ない」といった評価語を混ぜないようにするためです。「ページ番号」を必ず書かせると、人が目視で確かめるときにも、該当ページへすぐ飛べます。
照合で最も誤判定が出やすいのは、先に挙げた第6項の扱いです。ある図書に明示すべき事項を、表に掲げる他の図書に明示して申請書に添える場合は、元の図書にその事項を書かなくてもよいとされています。さらに、明示すべき事項をすべて他の図書に書いたときは、元の図書自体を添えなくてもよいとされます。たとえば各階平面図に延焼のおそれのある部分の外壁の位置・構造が書かれていなくても、他の図書に書かれていれば不足にはなりません。Claudeに「図書が見当たらない=不足」と短絡させないために、依頼文へ次の一文を足します。
ある図書に必要な事項が他の図書に書かれている場合は、「不足」ではなく
「他の図書(図書名・ページ)に記載」と判定してください(施行規則1条の3第6項)。点検の範囲を決めるときの線引き
このやり方で扱うのは、書類のそろい具合だけです。次の判断は、Claudeの出力があっても人が行います。
- 表二のどの項が案件に適用されるか
- 図面の内容が建築基準関係の規定に適合しているか
- 構造安全性の判断や、構造計算の妥当性の評価
- 認定・許可の内容に適合することを示す図書の中身の評価
建築士が図書に記名する責任は、AIを使っても他人に移りません。その理由と範囲は、建築士がClaudeでAIレビューしても記名の責任は消えない理由で整理されています。ここで作る表は、記名の前に行う書類の棚卸しであり、法適合を判断する道具ではありません。
審査の期間は、建築基準法6条4項で、申請書を受理した日から、1項1号・2号の建築物は35日以内、3号の建築物は7日以内と定められています。図書が足りずに補正を求められれば、その分だけ手戻りが生じるため、提出前に棚卸しをしておく意味があります。
点検でつまずきやすい点
- 条文が改正される。施行規則の表は改正で項が増え、図書名や明示事項が変わる。古い条文を貼ると一覧が古くなるので、毎回、e-Govの現行条文を取り直す
- 表二は他法令の項も含む。(六十四)項から(八十八)項までは他法令の規定への適合を示す図書が中心で、中身は各法令・条例で決まる。Claudeに内容を補わせない
- 図面が多いPDFは、図書の種別ごとに分けて渡すと、ページ番号と図書名を対応づけやすい
- 項が複数ある場合の整理。同じ図書(付近見取図、配置図など)が複数の項から要求される。一覧を作るときは、図書ごとに明示事項を統合させると、照合の手間が減る
- 設備の図書を忘れる。計画に建築設備が含まれるときは第4項の申請書が絡む。一覧づくりの前提に「設備を含む」と明記する
- 正本と副本の扱い。正本に添える図書は、設計者の氏名が記載されたものに限られる。副本側の確認と混同しない
書類の抜け漏れをClaudeで洗い出す型は、他の許認可でも使えます。飲食店の営業許可申請書と施設基準をClaudeで点検する方法や障害福祉サービスの指定申請書類をClaudeで点検する方法は、条文や基準を一覧にして申請書類と照合するという同じ構成を取っています。
まとめ
施行規則1条の3の表一と表二は、条文の構造がはっきりしているため、図書一覧への変換と提出PDFとの照合に向いています。Claudeに渡すのは条文と、人が確定した適用項だけにして、判定は「あり・なし・明示事項に不足の疑い」の3つに絞ります。第6項による他の図書への集約を依頼文に入れておくと、誤った「不足」の指摘が減ります。出力は書類の棚卸し表であり、そのまま提出の可否を決めるものではありません。最終的な不足の有無は、申請先の窓口で確かめます。