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Computer Useのeffort推奨値 — モデルごとの使い分け方

Computer Useのeffort推奨値 — モデルごとの使い分け方

Computer Useツールのeffort設定は、モデルによって推奨値が違います。Opus 4.7はhigh、Sonnet 4.6とOpus 4.6はmedium。maxは精度を上げずコストだけ増やします。

Computer Useのeffortは、モデルで最適値が逆転する

Computer Useツール(画面のスクリーンショットを見てマウスとキーボードを操作させる機能)をthinkingと組み合わせて使うとき、effortパラメーターの最適値はモデルごとに違います。Claude Opus 4.7はhighが既定、Claude Sonnet 4.6とClaude Opus 4.6はmediumが既定です。各モデルがどのeffortレベルに対応しているかはClaude API modelsのcapabilities判定でプログラムからも確認できます。この3モデルは、Computer Useを従来版のツール(computer_20251124)で使う場合の推奨値として公式ドキュメントの「Combining with thinking」節に明記されています。

maxは避けます。SonnetとOpusの4.6系では、UIタスクの精度を上げないままトークン消費だけ増やすとドキュメントが明言しています。一般的なエージェント作業では「effortを上げるほど複雑な問題に強くなる」という感覚が働きますが、Computer Useの1ターンはクリック1回・入力1回のような小さな判断の積み重ねです。難しい問題を1回で深く考える場面とは性質が違うため、高いeffortをかけても精度の伸びしろが小さく、トークンだけ膨らみます。

effortという設定そのものの意味

effortはClaudeが1回の応答にどれだけトークンを使うかを決めるパラメーターです(会話の途中でこの値を切り替えてマルチエージェントのファンアウトを制御する設計はmid-conversation effortの切り替えでオーケストレーションモードを作るで扱っています)。thinking(応答前に考える処理)が有効なときは、考える深さそのものを左右します。low・medium・high・xhigh・maxの5段階があり、値を上げるほど思考も応答も丁寧になる代わりにトークン消費が増えます。何も指定しなければモデルごとの既定値で動きます。既定値を明示しても、省略した場合と同じ挙動です。

レベル想定用途
low想定用途速度とコストを最優先する単純作業。サブエージェントなど
medium想定用途速度・コスト・性能のバランスを取りたいエージェント作業
high想定用途複雑な推論・難しいコーディング問題(多くのモデルの既定値)
xhigh想定用途30分を超える長時間のエージェント・コーディング作業
max想定用途トークン消費を気にせず最高の能力を引き出したい場面

実際に効いているeffortを確かめるには、リクエストのoutput_config.effortを見ます。指定がなければ、APIでは次の既定値が使われています。

モデルAPIで省略したときの既定effort
Claude Opus 5.5・Claude Haiku 5.5APIで省略したときの既定effortmedium
Claude Sonnet 5.5APIで省略したときの既定efforthigh
上記以外のeffort対応モデル(Opus 5・Sonnet 5・Opus 4.x・Sonnet 4.6など)APIで省略したときの既定efforthigh

Claude Codeでは既定が異なります。Sonnet 5.5はmediumで、Opus 4.7はxhighです。

Opus 5.5はOpus 5から1段下がった既定になっています。Opus 5のコードを引き継ぐときは、省略したリクエストの挙動が変わる点に注意してください。

Computer Useの推奨値は、この一般表とはモデルごとに違うずれ方をします。

モデル別の推奨effort値

モデル既定・推奨理由
Claude Opus 4.7既定・推奨high(既定)理由高スループット・コスト重視の用途ではlowに下げる選択肢がある
Claude Sonnet 4.6既定・推奨medium(既定)理由精度とコストのバランスが最も良い。maxは避ける
Claude Opus 4.6既定・推奨medium(既定)理由Sonnet 4.6と同じ扱い。lowはthinking自体を無効化するより出力トークンが少なくなることがある

Opus 4.6とSonnet 4.6には興味深い特性があります。lowに下げても、thinkingそのものを無効化するより出力トークンが少なくなることがある、とドキュメントは説明します。ミスが減ることでリトライの回数が減り、結果としてトークン消費が抑えられるためです。コスト重視のループでは、thinkingを切るよりloweffortでthinkingを残すほうが有利な場合があります。

computer_20251124はClaude Opus 4.5にも対応していますが、Opus 4.5向けの個別effort推奨は「Combining with thinking」のTipには含まれていません。表の3モデル以外でこのツールを使う場合は、次節の一般的なeffort推奨から出発し、自分のタスクで検証するのが現実的な進め方です。

なぜComputer Useだけ一般的な推奨と食い違うのか

一般的なClaude Opus 4.7の推奨は「コーディングやエージェント作業はxhighから始める」というものです。長時間の複雑なタスクほど高いeffortが効くという整理で、これは多くのエージェント用途に当てはまります。ところがComputer Use用の推奨にはxhighが登場しません。既定はhighで、下げる方向の選択肢(low)だけが示されています。

Computer Useが「エージェント的なのに軽いeffortで足りる」理由は、タスクの粒度にあります。コーディングタスクは1回の応答で複数ファイルにまたがる設計判断を下すこともありますが、Computer Useの1ターンは「スクリーンショットを見てクリック座標を決める」「入力すべき文字列を決める」といった、個々の判断自体は小さいタスクの連続です。判断の粒度が細かいぶん、深い推論よりも素早く正確に画面を読み取る能力のほうが結果を左右します。SonnetとOpusの4.6系でmaxが精度に効かないという実測は、この構造と整合します。

新しいcomputer_toolset_20260801でも同じ推奨値を使えるか

この推奨値は、従来版ツールcomputer_20251124と、それを使うClaude Opus 4.7・Claude Opus 4.6・Claude Sonnet 4.6・Claude Opus 4.5に限定されています。現行のツールセットcomputer_toolset_20260801を使うモデルには、Computer Use専用のeffort推奨値が公式ドキュメントに掲載されていません。対象はClaude Opus 5.5・Claude Opus 5・Claude Sonnet 5.5・Claude Sonnet 5・Claude Haiku 5.5です。Claude Fable 5・Claude Fable 5.1・Claude Mythos 5・Claude Mythos 5.1・Claude Opus 4.8も同じです。

Claude 5.5系(Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5)では、API・Google Cloudで旧ツールcomputer_20251124はエラーになり、computer_toolset_20260801が必要です(Bedrockは旧ツールのまま使えます)。Sonnet 5.5はeffortの水準が再較正されているため、Sonnet 5の値を持ち越さず測り直してください。

これらのモデルでComputer Useを使う場合、Computer Use向けの個別ガイダンスがない以上、まずは各モデルの一般的なeffort推奨を出発点にします。Claude Opus 5とClaude Sonnet 5はhighが既定です。Claude Opus 5.5とClaude Haiku 5.5はmediumが既定で、Haiku 5.5はmediumから始める案内です。Claude Sonnet 5.5は、指示が明確な作業ならmediumから始め、難しい作業や長い作業ではhighに上げます。Claude Opus 4.8はコーディング・エージェント用途でxhighから始める案内です。Computer Use固有の推奨が示す「軽いeffortでも足りる」という傾向が、これらの新しいモデル・新しいツールセットでも再現するかは公式ドキュメントに明記が無く、自分のタスクで確かめる必要があります。

検証の進め方はシンプルです。同じComputer Useタスクのセットをlow・medium・highの3水準で走らせ、タスクの成功率とトークン消費を記録します。Sonnet 4.6・Opus 4.6での実測(mediumが最良のバランス、maxは無駄)がそのまま再現するなら、新しいモデルでもmediumを既定候補にできます。成功率がhighまで伸び続けるなら、Computer Use固有の「軽くて足りる」という傾向はそのモデルでは当てはまらないと判断できます。3水準を比べるだけで、モデルごとの適正値をおおむね絞り込めます。

現行のツールセットcomputer_toolset_20260801に対応するモデルには、もう1つ見落としやすい仕様があります。これらのモデルはthinkingが既定で有効ですが、Computer Useのループではthinkingのテキスト自体を既定で省略します。効果を可視化しながら検証したい場合は、thinking設定にdisplay: "summarized"を指定します。要約されたthinking出力が返るようになり、Claudeがなぜその操作を選んだかを追いながらeffortの当たりを付けられます。

Computer Useでeffortを指定する実装例

computer_20251124を使う場合、effortはoutput_configに指定し、ツール自体はベータヘッダー付きのbetasパラメーター経由で有効化します。

curl https://api.anthropic.com/v1/messages \
  -H "x-api-key: $ANTHROPIC_API_KEY" \
  -H "anthropic-version: 2023-06-01" \
  -H "anthropic-beta: computer-use-2025-11-24" \
  -H "content-type: application/json" \
  -d '{
    "model": "claude-sonnet-4-6",
    "max_tokens": 4096,
    "thinking": {"type": "adaptive"},
    "output_config": {"effort": "medium"},
    "tools": [
      {
        "type": "computer_20251124",
        "name": "computer",
        "display_width_px": 1024,
        "display_height_px": 768
      }
    ],
    "messages": [{"role": "user", "content": "デスクトップの設定アプリを開いて"}]
  }'

Python SDKではbetas引数を渡し、標準クライアントではなくベータ名前空間から呼びます。

response = client.beta.messages.create(
    model="claude-sonnet-4-6",
    max_tokens=4096,
    betas=["computer-use-2025-11-24"],
    thinking={"type": "adaptive"},
    output_config={"effort": "medium"},  # Sonnet 4.6 / Opus 4.6の推奨値
    tools=[
        {
            "type": "computer_20251124",
            "name": "computer",
            "display_width_px": 1024,
            "display_height_px": 768,
        }
    ],
    messages=messages,
)

現行のツールセットcomputer_toolset_20260801を使う場合はベータヘッダーが不要になり、toolsの宣言も{"type": "computer_toolset_20260801"}のみに変わります。effortの指定方法自体は共通です。

xhighやmaxまで上げて使う場合はmax_tokensも合わせて見直します。効果と応答の合計出力を頭打ちにするハードリミットのため、Opus系モデルをxhigh・maxで動かすときは64,000トークン程度を起点に調整するのが公式の目安です。Computer Useの推奨値はhighが上限になるケースがほとんどなので、既定のmax_tokensのままで足りることが多いですが、一般的なeffort推奨に沿って新しいモデルでxhigh以上を試す場合は、このmax_tokensの見直しも合わせて必要になります。

effortだけでなくモデル選びもクリック精度を左右する

effortの調整で改善するのはトークン消費と応答の丁寧さで、クリックそのものの座標精度はモデル固有の特性に近い部分です。computer_20251124を使う3モデルのうち、Sonnet 4.6はOpus 4.6より機械的なクリック精度が高く、スクリーンショットを大きく縮小する場面でも崩れにくいとドキュメントは述べています。Opus 4.7はこの差を縮め、クリック精度はSonnet 4.6とおおむね同等になり、対応する解像度上限が高いぶん縮小の必要自体も減ります。effortを下げてコストを抑えたい場合、精度の余裕があるOpus 4.7やSonnet 4.6のほうがlow側に寄せやすいと言えます。精度が全体的に低いと感じたら、まずeffortではなく解像度を疑います。公式ドキュメントは1280×720をベースラインとして試すよう案内しています。

まとめ

Computer Useのeffortは、モデルの一般的な推奨値をそのまま当てはめると過剰投資になりがちです。従来版ツールを使うClaude Opus 4.7・Sonnet 4.6・Opus 4.6では、high(Opus 4.7)またはmedium(Sonnet 4.6・Opus 4.6)を起点にし、maxは避けます。現行のツールセットに対応する新しいモデルでは専用の推奨値がまだ無いため、一般的な既定値から始めて自分のタスクで検証するのが実務的な進め方です。effortとモデル選択とクリック精度は連動します。精度に余裕のあるモデルほどeffortを下げやすく、1つだけを動かしても改善が頭打ちになる点は覚えておくと役立ちます。effortの一般的な使い分けはClaude effortとはにまとめています。Claude Desktopから実機の画面を操作するCoworkのComputer Useでは、APIのようにeffortを自分で指定する設定は公開されていません。Cowork側の仕組みはClaude CoworkのComputer Useで扱っています。自分でAPIからエージェントを組み立てる場合の基礎はClaude Agent SDK入門を参照してください。

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