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BarclaysがClaude Codeを開発者の50%へ — 2026年末目標と3つの導入事例

BarclaysがClaude Codeを開発者の50%へ — 2026年末目標と3つの導入事例

英BarclaysがAnthropicとの協業を拡大し、2026年末までに開発者の50%へClaude Codeを広げる計画を発表。社内ナレッジ検索とメール振り分けの実績、導入規模の測り方を紹介します。

英国の総合銀行Barclaysは、Anthropicとの戦略的協業を拡大し、Claudeを全社の業務に広げます。開発面では、Claude Codeの利用が2026年末までに開発者の50%に達する見込みで、2027年にはソフトウェアエンジニアの過半数に届く計画です。発表は2026年10月1日でした。

数字の入った事例は3つあります。社内ナレッジ検索のColleague Knowledge Assistant、Global Marketsのメール振り分け、そしてClaude Codeそのものの展開です。

発表の要点

発表で示された内容を、数字のあるものから並べます。

数字

Barclaysの発表に出てきた数字

  • Claude Code普及率の見込み(2026年末)

    開発者の50%

    2027年はエンジニアの過半数

  • ナレッジ検索の利用者

    16,000人超

    処理した検索は100万件超

  • メール振り分けの処理量

    約12万通/日

    Global Marketsの問い合わせ

2026年10月1日の発表より

Barclaysはこの展開の狙いとして、ソフトウェア開発の加速、レガシーシステムの刷新、運用効率の向上を挙げています。Group Co-COOのCraig Bright氏は、AIを「開発・テスト・保護・運用に組み込まれる、よりエージェント的な能力」として捉えていると述べました。レガシー基盤の刷新とソフトウェア品質の向上にClaudeを使い、技術者は最も複雑な課題に集中するという位置づけです。

Claude Codeの50%目標は何を意味するか

目標は「導入する」ではなく「普及率」で語られています。2026年末に開発者の50%、2027年にエンジニアの過半数という二段の数字です。

ここで気になるのは、50%が何を指すかです。発表は「採用(adoption)が開発者人口の50%に達する見込み」と書いており、アクティブの定義や頻度までは示していません。契約席数なのか、月に1回でも使った人なのかで、実態は大きく変わります。

自社で同じ目標を置くとき、この定義を先に決めておく必要があります。Claude Codeには、普及率を測る手段が2つ用意されています。

計測

導入の進み具合を測る2つの経路

  • Analyticsダッシュボード

    Team/Enterpriseプランでは、管理者とオーナーが日次のアクティブユーザー数やセッション数を確認できます。採用の推移を示すAdoptionチャートで「どれだけの人が使い始めたか」を追えます。GitHub連携を有効にすると、Claude Codeの支援で出荷したPR数も出ます(パブリックベータ)。

  • OpenTelemetry出力

    ユーザー別のトークン数やコスト見積もりが必要なときは、OpenTelemetryのエクスポートを設定します。管理者は管理設定ファイルに環境変数を書いて、全ユーザーに配れます。

後者の設定は、公式ドキュメントでは次の形で示されています。以下は例示で、エンドポイントとトークンは自社の値に置き換えます。

export CLAUDE_CODE_ENABLE_TELEMETRY=1
export OTEL_METRICS_EXPORTER=otlp
export OTEL_EXPORTER_OTLP_PROTOCOL=grpc
export OTEL_EXPORTER_OTLP_ENDPOINT=http://localhost:4317
claude

動作確認は、バックエンド側で claude_code.session.count メトリクスが届くかを見ます。Claude Codeはセッション開始時にこの値を出します。

なお、Analyticsの貢献メトリクスはZero Data Retentionを有効にした組織では使えず、利用状況の指標だけが表示されます。金融機関のようにデータ保持の条件が厳しい組織では、この制約が計測方法の選択に響きます。Claude CodeのAnalyticsでチーム貢献度を可視化する方法に、画面の見方と設定をまとめています。

先行している2つの事例

Claude Codeの拡大に先立って、Claudeはすでに行内の業務で動いています。どちらも開発者向けではなく、一般の業務部門が対象です。

社内ナレッジ検索のColleague Knowledge Assistant

Barclays UKの従業員が、2,000万人を超える英国のリテール顧客に対応するとき、必要な情報を素早く探せるようにするアシスタントです。2025年から稼働しており、Claudeが検索拡張生成(RAG)の構成で動かしています。

利用者は16,000人超、処理した検索は100万件を超えました。発表が挙げる成果は「情報へのアクセスが速くなり、顧客対応が早くなった」という定性的なものです。応対時間の短縮率などは示されていません。

Global Marketsの問い合わせメール処理

Global Marketsでは、顧客からのメールを「分類し、情報を補い、最適な処理ルートを決める」ためにClaudeを使っています。依頼の内容を優先づけし、運用担当者が動くのに必要な情報が揃っているかも確かめます。

処理量は1日に約12万通です。手作業の取り扱いを減らしつつ、担当者が関連する情報を見つけて動きやすくする、という説明になっています。

2つの事例に共通するのは、どちらも人の判断を置き換えるのではなく、前段の探索と仕分けを肩代わりしている点です。メールの例では、最終的に動くのは運用担当者のままです。

規制産業の導入で押さえられた条件

Barclaysは、AIの展開について「堅牢なガバナンス、セキュリティ統制、人による監督」を適用していると説明しています。Anthropicのコマーシャル責任者Paul Smith氏も、Barclaysが強いセキュリティと監督のもとでClaudeを展開している点に触れ、AIに対する同行の基準は高いと述べています。

発表はこの統制の中身(承認フロー、監査ログ、利用範囲の制限など)までは書いていません。同じ規制産業の組織が参考にするなら、まず自社の要件を洗い出すほうが確実です。

サイバー領域への広がり

Craig Bright氏のコメントには、ソフトウェア開発とサイバーセキュリティの両方がAIで作り替えられつつあるという認識が出てきます。Barclaysはサイバー領域の専門家と信頼できるAI能力の組み合わせが、大規模企業での技術の作り方・管理の仕方を根本から変えうると見ています。

この発表の1週間後、Anthropicは重要インフラとオープンソースを守る長期施策Cyber Missionを発表しました。重要インフラの防御プログラムCIDPと、オープンソース向けの無料スキャンOSS Scannerが最初の2つです。Barclaysの発表のページでも関連コンテンツとして並んでいます。両者が直接結びつくという記述はありません。詳細はAnthropic Cyber Missionの発表記事にあります。

規制産業の事例は、この1件だけではない

6月には、DXCとの複数年提携が発表されています。銀行・航空・保険・政府の基幹システムにClaudeを組み込む内容でした。ここでのBarclaysは、提携先を通じた導入ではなく、銀行が自社で展開規模を宣言した例になります。AnthropicとDXCの提携と並べると、規制産業向けの動きが「システムインテグレーター経由」と「銀行の直接展開」の両方で進んでいることが分かります。

チームでの導入を設計するなら、規模の数字よりも運用の型のほうが再利用しやすいはずです。Claude Codeチーム導入ガイドでは、CLAUDE.mdの規約とレビュー体制の組み方を扱っています。

影響と読み方

Barclaysの発表から読み取れることを、事実と未確認の点に分けます。

項目発表に書かれていること書かれていないこと
Claude Code普及率発表に書かれていること2026年末に開発者の50%、2027年に過半数書かれていないこと母数の開発者数、アクティブの定義
ナレッジ検索発表に書かれていること2025年から稼働、16,000人超、100万検索超書かれていないこと回答精度、時間短縮の定量値
メール処理発表に書かれていること約12万通/日を分類・振り分け書かれていないこと自動処理の割合、誤分類時の扱い
統制発表に書かれていることガバナンス・セキュリティ統制・人による監督書かれていないこと具体的な仕組み、監査の方法

導入規模の宣言としては大きな数字ですが、効果の定量値は発表に含まれていません。したがって、この事例から「Claude Codeで開発速度が何割上がる」といった数字を引くことはできません。確かなのは、規制の厳しい大手銀行が普及率を公に目標として掲げたことと、すでに稼働している2つの業務があることです。

自社への示唆としては、次の問いが残ります。

  1. 普及率の定義(契約席数か、実際の利用者か)を先に決めているか
  2. 計測は、Analyticsダッシュボードとテレメトリのどちらで持つか
  3. 開発以外の部門にも、検索や仕分けのような前段業務から広げられるか

2027年に「エンジニアの過半数」へ届くかどうかは、今後の進捗報告を待つことになります。

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