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Claude CMEKの機能制限一覧 — 有効化前に確認すべき使えない機能

Claude CMEKの機能制限一覧 — 有効化前に確認すべき使えない機能

CMEKを有効化すると会話検索やRAG、監査ログエクスポートなど一部機能が無効化されます。元に戻せない設定変更なので、製品別の対象範囲を先に確認します。

CMEKを有効化する前に確認すべきこと

CMEK(customer-managed encryption key、顧客管理鍵)は、AWS KMS・Google Cloud KMS・Azure Key Vaultで自分が発行した鍵を使う仕組みです。ワークスペースのデータをAnthropicの標準鍵の代わりに、その鍵で暗号化します。鍵の失効やローテーションは自分の管理下に置けますが、引き換えに会話検索・RAG(project knowledge)・監査ログエクスポートなど複数の機能が無効化されます。しかも有効化は取り消せません。鍵を紐づけたワークスペースから鍵を外すことや、別の鍵に切り替えることはできません。鍵を失効すれば、そのワークスペースのCMEK保護データは永久に読み出せなくなります。導入を決める前に、無効化される機能の一覧と製品ごとの違いを必ず洗い出しておく必要があります。

CMEKが暗号化する範囲は製品で違う

CMEKはClaude PlatformとClaude Enterpriseの両方で使えますが、暗号化対象は製品ごとに異なります。

Claude Platformでは、メッセージ本文・ファイルやアタッチメント(インライン添付とFiles APIアップロードの両方)・MCPおよびツール設定が鍵で暗号化されます。加えてClaude Managed Agentsのエージェント設定・環境・Webhook、セッションとそのイベントも対象です。

Claude Enterpriseでは、スキルやプラグイン、アーティファクトを含むチャット本文が対象です。チャットとプロジェクトの添付ファイル、CLI版Claude Codeのメッセージ本文、Claude DesktopのCowork、Compliance APIのローカルセッション文字起こし、Officeエージェント、Claude in Chromeも同様に暗号化されます。鍵が使えない状態になると、Compliance APIのメッセージエンドポイントは文字起こしの代わりに503エラーを返します(セッションのメタデータ自体は引き続き一覧取得できます)。両製品ともバックアップとスナップショットは鍵を引き継ぎます。

有効化すると使えなくなる機能

CMEKを有効にすると、一部の機能はオフになるか大きく仕様が変わります。この一覧は網羅的ではないため、有効化前にチームで個別に確認してください。

製品使えなくなる・変わる機能
Claude Platform使えなくなる・変わる機能Claude Consoleのプレイグラウンドが無効化
Claude Platform使えなくなる・変わる機能Compliance APIのうち、プロンプト・レスポンス・ファイルなど生コンテンツを返す部分が無効化
Claude Enterprise使えなくなる・変わる機能会話履歴の検索が無効化(タイトルも暗号化されるため、タイトル・本文どちらの検索も結果が返らない)
Claude Enterprise使えなくなる・変わる機能プロジェクトナレッジ検索(RAG)が無効化。ナレッジは検索されず会話コンテキストへ直接読み込まれるため、扱えるナレッジ量が実質的に減る
Claude Enterprise使えなくなる・変わる機能claude.aiのスキル・コネクタ管理者分析、Claude smart reports、Claude Codeのコントリビューション指標が劣化
Claude Enterprise使えなくなる・変わる機能監査ログのエクスポートが無効化
Claude Enterprise使えなくなる・変わる機能組織データエクスポートやClaude Code Remoteのスクリーンショット更新などが使う署名付きURLが無効化

とくに影響が大きいのはプロジェクトナレッジ検索です。RAGが切れることで大きなナレッジベースを持つプロジェクトほど、コンテキストに載り切らない情報が会話から漏れます。検索機能を前提に運用しているチームは、CMEK有効化後の代替ワークフロー(手動でのファイル添付など)を先に決めておく必要があります。

引き続き使えるが鍵の保護対象外になる機能

次のデータは機能自体は使えますが、あなたの鍵ではなくAnthropic管理の鍵で暗号化されます。用途に合わなければ「Settings」から個別に無効化できます。

Claude Platformでは、TTLが24時間未満のキャッシュなど「保存されていない」データが該当します。Activity Feed・監査ログ・OTELなどのテレメトリー通信も対象で、これは鍵が失効しても監査証跡を維持するためです。Claude Managed AgentsのOAuthトークンなどvault認証情報の値(write-onlyでAPIレスポンスにも返らない)、ユーザープロフィールのnameexternal_idmetadataフィールドも同様です。プロフィールのmetadataに機密性の高い個人情報を入れないよう明記されています。

Claude Enterpriseでは、Claude Code Desktop・Web版Claude Code・Claude in Slackが対象です。Claude SecurityやClaude Designなどのベータ・研究プレビュー機能、「Settings」>「Privacy」のオンデマンドデータエクスポートも同様です。個人設定の「Instructions for Claude」欄とCoworkのグローバル指示も含まれ、これらはアカウント単位で全組織に共有されるためです。両製品とも、組織内ユーザーの氏名・メールアドレス・プロフィール画像などのアカウントデータは鍵で暗号化されません。

APIとツールの対応状況

CMEKを有効にしたワークスペースで、保存データが鍵配下になるAPIとツールは次の通りです。

APIグループ対応するツール・機能
Messages / Models / Files / Batch / Skills / Claude Managed Agents対応するツール・機能Web検索・Web取得・コード実行・Bashツール・テキストエディタツール・MCPコネクタ・構造化出力(Claude FableとClaude Mythosモデルは組織全体でCMEK有効時に使えません)・Advisorツール・コンピュータ操作・ブラウザ操作・コンテキスト管理

このリストに載っていないベータ機能・研究プレビュー機能はCMEKの対象外になっている可能性があります。新しいツールを使い始める前に対応状況を個別に確認してください。

鍵を失っても保持されるケースが3つだけある

CMEKを有効にしても、次の3ケースに限り、Anthropicが特定の記録をAnthropic管理鍵の下に保持することがあります。

  • 法律で記録保持が義務づけられる場合(NCMECへの報告対象など)
  • CBRNE兵器開発や攻撃的サイバー攻撃、切迫した暴力の脅威など重大な危害の切迫したリスクがある場合
  • Commercial Terms of ServiceのSection D.4、またはそれに相当する契約条項への違反があった場合

CSAMスクリーニングを除き、この保持には人間のレビュアーによる明示的な判断が必要です。実施されるたびにCompliance API Activity Feedに理由コード付きのイベントが記録されます。自動安全スキャンに由来するメタデータ(会話内容そのものではなくパターン識別子や一致インジケーター)はAnthropic管理鍵で保持され、鍵を失効させても読み取り可能なままです。

設定できるのは誰か、何が前提になるか

CMEKを設定できる役割は限られています。Claude PlatformではOrganization Adminロール(Claude Platform on AWSではAdminロール)、Claude EnterpriseではOwnerとPrimary Ownerだけです。設定操作の画面も製品ごとに違い、Claude PlatformはAdmin API、Claude Platform on AWSはClaude ConsoleまたはIAM認証された外部キー・ワークスペースエンドポイント、Claude Enterpriseはclaude.aiの組織設定画面から行います。加えて、CMEKはゼロデータ保持(ZDR)の設定と併用が認められており、Claude PlatformとClaude Enterpriseの両方で対応しています。

鍵を新しいワークスペースに紐づけるのが推奨される順序で、すでにリクエストを受けているワークスペースに後から鍵を付けると、反映まで最大1日かかることがあります。反映前に書き込まれたデータは既存データと同様、Anthropic管理鍵のまま残ります。

リージョンもほぼ固定です。Claude Platform on AWSを除き、CMEKは現状米国リージョンのみで利用でき、暗号化処理そのものもすべて米国リージョンで行われます。レイテンシーを抑えるために、Anthropicの米国インフラに近い次のリージョンが推奨されています。

プロバイダー推奨リージョン
AWS推奨リージョンus-east-2
Google Cloud推奨リージョンus-central1us-east5
Azure推奨リージョンnorthcentraluseastus2

Claude Platform on AWSだけは例外です。利用できる鍵はAWS KMSのみで、Google Cloud KMSとAzure Key Vaultの鍵は登録できません。しかもキーはワークスペースと同じAWSアカウント・同じリージョンの単一リージョンKMSキーである必要があります。鍵ポリシーもAnthropicのIAMロールではなく、自社側のAWSサービスプリンシパルへ権限を付与する形になり、他のプロバイダーとは構成が異なります。

導入時に踏みやすい落とし穴

  • 鍵の切り替えができない: 一度紐づけた鍵は取り外せません。別の鍵に変えたい場合は新しいワークスペースを作ってデータを移行する必要があります。鍵を失効・無効化すると、そのワークスペースのCMEK保護データは復旧不可能になります
  • 既存データは再暗号化されない: CMEKは鍵が有効になった後に書き込まれたデータだけを保護します。既存のチャット・ファイル・セッションはAnthropic管理鍵のまま残ります
  • Claude Platformではゼロデータ保持の設定もロックされる: ワークスペースに鍵を紐づけると、そのワークスペースの30日データ保持設定はオフにできなくなります。ゼロデータ保持へ戻すには新しいワークスペースを作ってトラフィックを移行するしかありません
  • ゲートウェイ経由のClaude Codeテレメトリーは対象外: ANTHROPIC_BASE_URLでLLMゲートウェイやプロキシを経由させている場合、Claude Codeの運用テレメトリーにはCMEKが適用されません。テレメトリーを止めるにはDISABLE_TELEMETRY環境変数を1に設定します
  • 鍵の失効反映には最大1時間かかる: キャッシュのTTL分だけ遅延があり、失効操作の直後にすでに送信中のリクエストは、そのウィンドウ内であれば成功し続けることがあります
  • 鍵の読み書きにレイテンシーが乗る: データキーのラップ・アンラップ操作のたびに自社の鍵管理サービスへ往復するため、保存データの読み書きを伴う処理にわずかな遅延が加わります

まとめ

CMEKは鍵の完全な自主管理と引き換えに、会話検索・RAG・監査ログエクスポートなど複数の機能を失う不可逆な設定変更です。有効化する前に、Claude Enterprise・Claude Platformそれぞれで何が使えなくなるかを製品別に洗い出し、代替ワークフローを準備しておくのが安全です。契約形態によって使える統制機能の全体像はClaude Enterpriseガイドで扱っています。CMEKと併用できるゼロデータ保持の契約範囲はClaude Zero Data Retentionの契約範囲、単一リージョンのAWS KMS鍵限定など、AWS特有のCMEK設定はClaude Platform on AWSでClaude Codeを使うガイドにまとめています。

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