Claude Code Reviewが一般提供に — Quick・Standard・Deepの選び方
Code Reviewが研究プレビューを終え、TeamとEnterpriseで一般提供になりました。レビューが約3倍速くなった点、3つのレビューレベル、リポジトリ別の設定、使える条件をまとめます。
Claude Code Reviewは2026年10月15日に研究プレビューを終え、TeamとEnterpriseプランで一般提供になりました。多くのレビューは約20分から6〜10分に縮み、管理者はリポジトリごとにQuick・Standard・Deepの3段階から深さを選べます。
何が変わったのか。使える条件は何か。3つのレベルをどう振り分けるか。順に見ていきます。
一般提供で変わった3点
発表では、プレビュー中の利用者から「もっと静かで、変更の大きさに見合っていて、速いレビューがほしい」という声があったと説明されています。それを受けた変更が次の3つです。
一般提供で入った改善
速度
ほとんどのレビューが、プレビュー比で約3倍速く終わります。目安は約20分から6〜10分への短縮です。
指摘の質
重要なバグをより多く拾い、指摘は「何が問題か」「何で起きるか」「どう直すか」を数文で述べる形になりました。
柔軟性
管理者がリポジトリごとに、Quick・Standard(既定)・Deepを選べます。
速度の数字は発表に書かれた目安です。実際の所要時間は差分の大きさでも変わるため、自社の最初の数件で確かめるのが確実です。
使える条件
ドキュメントのAvailability節に、利用条件がまとまっています。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| プラン | 条件TeamとEnterprise |
| コードホスト | 条件GitHub。GitHub Enterprise Serverと、データレジデンシー付きのGitHub Enterprise Cloudを含む |
| 使えない組織 | 条件Zero Data Retentionが有効、またはHIPAA設定を適用した組織 |
| 暗号鍵 | 条件顧客管理の暗号鍵(CMEK)を使う組織は未対応 |
| クラウド経由の利用 | 条件Bedrock・Google Cloud・Foundry経由でClaude Codeを使う場合も、上記プランのClaude組織が必要 |
BAA(事業提携契約)の対象外でもあります。個人のProやMaxでは、サービスとしてのCode Reviewは使えません。ローカルで軽く見たいだけなら、どのプランでも/code-reviewコマンドがあります。
レビューの流れも押さえておきます。複数のエージェントが差分と周辺コードを並列に読み、検証の段階で誤検出を落としてから、重大度順にPRへ投稿します。チェックラン(Claude Code Review)は失敗では終わらず、レビューがPRを承認することもブロックすることもありません。マージの判断はチームに残ります。
Enterpriseの組織には、期間限定の特典もあります。条件を満たす組織は、2027年1月15日までに、10,000ドル以上のCode Reviewクレジットを申請できます。クレジットは申請から30日で失効し、別途の利用条件があります。
Quick・Standard・Deepは何が違うか
レベルが決めるのは、1回のレビューの徹底度です。ドキュメントの説明は次のとおりです。
| レベル | 位置づけ |
|---|---|
| Quick | 位置づけ軽めの確認。最速で、費用は最も低い |
| Standard | 位置づけ深さ・速度・費用のバランス型。既定値 |
| Deep | 位置づけ最も徹底した確認。時間も費用も最大 |
発表も「どのレベルでも質の高いレビューを出す」と述べています。違うのは徹底度であって、品質の優劣ではありません。ドキュメントの例では、定型的なコードベースにQuick、重要なコードベースにDeepを充てます。
レベルごとの具体的な所要時間や1回あたりの費用は、公式ドキュメントに載っていません。費用は変更の大きさにも左右されるため、実測で見るのが基本です。
振り分けの考え方
公式の例を、判断の軸に開くと次のようになります。
- 見逃しの被害が大きいリポジトリ(決済・認証・基盤ライブラリ)はDeepを候補にする
- 変更が多く、内容が定型的なリポジトリはQuickから始める
- 迷う場合は組織の既定のStandardのまま運用し、実績を見て個別に動かす
費用の見積もりには、管理画面のRepositories表にあるAverage cost列が使えます。数件のレビューが済んだ後で、リポジトリごとの1回あたり平均を読めます。ドキュメントによると、この平均は差分の大きさとレビューレベルで動きます。レベルを変えた後は、平均をもう一度見直す価値があります。
レベルの設定場所と上書きのルール
設定は、Owner権限でAdmin settings > Claude CodeのCode review節から行います。
レビューレベルの変え方
- 1
組織の既定を決める
Review levelでレベルを選び、Change levelで確定します。個別設定のないリポジトリは、すべてこの値に従います。
- 2
リポジトリ別に上書きする
対象リポジトリの行でEditを押し、Review levelを選びます。先頭のDefaultを選ぶと、組織の既定に戻ります。選んだ時点で保存されます。
新しいレベルは、変更後に始まるレビューから適用されます。進行中のレビューは対象外です。
一点、見落としやすい仕様があります。GitHub組織の行にまとめて有効化する方式では、組織の行にレビューレベルの設定がありません。組織全体でQuickやDeepに揃えたいときは、上の組織の既定を使います。組織行の一括有効化そのものの手順と、個別設定が上書きされる点は組織の全リポジトリへの有効化で扱っています。
なお、公式の変更履歴では、レビューレベルと「GitHub組織の全リポジトリを対象にする設定」は、どちらもv2.1.304(2026年10月19日)の項目に載っています。発表の10月15日とは日付が異なるため、管理画面の表示が見つからない場合は、時期を見て確認してください。
一般提供のあとに先に決めておくこと
レベルを選ぶ前に、費用に効く別の設定が2つあります。
レビューを走らせる頻度。管理画面から追加したリポジトリは、既定でAfter every pushになります。最も多くレビューが走る設定で、プッシュの回数だけ費用が掛かります。ほかにOnce after PR creationとManual (@claude review)があり、どちらも下書きPRとフォークからのPRは自動レビューの対象外です。レベルを上げる前に、頻度を見直す手もあります。
月額の上限。Code Reviewは、プランに含まれる利用量とは別に、使用量クレジット(usage credits)でトークン使用量に応じて課金されます。課金先は組織で、PRを開いた人やレビューを依頼した人ではありません。上限の置き方と、超えたときにレビューが止まる条件は月額上限の設定に、止まった後の切り分けはレビューがスキップされる原因にあります。
小さく始める場合、公式はパイロット運用を勧めています。月額上限を決めたうえで、代表的なリポジトリ数個をOnce after PR creationかManualで有効にします。数件のレビュー後に平均費用を読み、月のPR数を掛けて見積もります。After every pushなら、1PRあたりの平均プッシュ数もさらに掛けます。
レビューが読む範囲と、動かない環境
導入前に、レビューの実行環境も確認しておく価値があります。レビューはAnthropicのインフラ上のマネージド環境で動き、セルフホスト環境では動きません。リポジトリへのアクセスは読み取り専用で、コミットのプッシュもしません。PRには、コメントとチェックランを投稿し、自分が付けた過去のコメントスレッドを解決します。
また、レビューは差分と周辺コードを読んで判断し、コードのビルドや実行はしません。「指摘なし」は、バグがないという保証ではありません。ドキュメントにも、AIによるレビューで見落としが出る可能性があると明記されています。
利用状況は、claude.aiのCode Reviewの分析ページで組織単位に見られます。レベルを変えた後は、この画面でレビュー数と費用の動きを追えます。
開発者側から見える変化
開発者に必要な設定はありません。有効化されたリポジトリでは、新しいPRにレビューが自動で付きます。コメントで@claude reviewと書くと、書き込み権限のある人が1回分のレビューを起動できます。
レビューの指摘は、リポジトリに置いたREVIEW.mdとCLAUDE.mdで調整できます。読み込まれるのはベースブランチか既定ブランチのREVIEW.mdで、PR自身の変更から読まれることはありません。
ほかの方法との位置づけ
ドキュメントの比較表では、同じ「レビュー」でも起動の仕方と使える人が違います。
- Code Review: PRの動きで起動。TeamかEnterprise、GitHub、Ownerが有効化
/code-review: 手元のセッションで実行。どのプランでも可- Ultrareview: クラウドのサンドボックスで実行。claude.aiアカウントでのサインインが必要
- 自前のCI(GitHub ActionsやGitLab CI/CD): パイプラインの実行時に起動。APIキーなどが必要
Anthropic社内の運用と、人の承認を減らす層の考え方はClaude Codeチームのコードレビューに、他社サービスとの違いはCopilot code reviewとの比較にあります。
まとめ
一般提供の実質は、速くなったことと、深さを選べるようになったことの2点です。判断の入口は、自社のプランとコードホストが条件に合うか、そして最初の1か月はStandardのままにして、費用の平均を見ながらDeepを重要なリポジトリだけに足すかどうか、になります。Zero Data Retentionを使う組織は、条件の時点で対象外です。
参照した一次ソース
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