Claude CodeのIME入力が重い・変換候補が重複する問題と対処法
Claude Codeで日本語IME入力時に動作が重くなり変換候補が別ウィンドウに重複表示される既知の問題を、原因のinkライブラリの仕様と修正の推移から整理し、回避策を示します。
Claude CodeでIME入力が重い・候補が重複する問題とは
Claude Codeのターミナル画面で日本語(や中国語・韓国語・タイ語)をIME入力すると、動作が明らかに重くなることがあります。変換候補も本来の入力欄ではなく、別のシステムウィンドウに重複表示される現象が報告されています。GitHubのIssue #1547に2025年6月4日に登録された既知の問題です。2026年3月31日のコメントを最後に更新はないものの、GitHub上ではopenのまま残っています。
原因はClaude CodeのCLI画面を組み立てているinkライブラリの入力コンポーネントの仕様にあります。単発のバグではなく、複数バージョンにまたがって、画面ごとの修正が入ってきた経緯があります。Issueにはbug・has repro(再現手順あり)・platform:macos・area:tuiの各ラベルに加え、area:a11y(アクセシビリティ)・perf:memory・oncallも付いています。
症状が起きる環境と再現条件
最初の報告はmacOS 15.5のTerminal.appでした。標準の日本語IMEで文字を打つと動作が目に見えて遅くなり、変換候補がClaude Codeの入力欄とは別のシステムポップアップに出るというものです。英語入力に切り替えると動作の重さが一時的に解消するという報告から、IME特有の問題だと切り分けられています。同じ日のうちにATOK利用者とWindows 11(WSL)利用者のコメントが続き、macOS・Windows・Linuxの主要な組み合わせで同種の症状が確認されました。
| 環境 | 報告された症状 |
|---|---|
| macOS + Terminal.app + 標準日本語IME | 報告された症状動作の重さ + 候補の別ウィンドウ表示 |
| macOS + ATOK | 報告された症状候補の別ウィンドウ表示(動作の重さは目立たない) |
| Windows 11(WSL)+ Google日本語入力 / ATOK | 報告された症状候補ウィンドウの位置ずれ |
| Windows 11 + Microsoft IME(VS Code統合ターミナル) | 報告された症状候補が画面右下に表示されUIと重なる |
| Linux(Ubuntu 24.04 / GNOME Wayland)+ ibus-mozc / Fcitx5-mozc | 報告された症状候補位置の不安定化 + 動作の重さ |
| Linux + Anthy(通常ターミナル) | 報告された症状変換前の文字が確定操作まで表示されない |
| macOS + タイ語IME(Claude Code 2.1.12) | 報告された症状文字周囲のボックス表示 + 文字間隔の乱れ |
同じLinux環境・同じAnthyでも、動かすターミナルによって症状は逆転します。2025年8月31日の報告です。
Anthyの症状はターミナルの実装で変わる
通常のターミナル
変換前の文字が確定操作(スペースキー)まで表示されません。
VS Code内蔵ターミナル
Claude Codeを動かすと、確定前から入力中の文字が表示されます。
中国語入力でもカーソルに候補が追従しないという報告(2025年9月4日)が同じIssueへのコメントとして寄せられており、CJK圏の入力全般で同じ系統の症状が出ています。2026年1月20日にはタイ語入力でも影響が確認されました。文字の周囲に白や黄色のボックスが表示される、文字間隔が広がる、といった別の症状です。ターミナルのリサイズ(SIGWINCHシグナル)によって一時的に直るものの、次の入力でまた崩れるという挙動でした。
ターミナルマルチプレクサ経由だとさらに崩れやすいことも報告されています。2025年11月2日の報告では、macOSでzellij 0.43.1を経由すると症状が出るとされていました。iTerm2・WezTerm・Ghosttyのどのターミナルエミュレータを使っても結果は同じでした。この時点ではtmux配下でも、入力欄の下に文字が表示される位置ずれが確認されています。
原因 — inkライブラリの入力コンポーネントの仕様
この問題にはAnthropicのエンジニアが早い段階でコメントを付けています。Claude CodeのCLI画面はinkというReactベースのライブラリで組まれています。そのTextInputコンポーネントが前提にしている入力モデルが、ターミナル上のIMEには当てはまらないというのが指摘の中身です。そのため変換候補ウィンドウが入力位置から外れ、画面の別の場所や独立したポップアップとして表示されます。
この根本原因はClaude Code固有ではありません。同じくinkを使う他のCLIエージェントでも同様の症状が報告されています。コミュニティの開発者は2025年12月、修正のプルリクエストを2件送っています。宛先はink本体(vadimdemedes/ink#833)と、フォークのjacob314/ink(jacob314/ink#38)です。PRの内容は、ターミナルのカーソルを入力位置へ動かして、変換候補ウィンドウを正しい位置に出すものです。
ただしAnthropicのエンジニアは2026年2月10日、いったんクローズされた社内の修正が実際にはリバートされていたことを認めています。方針は、コミュニティ版のフォーク修正ではなくClaude Code側の実装に合わせた独自の修正を出し直すことでした。同じ頃、ink本体も6.7.0でIMEカーソル位置指定用のuseCursor()フックを正式サポートしています(vadimdemedes/ink#866)。
修正の推移 — バージョン別タイムライン
公式changelogでIME・CJK入力に触れた項目を拾うと、2025年10月から2026年9月にかけて、対象画面を変えながら積み重なっています。
IME・CJK入力まわりの修正
- 2025年10月4日 v2.0.5IDE版のEnter/Tab誤送信
IDE版でIME入力中にEnter/Tabが意図せずメッセージを送信してしまう不具合を修正。
- 2025年12月12日 v2.0.68変換候補をカーソル位置に表示
中国語・日本語・韓国語のIME変換候補ウィンドウをカーソル位置に正しく表示するよう修正。同じ版でOption+矢印の単語移動が、CJKの連続した文字列を1語として扱う挙動も直っています。
- 2026年1月7日 v2.1.0複数行入力の余分な空行
CJK(日本語・中国語・韓国語)を含む複数行プロンプトで余分な空行が入る不具合を修正。
- 2026年1月28日 v2.1.21全角数字で選択
選択プロンプトで日本語IMEの全角数字入力を受け付けるように対応。v2.1.21の解説もあります。
- 2026年2月4日 v2.1.31全角スペースで選択
チェックボックス選択で日本語IMEの全角スペース入力に対応。
- 2026年3月25日 v2.1.83音声入力との干渉
CJK IMEが全角スペースを挿入したときに音声入力のhold-to-talkが反応しない不具合を修正。
- 2026年3月26日 v2.1.84ネイティブカーソルが入力位置を追従
ネイティブターミナルのカーソルが入力位置を追従しておらず、IME変換がインライン表示されない問題を修正。スクリーンリーダーも入力位置を追えるようになったと記載されています。
- 2026年4月8日 v2.1.97CJK句読点のあとでも補完が起動
スラッシュコマンドと
@メンションの補完がCJKの句読点の直後でも起動するようになり、日本語入力で/や@の前にスペースを挟む必要がなくなりました。 - 2026年5月28日 v2.1.153Windowsのバックグラウンドセッション
候補ウィンドウが画面下部に表示される不具合を修正。
- 2026年6月2日 v2.1.160claude agents画面
claude agents画面でCJK IME変換が画面左下に表示される不具合を修正。 - 2026年6月15日 v2.1.178VS Code拡張のEsc
候補ウィンドウを閉じるEscキーが実行中タスクをキャンセルしてしまう不具合を修正。
- 2026年6月23日 v2.1.187貼り付けの文字化け
貼り付けをバイトごとのキーイベントで渡すターミナルで、韓国語・CJKの貼り付けが文字化けする不具合を修正。
- 2026年6月26日 v2.1.195音声入力の自動送信
スペースで区切らない言語(日本語・中国語・タイ語)で、音声入力の自動送信が働かない不具合を修正。
- 2026年9月11日 v2.1.269プロンプト候補の欠落
日本語・中国語・タイ語など、単語間にスペースを置かない言語のテキストでプロンプト候補が消える不具合を修正。
- 2026年9月24日 v2.1.282/skillsの検索ボックス
/skillsの検索ボックスで入力中に端末カーソルがスキル一覧へ飛び、キャレットが隠れてIME入力の位置がずれる不具合を修正。
2026年9月のv2.1.282でも、入力欄ではない/skillsの検索ボックスで同系統の位置ずれが直っており、画面が増えるたびに同じ確認が要る種類の問題です。
v2.1.84の修正はGhosttyでは良好という報告(2026年3月26日)があります。ただし同日のコメントでは、Zellij配下だと変換候補の位置がまだずれるという指摘も残っています。同じZellijセッション内でNeovimを使うと問題が出ないという利用者の報告があり、Zellij単体の問題ではないとみられます。Claude Codeがカーソル位置を取得する処理と、Zellijの相性の問題である可能性が指摘されています。一方tmux配下では、2026年3月26日の報告で問題ないとされており、2025年11月の報告時点から改善しています。
症状が残るときの切り分けと回避策
まず版を確認し、それでも残るなら環境を1つずつ変えて原因の層を絞ります。手元のv2.1.287で確認すると、claude --versionの出力は2.1.287 (Claude Code)、claude update --helpの説明は「Check for updates and install if available」でした。
症状が出たときの切り分け順
- 1
最新版に更新する
changelogには版ごとの修正が積み重なっているので、まず最新版にそろえます。
claude --version claude update - 2
マルチプレクサを外す
tmuxやzellij経由で症状が強い場合は、マルチプレクサを介さず直接ターミナルで再現するかを確認します。tmux固有の設定はClaude Code tmux設定にまとめています。
- 3
ターミナルを変える
Ghosttyは素の状態で挙動が比較的良好という報告があります。Terminal.appで重い・候補が二重に出る場合は切り替えの余地があります。
- 4
長文は外部エディタで下書きする
メモアプリ等で文章を書き、
Cmd+VでClaude Codeの入力欄に貼り付けます。1文字ごとにIMEとやり取りする経路を避けられます。 - 5
対話モードを使わない
claude -p(--print)は、ヘルプの説明どおり「応答を表示して終了」するモードで、パイプでの利用を想定しています。TUIの入力欄を経由しないので、入力中の位置ずれはこの経路には現れません。
選択プロンプトの番号やチェックボックスは、全角のまま入力しても通るため、半角へ切り替える必要はありません。
改行だけを挿入したい場合はCtrl+Jが全ターミナルで確実に動きます。Claude Code複数行入力の対応表にある方法と合わせて使うと、IME以外の入力周りのつまずきも減らせます。VS Codeの統合ターミナルでShift+Enterが効かない場合の切り分けは、terminal-setupコマンドでShift+Enterが効かないときの対処にまとめています。
他のCLIエージェントとの比較
コミュニティのコメント(2025年10月22日)では、CodexやAmpcodeなど他のCLIエージェントが先に同種の不具合へ対応済みという指摘があります。別のコメント(2026年2月5日)では、Gemini CLIも修正済みという報告があります。いずれも個々の利用者による確認であり、Anthropic側の公式な比較コメントではありません。根本原因として指摘されているのは、これらと共通のOSSライブラリ(ink)です。
まとめ
2026年3月26日の報告でもZellij配下の位置ずれが残っており、症状が残りやすいのはマルチプレクサ経由の環境です。日本語入力で困ったら、まずclaude updateで版をそろえ、それでも残るならマルチプレクサを外して再現するかを見ると、原因の層を絞れます。Claude Codeで頻出するほかのエラーへの対処は、Claude Codeでよくあるエラー10選にまとめています。