Claude CodeでJetBrainsの中クリック貼り付けが二重になる原因と回避策
LinuxのJetBrains統合ターミナルで中クリックすると、Claude Codeのプロンプトに同じ文字列が2回入ります。報告されている原因の見立てと、貼り付け経路や設定による回避策を比べます。
LinuxのX11環境でJetBrains系IDEの統合ターミナルを使い、Claude Codeのプロンプトを中クリックすると、PRIMARY選択(テキストを選んだだけで入る貼り付け元)の中身が2回入ります。症状はClaude Codeを動かしている間だけ出て、同じターミナルタブでcatを動かして中クリックすると1回で済みます。
この症状は公式リポジトリのissue #87741で報告されています。issueはopenのままで、修正バージョンは書かれていません。
先に回避策の骨子を挙げます。
- 貼り付けは
Ctrl+Shift+Vに切り替える(CLIPBOARDを読むので、事前にコピー操作が必要) - JetBrainsのターミナル設定で「Paste on middle mouse button click」を外す(Claude Code内の貼り付けは1回になるが、Claude Code外では中クリック貼り付けが効かなくなる)
CLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE=1でClaude Codeのマウス捕捉を止める(スクロールやクリック操作も失う)/tui defaultでクラシックレンダラーに戻す(フルスクリーン固有の機能を失う。この方法の検証報告はissueに無い)
どんな症状で、どの環境で報告されているか
issue本文の再現手順は短く、3つの操作で足ります。
- Linux/X11でJetBrainsの統合ターミナルからClaude Codeを起動する
- どこかのテキストを選択してPRIMARY選択に入れる
- Claude Codeのプロンプトで中クリックする
報告者の環境は、Claude Code 2.1.234、PhpStorm 2026.2.1(Reworked Terminal)、Ubuntu GNOMEのX11セッションです。ラベルにはplatform:linux、area:ide、platform:intellijが付いています。
後続のコメントで、環境の幅が見えてきます。
| 報告 | IDE・ターミナル | デスクトップ |
|---|---|---|
| issue本文 | IDE・ターミナルPhpStorm 2026.2.1(Reworked Terminal) | デスクトップUbuntu GNOME(X11) |
| 2026-09-10のコメント | IDE・ターミナルPyCharm(ClassicとReworked 2025の両方) | デスクトップ記載なし |
| 2026-09-29のコメント | IDE・ターミナルIntelliJ IDEA 2026.2.3 | デスクトップKDE |
| 2026-10-02のコメント | IDE・ターミナルIntelliJ IDEA 2026.2.3(X11ツールキット) | デスクトップUbuntu 24.04のGNOME |
PhpStorm、PyCharm、IntelliJ IDEAの3製品で出ており、GNOMEとKDEの両方で確認されています。JetBrainsの統合ターミナル全般の挙動と見るのが自然です。
duplicateラベルも付いています。VS Codeの統合ターミナルでの右クリック貼り付けの重複(#85629)など、同系統の報告が別にあります。
なぜ二重になるのか — 報告されている原因の見立て
issueの本文は、ターミナルが自前で貼り付ける動作と、マウスイベントがClaude Codeにも転送される動作が重なっていると推測しています。コメントではさらに具体的な見立てが書かれていて、2つの動作の合流として読めます。
Claude Code側の動作。フルスクリーンレンダリングでは、Claude Codeがマウスイベントを自分で受け取ります。公式ドキュメントも、フルスクリーンではマウスイベントを捕捉してClaude Code内で処理すると説明しています。コメント投稿者がバンドルを読んだ内容では、Linuxで中ボタンを検出するとxclipやwl-pasteでPRIMARY選択を読み、プロンプトに貼り付ける実装になっているとのことです。これは公式ドキュメントに載っていない、コメント投稿者による解析です。
ターミナル側の動作。JetBrainsの統合ターミナルには、中ボタンクリックで貼り付ける独自のオプションがあります。Claude Codeがマウスイベントを受け取っていても、ターミナルは自分の貼り付けも実行します。結果として同じ文字列が2回、プロンプトに届きます。
PyCharmで確認したコメント投稿者は、イベントの順序まで観察しています。
- Claude Codeの画面では、中ボタンを押した瞬間に1回、離した瞬間にもう1回貼り付けられる
- Claude Code以外のターミナルでは、離した瞬間の1回だけ貼り付けられる
押下時の貼り付けがClaude Code側で、離した時の貼り付けがターミナル側と読めます。この区別は後述の設定による回避策の根拠にもなります。
回避策1 — 貼り付けをCtrl+Shift+Vに切り替える
issue本文に書かれている回避策で、最も副作用がありません。Ctrl+Shift+Vは1回だけ貼り付けます。
ただし、読むのはCLIPBOARDで、PRIMARYではありません。選択しただけでは貼り付けられず、Ctrl+Cなどで明示的にコピーしてからになります。「ハイライトするだけで貼り付けられる」X11の習慣を持つ人には、操作の手間が増えます。
Claude Codeの貼り付けまわりは別の落とし穴もあります。長文を貼ったときの省略表示はClaude Code貼り付けで大きいテキストが省略される仕組みにまとめてあります。
回避策2 — JetBrainsの中クリック貼り付けオプションを外す
PyCharmで確認したコメントによると、ターミナルの「Paste on middle mouse button click」を外すと、Claude Codeでは押下時の1回だけになります。二重貼り付けは解消します。
この方法には代償があります。同じコメントが注記しているとおり、オプションを外すとClaude Code以外のターミナルで中クリック貼り付けが効かなくなります。Claude Code専用のタブだけで中クリックを使いたい場合は成立しますが、他のシェルでも使うなら痛い選択です。
設定項目はIDE統合ターミナルのオプションにあり、メニューの階層はバージョンで変わる可能性があります。設定画面の検索で語を絞って探すのが確実です。
回避策3 — マウス捕捉そのものを止める
Claude Code側の動作を止める方法です。公式の環境変数一覧では、CLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE=1はフルスクリーンレンダリングでのマウストラッキングを無効にし、端末本来のコピー・選択動作を残すための設定だと説明されています。
CLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE=1 claudeマウスを捕捉しなくなれば、中クリックのイベントはClaude Codeに届かず、ターミナルの貼り付けだけが残ります。issueのコメントでも、この設定で二重貼り付けが直ると報告されています。
失うものも公式ドキュメントに明記されています。クリックによるカーソル移動、クリックでの出力展開、URLクリック、ホイールスクロールがClaude Code内で使えなくなります。PgUpとPgDnによるキーボードスクロールは残ります。
CLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE_CLICKSでは直らない、という報告
ホイールスクロールを残したいなら、CLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE_CLICKS=1が候補に挙がります。ところが、VS Codeでの再現を報告したコメントは、これでは直らないと書いています。
理由として挙げられているのは実装の見立てです。このモードでも入力ループが捨てるのは左ボタンのイベントだけで、中ボタンのイベントは貼り付けの分岐に届くというものです。公式ドキュメントはこの変数について「右クリックと中クリックの貼り付けはそれをサポートする端末で引き続き動く」と書いていて、二重貼り付けには触れていません。実機で試すなら、直らない前提で確認するのが安全です。
CLICKSと無印の違い、ドラッグ選択が効かなくなる理由はCLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE_CLICKSでドラッグ選択が効かない理由と対処に詳しくあります。
回避策4 — クラシックレンダラーに戻す(/tui default)
原因の片方が「フルスクリーンでのマウス捕捉」なら、フルスクリーンをやめる手もあります。フルスクリーンレンダリングはリサーチプレビューの機能で、Claude Code内で/tui defaultを実行するとクラシックレンダラーに戻ります。環境変数で固定するならCLAUDE_CODE_DISABLE_ALTERNATE_SCREEN=1、またはCLAUDE_CODE_NO_FLICKER=0です。
クラシックレンダラーでは、会話がターミナル本来のスクロールバックに残ります。手放すのは、フルスクリーンが提供するマウス操作やスクロール処理です。
この方法でも二重貼り付けが直ったという報告は、issueにはありません。マウス捕捉はフルスクリーン側の動作なので、理屈のうえでは二重にならないはずですが、実機で確かめてから使ってください。なお、バックグラウンドセッションをagent viewから開いた場合は、tui設定に関係なく常にフルスクリーンで描画されます。
どの回避策を選ぶか
4つの回避策は、何を手放すかが違います。
| 回避策 | 手放すもの | 向く場面 |
|---|---|---|
Ctrl+Shift+Vで貼る | 手放すもの選択だけで貼れる手軽さ | 向く場面貼り付けの頻度が低い |
| 中クリック貼り付けオプションを外す | 手放すもの他のターミナルでの中クリック貼り付け | 向く場面Claude Code専用のタブで使う |
CLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE=1 | 手放すものClaude Code内のクリック・ホイール操作 | 向く場面選択と貼り付けをターミナルに任せたい |
/tui default | 手放すものフルスクリーン固有の機能(未検証) | 向く場面フルスクリーン自体に執着がない |
外のターミナルでも中クリックを使い続けたく、Claude Codeのクリック操作も要らないなら、3つ目が合います。クリック操作を残したいなら、1つ目を選ぶことになります。
切り分けと、issueに添える情報
自分の環境が同じ症状かを確かめるには、同じタブで次の順に試します。
- Claude Code内で
/tuiを実行し、Current rendererがフルスクリーンかを確かめる。クラシックで出ているなら、ここまでの原因の見立ては当てはまらない - Claude Codeを終了し、シェルで
catを動かして中クリックする。1回で済めば、ターミナル単体は正常 CLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE=1 claudeで起動し直し、中クリックする。1回になれば、Claude Codeのマウス捕捉との合流が原因- セッションタイプを
echo $XDG_SESSION_TYPEで確認する。x11以外(Waylandなど)は、報告された条件と異なる
報告された環境はX11です。Waylandでは別の経路を通るので、同じ症状として扱えるかは確認が要ります。
新しい環境で再現したときは、issue #87741にコメントを足すと役立ちます。コメントの多くは、IDEのビルド番号、Claude Codeのバージョン、デスクトップ環境、PRIMARY選択の読み出しに使うxclipなどの有無を書いています。この情報があると、原因の切り分けが進みます。
JetBrains統合ターミナルでの他の症状との関係
JetBrainsのターミナルでは、表示崩れやスクロールなど別の症状も報告されています。表示まわりはClaude CodeがPyCharmで表示崩れする症状と回避策に、プラグインとしての導入はClaude Code JetBrainsプラグインの導入と設定にあります。
今回の二重貼り付けは、描画ではなく入力の問題で、原因はマウス捕捉と貼り付け動作の重なりです。表示崩れの回避策を試しても、この症状は変わりません。
まとめ
原因として挙がっているのは、Claude Codeのマウス処理とターミナル自身の貼り付けが両方動くことです。修正が入るまでは、Claude Codeの設定かターミナル設定のどちらかで、片方の貼り付けを止めることになります。
貼り付けの頻度が低いならCtrl+Shift+V、Claude Code専用のタブなら中クリックオプションの解除、クリック操作を手放せるならCLAUDE_CODE_DISABLE_MOUSE=1、フルスクリーンが不要なら/tui default(要実機確認)、という選び方になります。どの方法でも、修正が入ればもとの設定に戻せるので、使っている回避策は手元のメモに残しておくと後で戻しやすくなります。