Claude Codeの組織デフォルトモデル — Org defaultと上書きの優先順位
管理者が配った組織デフォルトモデルがClaude Codeの/modelにOrg defaultと出る条件と、--model・managed settings・保存済みmodelとの優先順位、上書きオンの挙動を解説します。
Default行にOrg defaultと出る条件
Claude Codeの/modelピッカーでDefault行に「Org default」と出ていたら、管理者が管理コンソールで組織デフォルトモデルを設定しています。対象はClaude Enterpriseプランで、組織全体にも、カスタムロール単位にも設定できます。設定が入ると、Defaultの選択肢はそのモデルに解決されます。
要件はClaude Code v2.1.196以降です。この機能が導入されたのもv2.1.196で、手元のバージョンが古いと管理者が設定しても反映されません。
もう一つの条件が認証です。組織デフォルトが届くのは、Anthropic APIで認証したセッションだけです。LLMゲートウェイ経由のデプロイなどでは届かないため、managed settingsのmodelキーで配ります。
管理コンソール側の設定手順とロール別の解決ルールはClaude組織のデフォルトモデル設定で扱っています。この記事は逆に、メンバーのターミナルで何が起きるかを追います。
何が組織デフォルトに勝つか
組織デフォルトは「開始地点」であって制限ではありません。次の指定は、どれも組織デフォルトより優先されます。
組織デフォルトを上書きできる指定
その場の指定
--modelフラグとANTHROPIC_MODEL環境変数です。起動したセッションにだけ効きます。
設定ファイルの指定
managed settingsまたは--settingsで渡したmodel、そしてuser・project・localの各settingsのmodelです。/modelで保存した値もここに入ります。
つまり、設定ファイルにmodelが1つでも書かれていれば、組織デフォルトは使われません。管理者が配ったのに「自分のところだけ別のモデルで起動する」とき、まず疑うのは~/.claude/settings.jsonのmodelです。
ANTHROPIC_DEFAULT_MODEL(v2.1.236以降)は、さらに下位です。--model・ANTHROPIC_MODEL・設定ファイルのmodel・組織デフォルトのどれも無いときだけ効きます。詳しい条件はANTHROPIC_DEFAULT_MODELの解説にあります。
上書きオンのとき/modelの保存はどうなるか
管理者は、組織デフォルトがユーザーの選択を上書きする設定にもできます。上書きがオンだと、組織デフォルトはuser・project・localのmodelより優先されます。
挙動は次のとおりです。
/modelで選んだモデルは、現在のセッションにだけ適用される- 次回の起動では、組織デフォルトに戻る
- 選択が組織デフォルトと違うと、
/modelにYour organization's default (<model>) applies on restartと出る
上書きがオンでも、--model・ANTHROPIC_MODEL・managed settings・--settingsは組織デフォルトより強いままです。上書きの対象は、ユーザー自身が書く3種類の設定ファイルに限られます。
上書きがオフの場合は逆の挙動です。管理者が組織デフォルトを変えたあと、最初の対話起動で、user settingsのmodelキーが1回だけ消されます。新しいデフォルトを効かせるための処理で、ファイルのほかの項目は変わりません。その後に/modelで保存した値は、そのまま残ります。
設定が効かないときの切り分け
組織デフォルトが期待どおりに出ないときは、上から順に確かめます。
組織デフォルトが効かないときの確認順
- QClaude Codeはv2.1.196以降か答えがいいえ答えがはい
アップデートします。それ以前の版には機能がありません。
- QAnthropic APIで認証したセッションか答えがいいえ答えがはい
ゲートウェイ等では届きません。managed settingsのmodelで配る構成にします。
- Q--modelもANTHROPIC_MODELも使っていないか答えがいいえ答えがはい
シェルの環境変数とエイリアスを確認します。
- Quser・project・localのsettingsにmodelを書いていないか答えがいいえ答えがはい
あれば組織デフォルトより優先されます。上書きがオンなら無視されます。
Default行にOrg defaultが出る
ここまでの原因に当たらなければ、Defaultは組織デフォルトのモデルに解決されます。
調べる道具は、/modelピッカーと設定ファイルだけで足ります。
claude --version
grep -n '"model"' ~/.claude/settings.json .claude/settings.json \
.claude/settings.local.json
env | grep -E 'ANTHROPIC_(DEFAULT_)?MODEL'プロジェクトやmanaged settingsが起動モデルを決めているときは、起動時のヘッダにどの設定ファイルが決めたかが出ます。この表示も手掛かりになります。
組織デフォルトが通る検査
組織デフォルトは、採用される前にいくつかの制限チェックを通ります。制限そのものではない、という位置づけは変わりません。
| 状況 | 結果 |
|---|---|
availableModelsだけが設定され、許可リスト外 | 結果そのまま適用される |
enforceAvailableModelsも設定され、許可リスト外 | 結果許可リストの先頭エントリに置き換わる |
| 組織のモデル制限で自分のアカウントには拒否 | 結果同じファミリーで許可されている最新モデルに置き換わる。ファミリー全体が制限なら、低コストのファミリー |
| そもそもアカウントで使えない | 結果読み飛ばされ、Defaultは組織デフォルトが無い場合と同じに解決される |
「availableModelsだけでは組織デフォルトを縛れない」点は見落としやすいところです。許可リスト外のモデルを配ってしまうと、そのまま届きます。許可リストをDefaultにまで効かせる設定はenforceAvailableModelsの解説にあります。
deniedModelsで名指しされたモデルや、"exact"指定のリストに載っていないモデルがDefaultの行き先になる場合は、同じファミリーで許可されている最新版、次にSonnet、Haikuの順に下がり、最後にavailableModelsの先頭の許可モデルが選ばれます。どれも許可されていなければ、Defaultで始まるセッションは起動を拒否します。これらのキーはmanaged settingsからしか読まれず、ユーザー・プロジェクト・ローカルの設定に書いても警告つきで無視されます。
保存したのに次の起動で戻る3つのパターン
上書きがオンの組織では、/modelの保存が次回起動で組織デフォルトに戻ります。ただし、同じ症状が出る原因はほかにもあります。
- セッション限りの選択だった: ピッカーで
sを押す、--modelで起動する、-pの非対話モードで/modelを使う(v2.1.205以降)は、どれも現在のセッションにだけ効き、保存済みの値は変わりません - より優先度の高い指定がある: projectやmanaged settingsの
model、シェルのANTHROPIC_MODEL、上書きオンの組織デフォルトは、起動のたびに再適用されます。/modelの選択は保存されていても、順位で負けています - resumeしたセッションだった:
claude --resumeや--continueで再開したセッションは、保存時のモデルを引き継ぐのが通常です。引き継いだモデルが退役済みかavailableModelsの外なら、通常の優先順位に戻ります
非対話モードで/modelを使っても、組織デフォルトが上書きオンなら次の起動で再適用されます。スクリプトで固定したいモデルは、--modelで毎回渡すほうが確実です。
# このセッションだけSonnetで起動する(保存済みの値は変わらない)
claude --model sonnet/modelをEnterで確定すると、user settingsのmodelに書き込まれます。この書き込みは~/.claude/settings.jsonが書き込み可能でないと失敗します。他のツールが生成して読み取り専用にしているファイルでは、選んだモデルがそのセッション限りで終わり、次の起動は古い値を読みます。
配信タイミングとv2.1.199の変更
Claude Codeは、組織デフォルトを起動時に1回だけ読みます。管理者が使用中に変更しても、反映は次回の起動です。
v2.1.199からは、もう一つ変わりました。組織デフォルトが、アカウント種別の通常のデフォルトと別のモデルファミリーのとき、ピッカーに通常のファミリーの行が別に残ります。その行を選べば、セッション単位で通常のモデルへ切り替えられます。v2.1.196から198では、この行がピッカーにありません。
表示ラベルは「Org default」と「Role default」のどちらか
v2.1.196のchangelogには、/modelに「Org default」(または「Role default」)と出る、と書かれています。一方、モデル設定のページには、組織全体に設定した場合も自分のロールに設定した場合も、ラベルは「Org default」になる、とあります。
ロール単位の設定でもOrg defaultと表示される、という後者の説明が詳細です。画面にRole defaultが出ないからといって、ロールの設定が効いていないとは限りません。ロールのデフォルトが優先される仕組みと、複数ロール所属時に最も高性能なモデルが採用される規則はロール別の優先順位の記事に詳しくあります。
managed settingsで同じことをする場合
ゲートウェイ経由など、組織デフォルトが届かない環境では、managed settingsのmodelが代わりになります。形は次のとおりです。
{
"model": "sonnet"
}これは上書きオンの組織デフォルトより強い指定で、ユーザーが/modelで保存した値にも勝ちます。ユーザーが切り替えを試しても、次回起動でmanaged settingsの値に戻ります。配信経路や読み込み順はClaude Code組織管理ガイドにまとめています。
使えるモデルの範囲を絞りたい場合は、組織デフォルトではなくavailableModelsか組織のモデル制限を使います。/modelの基本操作はClaude Codeの/modelで確認できます。
まとめ
組織デフォルトは、Enterpriseの管理者がv2.1.196以降のClaude Codeに配る「開始地点」です。拘束力が欲しいなら、上書きをオンにするか、managed settingsのmodelを使います。
- 設定ファイルに
modelがあって上書きがオフなら、組織デフォルトは出ない - 上書きがオンでも、
--model・ANTHROPIC_MODEL・managed settingsが勝つ - 変更は次回起動から効く