Claude CodeのZDR組織で使えない機能 — 6機能が止まる理由と切り分け
ZDRを有効にしたEnterprise組織で止まるクラウドセッション・Remote Control・Artifacts・/feedback・Claude Tagなど6機能の理由と、HIPAA構成との見分け方。
Claude for EnterpriseでZero Data Retention(ZDR)を有効にすると、プロンプトや応答の保存を前提にする機能は、バックエンドで自動的に止まります。止まるのは、クラウドセッション・Chat and Cowork unified・Claude Tag・Artifacts・フィードバック送信・Remote Controlの6つです。
端末のClaude Codeでふつうにコードを書く分には、ZDRの影響は出ません。影響が出るのは、会話やページをAnthropic側に置く機能だけです。
ZDRの契約形態や、ワークスペース単位の保持設定はClaude Zero Data Retention(ZDR)が有効になる契約形態の切り分けとClaude ZDR組織でワークスペースごとにデータ保持を有効にする手順が扱っています。ここでは、Claude Code側で止まる機能と、その切り分けに絞ります。
ZDR組織で止まる6機能と、止まる理由
Claude Codeのドキュメントは、無効化される機能と理由を表にしています。共通点は、どれも「保存」か「Anthropicへの送信」を伴うことです。
| 機能 | 止まる理由 |
|---|---|
| クラウドセッション(Desktopアプリから開始したものを含む) | 止まる理由会話履歴を含むセッションデータをサーバー側に保存する必要がある |
| Chat and Cowork unified | 止まる理由クラウドセッションが前提になる |
| Claude Tag | 止まる理由チャンネルの記憶とセッション記録を保持する |
| Artifacts | 止まる理由公開したページの内容をAnthropic運用のインフラに保存する |
フィードバック送信(/feedback・/bug・/share) | 止まる理由送信すると会話データがAnthropicに渡る |
| Remote Control | 止まる理由端末間で会話を同期するため、セッション記録をAnthropicのサーバーに保存する |
理由の書き方は機能ごとに違いますが、読み替えると2種類に分かれます。1つは、機能の動作そのものが保存を要求する型です。クラウドセッションとRemote Controlがこれで、保存を止めると機能の意味がなくなります。もう1つは、機能が外部へ送る型です。/feedback系がこれで、ZDRの約束と正面からぶつかります。
Chat and Cowork unifiedだけは、直接の保存理由ではなく「クラウドセッションが要る」と書かれています。クラウドセッションが止まれば連動して使えなくなる、玉突きの関係です。
表示されていても通らない — バックエンドで止まる
この制限は、画面の見え方に左右されません。公式には、これらの機能はクライアント側の表示にかかわらずバックエンドでブロックされると書かれています。起動時のターミナルに機能が出ていても、使おうとすると「組織のポリシーがその操作を許可していない」旨のエラーが返ります。
つまり、メニューやコマンドが見えることは使える証拠になりません。管理者が設定で隠せば解決する種類の問題でもありません。
もう1点、ドキュメントは「将来の機能も、プロンプトや応答の保存が必要なら無効化されうる」と書いています。新機能のリリースノートを読んで試したのに動かないときは、まずこの表を疑う価値があります。
症状から探す — どの機能がどう止まって見えるか
利用者の目に入るのは機能名ではなく、エラーや「できない」という状態です。各ページの記述から、止まって見える場面を並べます。
止まって見える場面
Remote Controlを有効にできない
ZDRまたはHIPAA構成が有効な組織は、Remote Controlを有効にできません。
disableRemoteControlで自分から切る設定とは別の理由です。クラウドセッションが開けない
/web-setupを含むクラウドセッション機能が使えません。ZDR・HIPAA構成に加え、顧客管理の暗号鍵(CMEK)を使う組織でも開始できません。Artifactsを公開できない
Claudeはページを公開する代わりに、ローカルのHTMLファイルを書くか、公開できないと答えます。
/feedbackが使えない
ZDR組織では、セッション品質アンケートの後に出るトランスクリプト共有の質問も表示されません。
Artifactsについては、公開できる条件が表で示されています。ZDRの未有効化はその条件の1つにすぎません。ClaudeのアカウントでログインしたClaude Code CLIかDesktopアプリであること、Anthropic APIを使っていること(Amazon Bedrock・Google Cloudのエージェント基盤・Microsoft Foundryは対象外)、CMEKとHIPAAが有効でないことも並びます。ZDRを外しても、ほかの条件が欠ければ公開できません。
表に載っていないが、同じ壁に当たる機能
無効化の表は6項目ですが、ZDRの影響はそこに収まりません。ほかのページに、ZDRを理由に使えない機能が書かれています。
セルフホスト環境(self-hosted environments)がその例です。ZDRまたはHIPAA構成が有効な組織では使えないと、セルフホスト環境のページに明記されています。クラウドセッションの有効化が前提になる機能なので、玉突きの延長として読めますが、ZDRの表には出てきません。
自分の組織の機能が止まっているとき、ZDRページの6項目だけを根拠にしないでください。機能側のページ(Remote Control・クラウドセッション・Artifacts・セルフホスト環境)にも、ZDRやHIPAAの記述があります。表と各機能のページは、突き合わせて読むのが確実です。
HIPAA構成・CMEKでも同じ症状になる
ZDR組織で止まる機能は、HIPAA構成を適用した組織でも止まります。HIPAAのセットアップページには、開発者が気づく変化の表があります。
| 開発者が気づくこと | 理由 |
|---|---|
--cloud・/teleport・Remote Controlが拒否される | 理由クラウドセッションとRemote Controlがオフ |
/feedbackと/bugが使えない | 理由フィードバック送信がオフ |
| Claudeがアーティファクトを公開できない | 理由アーティファクトの公開がオフ |
ZDRの表と並べると、同じ4機能が重なっています。クラウドセッションにはCMEK、ArtifactsにはCMEKとHIPAAも関わります。
結果として、画面のエラーだけでは原因をひとつに絞れません。/feedbackが使えない理由には、ZDRのほかに「製品フィードバックを組織ポリシーで無効にしている」場合もあります。後者の対処はClaude Codeの/feedbackが無効 — 組織ポリシーの対処と代替にあります。HIPAA構成のローカルモードの扱いはClaude Code(ローカルモード)のHIPAA対応セットアップにまとめています。
切り分けの順番
原因の候補はZDR・HIPAA構成・CMEK・個別のポリシーと複数あるので、上から順に確認するのが早道です。
機能が使えないときの切り分け
- Q`/status`で、Organization行にその組織名が出ていますか?答えが個人アカウントやAPIキー、別組織のログインです答えがはい
ZDRの対象外か、そもそも対象機能の条件を満たしていません。ログイン先を見直します。
- Q止まっている機能が、前節の6機能のどれかですか?答えが機能側のページの利用条件を確認します答えがはい
セルフホスト環境のように、ZDRの表にない機能もあります。
組織のZDR・HIPAA構成・CMEKの有効状況を管理者に確認
6機能のどれかが止まっていて、組織名も正しいなら、組織側の設定が原因です。個人の設定では直りません。
HIPAAのページは、ポリシーの取得に失敗している可能性にも触れています。/statusのOrganization policy行や、セッションの外で実行するclaude doctorが、ポリシーの読み込み元や失敗理由を示します。プロキシ越しなら、api.anthropic.comを通す必要があります。
claude doctorZDRの対象にするには、ログイン経路をそろえる
ZDRが効くのは、ZDRを有効にした組織にログインして作られたリクエストだけです。個人アカウントや別組織のAPIキーで使われたセッションは、ZDRの外側に出ます。
組織に紐づくclaude.aiログインを必須にするには、管理設定のforceLoginMethodとforceLoginOrgUUIDを使います。たとえば次の形です。組織IDは管理画面に表示される値に置き換えます。
{
"forceLoginMethod": "claudeai",
"forceLoginOrgUUID": "<組織のUUID>"
}管理設定の配布は端末管理ツールで行い、サーバー管理設定だけでは最初のログインを誘導できません。サーバー管理設定も併用する場合は、同じキーを両方に置きます。
ZDRにしても残るデータ
止まる機能の裏返しとして、ZDRに含まれないものも挙げておきます。ZDRの対象は、Claude Codeの推論呼び出しです。次のものは、標準の保持方針に従います。
- claude.aiのチャット
- Cowork
- Claude Code Analyticsのメタデータ(アカウントのメール、利用統計など)
- ユーザーとシートの管理データ
- サードパーティのツールやMCPサーバーが処理するデータ
Analyticsはプロンプトや応答を保存しませんが、貢献度メトリクスはZDR組織では使えず、ダッシュボードには利用量の指標だけが残ります。この点はClaude Code AnalyticsのPR帰属の文脈でも効いてきます。
また、法律上の要請や利用ポリシー違反への対処で、データが保持されることがあります。違反が疑われたセッションの入出力は、最長2年保持されうるとされています。
ZDR組織でのモデルの扱い
機能とは別に、モデルにも制限が出ます。Claude Fable 5.1とFable 5は、Covered Modelsとしてデータ保持が要るため、ZDR組織やワークスペースで使えるかはCovered Modelsの方針で決まります。使えない組織では、/modelの候補から消えるか、無効な状態で表示されます。サーバー側はクライアントの設定にかかわらず、そのモデルへのリクエストを拒否します。
Fableはデフォルトのモデルではありません。Fableが使える場合に最新のFableを指すbestは、使えない組織ではOpusに解決されます。それ以外のモデルは、ZDR組織でも引き続き使えます。
まとめ
ZDR組織でClaude Codeが止まる6機能は、保存を伴うか、外へ送るかのどちらかです。メニューに出ていても通らないので、表示の有無で可否を判断できません。HIPAA構成やCMEKでも同じ機能が止まるため、組織側の有効状況を管理者に確認するまで、原因は絞りきれません。
新機能が動かないときは、まず機能ページの利用条件とこの6項目を見て、それでも説明がつかなければ組織の契約形態に戻るのが近道です。
参照した一次ソース
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