Claudeで競合の広告クリエイティブを分析する手順 — 訴求軸の分類と比較
競合の広告バナーや動画のスクリーンショットをClaudeに渡し、訴求軸・コピー・配色を分類して比較する手順です。画像の下ごしらえ、分類軸の固定、Projectsで画像が読まれない落とし穴まで扱います。
競合の広告クリエイティブ分析は、Claudeに画像を読ませて「訴求軸・コピーの型・配色」を1枚ずつ表に起こし、その表を比較させる流れで進めます。集めた広告のスクリーンショットをそのまま渡して「傾向を教えて」と頼むだけだと、回ごとに分類の基準が揺れて比較になりません。先に分類軸を固定し、1枚ずつ構造化してから横に並べる、という順番が要になります。
ここでは、Claudeのチャットに広告画像を渡して分析する手順を、下ごしらえから比較、限界の順に追います。
Claudeに任せる範囲と、人に残す範囲
Claudeは、画像内の文字・レイアウト・色づかい・人物や商品の写り方を読み取り、指定した基準で分類できます。画像を読む機能そのものの得意・不得意はClaude画像解析でできることにまとめてあるので、ここでは広告分析に絞ります。
広告分析で任せやすい作業と、人に残る作業は次のように分かれます。
| 作業 | Claudeに任せる | 人に残す |
|---|---|---|
| バナー内のコピーの書き起こし | Claudeに任せる◎ 読める解像度なら任せられる | 人に残す誤読の抜き取り確認 |
| 訴求軸(価格・実績・悩み訴求など)の分類 | Claudeに任せる◎ 分類軸を渡せば一貫して振り分ける | 人に残す分類軸そのものの設計 |
| 配色・レイアウトの言語化 | Claudeに任せる○ 「暖色系の背景に白抜きの文字」程度の記述 | 人に残す正確な色コードが要るときは別ツール |
| 出稿量・期間・成果の推定 | Claudeに任せる× 画像からは分からない | 人に残す広告ライブラリの掲載情報や別データ |
| 自社の打ち手の決定 | Claudeに任せる△ 案の列挙まで | 人に残す採否の判断 |
出稿の量や成果は画像に写っていません。Claudeは画像のメタデータも受け取らないので、撮影日や取得元も読めません。掲載開始日やプラットフォーム名は、自分でファイル名かプロンプトに書いて渡します。
集めた画像を渡す前の下ごしらえ
画像の準備で結果の半分が決まります。対応形式と上限を確認しておきます。
- 対応する画像形式はJPEG・PNG・GIF・WebP
- チャットへのアップロードは1チャット20ファイルまで、画像は8000×8000ピクセルまで
- 精度を保つ目安は1000×1000ピクセル以上。小さい画像や低解像度の画像は避ける
- 200ピクセル未満の非常に小さい画像、回転した画像、低品質の画像では、誤読や幻覚が起きやすくなる
広告画像に置き換えると、次の3点が実務上の注意になります。
- バナーは文字が読めるサイズで保存する。サムネイル一覧をキャプチャすると、コピーが潰れて誤読の元になります。1枚ずつ原寸で保存します
- 動画広告は代表フレームの静止画にする。対応形式に動画は含まれません。冒頭・中盤・CTA表示の3コマを別々のスクリーンショットにして渡します。動きやBGMの印象は画像から読み取れないので、人がメモを添えます
- ファイル名に情報を持たせる。
competitorA_2026-09_video-frame1.pngのように、競合名・取得月・種別を入れておくと、Claudeが比較表で行を取り違えにくくなります
スマートフォンで画面を撮影した画像は傾いたり回転したりしがちで、これも誤読の原因になります。向きを直してから保存し、画面キャプチャ機能で取れるものはそちらを使うと安定します。
なお、非常に大きな画像は処理前に縮小されます。縮小されると文字が読みにくくなることがあります。トークン消費と縮小の仕組みはClaudeの画像のトークンコスト計算式で扱っています。
先に決めておく訴求軸の分類表
Claudeに「どんな訴求ですか」と自由記述で聞くと、回ごとに言葉が変わります。比較したいなら、分類の選択肢を先に渡します。次は広告の訴求を切り分ける一例です。自社の商材に合わせて増減してください。
| 分類軸 | 選択肢の例 |
|---|---|
| 訴求軸 | 選択肢の例価格・割引 / 実績・数字 / 悩み提示 / 権威・受賞 / 限定・期限 / 使い方提案 |
| コピーの型 | 選択肢の例疑問形 / 断定形 / 数字先頭 / 体験談風 / 命令形 |
| ビジュアル | 選択肢の例人物あり / 商品のみ / 画面キャプチャ / イラスト / 文字のみ |
| 配色 | 選択肢の例暖色系 / 寒色系 / モノトーン / 高彩度の多色 |
| CTAの位置 | 選択肢の例上部 / 中央 / 下部 / なし |
選択肢を固定すると、Claudeは「この広告は『実績・数字』と『権威・受賞』の両方に当たる」といった重なりも、主従を付けて答えられます。「複数該当するときは最も目立つ1つを主、残りを従とする」というルールも一緒に渡しておくと、比較表の列が揃います。
1枚ずつ構造化して読み取らせるプロンプト
最初のチャットで、分類軸を渡したうえで画像を数枚ずつ読ませます。指示文は次のような形にします。
添付は競合A社の広告バナー(1〜5枚目)です。
1枚ずつ、次の項目を表にしてください。
- ファイル名
- バナー内の文言(見える文字をそのまま書き起こす)
- 訴求軸(主1つ・従は任意。選択肢: 価格・割引 / 実績・数字 / 悩み提示 / 権威・受賞 / 限定・期限 / 使い方提案)
- コピーの型(疑問形 / 断定形 / 数字先頭 / 体験談風 / 命令形)
- ビジュアル(人物あり / 商品のみ / 画面キャプチャ / イラスト / 文字のみ)
- 配色(背景と文字の色を一言で。正確な色コードは不要)
- 判断に迷った点
文字が読み取れない箇所は推測せず「判読不能」と書いてください。要点は最後の1行です。読めない箇所を「判読不能」と書かせておけば、誤読をそれらしい文言で埋められる事態を減らせます。表の「判断に迷った点」の列は、人が抜き取り確認をするときの目印になります。
画像は、チャット欄の「+」ボタンから「Add files or photos」を選ぶか、ファイルのドラッグ&ドロップ、クリップボードからの貼り付けで添付できます。Meta広告ライブラリのような画面から取ったスクリーンショットも、貼り付けで渡せます。
複数の競合を横に並べて比較させる
構造化した表が競合ごとにそろったら、同じチャットの中で比較を頼みます。1チャットの添付は20ファイルまでなので、競合ごとにチャットを分けて表を作り、表のテキストだけを1つのチャットに集約するのが扱いやすい進め方です。
以下はA社・B社・C社の広告を分類した表です。
訴求軸の分布を競合ごとに集計し、次を答えてください。
1. 3社に共通して多い訴求軸と、1社だけが使っている訴求軸
2. コピーの型の偏り
3. 表の根拠になった行番号(またはファイル名)を各結論に添える
集計は表の行数を数えて出し、表にない情報から推測しないでください。「根拠の行を添える」と指定するのは、結論と元の広告を後から突き合わせるためです。Claudeが出す件数は、表のテキストを数えるなら再現しやすい一方、画像から直接数えさせると概算になります。画像内の物体の個数は概算になりやすいためです。表に落としてから数えさせる手順は、この点への現実的な対処になります。
出稿量の比較や競合サイト全体のトラフィックを知りたい場合は、画像分析ではなくデータ側の手段を使います。連携例はClaudeとSimilarwebを連携する方法にあります。
Projectに画像を置くと読まれない落とし穴
競合ごとの広告画像を、そのままProjectのファイルに入れておきたくなります。ここに注意が要ります。Projectのファイルは「テキスト抽出のみ」で、マルチモーダルに読まれるのはPDFだけです。
| 置き場所 | 画像の扱い |
|---|---|
| チャットへの添付 | 画像の扱い画像として読まれる(1チャット20ファイルまで) |
| Projectのファイル | 画像の扱いテキスト抽出のみ(マルチモーダルPDFを除く) |
| 100ページ以下のPDF | 画像の扱いテキストに加え、図やグラフなど視覚要素も読まれる |
| 101〜1000ページのPDF | 画像の扱いテキストのみで、視覚要素は読まれない |
したがって、Projectに広告画像を常設したいなら、次のどちらかにします。
- スクリーンショットを1つのPDFにまとめる。100ページ以下なら視覚要素も読まれます。競合ごと、月ごとにPDFを分けると管理しやすくなります
- チャットで作った分類表をテキストで保存する。画像そのものではなく、前節の表(Markdownやcsv)をProjectに置きます。継続的な定点観測なら、毎月の新しいバナーだけチャットで分類し、表に追記していく運用のほうが軽く済みます
Projectの仕組みはClaude.aiのProjectsとArtifactsの使い方で説明しています。競合サイトのテキストを繰り返し観測する運用は、Coworkのマーケティング業務の進め方が扱っています。画像の広告クリエイティブは、その観測にスクリーンショット経由で足す補完として位置づけられます。
分析結果を鵜呑みにしない4つの場面
画像の解釈は、間違える前提で使います。精度が要る場面では人の確認を挟む前提です。広告分析で特に外れやすいのは次の4つです。
- 小さな注意書き。「※効果には個人差があります」のような脚注は、縮小や圧縮で読めなくなります。表記の検討に使うなら原寸で確認します
- 人物の特定。Claudeは画像中の人物の名前を答えません。インフルエンサーを起用した広告でも、誰かは自分で書き添えます
- 色の正確な値。「赤」「濃い青」といった言語化はできても、ブランドカラーのコード特定には向きません。近似の記述として受け取ります
- 効果の評価。クリック率や成果は画像に写りません。「この訴求は効いている」という言い方が出てきたら、根拠のない推測です
広告表現の適法性のチェックは、別の論点です。薬機法や不動産の表示規約に触れる表現を下読みさせる方法は、薬機法の広告NG表現をClaudeで点検する方法と不動産広告の表示規約違反をClaudeで下読みする方法で扱っています。
継続運用に落とすときの型
単発で終わらせず、月次で回すなら次の4ステップにそろえると再現しやすくなります。
- 月初に、競合ごとの新しい広告を原寸のスクリーンショットで保存する(ファイル名は競合名・月・種別)
- チャットに分類軸の指示文と画像を貼り、1枚ずつ表にさせる
- 「判断に迷った点」の列と、判読不能の箇所を人が目で確認して直す
- 確認済みの表をProjectのテキストに追記し、月をまたいだ差分を別のチャットで比較させる
取得元の利用条件は各プラットフォームの規約で確認し、社内分析に使う範囲にとどめるのが無難です。
よくある質問
数十枚の広告を一度に読ませられますか
チャットは1つあたり20ファイルまでです。APIでは、200kトークンのコンテキストのモデルで1リクエストあたり100枚、それ以外のモデルで600枚まで送れます。ただし20枚を超えると画像1枚あたりの寸法上限が厳しくなり、リクエスト全体のサイズ上限に先に当たることもあります。分析の質を考えるなら、5枚前後ずつに区切って表にするほうが確認しやすくなります。
まとめ
競合の広告クリエイティブ分析は、分類軸を先に固定し、画像を1枚ずつ表に起こし、その表を比較する三段で進めるのが基本です。画像は原寸で、文字が読める解像度のまま渡します。Projectのファイルでは画像が視覚的に読まれないため、常設するならPDFにまとめるか、分類表をテキストで保存します。効果の評価や正確な色コードのような、画像から出ない情報は人が補います。