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Claude Desktopでuser-data-dirが無視される — MSIX版v2.42304.0

Claude Desktopでuser-data-dirが無視される — MSIX版v2.42304.0

Windows(MSIX)のClaude Desktop v2.42304.0で--user-data-dirが効かず、2つ目のウィンドウが開かない、または既定プロファイルが開く報告の症状と切り分けです。

Windowsのストア版(MSIX)Claude Desktopをv2.42304.0に更新したあと、--user-data-dir を付けて2つ目を起動しても別アカウントのウィンドウが開かない。GitHubのissue #103068(2026-10-17起票、open)にこの報告があります。以前は毎日この方法で2アカウントを並べていた、という内容です。

この記事では、報告されている2つの症状、再現手順、手元の環境で同じ状態かを確かめる方法を順に見ます。原因はissueの時点で特定されていません。

何が起きるのか — 症状は2パターン

報告では、2つ目のコピーを Claude.exe --user-data-dir=<dir> で起動したときの挙動が、既定のインスタンスが動いているかどうかで分かれます。

くらべる

2つ目の起動で起きること

パターン1

既定のインスタンスが動いている

2つ目のメインプロセスは0.5秒も生き残らず、既定のウィンドウ(アカウントA)が前面に出るだけです。

パターン2

何も動いていない

プロセスは --user-data-dir=... を付けたまま動き続けますが、開くのは既定プロファイル(アカウントA)です。

どちらも、エラーダイアログは出ません。Windowsのアプリケーションイベントログにも記録が残らないと書かれています。

パターン2では、--user-data-dir で指定したフォルダに、v2.42304.0への更新後は何も書き込まれていません。引数は渡っているのに、プロファイルの選択だけが反映されていない状態です。

再現手順

issueに書かれた手順を、そのまま並べます。Store版のインストール先は Get-AppxPackage で調べます。

(Get-AppxPackage *Claude*).InstallLocation
(Get-AppxPackage *Claude*).Version

Version が 2.42304.0.0 なら、報告と同じバージョンです。続けて、通常どおり起動して既定プロファイルでサインインした状態で、コマンドプロンプトから次を実行します。

start "second" "<InstallLocation>\app\Claude.exe" ^
  "--user-data-dir=%APPDATA%\Claude-Second"
手順

報告された再現の流れ

  1. 1

    既定のインスタンスを起動しておく

    Store版をv2.42304.0にして、アカウントAでサインインします。

  2. 2

    2つ目をコマンドで起動する

    上の start コマンドを実行します。

  3. 3

    結果を見る

    2つ目のプロセスは残らず、既存のウィンドウが前面に出ます。

  4. 4

    いったん完全に終了して繰り返す

    トレイのアイコンからQuitを選び、同じコマンドをもう一度実行します。

  5. 5

    開いたアカウントを見る

    アプリは開きますが、サインイン済みなのは Claude-Second のアカウントではなく、既定プロファイルのアカウントAです。

同じ手順はv2.37337.1では、アカウントBにサインインした独立の2つ目のウィンドウを開きました。

いつから変わったのか

報告者によると、この使い方はv2.26454.0からv2.37337.1まで毎日動いていました。v2.26454.0には「同じWindowsアカウントで動く2つ目のコピーで、Coworkのタスクが開始できない問題を修正した」という変更があり、そこから2つ目のコピーが実用になったという流れです。

最後に動いたのはv2.37337.1、動かなくなったのはv2.42304.0です。その間のバージョンで挙動が変わった可能性は、issueからは分かりません。

v2.42304.0の更新内容には、起動引数やデータフォルダーに触れる項目がありません。issueが近い変更として挙げているのは、次の1件だけです。

  • アプリがウィンドウなしで起動することがあった問題の修正(Helpメニューからの再起動後を含む。WindowsとLinux)

これは起動経路の変更ですが、--user-data-dir との関係は報告者の推測にとどまります。

自分の環境で同じ状態か確かめる

「2つ目が出ない」だけなら、操作ミスや既存プロセスの残りでも起こります。報告者は0.5秒おきにWin32_Processを10秒間ポーリングして、プロセスの有無を確かめました。同じ考え方の確認を、次のような形で書けます(報告の方法を参考にした例で、公式の手順ではありません)。

1..20 | ForEach-Object {
  Get-CimInstance Win32_Process -Filter "Name='Claude.exe'" |
    Where-Object CommandLine -like '*Claude-Second*' |
    Select-Object ProcessId, CommandLine
  Start-Sleep -Milliseconds 500
}

2つ目を起動した直後にこれを流し、何も表示されないならパターン1に当たります。Claude-Second を含むコマンドラインのプロセスが残るのにウィンドウが既定のアカウントなら、パターン2です。

さらに、MSIX版のデータは仮想化された場所に置かれます。報告では %LOCALAPPDATA%\Packages\Claude_pzs8sxrjxfjjc\LocalCache\Roaming\Claude-Second を見ています。指定したフォルダの更新日時が、更新後に動いていないかを見る手がかりになります。

どこまでが報告の範囲か

#103068の報告は、Microsoft Store版(MSIX)のv2.42304.0に限られます。従来のインストーラー版やmacOSで同じ症状が出るかは、issueに書かれていません。Linuxの記述もありません。

macOSで --user-data-dir の2つ目を扱っている #98549は、起動自体は成功し、サインインの戻り先だけがずれる報告です。今回の「2つ目が起動しない、または既定プロファイルが開く」とは別の症状として読むのが安全です。

もう一点、MSIX版には固有の事情があります。報告者が確認しているとおり、パッケージ版のデータフォルダーは %APPDATA% ではなく Packages\...\LocalCache\Roaming の下に仮想化されます。--user-data-dir=%APPDATA%\Claude-Second と書いても、実体は仮想化された側に作られます。この仮想化がプロファイルの選択に関わっているかどうかは、issueでは推測されていません。

複数アカウント運用で踏む、別の壁

--user-data-dir が効いていた間でも、2つ並べる運用には既知の制約がありました。issue #103068が関連として挙げているものを並べます。

関連issue

2つ並べる運用で報告されている問題

  • #98549 — サインインの戻り先がずれる

    macOSの例で、2つ目のインスタンスからサインインを始めても、claude:// のコールバックが先に登録された既定のインスタンスで完了します。報告された回避策は、他のインスタンスをすべて終了してからサインインすることでした。

  • #98613 — CoworkのVMが衝突する

    Windowsでは、CoworkのVM IDがWindowsのユーザー SIDだけから決まります。そのため --user-data-dir の違う2つ目では、VMが作れず HYPERVISOR_SERVICE_ERROR になると報告されました。このissueは2026-10-01にclosed(completed)になっています。

  • #18435 — アカウント切り替えの要望

    サインアウトとサインインを繰り返さずに複数アカウントを切り替える機能の要望が、openのまま残っています。

#98613では、報告者が cowork-service.log から原因を突き止めています。VMのIDが cowork-vm- にSIDのハッシュ先頭8桁を足した形で、データフォルダーがIDに入らないため、2つ目が 0x8037010f(同じ識別子の仮想マシンが既にある)で失敗します。提案された修正は、SIDとデータフォルダーを合わせてハッシュする案です。最低限の案として、エラーを HYPERVISOR_SERVICE_ERROR ではなく「別のインスタンスのVMが動作中」と示す案も出ています。2つ目で「仮想化が壊れている」と読める表示が出たときは、この衝突を疑う手がかりになります。

#98613のclosedが「どの版で直ったか」は、issueの本文からは読み取れません。2つ目のコピーでCoworkを使う場合は、VMの仕組みが --user-data-dir ごとに分かれているかを、バージョンを揃えた手元の環境で試す必要があります。VMの挙動そのものは、Claude DesktopがHyper-V仮想マシンを起動する理由にまとめています。

当面の選択肢

#103068に、修正版や公式の回答はまだありません。報告者の要望は「--user-data-dir の指定に従う従来の動作に戻してほしい」か「1つのWindowsログインで2アカウントを並べる正式な方法を用意してほしい」の2点です。コメントを寄せた別のユーザーも、2つのMaxプランを仕事用と個人用に分けて使い、アプリを並べて開けた点が便利だったと書いています。

その間にとれる動きは、次のように分けられます。

やり方向く場面注意点
サインアウトとサインインで切り替える向く場面同時に開く必要がない注意点切り替えのたびに時間がかかる(コメントの報告)
片方をclaude.aiのブラウザーで開く向く場面会話だけで足りる注意点デスクトップ固有の機能は使えない
更新前の版を保つ向く場面2つ並べる運用が必須注意点更新を止める手段は環境ごとに異なる

ブラウザーでの複数アカウントの扱いは、Claudeで複数アカウントを切り替える方法が詳しいです。Store版の更新を企業側で管理している環境なら、MSIXでの一括導入の手順が、どの版を配るかを決める起点になります。

更新を止めるかどうかは、issueが直るまでに失うものと比べて決める話です。更新前の版に戻せるかどうかは、このissueには書かれていません。

続報を追うときの見どころ

issueが動いたとき、読み取る点は3つあります。

  1. 修正された版の番号。パターン1と2の両方が直るか
  2. 「--user-data-dir は正式な機能」と明記されるか。現状、変更履歴にも言及がない
  3. CoworkのVMが2つ目でも起動するか。#98613のclosedとの整合

起動引数が動く前提で組んだ運用は、前提が変更履歴に載らないまま変わりうる、というのが今回の教訓です。2アカウントを並べる運用なら、更新のたびに「2つ目が別のアカウントで開くか」を最初に試すのが安全です。

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