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ClaudeのDLPにCyberhavenを使う — Compliance API連携で見える範囲と限界

ClaudeのDLPにCyberhavenを使う — Compliance API連携で見える範囲と限界

CyberhavenはClaude EnterpriseのCompliance APIを読み、チャット・生成ファイル・プロジェクトのファイルを分類します。検査対象、スキャン設定、25MBの上限、端末側監視との分担を解説します。

CyberhavenのClaude連携は何を検査するのか

CyberhavenのAnthropic Claude Enterpriseコネクタは、Claude Compliance APIを読み取り、従業員がClaudeに渡したデータとClaudeが返したデータを分類エンジンにかける連携です。見える対象は、チャットの本文、チャットに添付されたファイル、プロジェクトにアップロードされたファイルの3つです。

つまり、これはAnthropic側に保存されたデータを後から読む仕組みです。ブラウザへの貼り付けを送信前に止める端末側の監視とは、入口が違います。違いの詳細は、この記事の後半で扱います。

Compliance API自体の位置付けはClaude Compliance APIとはにまとめています。ここでは、DLP製品の側から見た連携に絞ります。

前提

連携の見え方を決める3つの前提

  • プランの制約

    連携の対象はClaude Enterpriseです。Claude Platformは、Compliance APIでチャットなどの会話内容(プロンプトとモデルの応答)を取得できません。

  • 権限の制約

    Compliance APIを有効にできるのはPrimary Ownerだけです。Ownerは自分の組織に限ったキーを作れますが、APIのオン・オフは切り替えられません。

  • ライセンスの制約

    Cyberhaven側はDSPMライセンスが必要で、プラットフォームバージョン26.07で提供されます。

検査される3種類のコンテンツと、収集されるメタデータ

コネクタが中身を検査するのは3種類です。

検査対象中身
チャット本文中身ユーザーのプロンプトとアシスタントの応答を含む全文
チャットの添付ファイル中身ユーザーがチャット内でアップロードしたファイル
Claudeが生成したファイル中身コード実行の出力、生成された文書、レンダリングされたHTMLなど

3つ目が見落とされがちです。分類の対象は「従業員が入れたデータ」だけでなく、Claudeがチャット中に作ったファイルまで含まれます。社内文書を要約させた結果、機微情報を含む成果物ができた場合も、検査の網に入ります。

ファイルの検査は、スキャン設定のファイル種別とサイズの絞り込みに従います。

チャットのイベントごとに集められるメタデータは次のとおりです。

  • チャットIDとタイトル
  • メッセージの書き手(ユーザーかアシスタントか)と、使われたモデル
  • ファイルの参照情報(ファイルIDとファイル名)
  • プロジェクトIDと名前(チャットがプロジェクトに属する場合)
  • 組織IDと、各メッセージのタイムスタンプ

検査結果の通知先や重大度の付け方は、このページには載っていません。ポリシーの作り込みは、Cyberhaven側の別ドキュメントで決める領域です。

見えないものと、効かない場面

この連携が届く範囲には限りがあります。

限界

この連携で見えない・届かないもの

  • 25MBを超えるファイル

    Cyberhavenのスキャン設定で上限を引き上げても、Anthropic側の制限により25MB超のファイルは検査から外れます。

  • 保持ポリシーで消えた内容

    Claudeの保持ポリシーで削除された内容はCompliance APIから消え、後から補完できません。

  • リアルタイムの遮断

    イベントがCyberhavenのコンソールに現れるまで最大30分かかります。トラブルシューティングの節には、30分から1時間かかることがあるとの記載もあります。

もう一点、コネクタが対象とする面の問題があります。Cyberhavenのカバレッジ表は「チャット」と「プロジェクト」だけで、Claude CodeやCoworkのセッションには触れていません。一方、Anthropic側のCompliance APIは、Claude EnterpriseでCoworkやClaude Codeのセッション内容も取得できると説明しています。

API側が返せるものと、DLP製品が実際に検査するものは一致しません。Claude Codeでリポジトリの機密を扱う組織は、導入するDLP製品がセッション内容まで検査するかを、製品ごとに確かめる必要があります。Cyberhavenのこのページの記載だけでは、その答えは出ません。

端末側の貼り付け監視とはどう分担するのか

端末のブラウザ操作を監視する製品は、貼り付けの瞬間に動きます。対してCompliance API連携は、データがAnthropicのサーバーに届いて保存された後で動きます。

観点端末側の貼り付け監視Compliance API連携
動く時点端末側の貼り付け監視データが送られる前Compliance API連携Anthropicに保存された後
遅延端末側の貼り付け監視送信前に動く(上の説明どおり)Compliance API連携最大30分(最大1時間の記載あり)
見える中身端末側の貼り付け監視端末で行われた操作Compliance API連携保存されたチャット・ファイル・プロジェクト
要るもの端末側の貼り付け監視端末への導入Compliance API連携Compliance APIのキーと組織ID
過去分端末側の貼り付け監視導入後の操作Compliance API連携履歴スキャンで過去の内容も分類

Compliance API連携の強みは、保存された会話を後から網羅的に調べられる点です。Claudeが生成したファイルや、プロジェクトに入れたファイルも対象になります。

連携が見る範囲は、Compliance APIの性質からも絞れます。APIが返すのは組織のデータです。したがって、組織外のアカウントで入力された内容は、この連携の対象にはなりません。個人アカウントでの利用を止める方法は、別の層で決める話です。

Cyberhavenのこのページは、端末側の監視との役割分担を説明していません。上の表は、Compliance APIの仕様と連携ページの記載から導いた整理です。実際の分担は、端末側の製品の仕様を合わせて確かめてください。

接続からスキャン設定までの流れ

設定は、Anthropic側の準備とCyberhaven側の接続に分かれます。

手順

Cyberhavenに接続するまでの手順

  1. 1

    Compliance APIを有効にする

    Primary OwnerがOrganization settingsのData and privacyでCompliance APIのEnableを押します。

  2. 2

    キーを作る

    同じ画面でCreate keyを押し、read:compliance_activities、read:compliance_user_data、read:compliance_org_dataの3つのスコープを付けます。キーは作成時に一度しか表示されません。

  3. 3

    組織IDを控える

    Organization settingsのOrganization and accessから、Organization IDをコピーします。

  4. 4

    Cyberhavenで接続する

    コンソールのConnectorsでAnthropic Claude Enterpriseを選び、組織IDとキーを入力して接続します。

  5. 5

    スキャンを設定する

    接続後、歯車アイコンからスコープとスキャンの種類を決めます。

Cyberhavenのページが示す設定画面の場所と、Anthropicのヘルプが示す場所には食い違いがあります。Cyberhaven側はOrganization settingsのData and privacyと書き、Anthropicのヘルプ記事はOrganization settingsのAPIの画面でキーを作ると書いています。画面は更新されるため、迷ったらAnthropic側の最新の案内に従うのが安全です。有効化とキー作成の流れは、Compliance APIのセットアップとアクセスキー作成で詳しく扱っています。

スコープ設定では、チャットとプロジェクトを別々に切り替えます。

  • チャット: 全ユーザー、手動で選んだユーザー、正規表現で定めたユーザー群から選ぶ
  • プロジェクト: 全プロジェクト、手動で選んだもの、正規表現で定めた群から選ぶ

スキャンは2種類あります。フォワードスキャンは、設定後に作られた新しい内容や更新された内容を継続して分類します。履歴スキャンは、設定前に作られた内容を対象にし、「Max last modified days」で遡る日数を決めます。

詳細設定では、検査するファイルの最大サイズ、対象のファイル種別、生成コンテンツの証拠ファイルを保存する外部ストレージ(キャプチャ用バケット)を選びます。バケットでNoneを選ぶと、そのスキャンでは証拠の保存を行いません。

運用で効く3つの注意点

キーは専用にします。Compliance APIキーはCyberhaven専用にし、ほかのアプリやスクリプトと共用しないよう、ページは強く求めています。別の用途でキーをローテーションしたり失効させたりすると、コネクタが止まります。キーに有効期限はなく、スコープも作成時に固定されます。スコープを変えたいときは、Primary Ownerが新しいキーを作り、コネクタを再認証します。

履歴スキャンの範囲を先に決めます。保持ポリシーで消えた内容は履歴スキャンでも拾えないため、遡る日数は接続時に決めておきます。

認証エラーはスコープから疑います。認証失敗の主な原因は、3つのスコープが揃っていないキーか、対象組織で有効でないキーです。イベントが出ないときは、コネクタが接続済みの表示か、組織IDが正しいかを確かめます。レート制限は、Anthropic側で通常1分あたり600リクエストとされ、コネクタがバックオフと再試行で自動的に処理します。それでもエラーが続く場合は、同じキーを使っている別のアプリがないかを調べます。

ほかのDLP製品と比べると何が違うか

Compliance APIの連携先は、DLPだけでなくSASE、SIEM、eDiscoveryなど幅広く、Anthropicのヘルプ記事に一覧があります。DLPに近い製品を並べると、連携の条件にはかなり差があります。

製品連携の要点注意点
Cyberhaven連携の要点チャット・ファイル・プロジェクトを分類エンジンで検査注意点DSPMライセンスが必要
Netskope連携の要点AIコマンドセンターでDLP違反を表示注意点DLP違反の表示にはCASB APIでの接続が必須。プレビュー機能
Cloudflare CASB連携の要点公開プロジェクト、プロジェクトの添付、チャットのファイルとメッセージ、アーティファクトを走査注意点Cloudflare Oneの顧客向け
Microsoft Purview連携の要点監査、データ分類、eDiscoveryなどに対応注意点DLPの項目は非対応。プレビューで従量課金の有効化が必要

同じ「Claude連携あり」でも、DLPポリシーを適用できる製品と、監査や分類までに留まる製品があります。Purviewの対応表では、DLPに×が付いています。Netskopeでは、DLP違反をAIコマンドセンターに出すのに、Claude Enterpriseを別途CASB APIで接続する必要があります。

Anthropicのヘルプ記事には、このほかCyera、Concentric AI、Forcepointなど、DLPやデータ分類を打ち出す製品も並んでいます。各社の機能説明は、それぞれ別の仕様です。

導入前に決めておきたいこと

結論を言うと、Cyberhaven連携は「何がClaudeに渡ったか」を保存データから洗い出し、分類し直す用途に向きます。送信を止める用途は、この連携の守備範囲を外れます。

判断に使う問いは次の4つです。

  • 後追いの検出で足りるか。足りないなら、端末側の監視を前段に置く
  • Claude CodeやCoworkのセッションも検査したいか。したい場合は、製品がそれを扱うかを確かめる
  • 25MBを超える資料を扱う部署はあるか。ある場合、その資料は検査から外れる
  • キーを専用にし、ローテーション時に再認証する担当を決めたか

イベントの取り込み基盤そのものをSIEM側に設計するなら、Compliance APIのSIEM連携が参考になります。保持期間やアクセス範囲の細かい疑問は、Compliance APIのFAQに整理しています。

まとめ

Claudeの利用がEnterpriseのチャットとプロジェクトに集まっている組織なら、この連携1本でも、何が渡ったかの事後監査には足ります。Claude Codeやリポジトリの機密が中心の組織や、貼り付けを送信前に止める要件がある組織は、この連携の外側に端末側の監視が要ります。

先に決めておきたいのは、履歴スキャンで遡る日数と、キーの担当者です。この2点が、接続後に手戻りしやすい部分です。

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