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障害者雇用納付金の計算をClaude for Excelで検算する手順

障害者雇用納付金の計算をClaude for Excelで検算する手順

従業員台帳から常用労働者数と対象障害者数を数え、法定雇用障害者数との差で納付金・調整金を試算する手順です。Claude for Excelに式を説明させ、セル根拠つきで突き合わせます。

納付金の検算でClaude for Excelに任せる範囲

障害者雇用の納付金は、常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主が、法定雇用率に届いていない人数に応じて納める金額です。不足1人あたり月額50,000円で、年度の12か月分を合計して申告します。反対に法定の人数を超えて雇っていれば、1人あたり月額29,000円の障害者雇用の調整金を申請できます。

この計算は、台帳から人数を数える工程と、数えた人数を式に当てはめる工程に分かれます。どちらも手でやると、週の所定労働時間ごとの換算で数え違いが出やすい作業です。Claude for Excelは、開いているブックについて質問すると、セルを引用した答えを返してくれます。数式のつながりを保ったまま値を変えることもできます。この性質は、申告前の検算と相性がよいといえます。

ただし、申告額の確定をClaudeに任せる話ではありません。Claude for Excelの説明ページは、監査に関わる計算は検証なしに使わないよう注意しています。この記事の流れは次のとおりです。

  • 自分で組んだ式を、Claudeに別の経路から説明・再計算させて突き合わせる
  • 食い違った行を、セル根拠つきで洗い出させる
  • 最終の数字は、JEEDの記入説明書と電子申告申請システムで確かめる
前提

この計算で押さえる3つの前提

  • 対象は100人超の事業主

    納付金の申告が必要なのは、算定基礎日ごとの常用雇用労働者の総数が100人を超える月が年度内に5か月以上ある事業主です。

  • 12か月分を合計してから引く

    月ごとの差額に単価を掛けるのではなく、法定の雇用障害者数の年度合計と対象障害者数の年度合計の差に50,000円を掛けます。

  • 法定雇用率は途中で変わる

    令和8年度分の申告では、2026年6月以前が2.5%、7月以降が2.7%です。月ごとに率の列を持たせます。

台帳に持たせる列を先に決める

検算の精度は、台帳の列設計でほぼ決まります。Claudeに「数えて」と頼む前に、数える根拠になる列をそろえます。最小構成は次の4列です。

列内容入力例
A内容社員番号(匿名ID)入力例E001
B内容週所定労働時間入力例40 / 25 / 15
C内容1年を超えて雇用される見込み入力例YまたはN
D内容障害区分入力例なし / 重度 / 重度以外 / 精神

週所定労働時間は、就業規則や雇用契約書で通常の週に勤務することとされている時間です。実際に働いた時間ではありません。ただしシフト制で、労働契約の時点では労働日や労働時間が確定せず、一定期間ごとに初めて決まる場合は、申告対象期間の実労働時間の週平均で判断します。

障害区分の「重度」は身体障害・知的障害の重度の人を指し、「重度以外」は身体・知的の重度でない人を指します。精神障害は別に持ちます。この4値にしておくと、のちの式で文字列の部分一致に頼らずに済みます。たとえば「重度以外」は先頭2文字が「重度」なので、LEFT関数で判定すると重度と取り違えます。

手帳の番号や障害名は、台帳に持たせる必要がありません。納付金の計算に要るのは区分だけです。

換算ルールを表にして式に落とす

常用雇用労働者の数え方と、障害者の数え方は別の表です。JEEDの令和8年度版ご案内に載っている換算は次のとおりです。

常用雇用労働者(総数の算定に使う)

週所定労働時間カウント
30時間以上カウント1人
20時間以上30時間未満カウント0.5人
20時間未満カウント常用雇用労働者に含めない

対象障害者(1人あたり)

区分週30時間以上週20〜30時間週10〜20時間
重度(身体・知的)週30時間以上2人週20〜30時間1人週10〜20時間0.5人
重度以外(身体・知的)週30時間以上1人週20〜30時間0.5人週10〜20時間計算対象外
精神週30時間以上1人週20〜30時間1人週10〜20時間0.5人

週10〜20時間の列は、令和6年4月に加わった特定短時間の労働者の扱いです。就労継続支援A型事業所の利用者は計算の対象外とされています。

この換算は、台帳の各行に次の式を置くと再現できます。E列が常用のカウント、F列が障害者のカウントです。

E2: =IF(OR(B2<20,C2<>"Y"),0,IF(B2>=30,1,0.5))
 
F2: =IF(D2="なし",0,
      IF(B2>=30,IF(D2="重度",2,1),
      IF(B2>=20,IF(D2="重度以外",0.5,1),
      IF(B2>=10,IF(D2="重度以外",0,0.5),0))))

F列の式は読みやすさのために折っています。実際には1つの式として入力します。

この式は、週20〜30時間の重度と精神がどちらも1人、重度以外が0.5人になる点を、IFの順序で表しています。雇用期間の条件(C列)は障害者側の式に入れていません。障害者を常用雇用労働者として数える条件は、記入説明書で自社の契約形態に合わせて確かめ、必要なら式に足します。

月ごとの法定の雇用障害者数を出す

月ごとの法定の雇用障害者数は、次の順に出します。

  1. 常用雇用労働者の総数(E列の合計)を出す
  2. 除外率設定業種なら、総数に除外率を掛けて、1未満の端数を切り捨てた人数を引く
  3. 残った人数に法定雇用率を掛け、1未満の端数を切り捨てる

JEEDの記入説明書にある算定例では、7月の総数が114.5人、除外率が10%の事業所で、除外率相当の人数は11.45人から端数を切り捨てた11人です。算定の基礎となる労働者数は103.5人になります。これに法定雇用率2.5%を掛けた2.5875人は、端数を切り捨てて2人です。

集計シートの縦並びは、次のようにすると式の参照が追いやすくなります。

B2  常用雇用労働者の総数      =SUM(台帳!E:E)
B3  除外率                    0.10 など(該当しなければ 0)
B4  除外率相当の人数          =ROUNDDOWN(ROUND(B2*B3,6),0)
B5  算定の基礎となる労働者数  =B2-B4
B6  法定雇用率                0.025 または 0.027
B7  法定の雇用障害者数          =ROUNDDOWN(ROUND(B5*B6,6),0)
B8  対象障害者数              =SUM(台帳!F:F)
B9  不足(+)または超過(-)     =B7-B8

掛け算の結果をROUND関数で丸めてから切り捨てているのは、小数の掛け算で出る二進表現の誤差が、ちょうど整数になる境界の値で1人分のずれを生まないようにするためです。式の設計上の保険であり、記入説明書に書かれた手順ではありません。

法定雇用率は月によって変わります。令和8年度分(令和8年4月〜令和9年3月)の申告では、6月以前が2.5%、7月以降が2.7%で算定します。月ごとのシートを複製して使う場合は、6月までのシートと7月以降のシートでB6の値を変えます。

年間合計から納付金か調整金かを決める

12か月分のB7(法定の雇用障害者数)を合計したものをA、B8(対象障害者数)を合計したものをBとします。

  • AがBより大きければ、納付金は(A−B)×50,000円
  • BがAより大きければ、調整金は(B−A)×29,000円

調整金は、(B−A)が年間120人月を超える部分について、1人あたりの月額が23,000円に下がります。納付金が100万円以上の場合は延納ができ、全納の期限は申告期限と同じです。

具体的な数字で確かめます。次は、毎月同じ人員だと仮定した架空の事業所の例で、台帳の実データではありません。

項目人数
短時間以外の常用雇用労働者(週30時間以上)人数180人
短時間労働者(週20〜30時間)人数20人
常用雇用労働者の総数人数180 + 20 × 0.5 = 190人
重度の障害者(週30時間以上)人数1人 → 2人
精神障害者(週20〜30時間)人数1人 → 1人
精神障害者(週10〜20時間)人数2人 → 1人
対象障害者数人数4人

除外率がなければ、4〜6月は190 × 2.5% = 4.75人で、切り捨てて4人です。対象障害者数も4人なので不足はありません。7月以降は190 × 2.7% = 5.13人で5人になり、同じ雇用状況でも毎月1人分が足りなくなります。

法定の雇用障害者数の年度合計Aは4人×3か月 + 5人×9か月 = 57人、対象障害者数の年度合計Bは4人×12か月 = 48人です。差は9人月で、納付金は9 × 50,000 = 450,000円になります。率が2.5%から2.7%に切り替わる月で、足りない人数が動くことが読み取れます。

Claude for Excelに頼む順序

ここからがClaude for Excelの出番です。台帳と集計のシートを同じブックに置き、サイドバーから順に頼みます。複数のシートをまたぐ作業は、説明ページが対応する範囲に挙げています。

手順

検算を依頼する流れ

  1. 1

    説明させる

    自分で置いたE列・F列の式を、行を指定して説明させます。換算表と食い違う分岐がないかを、文章で読み比べます。

  2. 2

    別経路で再計算させる

    COUNTIFSなど、台帳の式とは別の組み立てで人数を数えさせ、集計シートの値と並べます。

  3. 3

    差のある行を挙げさせる

    2つの結果が食い違うとき、どの行の区分と労働時間が原因かをセル引用つきで返させます。

  4. 4

    率と端数を点検させる

    B3〜B7の式を追わせ、除外率の端数処理と、月ごとの法定雇用率の切り替えが合っているかを確かめます。

依頼文の例は次のとおりです。

台帳シートのE列とF列の式を説明してください。週所定労働時間と
障害区分の組み合わせごとに、何人として数えているかを表にし、
該当するセルを引用してください。
 
次に、台帳とは別の方法(COUNTIFSなど)でB2の常用雇用労働者の総数と
B8の対象障害者数を再計算し、集計シートの値と食い違う場合は
その原因の行を挙げてください。値は書き換えないでください。

最後の一文が効きます。Claude for Excelは既存のデータを上書きする前に警告を出しますが、検算の目的は確認なので、最初から「書き換えない」と明示しておくと、台帳に手が入る余地がなくなります。

毎回同じ前提を貼るのが面倒なら、サイドバーの設定にある指示欄に、区分の定義や禁止事項を書いておけます。この欄はExcelだけに効き、PowerPointやWordの指示とは別です。

障害区分は「なし」「重度」「重度以外」「精神」の4値。
端数は月ごとの法定の雇用障害者数でのみ切り捨てる。
台帳の値は指示がない限り書き換えない。

検算で見つかりやすいずれ

人数の食い違いは、換算式よりも、台帳に入れる前の判断で出ます。次の点を、Claudeに差分を出させたあとで人の目でも確かめます。

  • 週所定と実労働の取り違え: 残業が多い月でも、所定が短ければ区分は動きません。変動型のシフト制だけは例外で、実労働の週平均を使います
  • 算定基礎日に在職しているか: 常用雇用労働者は算定基礎日に在職している人だけを数えます。給与の支払い人数をそのまま使うと、月の途中で入退職した人を誤って数えます。算定基礎日は事業所が複数あるなら全事業所で同じ日にそろえます
  • 1年超の見込み: 契約期間が1年以下でも、更新の可能性があれば常用雇用労働者に当たります。契約書に更新の有無が明示されていない場合も、類似の形態で1年を超えて雇用されている人がいれば見込みがあるものとして扱います
  • 除外率は調整金に使わない: 除外率設定業種でも、調整金の額の算定では除外率が適用されません。納付金の検算用シートをそのまま調整金に流用すると、法定の雇用障害者数が小さく出ます
  • 特定短時間の労働者は総数に入れない: 週20時間未満の人は常用雇用労働者の総数に含まれません。障害者側のカウントにだけ入ります
  • 率の切り替え月: 7月分から2.7%に変わる点を、シートの複製漏れで6月までの値のまま残しがちです

使う前に確認しておく条件

Claude for Excelは、Pro、Max、Team、Enterpriseのプランで使えます。動作するExcelは、Excel on the web、Microsoft 365版のWindows、Mac版の一定以上のビルドで、2016・2019の永続ライセンス版、iPad、Androidでは動きません。

台帳には障害の有無という機微な情報が入ります。説明ページは、機微な情報や規制対象のデータを含むモデルは、適切な管理なしに使うことを推奨していません。次の運用で持ち込む情報を絞ります。

  • 社員番号は匿名IDにし、氏名や手帳番号は載せない
  • 障害区分は4値に丸め、障害名や等級は入れない
  • 外部から受け取ったファイルはそのまま開かず、信頼できるコピーで作業する

JEEDの案内は、障害者手帳の提供を受けるときに利用目的の明示と本人の同意が必要で、プライバシーに配慮するよう求めています。台帳に区分を載せる運用そのものも、この考え方に沿って社内で決めておく前提です。

もう1つの注意はプロンプトインジェクションです。説明ページは、外部由来のファイルに隠された指示でClaude for Excelが意図しない操作をさせられる場合があると警告しています。リスクの高い操作では確認が求められるので、確認画面は読んで進めます。

機能面では、データテーブルとマクロ・VBAは対象外です。VBAで集計している既存の台帳は、まず値と式だけの形に移して使います。

申告前の最後の確認

Claudeとの突き合わせで人数が一致しても、それは自分の式とClaudeの再計算が一致したという意味にとどまります。式そのものが制度の定義とずれていれば、両方が同じ方向に間違います。そのため、確定は次の順で行います。

  1. 年度合計のAとBを、JEEDの令和8年度版の記入説明書の算定例の形に合わせて並べ直す
  2. 電子申告申請システムに入力し、システムが出す額と試算を突き合わせる
  3. 差があれば、台帳の区分と週所定労働時間の判断を見直す

申告申請の期間は令和8年度が4月1日から5月15日まででした。令和9年に申告する令和8年度分は、JEEDの案内で期間が4月1日から5月17日までとされています。調整金は申請期限を過ぎると支給されません。

給与や資金繰りなど、ほかの業務でも同じ型で検算できます。給与計算の検算と問い合わせ回答は渡す資料の匿名化に詳しく、資金繰り表の週次更新はClaude for Excelでブックを更新する流れを扱っています。式の計算精度そのものを疑うときはClaudeの数式・計算の精度が手がかりになります。

まとめ

障害者雇用の納付金の検算は、台帳の列設計、換算表の式化、年間合計の差の3段で組むと、Claudeに任せる範囲が決まります。Claude for Excelには式の説明と別経路の再計算、食い違う行の洗い出しを頼み、確定は記入説明書と電子申告申請システムに戻します。

法定雇用率が2026年7月に2.7%へ上がったため、同じ人員でも7月分から不足が生じる事業所があります。令和8年度分の試算を今のうちに回しておくと、申告時期に慌てずに済みます。

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