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Claude Fable 5とMythos 5が登場 — Opus超えの新Mythosクラスが一般公開へ

Claude Fable 5とMythos 5が登場 — Opus超えの新Mythosクラスが一般公開へ

AnthropicがClaude Fable 5とMythos 5を6/9に発表。Mythosクラスは安全装置付きで一般公開され、6/12の停止と7/1の再開を経ました。料金と提供範囲の変遷をまとめます。

要点

2026年6月9日、AnthropicはClaudeシリーズの最上位枠としてMythosクラスという新階層を一般公開しました。同階層の2モデル、Claude Fable 5(一般公開・安全装置あり)とClaude Mythos 5(信頼アクセス枠・安全装置を一部解除)が同時に発表されています。

数字

発表時点の主な数字

  • 入力(100万トークン)

    $10

    Mythos Previewの半額未満

  • 出力(100万トークン)

    $50

    Fable 5 / Mythos 5共通

  • フォールバック発動

    平均5%未満

    全セッション中。95%超は発動なし

  • Mythosクラスは従来のOpusクラスより上の新階層:4月公開の招待制Mythos Previewに続く2例目で、初めて広く触れるMythos級モデル
  • Fable 5とMythos 5は同じ基盤モデル:差は安全装置の有無のみで、Mythos 5はサイバー領域などの安全装置を外した版
  • APIモデルIDはclaude-fable-5で、Mythos 5はProject Glasswing経由のみ
  • 安全装置の行き先はOpus 4.8:サイバー / 生物・化学 / 蒸留関連の照会は自動でOpus 4.8に切り替わる
  • 発表3日後に停止、7月1日に再開:6月12日の米政府の輸出管理指示で全利用者の提供が止まり、6月30日の解除を経て再開した

Fable 5本体の仕様・料金・使い方はClaude Fable 5の解説に、後継のClaude Fable 5.1は別記事にあります。

発表3日後の停止から7月1日の再開まで

発表直後の動きは、Anthropicの3本の発表(6月9日の発表本文、6月12日の声明、6月30日の再開告知)を並べると追えます。

あゆみ

Fable 5 / Mythos 5の提供状況

  1. 2026-06-09Fable 5とMythos 5を発表

    Fable 5はAPIとサブスクで利用開始。Mythos 5はGlasswingパートナー向けです。

  2. 2026-06-12米政府の輸出管理指示で全利用者の提供を停止

    米東部時間の17時21分に指示を受け取り、外国籍の利用者を除外できないため全顧客への提供を止めました。他のAnthropicモデルは影響を受けていません。

  3. 2026-06-26Mythos 5の米国組織向け再開を米政府が承認

    米政府の承認を受けて、一部の米国組織でMythos 5が先に戻りました。

  4. 2026-06-30輸出管理が解除される

    翌7月1日からFable 5を世界中のClaude Platform・Claude.ai・Claude Code・Claude Coworkで再開すると告知されました。

  5. 2026-07-01Fable 5とMythos 5が再開

    Pro / Max / Team / 一部のEnterpriseでは、週間利用上限の最大50%までFable 5が含まれる扱いになりました。

停止の引き金になったのは、Amazonの研究者がまとめた「Fable 5の安全装置を回避してソフトウェアの脆弱性を特定させた」という報告です。Anthropicの説明では、停止時点で米政府から受けたのは、特定のコードベースを読ませて欠陥を直させるという狭い回避の例でした。

再開告知によると、同じ脆弱性はOpus 4.8、GPT-5.5、Kimi K2.7といった能力の低いモデルでも特定できました。悪用の実演についても、Claude Haiku 4.5からOpus 4.8までのClaude各モデルを含む試験対象の全モデルが同じものを出せたと報告されています。Anthropicは報告された技術を「Mythos級の固有能力を示すものではない」と位置付ける一方、米政府と協力して分類器を追加で訓練しました。

新しい分類器はこの手法を99%超の割合で止めます。代償として、日常的なコーディングやデバッグで無害な要求を止める頻度が上がりました。米商務省のCAISIの研究者も、旧版と新版の安全装置を試験して「極めて強い」と評価しています。

再開後の提供範囲

再開告知の時点で、Fable 5は上記の4面で使えます。AWS・Google Cloud・Microsoft Foundryでの再開は、できる限り早く進めるとされました。Mythos 5はGlasswingプログラムのうち、承認された米国組織が先に戻り、国内外のパートナー全体への拡大は米政府と調整中という扱いです。

サブスクの扱いも発表時から変わっています。詳しくは次の節の表のとおりです。

あなたの選択肢はどう変わるか

Claude API / Console利用者:発表日からclaude-fable-5を呼べた

発表日の時点で、Claude APIとconsumption-based Enterpriseでは初日から完全提供でした。発表では「どこでも今日から利用できる」とされ、Amazon Bedrock / Google Vertex AI / Microsoft Foundryも含まれていました。6月30日の告知では、これら3つのクラウドでの再開を「できる限り早く」進めるとされています。

需要が読みづらいことは発表で説明されていました。長時間タスクや大規模並列実行を計画する場合は、安全装置が発動した際のOpus 4.8への切り替えを前提に実装しておく選択肢があります。6月12日の停止は、Fable 5だけを呼ぶ構成が提供側の事情で止まりうることも示しました。

サブスクユーザー(Pro / Max / Team):含まれる範囲が二度変わった

発表時の予定は、6月9日から22日まで追加料金なしで使え、23日にプランから外してusage credits経由へ移す、というものでした。停止を挟んだ現行の扱いは7月1日の再開告知に従います。

プラン6/9〜6/127/1〜7/77/8以降
Pro / Max / Team / 一部のEnterprise6/9〜6/12追加料金なし7/1〜7/7週間利用上限の最大50%まで含まれる7/8以降usage credits経由
Claude API6/9〜6/12完全提供7/1〜7/7通常の従量課金7/8以降通常の従量課金
consumption型Enterprise6/9〜6/12完全提供7/1〜7/7通常の従量課金7/8以降通常の従量課金

再開告知の脚注によると、7月7日まで含まれるのはpremium seatのEnterpriseだけです。standard seatには含まれる枠が最初からなく、usage creditsで使います。発表時の「シート型Enterprise」より狭いので、seatの種別で扱いが分かれます。

発表時には、容量が許せばFable 5を標準プランへ戻す方針も示されていました。料金の全体像はClaude料金プランにあります。

Claude Code / エージェント実装者:長尺タスクほど差が出る設計

Fable 5は「タスクが長く複雑になるほど他モデルとの差が広がる」と説明されています。Stripeは5,000万行のRubyコードベースで、チーム全体なら2か月超かかる横断マイグレーションを1日で終えたと報告しました。CognitionのFrontierCode評価では、中程度のeffortでもフロンティアモデルで最高のスコアです。

メモリの面でも数字があります。ゲーム『Slay the Spire』でファイルベースの永続メモリを与えたところ、Opus 4.8の3倍の改善幅になり、最終幕へ届く回数も3倍でした。Claude Code(クロードコード)の解説で扱うサブエージェントや長時間ハーネスは、こうした長期記憶と相性の良い領域です。

一方、再開後の分類器は日常的なコーディングやデバッグでも無害な要求を止めやすくなっています。セキュリティ系のコードレビューなどでは、Opus 4.8への切り替えが頻繁に起きる前提で見ておく必要があります。

Project Glasswingパートナー:Mythos PreviewからMythos 5へ

Glasswing参加組織は、発表日からMythos PreviewをMythos 5へ切り替えられる予定でした。Anthropicは、ほとんどの場面でMythos Preview並みかやや上の性能を、大幅に低い価格で使えると説明しています。実際の提供は6月12日の停止で中断し、6月26日の承認後に米国組織から戻りました。

Mythos Previewが何を見つけていたかはProject Glasswing 1ヶ月レポートとProject Glasswing拡大の続報にあります。6月2日の拡大では新たに約150組織が対象になっていました。

背景・文脈

Mythosクラスとは何か(Opusクラスとの関係)

MythosクラスはOpusクラスの上に置かれた新階層で、初登場は2026年4月の招待制Mythos Previewです。Fable 5とMythos 5は、その後に続く2世代目にあたります。

名前の由来は脚注に書かれています。Fableはラテン語のfabula(語られたもの)で、ギリシャ語のmythosに通じる語です。安全装置の有無が2つのモデルを分ける違いで、そのために別の名前が付きました。

クラス発表時の代表モデル役割
Mythosクラス発表時の代表モデルMythos Preview / Fable 5 / Mythos 5役割フロンティア能力、安全装置の設計が前提
Opusクラス発表時の代表モデルOpus 4.8 / Opus 4.7役割最上位の汎用枠、安全装置の発動時のフォールバック先
Sonnet / Haikuクラス発表時の代表モデルSonnet 4.6 / Haiku 4.5役割コスト効率・速度寄り

各モデルの使い分けはClaudeモデル比較にあります。

安全装置の3領域:サイバー、生物・化学、蒸留

Fable 5には新しい分類器(classifier)が組み込まれ、次の3領域で検知された照会はOpus 4.8へ自動で切り替わります。切り替えのたびに利用者へ通知されます。発表時の初期データでは、95%超のセッションで切り替えが起きず、その場合のFable 5はMythos 5と実質同じ性能です。

領域安全装置が発動する典型例設計理由
サイバーセキュリティ安全装置が発動する典型例攻撃計画、エクスプロイト開発、防御回避、エージェント型ハッキング設計理由脆弱性の発見・悪用能力がそのまま攻撃側の戦力になりうる
生物・化学安全装置が発動する典型例AAV(アデノ随伴ウイルス)の殻の組み立て予測など設計理由遺伝子治療の研究と危険なウイルス設計が同じ能力に乗る
蒸留(distillation)安全装置が発動する典型例Claudeの能力を抽出して別モデルの訓練に使う大規模な試行設計理由近接能力が安全装置なしで外部に広がるのを防ぐ

生物・化学の領域は、発表時点で意図的に広く設定されました。Anthropicは「できるだけ早く安全に出すことを優先し、保守的に広くした」と書き、数週間のうちに一部のバイオ研究者向けの信頼アクセスを始めるとしています。AAVの試験ではMythos級モデルが、タンパク質専用の言語モデルを推論だけで上回ったことが、広く止める理由として挙げられました。

分類器の考え方は、2025年2月のConstitutional Classifiersの延長にあります。外部のバグバウンティは1,000時間超のテストで普遍的なjailbreakを見つけられず、英国AISIは短い初期の試験枠で突破に向けた進展を出した、と併記されています。完全な防止は不可能に近いので、突破を遅く高コストにして大規模に使われる前に検知する方針です。

停止後に提案された脆弱性の深刻度の物差し

再開告知には、jailbreakの深刻度を測る4つの観点が示されています。Amazon、Microsoft、Google、他のGlasswingパートナーと共同で業界の共通枠組みを作る提案です。

くらべる

jailbreakの深刻度を測る4つの観点

攻撃者が得るもの

  • 能力の上乗せ:既存の道具(能力の低いAIを含む)で届く範囲を、どれだけ超えるか
  • 能力の広さ:同じ手法が、いくつの異なる攻撃目標に効くか

現実の問題になる速さ

  • 悪用のしやすさ:攻撃にするのに、どれだけの人手と再試行が要るか
  • 見つけやすさ:手法がすでに広く知られているか、専門知識が要るか

最も深刻な区分では、確認後すぐに暫定の対策を展開するとされています。あわせてjailbreak報告の窓口を24時間体制で監視するチームを作り、HackerOneで報告を受けるプログラムも始めました。

価格はMythos Previewの半額未満

Fable 5 / Mythos 5は入力10ドル、出力50ドルで、Mythos Previewの半額未満です。Opus 4.8(入力5ドル / 出力25ドル)と比べると単価は倍になります。

モデル入力(100万トークン)出力(100万トークン)役割
Fable 5 / Mythos 5入力(100万トークン)10ドル出力(100万トークン)50ドル役割Mythos級の一般・信頼アクセス
Opus 4.8入力(100万トークン)5ドル出力(100万トークン)25ドル役割最上位汎用、Fable 5のフォールバック先

その後の価格表では、Fable 5のキャッシュ読み取りは100万トークンあたり1ドル、Batch APIは入力5ドル・出力25ドルです。後継のFable 5.1は、本体価格が同じ10ドル / 50ドルのままキャッシュ読み取りが0.25ドルまで下がっています。

30日のデータ保持ポリシー(business customer向け)

Fable 5 / Mythos 5以降のMythos級モデルでは、business customerの全トラフィックで30日のデータ保持が必須になります。ファーストパーティ・サードパーティのどちらの面にも適用されます。

  • このデータは新規Claudeの訓練にも、安全以外の目的にも使われない
  • 人間のアクセスはすべてログに残り、ほぼ全例で30日後に削除される
  • 用途は、複雑で新規な攻撃(jailbreakの連鎖、複数リクエストにまたがる攻撃)への対処と、誤検知の削減

停止時の声明でも、この保持は「Anthropicにとっても顧客との関係で実コストのある方針」と位置付けられ、jailbreakの研究と対策のために必要だと説明されています。データ取り扱いを厳しく管理するチームは、Mythos級を本番に入れる前に社内ポリシーと突き合わせる必要があります。

Mythos 5の信頼アクセス枠

Mythos 5はGlasswing経由でのみ提供されます。生物分野では、Fable 5から生物・化学の安全装置だけを外した版を、少数の生命科学研究者に提供する信頼アクセスが計画されました(サイバー側は維持)。サイバー側の枠も、米政府との協議のもとで申請ベースの仕組みへ広げる計画です。

Mythos 5自身の成果として、発表では次の3点が挙がっています。

  • 社内のタンパク質設計の専門家が、創薬プロセスの一部を約10倍速くした
  • 分子生物学の仮説を、Opus級モデルとの盲検比較で科学者が約80%の割合で選んだ
  • 138種・数百万細胞のデータから、「Science」誌のモデルを上回る小型モデルを1週間強で組み立てた

編集視点:Opus 4.8の役割が「最上位」から「安全側の受け皿」へ

Mythosクラスの登場で、Opus 4.8の役割が変わりました。5月28日に出たOpus 4.8は発表時点で最上位枠でしたが、Fable 5の登場後は、安全装置が働いたときの標準の行き先になっています。

時期出来事Opusの位置
2026-04-16出来事Opus 4.7が登場Opusの位置最上位枠
2026-04(後半)出来事Mythos Previewが招待制で登場Opusの位置最上位枠 / Mythos Previewは別枠
2026-05-28出来事Opus 4.8が登場Opusの位置最上位枠
2026-06-02出来事Project Glasswingが約150組織追加へOpusの位置同左
2026-06-09出来事Fable 5 / Mythos 5が登場Opusの位置Fable 5の安全フォールバック先

Opus 4.8は、自分が書いたコードの欠陥を見逃して通す確率が前のモデルの約4分の1とされていました。切り替え先が「拒否」ではなく、実際に使える応答を返せる強さのモデルだったことが、発表時に分類器を広く設定できた前提だったと読めます。

6月12日からの停止と7月1日の再開は、この設計の弱点も見せました。分類器の追加訓練で止まる範囲が広がるほど、Opus 4.8へ落ちるセッションが増え、Fable 5の性能差を受け取れる場面が狭まります。賭けどころは、誤検知を減らしながら止める精度を保てるかで、これが崩れればFable 5は「高いが安心して使い切れないモデル」で終わります。

まとめ

Mythos級を使うかどうかは、フォールバックが日常業務の何割で起きるかで決まります。フォールバック先のOpus 4.8でも仕事が回るかどうかが、実際の判断軸です。

サブスクの含まれる範囲と各クラウドでの提供は、再開後も変わり続けています。最新の扱いはClaude Fable 5の解説とClaude Code(クロードコード)の解説の更新で追えます。

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