Claudeマーケティング活用 — Projects・Web検索・Artifactsの使い方
Claude(claude.ai)をマーケティング業務で使う要点を、Projectsでのブランド管理、Web検索・Researchでの競合調査、Artifactsでの企画書作成に絞って解説します。Coworkとの役割分担も示します。
claude.aiで担う範囲とCoworkに任せる範囲
claude.aiは、チャットの中でマーケターと一緒に考え、都度確認しながら成果物を作る道具です。ブラウザーを自律的に操作して複数のツールを横断するCoworkとは、任せられる作業の粒度が違います。人が離れても手が動き続ける作業はCoworkの守備範囲です。競合サイトの巡回や広告管理画面からの数値取得がこれにあたります。一方、Projectsに蓄積したブランド知識をもとに構成案を練る、Web検索で拾った一次情報から企画書を書く、といった対話しながら詰める作業はclaude.aiのほうが向きます。
| 作業 | claude.ai | Cowork |
|---|---|---|
| ブランド知識の蓄積・参照 | claude.ai◎ Projectsに常駐 | Cowork△ 都度渡す前提 |
| 競合ページの定点観測 | claude.ai△ 手動で都度依頼 | Cowork◎ 自動巡回に向く |
| LP原稿・企画書の構成 | claude.ai◎ 対話で詰める | Cowork△ 下書きは作れる |
| 広告管理画面からの数値取得 | claude.ai✕ 接続がない | Cowork◎ Connectors経由 |
| デッキ・シートへの直接出力 | claude.ai◎ アドイン経由 | Cowork△ ファイル生成止まり |
役割を切り分けておくと、依頼を出す前に「これはclaude.aiか、Coworkか」を迷わずに判断できます。Cowork側の実務パターンはCoworkマーケティング活用にまとめています。
ブランドの型はProjectsの知識に置く
Projectsは、チャット履歴とナレッジベースを持つ独立した作業空間です。ブランドガイドライン・過去の制作物・トンマナのルールをKnowledgeにアップロードし、Project instructionsで口調や役割を指定すれば、毎回同じ前提を貼り直さずに済みます。フリープランでも最大5個まで作成できます。
以前はナレッジ量がコンテキストウィンドウの上限にぶつかると追加できなくなりました。有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)ではRAG(検索拡張生成)が働き、容量が上限に近づくと自動で最大10倍まで拡張します。設定は不要です。フリープランでの対応有無は公式ドキュメント間で記載が食い違っているため、この記事では断定せず、利用前に最新の案内を確認することをおすすめします。ファイルには1件あたり30MBの上限があり、点数の上限はありません。
このプロジェクトでは以下に従ってください。
【トーン】
- 敬体。断定を避け「〜のときに役立ちます」で書く
- 誇張語(最高/業界初/圧倒的)は使わない
【表記】
- 製品名は正式名称で統一する。略称を作らない
- 数字・日付・他社の仕様は出典を併記するか空欄で残す
【禁止】
- 競合の固有名詞を挙げない
- 効果を断定しないTeam・Enterpriseでは、閲覧のみ・編集可の2段階の権限でProjectsを組織内に共有できます。案件やブランドが複数あるなら、Projectを分けて知識を混ぜないことが実務上の要点です。作成手順や容量の細部はClaude Projects完全ガイドに譲ります。
競合・市場調査はWeb検索とResearchを使い分ける
Web検索は、チャット入力欄のスライダーアイコンから「Web search」を選んでオンにするだけで使えます。出典付きの回答が返り、URLを直接渡せばそのページの中身も取得します。フリープランは利用回数の上限にかかりやすくなります。Team・EnterpriseはOwnerが管理画面で有効化するまで組織内に出てきません。
単発の確認ならWeb検索で十分です。競合の料金改定や新機能発表を調べる場面がこれにあたります。一方、業界動向のように複数の切り口を組み合わせて答えを組み立てたい調査にはResearchが向きます。検索を重ねながら掘り下げていく機能で、Web検索が有効になっていることが前提条件です。有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)限定ですが、出典を確認しやすい形の回答を数分でまとめます。
- 競合3〜5社の直近の訴求変更をWeb検索で確認する
- 業界全体の動きや市場規模の見立てはResearchに任せ、出典リンクを一次資料として持ち帰る
- 拾った数字はチャット内で完結させず、出典URLを企画書に転記してから使う
Web検索・Researchとも検索エンジン側の到達性に左右されるため、ログインが必要なページや会員限定の分析ツールは取得できないことがあります。
LP原稿・企画書・構成案はArtifactsで反復編集する
まとまった分量のコンテンツをClaudeが返すとき、それは会話の流れとは別の編集可能なウィンドウ(Artifact)として開きます。対応する形式は幅広いです。Markdown文書、HTMLの単一ページ、SVG、図表、操作可能なReactコンポーネントまで扱え、LPのモックアップや企画書、コンテンツカレンダーの表組みをそのまま作れます。利用にはSettingsのCapabilitiesで「Code execution and file creation」を有効にする必要があります。
Artifactは会話の中で直接編集を指示できます。Markdown文書は該当箇所だけをその場で書き換えられます。複数のArtifactを並行して開いたまま比較できるので、構成案A案・B案を並べて見比べる進め方もできます。
公開の仕組みはプランで違います。Free・Pro・MaxはPublishでリンクを発行すると誰でも閲覧・操作でき、Team・EnterpriseはSharingで組織内メンバーに限定されます。ステークホルダーにLPモックアップを見せるだけなら前者、社内レビュー止まりにしたいなら後者を選びます。なお状態を保持するアプリ向けの「Persistent storage」機能はPro・Max・Team・Enterprise限定で上限20MBです(Freeでは使えません)。いったん公開を取り消すと同じArtifactの再公開はできません。
ブランドトーンをSkillsで固定し、デッキ作成に直結する
Skillsは、Claudeが必要なときに読み込む指示・スクリプト・参照資料のフォルダーです。Excel・Word・PowerPoint・PDFを扱うAnthropic製のSkillは全プランで自動的に使え、コード実行の有効化だけが前提条件になります。PowerPointのアドインでは、既存テンプレートから新規スライドを作る、自然言語の指示からデック全体を生成する、特定のスライドだけをデック全体を作り直さずに直す、箇条書きをダイアグラムやネイティブのグラフに変換する、Connectors経由で他ツールと連携する、フィードバックをもとに反復編集する、といったことができます。Excelのアドインは財務分析向けに設計されています。マーケティング用途では、予算表の集計や仮定値の入れ替え程度の補助的な使い方になります。
繰り返し使うブランドトーンは、独自のSkillとしてパッケージ化できます。CustomizeのSkillsから「+ Create skill」→「Upload a skill」で、指示ファイルをまとめたzipをアップロードする形です。Team・Enterpriseでは管理者が組織全体にSkillを配布でき、案件ごとに作り直す手間を減らせます。
Skillsの作成手順・組織展開の細部はClaude Skillsとは・使い方にまとめています。
過去のやり取りの好みを引き継ぐMemory機能
Memoryは、口調や書式の指示、進行中の案件・目標、よく使うツールや修正の傾向といった仕事に関わる文脈を保存し、次の会話に引き継ぐ機能です。仕事に関わらない個人情報は保持されないことがあります。Memory機能自体はEnterprise含む各プランで使えますが、他社サービスから会話履歴を持ち込むMemory importsはFree・Pro・Max・Teamのウェブ版とClaude Desktop限定です。Settingsから内容を確認・編集できます。
複数のクライアントやブランドを1つのアカウントで担当する場合は注意が要ります。Memoryはアカウント全体にまたがる仕組みです。案件固有の禁止語やトーンは、MemoryではなくProject instructionsに置くほうが他案件との混線を避けやすくなります。
資料のアップロードには形式と容量の上限がある
過去のレポートやブランドガイドラインのPDFを読み込ませるとき、上限を知っておくと手戻りが減ります。
| 場所 | ファイルサイズ | 件数 |
|---|---|---|
| チャット添付 | ファイルサイズ500MBまで | 件数1チャット20件まで |
| Projectのファイル | ファイルサイズ30MBまで | 件数上限なし(コンテキスト内に収まる範囲) |
対応するドキュメント形式はPDF・DOCX・CSV・TXT・HTML・ODT・RTF・EPUB・JSONで、XLSXはコード実行を有効にした場合のみ扱えます。画像はJPEG・PNG・GIF・WebPに対応し、100ページ以下のPDFなら図表も含めて解析しますが、101〜1000ページのPDFはテキストのみの解析になります。
よくある質問
フリープランでもマーケティング業務に使えますか
Projectsの作成やWeb検索は使えますが、日次の利用上限にかかりやすくなります。ResearchやClaude for PowerPointのようなアドインは有料プラン限定です。継続的に使うなら、上限に当たった回数を見てからプランを検討する進め方があります。
未公開の企画やクライアントデータを扱っても大丈夫ですか
Team・Enterpriseは既定でモデル学習の対象外とされ、Free・Proでは学習に使われる場合があります。契約前に利用規約の該当箇所を確認し、機密度の高い資料は許可の範囲を把握してから渡す運用になります。
SNSへの投稿までClaudeが自動でやってくれますか
claude.ai単体では、SNS投稿に対応した公式Connectorは案内されていません。Pro以上ではArtifactsのMCP統合でSlack・Asana・Google Calendarなど一部の外部サービスへの読み書きができますが、SNS投稿の自動化はその対象に含まれません。投稿の実行や予約まで自動化したい場合はCoworkのConnectors経由の運用になります。
PowerPointやExcelの資料はそのまま納品できますか
いずれのアドインも人間のレビューを公式に推奨しており、最終的な顧客成果物としてそのまま使う前提には置かれていません。チャット履歴はブラウザー内にローカル保存され、サーバー側には残りません。
複数のブランドを1つのアカウントで扱えますか
Projectを案件ごとに分ければ、知識とトーンを混ぜずに運用できます。Team・Enterpriseなら特定メンバーだけに共有範囲を絞ることもできるため、担当が入れ替わる案件でも引き継ぎがしやすくなります。
まとめ
claude.aiでマーケティング業務を回す軸は3つの組み合わせです。Projectsにブランドの型を置き、Web検索とResearchで裏取りし、ArtifactsとSkillsで成果物の下書きを作ります。数字の出典を確認する作業と、公開前の最終チェックは人の手に残ります。
Coworkとの線引きは、対話しながら詰めるか、離れた場所で手を動かし続けるかで決まります。まずは1つのProjectにブランドガイドを置き、Web検索での競合確認から試すと、他の機能へ広げるときの判断材料がそろいます。