Claudeの議事録ツール比較 — Otter・Fireflies乗り換えの判断基準
Claudeは会議に自動参加して録音しません。Otter・Fireflies専用ツールとの機能・料金の違いと、乗り換えを検討する場面をまとめます。
Claudeと、Otter・Firefliesのような議事録専用ツールは、そもそも役割が違います。Claudeは会議に自動参加して録音する機能を持たず、すでにテキスト化された文字起こしを渡されて初めて要約作業を始めます。Otter・Firefliesは逆に、会議へ自動参加して音声を拾うところが本体です。この役割の違いを知らずに比較すると、乗り換えの判断を誤ります。
Claude・Otter・Firefliesは何をするツールか
Claudeは汎用のAIアシスタントで、会議専用の機能は持ちません。ZoomやGoogle Meetの文字起こしエクスポート、あるいはOtterのような外部ツールが作った文字起こしを受け取り、そこから要約・決定事項・アクションアイテムを抽出します。Zoom for Claudeコネクタを使えば、過去のZoom録画からAI要約や文字起こしを検索・取得できます。ただしこれはZoom自身が生成した要約を取りに行く機能であり、Claudeが会議に参加して録音するわけではありません。
Otterは「AI Meeting Agent」がZoom・Microsoft Teams・Google Meetの会議に自動参加し、リアルタイムで文字起こしと要約を作る専用ツールです。ボットを会議に入れたくない場合は、Mac・Windowsのデスクトップアプリやブラウザ拡張で、ボットなしに自分の音声を直接録音する経路も用意されています。
Fireflies.aiも同じくNotetakerボットが会議に自動参加するタイプのツールです。Chrome拡張機能を使えば、Fireflies側のボットを呼ばずに録音する方法もあります。100以上の言語での文字起こしと、リアルタイムのライブノート機能を備え、会話の中からAI要約を作る「AskFred」というチャット機能も内蔵しています。
この違いを整理すると、Claudeは「文字起こしを渡された後」の処理担当、Otter・Firefliesは「文字起こしを作るところ」の担当という分業になります。会議の音声そのものを扱いたいならOtterかFireflies、すでにテキストになった文字起こしを深く分析したいならClaudeという住み分けです。両者は排他的な選択肢ではなく、OtterやFirefliesで文字起こしを作り、その結果をClaudeに渡して分析する組み合わせも成立します。
料金プランはどう違うか
Otterの料金は個人利用ならFreeプランから始められます。
| プラン | 月額(年払い時) | 主な制限 |
|---|---|---|
| Free | 月額(年払い時)$0 | 主な制限月300分の文字起こし、1会議あたり最大30分 |
| Pro | 月額(年払い時)$8.33/ユーザー | 主な制限月1,200分の録音、1会議あたり最大90分 |
| Business | 月額(年払い時)$19.99/ユーザー | 主な制限無制限の会議・録音、1会議あたり最大4時間 |
| Enterprise | 月額(年払い時)個別見積もり | 主な制限SSO・SCIM、Otter API、Sales Notetaker |
Fireflies.aiも同様に無料プランがありますが、設計思想が少し違います。
| プラン | 月額(年払い時) | 主な制限 |
|---|---|---|
| Free | 月額(年払い時)$0 | 主な制限文字起こしは無制限、AI要約は制限あり、チーム全体で400分の保存 |
| Pro | 月額(年払い時)$10/シート | 主な制限AI要約も無制限、8,000分/シートの保存 |
| Business | 月額(年払い時)$19/シート | 主な制限保存容量無制限、多言語モード、Slack Assistant |
| Enterprise | 月額(年払い時)$39/シート | 主な制限ルールエンジン、SSO+SCIM |
Firefliesは無料プランでも文字起こし自体は無制限という設計です。Otterは無料プランに月300分・1会議30分という上限を課しており、有料化の圧力がOtterのほうが早く来ます。一方でAI要約(会議の内容を実際に読める形にする機能)は、Fireflies無料プランでは制限があり、Otterの無料プランは要約機能自体は使えます。どちらの無料プランも「試して比較する」用途には十分ですが、日常的な業務利用ではどちらも早晩有料プランが必要になります。年払いにするとOtter Proは月8.33ドル、Fireflies Proは月10ドルまで下がり、月払いのままだとOtterが16.99ドル、Firefliesが18ドルとほぼ同水準になります。
OtterのMCPサーバーでClaudeと直接つながる
Otterには、Otter自身のFreeプランから使える「Otter MCP server」が用意されています。ClaudeやClaude Codeなど対応するAIチャットツールから、Otterに保存された会議の文字起こし・要約に直接アクセスできる仕組みです。Otterの公式サイトは「ChatGPT、Claude、その他のAIチャットツールがOtterのMCPサーバー経由で会議の知識に安全にアクセスできる」と説明しています。
これは実務上、Otterを録音・文字起こしの専用レイヤーとして使い、分析や横断検索はClaude側に任せるという役割分担が公式に想定されていることを意味します。この構成なら、Claude Codeを開いたまま「先週のクライアントAとの打ち合わせで合意した納期を教えて」のように尋ねるだけで、Otter側に溜まった過去の会議記録を横断的に検索できます。文字起こしを都度エクスポートしてClaudeに貼り付ける手間が要りません。
Fireflies.aiの価格ページにはMCPサーバーの記載が見当たりません。Zapier経由の連携や自社のAskFred(AI要約チャット機能)が中心で、外部のAIアシスタントから直接クエリを投げる経路は、少なくとも価格ページの情報からは確認できませんでした。Fireflies側の要約をClaudeで扱いたい場合は、現状ではAskFredの出力をコピーして渡すか、ファイルとしてエクスポートしてから読み込ませる経路になります。
会議の録音データをどう保護しているか
音声そのものを扱うOtter・Firefliesと、テキストしか扱わないClaudeでは、そもそも保護が必要なデータの範囲が違います。Claudeは会議の録音ファイルを受け取らないため、録音データ特有の保護策(録音の保存期間・録音ファイルへのアクセス権限など)を検討する必要自体がありません。
Firefliesは、SOC 2 Type IIの認証を取得し、GDPRに沿ったデータ保護、HIPAA準拠を掲げています。データをAIの学習に使わない「Zero Data Retention」の設定や、組織専用のプライベートストレージも用意されています。Otterも同様にEnterpriseプランでHIPAA準拠をアドオンとして提供し、SSO・SCIM・ドメインキャプチャーといった管理者向けの統制機能を備えます。
医療機関や金融機関のように録音そのものに厳格な取り扱いが求められる業種では、この認証の有無がツール選定の初期フィルタになります。Claude側で議事録を扱う場合の一般的なデータ取り扱いは、Otter・Fireflies固有の音声データポリシーとは別に、Claude自体のプライバシーポリシーに従います。
Otter・Fireflies、どちらが向くか
| 判断軸 | Otterが向く | Firefliesが向く |
|---|---|---|
| 無料プランでまず試したい | Otterが向く要約機能まで無料で試せる | Firefliesが向く文字起こし自体は無制限に試せる |
| 営業チームでCRM連携したい | Otterが向くSalesforce・HubSpot連携が充実 | Firefliesが向く統合機能はBusiness以上に集約 |
| ClaudeやClaude CodeからMCP経由で参照したい | Otterが向くMCPサーバーが公式提供されている | Firefliesが向く該当機能の記載なし |
| チーム全体の長期保存を重視したい | Otterが向くBusinessで無制限録音・4時間/会議 | Firefliesが向くBusinessで保存容量が無制限 |
営業チームのようにCRM連携や1対1の商談を大量にこなす用途ならOtterのSales Notetaker系の機能が強みです。社内の意思決定を後から検索したいだけなら、Firefliesの無制限文字起こしとAskFredでも十分間に合います。ClaudeやClaude Codeを中心に据えたワークフローを組みたいなら、MCPサーバーを公式提供しているOtterのほうが接続の手間が少なくなります。
乗り換えを検討する場面
Claudeへの文字起こしの貼り付けだけで足りるのは、会議の頻度が低く、Zoom・Google Meet側の文字起こしエクスポートで十分な場合です。逆に次のような状況では、専用ツールへの乗り換えを検討する価値があります。
会議の本数が多く、毎回手動で文字起こしをエクスポートしてClaudeに貼り付ける作業自体が負担になっているなら、自動参加ボットの恩恵が大きくなります。複数人が同時並行で別々の会議に出ていて、後から横断検索したいなら、専用ツール側の検索機能が効きます。会議中にリアルタイムで字幕や要約を見ながら話したいなら、Claudeには該当する機能がなく、専用ツールが必須です。
営業やカスタマーサクセスのように、1日に何本も商談をこなし、CRMへの記録を毎回手作業で行っている職種も乗り換えの効果が大きい典型例です。OtterのSales Notetakerや、Firefliesの商談分析機能(Conversation intelligence)とCRM連携は、この手作業を大きく減らします。逆に、参加する会議が週に数本で、議題ごとに手元の文字起こしを整えてから渡すことに苦痛を感じていないなら、追加のサブスクリプションを増やす前にClaudeだけで様子を見る選択肢も十分に成立します。
一方、月に数回程度の定例会議をきちんと要約したいだけなら、専用ツールを増やさなくても済みます。Zoomの文字起こしエクスポートと、Claude議事録の実践プロンプトで紹介されている型を組み合わせれば十分間に合います。Zoom連携を使った自動化のパターンはClaudeでZoom議事録を自動要約にまとめてあります。定例会議のフォルダ運用を継続したいならCoworkの活用も選択肢です。詳しくはClaude Coworkとはを参照してください。
まとめ
ClaudeはOtter・Firefliesのような会議専用ボットを持たず、文字起こしを受け取ってから要約する後段の役割です。Otterは無料プランからMCPサーバーを提供しており、Claude中心のワークフローに組み込みやすい設計です。Firefliesは無料プランの文字起こし自体が無制限という強みがありますが、外部AIチャットからの直接連携は価格ページ上では確認できませんでした。会議の本数と、横断検索・リアルタイム字幕の必要性で、専用ツールへの乗り換えを判断してください。