Claude TagとClaude CodeのSlack連携は何が違うか — プラン別の使い分け
Claude TagとClaude Code in Slackは、同じSlack上のClaude連携でも権限の持ち方・課金・対応範囲がまったく別物です。権限・課金・対応作業の3点で違いを見ていきます。
SlackでClaudeを使う方法は、契約プランによって名前も仕組みも変わります。Team・EnterpriseはClaude Tag、Pro・MaxはClaude Code in Slackです。どちらも@Claudeをメンションして仕事を渡す点は同じですが、権限の持ち方・課金・対応できる作業の範囲は別物です。プランで選択肢が決まるため「どちらを選ぶか」より「自分のプランでは何が起きるか」を先に押さえる必要があります。
Claude TagとClaude Codeは何者か
Claude Tagは、Slackチャンネルの中でClaudeが組織の共有アイデンティティとして働くプロダクトです。管理者が接続先を設定すれば、チャンネルにいる全員が追加のセットアップなしで@Claudeを使えます。バグ調査からPR作成、ダッシュボード監視、社内ドキュメント検索まで、コーディングに限らない幅広いタスクを扱います。
Claude Code in Slackは、Slack上のメンションからClaude Codeのセッションを起動する仕組みです。各セッションはメンションした本人のClaudeアカウントの下で動き、その人が接続したリポジトリと利用枠を使います。対象はコーディングタスクに絞られ、Code + Chatモードにすればコード以外の質問は通常のClaude Chatへ振り分けられます。
両者は別プロダクトとして独立に開発されています。ただしSlackの@Claudeという同じ入口を共有しているため、Team・Enterpriseの一部のワークスペースでは移行期に両方が併存することがあります。
権限とアクセスの持ち方はどう違うか
決定的な違いは、Claudeが「誰の資格情報で動くか」です。
| 項目 | Claude Tag | Claude Code in Slack |
|---|---|---|
| 動作場所 | Claude TagSlackチャンネル・スレッド・DM | Claude Code in SlackSlackチャンネル(DMは非対応) |
| アクセス元 | Claude Tag管理者が設定したサービスアカウント | Claude Code in Slackメンションした本人のアカウント |
| 作業を見られる範囲 | Claude Tagチャンネルにいる全員 | Claude Code in Slack本人のみ(セッション履歴も本人のもの) |
| 対象作業 | Claude Tagコーディング・データ照会・監視・文書化など幅広い | Claude Code in Slackコーディングタスクが中心 |
Claude Tagがチャンネルで動くとき(DMのときは除きます)、それは個人ではなく「エージェント自身」の資格情報で接続先にアクセスします。管理者がチャンネル単位で許可した接続先(リポジトリ・データウェアハウス・チケット管理ツールなど)を、チャンネルの全員が同じ権限で使う形です。DMだけは例外で、送信者自身のclaude.aiアカウントに接続されたコネクタで動きます。
一方Claude Code in Slackは、常に個人の資格情報で動きます。自分が接続したGitHubリポジトリだけにアクセスでき、利用枠も自分のプランの上限に対してカウントされます。チームメンバーがそれぞれ自分のアカウントを接続する必要があり、誰かがセットアップを済ませても他のメンバーには反映されません。
Claude Code in Slackには「ルーティングモード」という設定もあります。Code onlyにすると全てのメンションがClaude Codeセッションへ直行します。Code + ChatにするとClaudeがメッセージ内容を判定し、コーディング作業なら通常どおりClaude Codeへ、それ以外なら通常のClaude Chatへ振り分けます。判定を間違えたときは「Retry as Code」ボタンで手動修正できます。Claude Tagにこうしたモード切り替えは無く、コーディングか他の作業かの判定はエージェント自身が状況から行います。
Claude Tag・Cowork・Claude Codeの違い
SlackのClaude Tagと混同されやすいのが、claude.aiチャット上のCoworkと、ターミナルやIDEで使うClaude Codeです。この3つはいずれも同じエンジンでコードを書いたりファイルを操作したりできますが、動く場所とアクセス元がそれぞれ違います。公式ドキュメントは次の3行で区別しています。
| 項目 | Claude Tag | Cowork | Claude Code |
|---|---|---|---|
| 動く場所 | Claude TagSlackチャンネル | Coworkclaude.aiのチャット | Claude Code自分のターミナル・IDE |
| アクセス元 | Claude Tag管理者が設定したサービスアカウント | Cowork自分が接続した個人のOAuthコネクタ | Claude Code自分のローカル資格情報・ファイルシステム |
| 作業を見られる範囲 | Claude Tagチャンネルにいる全員 | Cowork自分だけ | Claude Code自分だけ |
| 向いている用途 | Claude Tagチームで共有し、みんなで軌道修正したい仕事 | Cowork個人の調査・下書き作成 | Claude Code自分のリポジトリでの実装作業 |
要点は「チームの仕事はClaude Tag、個人の作業はCoworkかClaude Code」という一文に集約できます。Claude Code in Slackはこの3分類には入らず、Claude Code(個人作業)の入口をSlackという画面に持ち込んだ変則的な位置づけです。Team・Enterpriseでは、チーム作業向けのClaude Tagへ利用が寄っていく可能性があります。
課金とプランの対象はどう違うか
Claude TagはTeam・Enterprise限定で、個人向けのFree・Pro・Maxプランでは使えません。組織のSlackワークスペースとClaude組織をペアリングして使う形態です。課金はチャンネル・スレッドでの作業に対する従量制で、組織が積み立てる「利用残高」から差し引かれます。管理者は期間ごとの上限額(spend limit)を設定でき、使いすぎを防げます。DMだけは例外で、送信者個人のプラン利用枠から消費され、組織の上限には影響しません。
Claude Code in SlackはPro・Max・Team・Enterpriseのいずれでも使えますが、各セッションは実行した本人のプラン利用枠を消費します。追加のプラン専用課金はなく、通常のClaude Code利用と同じ枠を共有します。Team・Enterpriseのワークスペースでは、Anthropicがこの旧バージョンをClaude Tagへ段階的に移行させており、切り替え時期は各組織のアカウントチームが案内する運用です。Pro・Maxには個人プラン向けのClaude Tagが提供されないため、この設定方法が引き続き唯一の経路になります。
Claude Tagの利用残高は、組織のOwnerが管理設定画面から積み立てます。初めて導入する組織向けには、利用残高を積み立てる前に無償で試せる立ち上げ利用クレジットが用意されており、これでパイロット運用のコストを見積もってから本番の残高を積むという段取りが可能です。チャンネルごとの使用量はUsageページの内訳で確認できるため、部署単位でコストが偏っていないかも追跡できます。
記憶する範囲と、定期実行できる作業の違い
Claude Tagは、公開チャンネルで学んだ内容をワークスペース全体の記憶として保存し、他のチャンネルからも参照できるようにします。プライベートチャンネルの記憶はそのチャンネル内に閉じます。加えて、監視対象のダッシュボードを定期チェックしたり、Pull Requestの変化を追って自動で動いたりする「ルーティン」をスケジュール実行できます。人が起動したときもスケジュールが起動したときも、チャンネルに設定された同じアクセス権限が適用されます。
Claude Code in Slackにはこうしたチャンネル記憶やスケジュール実行の概念がありません。各セッションはメンションのたびに新しく作られ、文脈はそのスレッドの会話とメンションした本人のClaude Code履歴に限られます。定例的な監視やチーム全体で積み上がる知識が必要な作業は、この時点でClaude Tag側の設計に分があります。
使い分けの決め手 — チームの仕事か、自分の作業か
判断基準は単純です。前の節の住み分けがそのまま当てはまります。障害調査をチャンネルで進めて全員が経過を見られるようにしたいならClaude Tagが向きます。逆に、自分のブランチで細かい実装を進めたいだけなら、Claude Code on the webやローカルのClaude Codeを直接使うほうが、チャンネルの雑音を増やしません。
Slackという同じ画面で完結させたいコーディング作業は、Claude Code in Slackが引き続き担います。ただしTeam・Enterpriseでは移行が進むにつれ、この経路自体がClaude Tag側の@Claudeコーディングユースケースに吸収されていく見込みです。Pro・Maxの個人契約者にとっては、この移行は関係がなく、Claude Code in Slackが唯一の設定方法であり続けます。
移行するときに何が変わるか
Team・EnterpriseのワークスペースがClaude Code in SlackからClaude Tagへ切り替わると、既存のSlackアプリと@Claudeのハンドルはそのまま使えます。変わるのは裏側の権限モデルです。個人のGitHub接続に依存していた設定は、管理者が接続するサービスアカウント経由の設定に置き換わります。
移行済みのチャンネルでClaude Code側のクラウド環境を個人アカウントで作成していた場合、Claude Tagのセッションはその環境を使えず即座に失敗します。この場合はOwner権限を持つ管理者が、組織共有のクラウド環境を作り直す必要があります。個人アカウントに紐づく環境と、組織共有の環境は別物として扱われるため、移行前に作られた環境をそのまま引き継ぐことはできません。
Slack連携全体の初期セットアップ手順はClaudeとSlackの連携にまとめてあります。Slackの会話データをリポジトリ以外のツールとつなぐ場合はSlack MCPサーバーの使い方も参考になります。Claude Tagが発表された経緯や当初の位置づけはClaude Tagが登場で振り返れます。
まとめ
Claude TagとClaude Code in Slackは、同じSlackの@Claudeという入口を共有しながら、権限モデルも課金も対象作業も別のプロダクトです。Team・EnterpriseはClaude Tagへの移行対象、Pro・MaxはClaude Code in Slackが唯一の選択肢という形でプランが選択肢を決めます。移行期のTeam・Enterpriseワークスペースでは、チャンネルごとにどちらが動いているかを先に確認すると迷いません。@Claude what can you access from this channel?のように尋ねるだけで、権限まわりの混乱を避けられます。プランと料金全体の比較はClaude料金プラン完全ガイドで確認できます。