ClaudeとSlackの連携 — Claude Tagの使い方
ClaudeをSlackにつなぐ設定と使い方を、Team・Enterprise向けのClaude TagとPro・Max向けのClaude Code in Slackの両方で、手順と詰まりどころまで示します。
ClaudeをSlackチャンネルの中で動かす方法は、契約プランによって名前も設定手順も変わります。Team・EnterpriseならClaude Tag、Pro・MaxならClaude Code in Slack(Claude for Slackアプリ)です。どちらも@Claudeをメンションしてタスクを渡す点は同じですが、権限の持ち方と課金の仕組みが違います。
両者の違いを具体的に比較した記事にClaude TagとClaude Code in Slackの違いがあります。この記事では両方の設定手順と、立ち上げた後に詰まりやすい点を、症状と条件から引ける形でまとめます。
使い方の基本はどちらも同じです。使いたいチャンネルで/invite @Claudeを実行してClaudeを招き、@Claudeに依頼を書くと、返事がそのスレッドに付きます。
どちらの経路になるか — 契約プランで決まる
Slackの中のClaudeは2系統ある
Claude Tag
@Claudeが組織共有の人格として動きます。チャンネルごとに触れる範囲を管理者が決め、作業は組織の利用残高から課金されます。セットアップはOwnerと、Slackワークスペース管理者の両方が関わります。
Claude Code in Slack
各ユーザーが自分のClaudeアカウントを接続し、自分のGitHubリポジトリと自分のプラン枠でセッションを動かします。Team・Enterpriseでも、Claude Tagへ切り替わるまでは使えます。
Team・Enterpriseで移行済みかどうかは、Anthropicのアカウントチームが切り替え日を案内する仕組みです。既存のSlackアプリと@Claudeのハンドルは、移行後もそのまま残ります。新しいワークスペースならClaude Tagから始めます。
Claude Tagには使えない条件もあります。Zero Data Retention(データを保持しない契約形態)か、顧客管理の暗号鍵(CMEK)を使っている組織は対象外です。Claude Tagはチャンネルの記憶とセッションの記録を保存するため、ZDRとは両立しません。CMEKのポリシーでも使えません。サードパーティ経由のデプロイと、Free・Pro・Maxも対象外です。
なお、Slackの過去ログをClaudeの側から検索して使う方向の連携は、別の仕組みです。そちらはSlack MCPサーバーの使い方で扱っています。この記事はClaudeをSlackの中に置く設定に絞ります。Claude Tagが発表された経緯はClaude Tagが登場にあります。
Pro・MaxでClaudeをSlackから使う設定手順
Pro・Max・Team・Enterpriseのいずれでも、Claude Codeへのアクセス権と、クラウドセッションが有効なアカウントが前提です。GitHubアカウントも必要です。
- Slack App Marketplaceで「Claude」アプリをワークスペースにインストール(ワークスペース管理者が実行)
- Slack内のClaudeアプリを開き、App Homeタブから「Connect」を押して自分のClaudeアカウントを接続
- claude.ai/codeにサインインし、GitHubアカウントと少なくとも1つのリポジトリを接続
- App Homeの「Routing Mode」でCode onlyかCode + Chatを選ぶ
- 使いたいチャンネルで
/invite @Claudeを実行
Routing Modeは、@Claude宛のメッセージの振り分け方です。Code onlyはすべてのメンションをコーディングセッションへ送ります。Code + Chatは、内容からコーディングかチャットかを自動で判定します。
判定が外れたときは、返信の「Retry as Code」ボタンでコーディングセッションに切り替えられます。逆にコードへ回ってしまった場合も、そのスレッドでチャットを選べます。リポジトリを取り違えたときは「Change Repo」で選び直します。
インストール直後のClaudeは、どのチャンネルにも入っていません。/invite @Claudeを実行するまで反応しないうえ、DMには対応していません。作業が終わるとClaudeがメンションで完了を知らせ、「View Session」で全記録、「Create PR」でプルリクエストを開けます。
この経路には制限があります。リポジトリはGitHubのみで、1セッションで作れるプルリクエストは1つです。GitLabへの対応は、機能要望のissueが起票されている段階です。
Team・EnterpriseでClaude Tagを立ち上げる手順
Claude Tagのセットアップは、Claude組織のOwnerだけが実行できます。ほかに、次の前提が必要です。
- Team・Enterpriseプランであること
- ZDRもCMEKも使っていないこと
- Routines(Admin settings > Capabilities > Remote sessions)が有効であること
- Teamプランなら、利用残高(usage credits)が入っていること
Teamプランは、残高が入るまで何も動きません。導入初期の無償枠(launch usage credit)が付いている組織は、それが残高として数えられるので、購入前に確認できます。
セットアップの流れ
- 1
設定ページで開始する
claude.ai/admin-settings/claude-tagで「Start setup」を押します。途中で抜けても進捗は保存されます。 - 2
Slackアプリを入れ、ペアリングコードをもらう
Slack App Marketplaceからアプリを追加し、任意のチャンネルで
/invite @Claudeを実行します。続けて@Claude connectだけを送ると、本人にしか見えない返信でペアリングコードが届きます。 - 3
コードを設定ページに貼る
コードを貼り、Claudeが応答する範囲(ワークスペース全体、または特定チャンネル)を選びます。特定チャンネルを選ぶ場合は、チャンネルIDをカンマ区切りで入れます。
- 4
使わせるツールを2つ以上選ぶ
ここで選ぶだけでは接続されません。GitHubは一覧に出ず、次の専用ステップで扱います。
- 5
GitHubとその他のツールをつなぐ
GitHubはClaude GitHub Appで、そのほかのツールはClaude専用のアカウントを作り、そのAPIキーを貼って接続します。
- 6
支出上限を決めてLaunch
月間の上限を選んでLaunchすると、Claude Tagが有効になります。
途中でつまずきやすいのは、次の箇所です。
ペアリングコードは15分で失効します。@Claude connectを実行できるのはSlackワークスペース管理者だけです。自分が管理者でないなら、インストールとコード取得を管理者に頼むことになり、オンラインの時間を合わせておくとやり直しが減ります。公式の手順には、管理者へ送る依頼文のひな形もあります。
Enterprise Gridでは、Grid管理者の返信にコードが2つ付きます。workspace_で始まるコードは、送ったワークスペース1つだけをペアリングします。enterprise_で始まるコードは、Grid全体をペアリングします。設定ページに貼るのは、Grid全体を対象にするならenterprise_のほうです。
GitHubの連携は、個人アカウントではなくGitHub Organizationが対象です。個人アカウントにアプリが入っていると、設定ページに「a personal account」と表示されます。Organizationのオーナーに入れ直してもらう間は、そのステップを飛ばして先へ進めます。
ツールごとのアカウントは、Claudeを新しく入社したメンバーとして扱う運用です。専用のメールアドレスを1つ用意し、各ツールにメンバーとして招待してから、そのアカウントでAPIキーを発行します。ツールの監査ログにClaudeの操作がClaude名義で残り、アクセスを止めるときも他のメンバーに影響しません。権限は、読み取り専用など最小のものが勧められています。
後回しにしたいツールは「Skip」で飛ばせます。その場合も、Slack内の要約、スレッドの文書化、Web検索は動きます。接続していないツールの操作だけができません。
Launchするまでの@Claude宛のメンションには、「Claude is disabled in this channel」と返るだけで、作業は始まりません。
立ち上げた直後の動作確認
Launchしたら、パイロット用のチャンネルで次の順に確かめます。
/invite @Claude
@Claude summarize what this channel decided this week and list any open questions成功の基準は、メッセージのスレッドに返信が付き、フッターにモデル名と「Configure」リンクが出ることです。返信がまったくないなら、そのチャンネルが対象範囲に入っていません。管理者設定のSlackタブで、ワークスペースが「Claude Tag's access」に載っているかを見ます。
@Claude what can you access from this channel?この返信に、接続したツールが並べば成功です。ここに出ないツールは、接続が保存されていません。接続を直した後に「I can't reach…」と返るときは、直す前に始めたスレッドが古い状態のままなので、新しいスレッドで聞き直します。
GitHubは、許可したリポジトリを指定して確かめます。
@Claude list the open pull requests in your-org/your-repo and who each one is waiting on/inviteはチャンネルのメッセージ欄で実行します。Slackはスレッドの中からの/inviteを受け付けません。「このチャンネルに人を追加する権限がありません」と出るときは、次の手順で追加できます。チャンネルの詳細画面の「Agents & apps」(Slackのバージョンによっては「Integrations」)からClaudeを追加します。
チャンネルとDMは、誰の権限で誰の勘定になるか
同じ@Claudeでも、どこで呼ぶかで使えるツールと課金先が変わります。
呼んだ場所ごとの権限と課金
チャンネル
チャンネルに設定されたアクセス範囲で動き、誰が呼んでも同じ権限です。作業は組織の利用残高から引かれ、月間の支出上限の対象です。Claudeアカウントを持たないメンバーも使えます。
DM(Claudeアカウントを接続済みの人)
その人自身のclaude.aiアカウントと、個人で設定したコネクタで動きます。課金はその人の席にかかり、組織の支出上限は適用されません。
グループDM
Claudeを参加者に加えて使います。権限はワークスペースと組織に設定されたものが基準で、チャンネル単位の接続は効きません。作業は組織の利用残高から課金されます。
DM(アカウント未接続の人)
既定では、組織の利用残高から課金されます。1人あたりの上限は、7日間、50ドル(既定の支出上限がそれより低ければその額)、50セッションの3つです。どれかに達すると、次のDMでアカウントの接続を促され、以降は本人の席で動きます。この利用は組織の支出上限にも数えます。
管理者は「Allow direct messages」のトグルで、1対1のDMとグループDMを止められます(Ownerだけが変更できます)。グループDMだけを止める設定はありません。アカウント未接続のDMだけを止める設定もありません。未接続のDMを組織の勘定で動かさないようにするには、利用者の制限(Member access)をオンにする方法があります。ただしその場合、Claudeアカウントを持たないメンバーはチャンネルでも使えなくなります。
チャンネルで一度@Claudeを呼ぶと、そのスレッドではメンションなしの返信も読み続けます。複数手順の作業では、進捗のチェックリストがスレッドに出ます。スレッドが静かでも、下部に作業中の表示があれば動いている最中です。止めたいときは、チャンネルのスレッドなら表示の「Stop」を押します。DMには「Stop」が出ません。
支出上限に達すると、Claudeは作業を止め、依頼者にスレッドで完了できなかったと伝えます。これとは別に、Claude Tag自体のスレッド開始や配信には速度制限があります。速度制限に当たった場合は数秒の待ち時間が示されるので、待って再送します。上限を上げても速度制限は解けず、速度制限に当たった依頼は課金されません。
支出上限は、月初にリセットされ、ペアリング済みの全ワークスペースにまたがって効きます。上限は定価で計算するため、交渉した割引は請求時にだけ反映されます。詳細な設定はClaude Tag管理者設定にあります。
Claudeが読めるもの、読めないもの
読める範囲は、呼ばれたスレッドの内容と、ワークスペースの公開チャンネルの検索結果、管理者が接続を許した外部サービスです。公開チャンネルは、キーワード検索で人間と同じように探せますが、追加されていないチャンネルの履歴全体は読めません。
プライベートチャンネルとDMは、その内部からだけ読めます。他のチャンネルやDMから横断して参照することはできません。Slackのキャンバスは読めません。編集したメッセージは、編集前後の文面がClaudeに通知されますが、編集だけで新しいタスクが始まることはありません。訂正は、新しい返信として書くのが確実です。
添付ファイルには上限があります。画像は1枚約3.75MB、PDFは5MBまでで、それ以外のファイル(表計算、コード、圧縮ファイルなど)は100MBまでです。1メッセージにつき5ファイルまでで、6つ目以降は無視されます。上限を超えた画像とPDFは読まれず、メッセージの残りの部分だけで答えます。
貼ったリンク先は、管理者がそのサイトを許可していれば読めます。ログインが必要なファイルは、自分のコネクタを使うことを許可した場合だけです。どちらでもなければ、Claudeは読めないと答えます。手早く確かめるなら、@Claude can you read the doc I just linked?と聞きます。
使い始めのつまずきを症状から引く
@Claudeをメンションしても反応がない
Claudeが返す内容で、原因が分かれます。
| 見え方 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 「Claude is disabled in this channel」 | 原因Launchが終わっていない | 対処セットアップを完了する |
| 候補に「APP」バッジ付きのClaudeが出ない | 原因アプリがワークスペースに未インストール | 対処Slack管理者に依頼する |
| 送信できるが返信がない | 原因そのチャンネルが対象範囲外、またはClaudeが未招待 | 対処/invite @Claudeを実行し、管理者に対象範囲を確認する |
| 「対象のロールでは使えない」という本人だけに見える通知 | 原因管理者が利用できるロールを絞っている(ロールでの制限はEnterpriseのみ。Teamは組織内のメンバーに限る設定まで) | 対処管理者にアクセスを依頼する |
DMで環境が見つからないというエラーが出る
DMは自分のアカウントで動くため、環境を決められないときに出ます。文言は方式で違い、原因も対処も分かれます。
Claude Tagでは「I couldn't find a Claude Code environment for your account」と出ます。多くは一時的な参照の失敗なので、まずメンションし直します。続くなら、アカウントが使う設定の環境が使えなくなっているかもしれないため、claude.ai/codeで確認します。
旧方式では「Claude Code is not enabled for your account」と出ます。アカウントにクラウド環境がまだ無い状態なので、claude.ai/codeで初回のオンボーディングを済ませます。
Claude Tagのチャンネルでセッションが起動しない
自分の個人アカウントでクラウド環境を作っていると、組織共有のチャンネルは、その個人環境ではセッションを始められません。セッションはすぐ失敗し、再試行しても直りません。Ownerが環境を組織で共有するか、管理者設定から作り直します。組織の既定にするか、チャンネルごとに指定するかも選べます。
コードを書かせたいのにリポジトリが出ない、または別のリポジトリが選ばれる
旧方式では、claude.ai/codeでリポジトリを接続し直します。それでも出なければ、GitHubアカウントを切断して再接続します。別のリポジトリが選ばれたときは、「Change Repo」で選び直すか、依頼文にリポジトリ名を書きます。
続きの使い方
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まとめ
Slackの中のClaudeは、プランで経路が決まります。Team・EnterpriseはClaude Tagで、立ち上げにはOwnerとSlack管理者の両方が要ります。Pro・Maxは各自がアカウントとGitHubを接続する旧方式です。DMの課金はアカウントを接続しているかで分かれるので、立ち上げる前に接続の方針を決めておくと、請求の混乱を避けられます。