Claude議事録の実践プロンプト — 文字起こしから要約・アクションアイテムまで
Claudeで議事録を作る実践手順を、文字起こしの準備からプロンプトの型、Cowork・Skillsでの自動化、よくあるつまずきまで解説します。
Claudeは会議音声を直接文字起こししない
会議の録音ファイルをそのままClaudeに渡せば議事録ができる、と考えている人は少なくありません。実際にはそこが最初のつまずきどころです。Claudeにアップロードできる形式は文書と画像に限られ、音声ファイルはその一覧に含まれていません。Claudeが公式に案内するTranscript analysisも、会議メモやインタビュー、講義録音の「文字起こし」からテーマ・要点・アクションアイテムを抽出する機能で、入力は録音そのものではなく、すでにテキスト化された文字起こしを前提にしています。
音声モードとの混同も起きやすいところです。Claudeの音声モードと画面共有は、声で話しかけてClaudeが声で返答する双方向会話の機能で、会議室に置いておけば全員の発言を拾ってくれるような受動的な録音機能ではありません。Quick Entryの音声入力も、自分の発話をその場でテキストに変換する一方向の手段にとどまります。第三者どうしの会話を横で聞き取る用途には使えません。
つまり議事録を作る作業は、「文字起こしを用意する」ところから始まります。Zoom・Google Meetの文字起こしエクスポート機能、Otterのような外部の文字起こしツール、あるいは書き起こし担当者が残した手書きメモをテキスト化したものが入力になります。この記事では、その文字起こしをClaudeに渡してから、要約・決定事項・アクションアイテムを含む議事録に仕上げるまでの実践的な手順をまとめます。
文字起こしをClaudeに渡す3つの方法
文字起こしをClaudeに渡す方法は主に3つあります。もっとも手軽なのは、通常のClaude.aiチャットに文字起こしのテキストをそのまま貼り付ける方法です。プランを問わず使え、追加の設定も不要です。
2つ目はファイルとしてアップロードする方法です。.txtや.docx形式の文字起こしファイルを渡せて、アップロードできるファイルサイズは最大30MBです。この機能自体は無料プランを含む全プランで利用できます。長い会議の文字起こしをテキストエディタで整形してから渡したいときに向いています。
3つ目はCoworkのTranscript analysisを使う方法です。Coworkはフォルダ内のファイルを直接読み書きできるため、文字起こしファイルを保存先フォルダに置いておくだけで、アップロード操作なしに要約を依頼できます。複数回の会議を継続的に扱うなら、この経路が一番手数が少なくなります。
| 方法 | 向いている場面 | 制約 |
|---|---|---|
| チャットに直接貼り付け | 向いている場面単発の会議、すぐ結果が欲しいとき | 制約長文は分割が必要 |
| ファイルアップロード | 向いている場面整形済みの文字起こしがすでにあるとき | 制約最大30MB |
| Coworkのフォルダ経由 | 向いている場面定例会議など繰り返し発生する作業 | 制約Pro以上のプランが前提 |
| カスタムSkill呼び出し | 向いている場面書式をチーム全体で統一したいとき | 制約descriptionの設計が呼び出し精度を左右する |
議事録のプロンプトの型 — 要約・決定事項・アクションアイテムを抽出する
文字起こしをただ「要約して」と渡すだけでは、決定事項とただの議論が混ざった読みにくい出力になりがちです。出力の構造をプロンプト側で指定すると、実務で使える形に近づきます。
以下は会議の文字起こしです。次の4つの見出しに分けて整理してください。
1. 会議の概要(議題・参加者・所要時間を1〜2文で)
2. 決定事項(誰が何を決めたかを箇条書きで、合意の根拠が文字起こしにあれば添える)
3. アクションアイテム(担当者・期限が文字起こしから読み取れる場合は明記し、
読み取れない場合は「担当者未確定」と書く)
4. 未決事項(結論が出ず持ち越しになった論点)
[ここに文字起こしを貼り付け]この型のポイントは、「読み取れない場合は正直にそう書かせる」ことです。担当者や期限が文字起こしに含まれていないのに、Claudeが文脈から推測して埋めてしまうと、実在しない合意事項として一人歩きします。曖昧な箇所は曖昧なままにしておく指示が、事後の確認作業を減らします。
もう一段実務寄りにするなら、アクションアイテムを表形式で出させると担当者への展開がしやすくなります。
アクションアイテムは「担当者 / 内容 / 期限 / 文字起こし内の該当箇所」の
4列の表にしてください。期限が明言されていない項目は期限欄を「未定」としてください。該当箇所の列を加えておくと、あとで内容を確認したいときに文字起こしの該当部分へすぐ戻れます。
Coworkで文字起こし分析から配布までを自動化する
単発の要約でなく、毎週の定例会議のように繰り返し発生する作業なら、Coworkにまとめて任せる価値があります。Coworkは会議メモやインタビューの文字起こしからテーマ・要点・アクションアイテムを抽出するTranscript analysisを公式ユースケースとして掲げています。ボイスメモや散らばったメモを整形済みの文書に変換する用途にも対応しています。
配布まで自動化したい場合は、CoworkのSlack連携を組み合わせる方法があります。文字起こしの要約からSlackへの送信までを一続きのタスクとして依頼できるため、会議終了後に手動でコピー&ペーストする手間が省けます。
会議の参加者情報を補いたいときはGoogle Calendar連携が使えます。ただしこの連携は予定に関する質問に答える読み取り専用の機能で、予定の作成・変更・削除や招待の送信はできません。「昨日の予算会議に誰が出席していたか」のような質問には答えられますが、議事録から新しい予定を作ってメンバーに送る、という使い方はできない点に注意が必要です。この連携はPro以上のプランが対象です。
接続先の全体像や承認モードの設計はClaude CoworkのConnectors一覧で詳しく扱っています。
議事録のフォーマットを毎回そろえる — カスタムSkillとProjectの指示
議事録の書式を毎回そろえたいなら、プロンプトを都度書くよりカスタムSkillに切り出すほうが安定します。Claudeの公式ドキュメントも、カスタムSkillの用途例として「会社独自の書式で議事録を構造化する」ことをそのまま挙げています。あわせて、JIRAやAsana、Linearといったタスク管理ツールの命名規則に沿ってタスクを作る使い方も公式の想定に含まれます。
カスタムSkillを作るときの制約は単純です。skill.mdのnameは64字以内、descriptionは200字以内に収める必要があります。このdescriptionは、Claudeが「今どのSkillを呼び出すべきか」を判定する材料になります。「議事録」「meeting notes」「アクションアイテム」のように、実際に使う言葉を具体的に含めておくと呼び出し漏れが減ります。
もう一つの選択肢はProjectの指示欄です。プロフィール指示はアカウント全体に効きますが、Projectの指示はそのProject内だけに効く違いがあります。特定のチームやクライアントごとに議事録の書式を変えたいなら、チームごとにProjectを分けて指示を書くほうが混線しません。ただしProjectの指示は有料プラン限定の機能です。
SkillとProjectの指示、どちらを先に試すべきか
1人または少人数での利用なら、まずProjectの指示欄に書式ルールを書くほうが手早く始められます。組織内の複数チームに同じ書式を配布したい場合や、Slackへの送信・タスク登録まで一連の動作として自動化したい場合は、カスタムSkillに切り出すほうが再利用しやすくなります。
出力をArtifactsで整形し、共有する
長めの議事録は、チャットの返信欄にそのまま出すより、Artifactsとして生成させたほうが読みやすくなります。Artifactsは、おおむね15行を超える自己完結したコンテンツで作成され、Markdown・コード・HTML・SVGなどの形式に対応します。議事録のような構造化された文書は、この条件に自然と当てはまります。
生成した議事録の一部だけを直したいときは、該当箇所をハイライトして「Edit with Claude」を使うと、全文を書き直させずにピンポイントで修正できます。決定事項の文言だけ調整したい、といった細かい手直しに向いています。
よくあるつまずき
文字起こしを渡さずに音声ファイルだけを投げても、議事録は作れません。この記事の冒頭で触れた通り、Claudeの音声モードは会話用の機能であり、会議室の音声を横で拾って書き起こす機能ではないためです。まず文字起こしを用意する工程が必要です。
話者ラベルのない文字起こしは、要約の質を大きく左右します。誰の発言か分からない文字起こしを渡すと、決定事項の主語が曖昧なまま出力されることがあります。可能であれば、文字起こしの時点で発言者名を残しておくと、あとの工程がすべて楽になります。
Calendar連携やGmail連携は、いずれも情報を検索・参照するための機能です。カレンダーへの新規登録やメールの自動送信はできません。配布まで自動化したい場合は、Coworkの承認モードを理解したうえで別の経路を選ぶ必要があります。
機密情報を含む議事録を扱う場合、人事評価や契約条件のような内容をそのまま貼り付ける前に、社内のデータ取り扱いルールを確認しておくのが無難です。Cowork側の承認モードや権限設計は前述のConnectors一覧の記事で扱っています。
よくある質問
無料プランでも議事録の要約はできますか
文字起こしをチャットに貼り付けて要約させる基本的な使い方は、無料プランでも可能です。ファイルとしてアップロードする機能も無料プランを含む全プランで使えます。ただしCoworkのTranscript analysisやGoogle Calendar連携、Projectの指示欄はPro以上のプラン向けの機能です。
英語と日本語が混ざった会議でも使えますか
言語の混在に関する機能制限は公式に示されておらず、文字起こし自体が正しくテキスト化されていれば、言語が混在していても要約を試みます。ただし発言の切り替わりが多い文字起こしは、担当者や決定事項の対応関係が曖昧になりやすい傾向があります。可能であれば、出力後に決定事項とアクションアイテムだけでも見比べておくと安心です。
決定事項とアクションアイテムを別々に出力させるには
プロンプトの中で出力の見出しをあらかじめ指定するのが確実です。「決定事項」「アクションアイテム」「未決事項」のように見出しを分けて指示すると、議論の経過と結論が混ざりにくくなります。
過去の会議と横断して抜け漏れを確認できますか
Projectに過去の議事録をまとめて置いておけば、「前回の会議で持ち越しになった論点は今回反映されているか」のような横断的な質問ができます。単発のチャットでは前回分の文脈が残らないため、継続的に確認したい場合はProjectの利用が向いています。
まとめ
Claudeで議事録を作る作業の起点は、録音ではなく文字起こしです。この前提を押さえたうえで、出力の見出しを指定するプロンプトを使えば、決定事項とアクションアイテムが混ざらない読みやすい議事録になります。単発ならチャットへの貼り付けで十分ですが、定例会議のように繰り返す作業はCoworkのTranscript analysisとカスタムSkillに任せたほうが、書式のばらつきも配布の手間も減ります。