Claude個人情報開示請求 — 自分のデータへのアクセス方法
Anthropicが保有するClaudeの個人データにアクセスする方法を、即時のセルフサービス書き出しと、法的な開示請求の2経路に分けて解説します。
会話だけ欲しいのか、会話以外も知りたいのかで経路が変わる
Anthropicが自分のアカウントについて持っている情報を確認する方法は2つあります。ひとつは設定画面から会話履歴を書き出すセルフサービスのエクスポート。もうひとつは、プライバシーポリシーが定める権利を使って、保有データの開示や訂正、削除を求める正式な請求です。
選ぶ基準は、何を知りたいかだけです。
エクスポートと開示請求の使い分け
設定画面からのエクスポート
対象は会話データとアカウントのユーザー情報です。Free / Pro / Maxの個人アカウントが自分で実行します。サインインした状態で実行し、メールで届くダウンロードリンクの利用にもサインインが必要です。
プライバシーポリシーに基づく請求
保有する個人データの種類や収集元、開示先の確認、訂正、削除、処理の制限などを求められます。本人確認があり、応答期間は適用される法律で決まります。
第三者への開示状況のように、エクスポートに含まれるとは説明されていない項目は、後者の請求で尋ねる領域です。
手順1: 会話履歴をエクスポートする
Webアプリ版かClaude Desktopから実行します。iOS / Androidアプリからは実行できません。
エクスポートの流れ
- 1
画面左下のイニシャルをクリックする
メニューが開きます。
- 2
「Settings」から「Privacy」を開く
「Export data」ボタンがここにあります。
- 3
「Export data」をクリックする
書き出しの処理が終わるまで、少し時間がかかる場合があります。
- 4
メールのダウンロードリンクから受け取る
送り先はアカウントに登録したメールアドレスです。ダウンロードにはサインインが必要です。
リンクの有効期限は届いてから24時間で、切れたら同じ操作で再取得できます。
書き出したデータを別の個人アカウントへ取り込むことはできません。個人アカウント間のデータ移行そのものが、サポート外です。Team / Enterpriseの組織へ移るときはエクスポートを経由せず、個人アカウントを組織のワークスペースへ直接移行する手順が用意されています。
Team / Enterpriseのメンバーは、この個人向けエクスポートの対象外です。組織のデータ書き出しは組織のPrimary Ownerだけが実行でき、手順はClaude組織データエクスポートの手順にまとめています。
手順2: 正式な開示請求を送る
会話以外の情報を含めて確認したいときは、プライバシーポリシーの第4節「Rights and Choices」(権利と選択)に沿って請求します。
請求できるのは、本人か、委任を受けた代理人です。代理人の場合は、本人から委任を受けた証拠を出す必要があります。本人確認では、メールアドレスや請求情報のような、本人と確かめられる情報を求められることがあります。
請求の窓口は、ポリシー中の「contacting us」のリンク先で、privacy@anthropic.comです。拒否された請求への異議申し立て(appeal)も同じ宛先です。データ保護責任者(DPO)への連絡先はdpo@anthropic.comです。権利行使の節に、請求の手数料に関する定めはありません。
個人データの管理主体(data controller)は、居住地で変わります。EEA・英国・スイスの居住者はAnthropic Ireland, Limited、それ以外の地域はAnthropic PBCです。
応答期限は適用される法律で決まる
期限は、Anthropic独自のルールで一律に決まっているわけではありません。ポリシーは「請求者に適用されるデータ保護法が求める期間内に応答する」と書いています。
EU GDPR・UK GDPRが適用される場合の応答期間
- 受領から1暦月基本の応答期限
検証可能な請求を受け取った日から数えます。
- さらに最大2か月延長
請求が複雑な場合や、短期間に複数の請求があった場合に延長されることがあります。合計で最大3か月です。
別の法律が適用されて別の期間が定められていれば、その期間内に応答します。居住地の法律がどれに当たるかは、請求する側で見極めることになります。
請求で何を尋ねられるか — ポリシーが挙げる収集データの種類
「保有データ全般」と言われても、何が入っているのか見当がつきません。ポリシーの第1節は、収集するデータを次のように分けています。
ポリシーが挙げるデータの種類
自分で渡した情報
氏名・メールアドレス・電話番号などの識別情報、購入時の支払い情報、チャットやコーディングなどの入力と出力、研究調査への回答、問い合わせの内容が含まれます。
フィードバック
出力を評価した(サムアップ・サムダウン)ときは、関連する会話全体が保存されることがあります。
本人確認データ
年齢や身元の確認を選んだ場合に限り、身分証明書の画像と記載情報、顔写真や動画、顔の形状テンプレート、確認の結果が収集されます。顔の形状テンプレートは、法域によっては生体データに当たるとポリシーは書いています。
自動で届く技術情報
端末とブラウザの情報、IPアドレスから導かれる位置情報、アクセス日時や閲覧ページなどの利用状況、ログとトラブルシューティング情報が該当します。Cookieなどの技術で集める情報もあります。
技術情報やフィードバックの扱いまで知りたいときは、請求の領域です。請求文には、知りたい種類を名指しで書くと伝わりやすくなります。あわせて、登録メールアドレスなど、本人確認に使える情報を最初から添えておくと、確認の往復を減らせます。代理人が送る場合は、委任の証拠も同じ時点で用意します。
非識別化されたデータの扱い
ポリシーの第6節には、ユーザーIDとの紐づけを外してから使うデータが挙がっています。たとえば、フィードバックとして送られた入力と出力は、ユーザーIDから切り離してモデルの学習と改善に使われます。有害なコンテンツや規約違反の可能性があるとして検知された入力と出力も、ユーザーIDから切り離して、安全対策用のモデルの学習に使われます。
ただし、利用規約や利用ポリシーを執行する必要があれば、責任のあるユーザーと再び結びつけることがあるとも書かれています。非識別化した形のデータは、そのまま維持して使い、再識別を試みないとされています。非識別化後のデータが請求の対象になるかについては、第4節と第6節に記述がありません。
モデルの学習に使うデータの出どころも、ポリシーは列挙しています。
- インターネット上の公開情報
- 第三者企業との商業契約で得たデータセット
- ユーザーやクラウドワーカーが提供したデータ(入力と出力を含む。オプトアウトした場合を除く)
- ユーザーが明示的に送ったフィードバック
- 安全・セキュリティ・ポリシーの確認のために検知された素材
- 内部で生成したデータ
請求で使える権利と、その限界
居住地の法律によって適用範囲は変わりますが、ポリシーは次の権利を列挙しています。
- 知る権利: 処理している個人データの種類、収集元のカテゴリ、収集目的、開示先の第三者のカテゴリ
- アクセスとデータポータビリティ: 保有する個人データのコピーを請求できる。場合によっては、他サービスに移せる形での受け取りも含む
- 削除: 収集した個人データの削除を求められる。個々の会話は、削除すると会話履歴からすぐ消え、バックエンドからも30日以内に自動で削除される
- 訂正: 不正確な個人データの訂正を求められる
- 異議申し立て: 正当な利益や公共の利益を根拠とする処理(プロファイリングを含む)への異議。ダイレクトマーケティングは、メールの配信停止リンクから拒否できる
- 処理の制限: 一定の状況で処理の制限を求められる
- 同意の撤回: 同意に基づく処理の場合に限る。例として、ヘルスアプリ連携を設定画面から切断して同意を撤回する方法が挙げられている
ポリシーが「やっていない」と明言している点もあります。ひとつは、法的効果や同程度の重大な影響を生む、自動処理のみによる意思決定。もうひとつは、個人データの「販売」です。ターゲティング広告のための個人データ共有はオプトアウトでき、グローバルプライバシーコントロールの信号にも従うと書かれています。
訂正には、はっきりした限界があります。Claudeの出力が事実として正確とは保証できないため、出力に自分についての誤情報が含まれていても、Anthropicは「合理的な努力」の範囲で訂正を試みるだけです。大規模言語モデルの技術的な複雑さから、訂正できない場合もあると、ポリシー自身が認めています。
権利は無制限ではなく、一定の例外に当たる場合は応じられないことがあります。拒否に対しては、privacy@anthropic.comへのメールで異議申し立てができます。
日本から請求するときの位置づけ
ポリシーが地域別の補足規定を置いているのは、カナダ、ブラジル、韓国です。日本居住者向けの個別の条項はなく、本則の権利一覧と、privacy@anthropic.comなどの一般的な窓口を使うことになります。
ポリシーの冒頭には、ワシントン州など消費者健康データの法律がある州の居住者向けに、別の「Consumer Health Data Privacy Policy」があるとも書かれています。サードパーティのヘルスアプリをClaudeと連携している場合に適用される文書です。
ポリシーは、多くの国の法律で、住んでいる地域や働いている地域の監督機関に苦情を申し立てる権利があると書いています。名前が挙がっているのは、EUの各国監督機関、英国のInformation Commissioner's Office、ブラジルのANPD、オーストラリアのOAICです。日本の機関はこの一覧に入っていません。
つまずきやすい場面と切り分け
請求したことで不利に扱われないか気になる。ポリシーは、プライバシーの権利を行使したことを理由に差別しないと書いています。
組織のアカウントを使っていて、自分のデータの扱いを知りたい。組織のデータは、組織との契約と管理者の権限の下にあります。個人のエクスポートは使えないので、まず自分の組織の管理者に尋ねます。組織側の仕組みはClaude Enterpriseとはで扱っています。
会話を消したいだけなのに、開示請求を使おうとしている。目的が会話の削除だけなら、個別の会話の削除やClaudeアカウント削除の手順で足ります。ポリシーに沿った削除請求は、会話以外のデータも含めて消したいときの経路です。
学習への利用と会話の閲覧者という別の疑問は、Claude会話プライバシーで扱っています。ヘルスアプリ連携で取り込んだデータの扱いは、Claudeの健康データ連携とプライバシーにあります。事業者として開示請求を受ける側の対応は、保有個人データの開示請求対応をClaudeで整える手順にあります。
まとめ
請求の応答期限は適用される法律で変わり、データの管理主体も居住地で変わります。居住地の法律と管理主体を先に押さえてから送ると、応答を待つ間の見通しが立ちます。