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Claudeで薬剤師国家試験の演習を作る — 出題基準の小項目を問題にする手順

Claudeで薬剤師国家試験の演習を作る — 出題基準の小項目を問題にする手順

薬剤師国家試験の出題基準(第106回以降適用)の「小項目の例示」を1行ずつClaudeに渡し、必須問題・複合問題の形式で演習を作る手順。科目の振り分けと合格基準の読み方も。

出題基準の1行を、そのまま問題の種にする

薬剤師国家試験の演習をClaudeで作るなら、市販問題集の再現ではなく、厚生労働省の出題基準を土台にします。出題基準の各科目の表には、「小項目の例示」として「〜を説明できる」という1行が並んでいます。この1行が、1問の出題範囲の最小単位です。

手順は3つです。

  1. 出題基準から、今日つぶしたい小項目の例示を数行コピーする
  2. 問題区分(必須・一般の理論・一般の実践)を指定してClaudeに出題させる
  3. 解いたあと、解説を教科書や添付文書と突き合わせ、間違えた小項目に印を付ける

Claudeは問題文と解説の下書きを素早く作れます。ただし、正誤の最終判断は手元の教材と一次資料で行います。この記事では、厚労省が公開する資料に書かれた出題の考え方を、Claudeへの指示に落とし込む方法を扱います。

厚労省のページにある4つの資料

薬剤師国家試験のページ(厚生労働省・医薬局)には、演習設計に使う資料が並んでいます。

資料中身演習での使いどころ
薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針中身科目・問題区分・出題数・合格基準の考え方(平成28年2月)演習での使いどころ問題形式の根拠
出題基準中身7科目の別表(大項目・中項目・小項目・小項目の例示)演習での使いどころ演習の出題範囲
局長通知(平成30年の一部改正)中身出題形式、問題数、試験時間、合格基準の全文演習での使いどころ配点と合否の読み方
過去の試験問題及び解答中身第97回〜第111回の問題と解答演習での使いどころ形式の確認、弱点の測定

出題基準は、適用時期の違う2種類が載っています。第105回まで適用のものと、第106回以降適用のものです。後者の序文には、おおむね4年を目途に見直すと書かれています。教材やClaudeに貼る基準は、受験する回に適用される版で揃えてください。ページには第112回の項目もあるので、受験回の案内もそこから辿れます。

出題基準の性質も押さえておきます。序文に「出題がすべてこの範囲に拘束されるものではない」とあります。基準は準拠すべき範囲であって、範囲外が出ないという保証ではありません。Claudeに範囲の外へ広げさせる使い方は、この前提とは矛盾しません。

7科目と問題区分を表にしておく

出題基準が定める試験科目は7つです。物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務。試験は2日間で、345問です。

科目必須一般(理論)一般(実践)計
物理・化学・生物必須15一般(理論)30一般(実践)15計60
衛生必須10一般(理論)20一般(実践)10計40
薬理必須15一般(理論)15一般(実践)10計40
薬剤必須15一般(理論)15一般(実践)10計40
病態・薬物治療必須15一般(理論)15一般(実践)10計40
法規・制度・倫理必須10一般(理論)10一般(実践)10計30
実務必須10一般(理論)0一般(実践)85計95
計必須90一般(理論)105一般(実践)150計345

実践の欄は、各科目と実務を関連させた複合問題(計130問)に、実務そのもの20問を足した数です。実務の85問は、実務20問と複合問題65問の合計にあたります。

この表から、演習の配分が決まります。実践問題は全体の4割強です。単元ごとの一問一答だけを回していると、複合問題の練習量が足りなくなります。

区分

問題区分ごとの出題の考え方

  • 必須問題

    薬剤師として不可欠な基本的資質を確認する区分です。出題基準は五肢択一を基本とし、正しい解答肢の組合せを問う形式や、正誤の組合せを問う形式はとらないと定めています。

  • 一般問題(薬学理論)

    各科目の技能・態度を含む、薬学の理論に基づいた問題です。

  • 一般問題(薬学実践)

    症例や事例を挙げ、実践に則した問題にするよう留意すると書かれています。各科目と実務を関連させた複合問題もこの区分です。

小項目から必須問題を作る

最初の型は、必須問題です。出題基準の「小項目の例示」をそのまま渡し、形式を縛ります。

あなたは薬剤師国家試験の作問者です。
次の出題基準の小項目の例示から、必須問題を1問作ってください。
 
【科目】衛生
【小項目の例示】(出題基準からコピーした1行)
 
条件:
- 五肢択一。選択肢は5つ、正解は1つ
- 「正しいものの組合せ」「正誤の組合せ」の形式は使わない
- 数値そのものを覚えているかを問わない
- 解説では、各選択肢がなぜ正しい・誤りかを1行ずつ書く
- 解説の根拠が教科書レベルの一般知識か、不確かかを区別して書く

形式の条件は、出題基準の「必須問題」の記述から取っています。数値を問わない条件も、基準の全般的な出題の考え方(「記憶することが必須又は極めて有用な数値」を除き数値そのものを問わない)に沿ったものです。

以下は、このプロンプトで得られる問題の形の一例です。Claudeの実際の出力ではなく、書式を示すための例示です。

問1 〜に関する記述として、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 ...
2 ...
3 ...
4 ...
5 ...

解説の最後の条件が、実用上は効きます。「不確かな点を区別する」と指定しておくと、確かめるべき箇所を自分で絞り込めます。

複合問題は「薬理 + 病態 + 実務」の1症例で作る

実践問題の中心は複合問題です。基本方針は、薬理と病態・薬物治療について、1つの事例に対して両科目から出題する形が望ましいとしています。実務を組み合わせた複合問題では、薬理・薬剤と実務の2問、計4問が連なる例が示されています。

Claudeには、1つの症例から科目の違う設問を連続して作らせます。

次の疾患について、1つの症例から4問の連問を作ってください。
 
【疾患】(出題基準の別表Ⅴの中項目から1つ)
【症例】70歳代男性、服用薬3剤、腎機能やや低下(架空の症例で可)
 
設問構成:
- 問1 病態・薬物治療:検査値と病態の解釈
- 問2 薬理:処方薬の作用機序と副作用
- 問3 実務:患者への服薬指導の内容
- 問4 実務:疑義照会の要否と内容
 
各問は五肢択一。症例の情報だけで解けるようにし、
症例にない情報を前提にした選択肢は作らない。

症例は架空のもので構いません。個人情報や実在の患者のデータは貼らない運用にします。病院薬剤師の生成AI利用の線引きは病院薬剤師の生成AIガイダンスの解説にまとめています。

法規は「どの科目で出るか」まで振り分けてもらう

法規・制度・倫理は、条文の暗記で終わりません。出題基準は、どの科目でどの法律を出すかを決めています。

  • 食品衛生法、感染症法、予防接種法、健康増進法、環境基本法、学校保健安全法などの衛生関係法規は「衛生」で出題する
  • 衛生で出題される法規は、法規・制度・倫理では原則として出題しない
  • 法令・制度の新設や改正の内容は、周知されるまでの間は原則として出題しない
  • 原則を問うのか例外を問うのかが分かるよう、場面設定を行う

この振り分けは、Claudeに分類させる演習に向きます。学習中に出会った法律名を一覧にして渡し、科目を答えさせ、答え合わせを出題基準の記述で行います。

次の法律を、薬剤師国家試験の「衛生」と「法規・制度・倫理」のどちらで
出題されやすいか分類してください。分類の根拠は出題基準の記述を
引いて書いてください。不確かなものは「要確認」としてください。
 
(法律名の一覧)

分類の根拠欄に出題基準の文言を引かせるのは、Claudeの記憶に頼らず、貼った資料の記述に寄せるためです。出題基準の本文を同じ会話に貼っておくと、根拠の引用が貼った文面の範囲に収まりやすくなります。

Projectsに基準を置き、小項目を消化していく

毎回、出題基準を貼るのは手間がかかります。ClaudeのProjectsに、出題基準の該当科目と作問の約束事を置いておくと、会話をまたいで同じ条件で作問できます。

プロジェクトの指示欄には、次のように書いておきます。

このプロジェクトは薬剤師国家試験(第106回以降の出題基準)の演習用です。
- 問題は必須(五肢択一・組合せ形式なし)、一般(理論)、一般(実践)のどれかを指定する
- 解説は選択肢ごとに書き、根拠の確実さを「確実」「要確認」で区別する
- 数値そのものの暗記を問わない
- 法令・制度の改正直後の内容は出題に使わない
- 症例は架空のものを使う

進み具合の管理には、小項目の一覧を表にして、解いた日と正誤を書き込む方法が役立ちます。出題基準のPDFはテキスト化できます。

pdftotext -layout 000573951.pdf kijun106.txt
grep -c "説明できる" kijun106.txt

pdftotext は表の列が崩れて出力されることがあります。科目ごとのページを目視しながら、小項目の例示だけを抜き出して一覧にします。Claude Codeを使うなら、テキスト化したファイルを置いたフォルダで、別表ごとにCSVへ整形させる指示を出せます。整形後は、行数が元の表と合っているかを数えて確かめます。

合格基準を読み、演習の優先度に反映する

局長通知の一部改正は、合格基準を次の2点としています。禁忌肢の選択状況も加味されます。

  • 問題の難易を補正して得た総得点が、平均点と標準偏差を用いた相対基準で設定した得点以上であること
  • 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上であること

読み取れることは2つあります。

1つ目は、総得点が相対基準だという点です。絶対的な得点率だけでは合否が決まりません。「何割取れば受かる」という目標の置き方とは相性が悪くなります。2つ目は、必須問題に足切りの構造があることです。必須の各科目が30%を下回ると、総得点が高くても要件を満たしません。

必須問題は全90問のうち、物理・化学・生物、薬理、薬剤、病態・薬物治療が各15問、衛生と法規・制度・倫理と実務が各10問です。10問の科目で30%は3問です。得意科目で稼ぐ学習計画でも、必須の全科目で基礎問題を取りこぼさない練習は欠かせません。Claudeには「科目別の必須レベルの基礎問題を各5問ずつ」という頼み方が合います。

落とし穴

Claudeの解説をそのまま覚えると、誤りまで覚える

薬の用量、相互作用、法令の条文番号は、生成された解説で誤ることがあります。数値を含む解説は、添付文書や教科書の該当箇所で照合してから暗記してください。

過去問は形式の確認に使う

厚労省のページには第97回以降の問題と解答があります。過去問は、公式に公開されている資料です。演習の作り方では、次の役割分担が扱いやすくなります。

  • 過去問:本番と同じ形式・文体・難しさの確認、時間配分の練習
  • Claudeの作問:過去問で間違えた小項目の周辺を、別の角度から再出題する

過去問の1問で間違えたら、その問題が属する小項目の例示を出題基準から特定します。同じ小項目の例示を渡して、別の問題を作らせます。同じ1行から別の設問が出ることを確かめるのが、再出題のねらいです。

自己採点と間違いノートの作り方は、Claudeで資格試験の過去問から問題を作らせて自己採点する使い方に型があります。登録販売者試験の法規を条文から問う方法は登録販売者試験の条文問答が参考になります。薬剤師国家試験は別の試験で、出題基準も科目構成も異なります。

試験時間の配分も演習に写す

局長通知は、2日間の時間割も示しています。1日目の午前に必須問題(全7科目)、午後に一般問題の薬学理論問題を2つのコマに分けて行います。2日目は薬学実践問題が3つのコマです。

演習を同じ並びで組むと、本番の感覚に近づきます。たとえば週末に、必須問題だけを続けて解く回と、実践問題を症例ごとにまとめて解く回を分けます。Claudeには、1回分の問題セットを「必須の7科目を通しで」「実践問題を症例3つ分」といった単位で出させます。生成した問題の分量は、所要時間の見込みと合わせて自分で調整してください。

局長通知には、過去に出題された問題(既出問題)の扱いも書かれています。良質な既出問題を活用し、その割合は従来と同程度の20%程度とする、という内容です。過去問を解く価値はここにも表れています。ただし割合は「程度」で、蓄積が十分になるまでの間は、この限りではないとされています。

演習を始める前のチェック

  • 出題基準が、受験する回に適用される版か
  • 作問の指示に、問題区分(必須・理論・実践)を書いたか
  • 必須問題の指示に、組合せ形式を使わない条件を入れたか
  • 法規の問題は、衛生関係法規との振り分けを意識したか
  • 数値や法令を含む解説は、教科書か添付文書で照合したか
  • 症例は架空のもので、個人情報を含まないか
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