Claudeで処遇改善加算の計画書と実績報告を下書きする手順
介護職員等処遇改善加算の計画書と実績報告書を、賃金改善額の配分表と算定要件の突き合わせからClaudeで下書きする手順です。令和8年度の期日、加算区分ごとの要件、差額が出たときの扱いまでを通知に沿ってたどります。
処遇改善加算の計画書と実績報告でClaudeに任せられる作業
介護職員等の処遇改善加算(以下、処遇改善加算)は、算定額に相当する賃金改善を実施することが前提の加算です。事業者は年度ごとに処遇改善計画書(別紙様式2)で賃金改善の見込みを届け出て、年度末の支払いが終わったあとに実績報告書(別紙様式3)で結果を報告します。
Claudeに任せられるのは、次の3つです。
- 賃金改善額の配分表を作り、加算額見込みとの差を試算する
- 配分表と算定要件(キャリアパス要件・職場環境等要件)を突き合わせ、足りない項目を一覧にする
- 計画書の見込みと実績報告の実績を並べ、ずれの説明文を下書きする
届出の受理や加算の可否は、都道府県知事等(指定権者)が判断する事項です。Claudeの出力は、人が通知と照合する前の叩き台にとどまります。
加算届・体制届の一般的な書き方は介護の加算届・体制届をClaudeで下書きする書き方にあります。ここでは処遇改善加算に固有の、賃金改善額の計算と要件の突き合わせに絞ります。
令和8年度の期日を先に表にしておく
下書きの手順より先に、期日を押さえます。計画書も実績報告書も、期日の基準は「加算を算定する月」ではなく「前々月の末日」「最終の支払月の翌々月の末日」という変わった数え方をするためです。令和8年度分の通知(老発0313第6号)には、次の期日が書かれています。
| 書類 | 期日 | 保存 |
|---|---|---|
| 体制届出 | 期日居宅系は算定開始月の前月15日、施設系は算定開始月の1日まで | 保存— |
| 処遇改善計画書 | 期日当該事業年度で初めて加算を算定する月の前々月の末日 | 保存根拠資料と併せて2年間 |
| 実績報告書 | 期日各事業年度で最終の加算の支払があった月の翌々月の末日 | 保存根拠資料と併せて2年間 |
| 変更届出書 | 期日居宅系は変更後の算定開始月の前月15日、施設系は同月の1日まで | 保存— |
令和8年度は例外が入っています。4月・5月分の計画書は、6月以降の算定分の計画とあわせて令和8年4月15日が期日でした。訪問看護や居宅介護支援など令和8年6月に加算が新設されたサービスの事業所だけが所属する事業者は、6月15日です。
実績報告書は、令和9年3月分の加算の支払いが令和9年5月になるため、通常は令和9年7月31日が期日と通知に書かれています。年度の終わりから見て4か月先になるので、配分表は年度の途中から実績を積んでおかないと、報告の直前に集計が集中します。
複数の事業所を持つ法人は、計画書と実績報告書を法人単位で一括して作成できます。この場合も、提出は各事業所の指定権者ごとに、上の期日までに行います。「提出先」の項目以外は同じ内容で差し支えないとされています。
様式は厚生労働省の「加算の申請方法・申請様式」ページで、Excel形式の入力シートと記入例が公開されています。令和8年度の計画書は別紙様式2、実績報告書は別紙様式3で、2000行まで入力できる大規模事業者向けのシートも用意されています。
賃金改善額の配分表をClaudeと作る
計画書と実績報告書の中心にあるのは、賃金改善額が加算額以上になっているかという一点です。配分表はこの一点を確かめるための作業シートです。
配分表に入れる項目を決める
通知は、賃金改善を「処遇改善加算の算定額に相当する介護職員その他の職員の賃金(基本給・手当・賞与等。退職手当を除く)の改善」と定義しています。法定福利費など、賃金改善に伴う事業主負担の増加分は含めることができます。
賃金改善の額は、加算を原資に賃金改善を実施した後の実際の賃金水準と、加算を算定しない場合の賃金水準との差で出します。令和7年度版(第2版)の処遇改善加算Q&Aによれば、加算を算定しない場合の水準は、原則として初めて処遇改善加算や旧3加算、交付金等を算定した年度の前年度の賃金水準です。職員構成の変動などでその推計が難しい場合は、営業計画・賃金計画から試算する方法も認められています。
法定福利費の増加分として算入できるのは、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・児童手当拠出金・雇用保険料・労災保険料などの事業主負担分と、法人事業税の外形標準課税の付加価値額の増加分です。計算は合理的な概算でよいとされ、退職手当共済の掛金のような任意加入の制度は含みません。
ここまでを列に落とすと、配分表は次の形になります。
職員ID,職種,常勤換算,改善前月額,改善後月額,うち基本給等の改善,うち手当の改善,うち賞与の改善,支給時期
A001,介護福祉士,1.0,(数値),(数値),(数値),(数値),(数値),当月払い
A002,介護職員,0.8,(数値),(数値),(数値),(数値),(数値),翌月払い氏名は入れず、職員IDで管理します。賃金は個人情報の中でも扱いに注意が要る項目なので、Claudeに渡す前に氏名の列を落とす運用が安全です。
支給時期と算定期間は別の列に持つ
Q&Aは、賃金改善の実施月が算定対象月と同じでなくてもよいと整理しています。選べるパターンは、6月分の加算を例にすると次の3つです。
- 6月の労働時間に基づき、6月中に見込額で支払う
- 6月の労働時間に基づき、7月中に支払う
- 6月サービス提供分の報酬が国保連の審査を経て8月に事業所へ入るため、8月中に支払う
どのパターンかで、実績報告に載る「どの月の賃金で何月分の加算を賄ったか」の対応が変わります。配分表に「何月分の賃金改善か」の列を持たせておくと、実績報告書の集計がそのまま使えます。
令和8年度は、4月・5月と6月以降で加算率の表が分かれています。たとえば訪問介護の加算率は、4月・5月が加算Ⅰで24.5%、6月以降が加算Ⅰイで27.0%、加算Ⅰロで28.7%です。計画書は2期間分を一括で届け出るので、見込額も2期間に分けて試算すると、あとから実績と照合しやすくなります。Ⅰロや特例要件の新区分は令和8年度の通知が根拠で、Q&Aは令和7年度版のため、新区分の扱いは通知の本文で確かめます。
Claudeに頼む試算の指示文
配分表をCSVかExcelでClaudeに渡し、次のように頼みます。数値の合計は、Claudeに計算させたあとで人が表計算ソフトで検算します。
添付の配分表(CSV)と、下記の加算額見込みから、次を一覧にしてください。
1. 賃金改善額の合計(基本給等・手当・賞与の内訳つき)
2. 加算額見込みとの差(不足があれば金額)
3. 基本給等の改善額が、仮に加算Ⅳを算定する場合の見込み加算額の
2分の1以上になっているか
推測で数値を補わず、列が空の行は「未入力」と示してください。
【加算額見込み】(ここに事務担当者が算出した数値を入れる)3つ目の指示は、通知の「月額賃金の改善要件」に対応します。ここでの基準は、加算Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てることです。加算Ⅳ以外の区分を算定する場合は、仮にⅣを算定したとすれば見込まれる額が基準になります。
加算を未算定だった事業所が新規に算定を始める場合を除けば、この要件を満たすために賃金総額を新たに増やす必要はありません。基本給等以外の手当や一時金の一部を減らして、基本給等に付け替える形でも満たせます。
算定要件との突き合わせ表を作る
配分表の次は、区分ごとの要件を並べた突き合わせ表です。令和8年度の通知では、算定する区分によって満たすべき要件が次のように違います。番号は通知の項番で、①が月額賃金の改善要件、②〜⑥がキャリアパス要件ⅠからⅤ、⑦が職場環境等要件、⑧が令和8年度特例要件です。
| 算定する区分 | 満たす要件 |
|---|---|
| 加算Ⅰ(4・5月)・Ⅰイ | 満たす要件①〜⑦のすべて |
| 加算Ⅰロ | 満たす要件Ⅰイの要件に加えて⑧ |
| 加算Ⅱ(4・5月)・Ⅱイ | 満たす要件⑥を除く①〜⑤と⑦ |
| 加算Ⅱロ | 満たす要件Ⅱイの要件に加えて⑧ |
| 加算Ⅲ | 満たす要件⑤⑥を除く①〜④と⑦ |
| 加算Ⅳ | 満たす要件④〜⑥を除く①②③⑦ |
要件ごとに必要な書類をリスト化する
通知は、記載内容の根拠となる資料を保管し、指定権者から求められたら速やかに提示することを求めています。就業規則等と、労働保険に加入していることが確認できる書類は、通知がとくに挙げる保管対象です。一方で、様式の内容を証明する資料を届出時に一律で添付させてはならないことも、通知に書かれています。押印も不要です。
つまり、提出時の添付書類より、手元の根拠資料が揃っているかが問われます。Claudeには、算定したい区分を伝えたうえで、通知の要件テキストと現状の整備状況から「書面で根拠が必要な項目」を一覧にさせると、抜けを見つけやすくなります。
主な根拠資料の対応は次のとおりです。
| 要件 | 通知の要点 | 根拠になる資料の例 |
|---|---|---|
| キャリアパス要件Ⅰ | 通知の要点任用要件と賃金体系を定め、就業規則等で書面整備し全介護職員に周知 | 根拠になる資料の例就業規則、賃金規程、周知の記録 |
| キャリアパス要件Ⅱ | 通知の要点資質向上の目標と研修計画を策定し、全介護職員に周知 | 根拠になる資料の例研修計画、周知の記録 |
| キャリアパス要件Ⅲ | 通知の要点経験・資格・定期の判定のいずれかで昇給する仕組みを書面で整備 | 根拠になる資料の例昇給規程、評価基準 |
| キャリアパス要件Ⅳ | 通知の要点経験・技能のある介護職員のうち1人以上の賃金改善後の見込額が年額440万円以上(例外あり) | 根拠になる資料の例賃金台帳の見込み、例外の説明資料 |
| 職場環境等要件 | 通知の要点区分ごとの取組を実施し、処遇改善加算Ⅰ・Ⅱの区分では取組内容を公表 | 根拠になる資料の例取組の記録、介護サービス情報公表システムの記載 |
常時雇用する者が10人未満の事業所など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所は、就業規則の代わりに内規等の整備・周知で満たせます。
令和8年度特例要件の「誓約」を実績報告に引き継ぐ
令和8年度は、特例要件(⑧)を満たす事業所に限り、キャリアパス要件ⅠからⅣまでと職場環境等要件について、令和9年3月末までに整備することを計画書で誓約すれば、申請時点から要件を満たすものとして扱われます。誓約した場合は、令和9年3月末までに整備を終え、実績報告書でその旨を報告します。
特例要件(⑧)は、ケアプランデータ連携システムの利用、生産性向上の推進体制加算ⅠまたはⅡの算定、社会福祉の連携推進法人への所属のいずれかです。サービス類型によって選べる取組が違う点は、通知の別紙1の表に書かれています。
計画書の段階で誓約した項目は、実績報告の段階で報告漏れが起きやすい項目になります。Claudeには、計画書の内容を貼ったうえで、次のように「誓約した項目の一覧」を作らせておくと便利です。
次の処遇改善計画書の内容から、「令和9年3月末までに整備する」と
誓約している項目だけを抜き出し、実績報告書で報告が必要な項目の
チェックリストにしてください。計画書に書かれていない項目は
追加しないでください。
(ここに計画書の該当部分を貼る)実績報告で賃金改善額が足りなかったとき
実績報告書の段階で、賃金改善額が加算額を下回ることがあります。Q&Aは、算定要件が「賃金改善額が加算額以上」であることだと整理し、下回った場合は加算の返還対象になるとしています。
ただし、不足分を賞与等の一時金として介護職員等に追加で配分すれば、返還を求めない取扱いとしても差し支えないとされています。配分表の段階で不足が見えていれば、年度末までに手を打てます。実績報告の直前になって初めて気づくより、四半期ごとに配分表を更新してClaudeに差額を出させておく運用が合います。
賃金水準を引き下げる場合は別の手続きが必要です。事業継続のために賃金水準を下げたうえで賃金改善を行うなら、収支の悪化を示す内容、引き下げの内容、改善の見込み、労使の合意の時期と方法を記した特別事情届出書(別紙様式5)を出します。Q&Aによると、賃金全体の水準が下がっていなければ、個々の項目が下がっても提出は不要です。
そのほか、計画書の提出後に変更があった場合は別紙様式4の変更に係る届出書を出します。キャリアパス要件ⅠからⅢの適合状況が変わって算定区分が変わるときや、区分そのものを変更するとき、複数事業所の一括申請で事業所が増減したときが対象です。就業規則を改訂した場合の概要は、実績報告書を提出する際に変更届出書へ記載してあわせて届け出ます。
これらの手続きは判断の分かれる場面が多く、Claudeの下書きだけで済ませるものではありません。たとえば賃金の引き下げが不利益変更に当たるかどうかは、事業所の状況ごとに確認が要ります。指定権者に確認する場面です。
偏った配分への注意もあります。通知は、一部の職員や同一法人内の一部の事業所だけに賃金改善を集中させるような、職務内容や勤務実態に見合わない著しく偏った配分を行わないよう求めています。配分表をClaudeに渡すときは、職種別・事業所別の改善額の分布を出させ、極端な偏りがないかを見る使い方が合います。
Claudeに渡す資料の形式と運用
渡す資料の置き場所は、チャットへの直接添付と、Projectsの2通りです。通知の本文(PDF)と配分表を同じ作業場に置いて、年度をまたいで使い回せる点で、Projectsが向いています。Projectsは無料プランも含む全ユーザーが使え、無料プランでは作れる数が5つまでです。
アップロード形式にはPDF・DOCX・CSV・TXTなどがあり、XLSXはコード実行とファイル作成を有効にしたアカウントで使えます。チャットへの添付は1ファイル500MBまで、1チャットに20ファイルまでです。Projectsのファイルは1ファイル30MBまでで、テキストの抽出が基本になります。PDFは100ページ以下なら図表も解析対象で、101〜1000ページはテキストのみです。
通知は本文が約17ページで、その後に別紙1のサービス別加算率表と取組の表が長く続きます。長い通知をそのまま渡すより、算定したい区分に関わる項番だけを抜き出して渡すほうが、突き合わせの精度を確かめやすくなります。
Claudeが作れる成果物はExcel・Word・PDFなどです。ただし、公式のExcel様式(別紙様式2・3)への転記は、人が行う運用にしておくと、様式の版違いや計算式の崩れを避けられます。入力シートと記入例は、厚生労働省のページから最新のものを取得して使います。
事業所への運営指導では、各種加算等の自己点検シートも公開されています。点検の進め方は介護事業所の運営指導に向けて、Claudeで書類を自己点検する手順に、介護の書類を整理する場面での個人情報の扱いはClaudeで介護の書類整理と制度確認を進める手順にまとめています。
年度の流れに合わせた使い方
配分表は計画書の提出前に作り、年度の途中は四半期ごとに実績を入れ直し、翌年の実績報告書の前に計画との差を確かめる、という回し方が基本です。四半期で回しておくと、実績報告の前に賃金改善額の不足が見つかり、一時金などで埋める余地が残ります。回さずにいると、不足は報告の直前に一時金でまとめて埋めることになり、埋められなければ返還対象になります。
指定権者によって、提出方法や問い合わせ窓口、期日の延長の扱いが違います。通知にも、確認の事務に要する時間が十分確保できる場合などに、都道府県知事等が計画書の提出期日を延長しても差し支えないという趣旨が書かれています。自分の事業所の指定権者が公開している案内を、Claudeに渡す資料の基準にする形になります。