Claudeで店舗巡回の報告書を写真から作る手順 — 指摘と是正期限を項目別に
売場とバックヤードの写真をチェックシートの項目に当て、指摘事項・是正期限・前回との差を表にする手順です。写真に写る客や従業員の扱いと、読み違いを防ぐ確認点も扱います。
臨店(店舗巡回)の報告書は、撮った写真を見返しながら「この項目は適合、これは指摘」と振り分けて書くのが手間です。この振り分けの下書きは、Claudeに写真を見せて作らせられます。
任せるのは、写真とチェック項目の突き合わせまでです。是正期限の決定と最終判定は、巡回した人が持ちます。この分担を先に決めておくと、報告書の出来がぶれません。
材料は3つ:チェックシート・前回の指摘表・撮影の約束
Claudeに渡す前に、次の3つを手元に揃えます。
- チェックシート。項目に「売場-03」のようなIDを振った表にしておく
- 前回の巡回報告書にあった指摘と是正期限の一覧
- 写真の撮り方の約束(1項目につき全景1枚と近接1枚、など)
IDが要る理由は、Claudeの所見と写真と前回の指摘を、同じキーで結ぶためです。項目が文章のままだと、報告書の行と写真の対応が曖昧になります。
チェックシートが無い店は、開閉店の手順書から項目を起こす方法が使えます。Claudeで開店・閉店チェックリストを店舗マニュアルから作り、更新差分も確かめるの手順で、項目表の元が作れます。
手順1:写真に番号と撮影メモを付けて渡す
写真は1枚ずつ、ラベルを付けて渡します。公式のドキュメントも、複数の画像を送るときはImage 1:、Image 2:のように短いラベルで紹介するよう案内しています。
Claudeは写真の埋め込み情報(メタデータ)を受け取りません。撮影日時も場所も、写真からは分かりません。そのため、メモは自分で書きます。
Image 1: 売場-03 青果コーナー全景 / 2026-10-17 10:20 / 巡回者撮影
Image 2: 売場-03 青果コーナー値札の近接 / 2026-10-17 10:21
Image 3: BY-07 バックヤード冷蔵庫の温度計 / 2026-10-17 10:40並べる順序にも決まりがあります。公式は、画像を先に置いてから質問の文章を置く構成が最も成績が良いとしています。文章の後や途中に画像を挟んでも動きますが、できるなら「写真、ラベル、指示」の順にします。
1回に渡せる枚数と大きさ
claude.aiのチャットでは、1つのチャットにアップロードできるファイルは20個までです。画像の寸法は8000×8000ピクセルまでで、ヘルプセンターは1000×1000ピクセル以上の画像を勧めています。
1店舗で枚数が20を超えるなら、売場・バックヤード・外周といったエリア単位でチャットを分けます。分けたあとの報告書は、項目IDの表で後から合体できます。
APIでは1リクエストに100枚(コンテキストウィンドウが200kトークンのモデル)から600枚(それ以外)まで入ります。ただし、1リクエストに20枚を超えると、画像1枚あたりの寸法の上限がより厳しくなります。
手順2:項目ごとに判定と根拠を出させる
指示では、判定の選択肢を3つに絞ります。「適合」「指摘」「写真からは判定不能」です。判定不能の逃げ道を用意しないと、写っていない項目まで推測で埋められてしまいます。
添付のImage 1〜Image 8を、次のチェック項目に当ててください。
各項目について、判定(適合/指摘/判定不能)、根拠にした画像番号、
写真から読み取れた事実を1文で書いてください。
写っていない項目は「判定不能」とし、推測で補わないでください。
是正期限は書かず、指摘の重要度(高/中/低)だけを付けてください。
項目:
売場-03 値札と商品が一致している
BY-07 冷蔵庫の庫内温度が基準内(基準値: 5℃以下)結果は、例えば次のような表になります(形の例で、実際の出力ではありません)。
| 項目ID | 判定 | 根拠 | 読み取れた事実 | 重要度 |
|---|---|---|---|---|
| 売場-03 | 判定指摘 | 根拠Image 1, 2 | 読み取れた事実値札2枚が隣の商品の位置にある | 重要度中 |
| BY-07 | 判定判定不能 | 根拠Image 3 | 読み取れた事実温度計の数字が反射で読めない | 重要度— |
指摘の根拠に画像番号を必ず付けさせるのがコツです。報告書を読む店長が、どの写真を見れば確かめられるかをその場で追えます。
是正期限は、ルールを渡して案だけ出させる
期限をClaudeに決めさせると、根拠のない日付が並びます。期限は自社の運用で決まっているはずなので、その表を渡して当てはめさせます。
| 重要度 | 例 | 是正期限の目安(自社ルールを入れる) |
|---|---|---|
| 高 | 例食品の温度管理の逸脱 | 是正期限の目安(自社ルールを入れる)即日 |
| 中 | 例値札の不一致 | 是正期限の目安(自社ルールを入れる)次回巡回まで |
| 低 | 例掲示物の剥がれ | 是正期限の目安(自社ルールを入れる)1か月以内 |
この表はひな形です。期限の日数は、各社の規程の値に置き換えます。Claudeには「重要度と巡回日から期限日の案を出す」ところまでを頼み、確定は巡回者が行います。
手順3:前回の指摘と並べて、差を出す
巡回報告書で店長が最初に見るのは、前回の指摘が直ったかどうかです。前回の指摘表を同じチャットに貼り、今回の判定と突き合わせます。
前回との突き合わせは、次のように頼みます。
下の表は前回(2026-09-12)の指摘と是正期限です。
今回の判定と項目IDで突き合わせ、状態(是正済み/継続/新規/比較不能)を付けてください。
継続のものは、前回の期限と、今回の巡回日(2026-10-17)時点で期限超過かを併記してください。
前回の表に無い項目IDが今回の判定に出てきたら「新規」にしてください。状態は4つに分けます。
- 是正済み:前回は指摘、今回は適合
- 継続:前回も今回も指摘のまま
- 新規:前回は適合または未確認、今回が指摘
- 比較不能:今回の写真に該当箇所が写っていない
突き合わせは項目IDの一致で行わせ、項目名の言い換えで結ばせません。店舗側でチェックシートの文言が改訂されていても、IDが同じなら同じ項目として追えます。
「継続」には、前回の期限と、期限を過ぎているかどうかを併記させます。期限を過ぎた継続指摘は、報告書の冒頭に置くと読まれます。
前回の写真が残っていれば、同じ項目の前回分と今回分をImage 4(前回)、Image 5(今回)のようにペアで渡す方法もあります。公式は、複数の画像を一緒に分析して違いを聞く使い方を挙げています。ただし画角が違うと「変わった」と誤読されるため、撮影位置を毎回そろえる約束が前提です。
写真に客や従業員が写ったときの扱い
売場の写真には、客や従業員が写り込みます。Claudeは画像の人物の名前を挙げる用途には使えず、特定を頼んでも断ります。これは製品の利用ポリシーによる制限です。
とはいえ、名前を挙げさせなければ写り込みの問題が消えるわけではありません。報告書づくりでは、次の順で扱いを決めておくと運用しやすくなります。
- 撮る時点で、人が入らない時間帯と角度を選ぶ
- 写り込んだ写真は、アップロード前に顔と名札をぼかす
- 報告書に載せる写真は、人が写らないものに差し替える
取扱いの最終判断は、自社の個人情報の規程と法務の判断に従います。防犯カメラの映像まわりの掲示と運用の考え方は、防犯カメラの掲示文と運用規程をClaudeで作るにまとめています。
APIの公式FAQによれば、API経由でアップロードした画像は処理の間だけ保持され、処理後に自動で削除されます。Anthropicはアップロードされた画像をモデルの学習に使いません。使う面(claude.ai、API、各クラウド)ごとのデータの扱いは、契約と設定を社内で確認してから運用に入れます。
読み違いを見つける3つの確認
画像理解には限界があります。公式は、画質の低い画像、回転した画像、200ピクセル未満の小さい画像では誤りやすいと書いています。巡回の写真では、次の3点が当てはまります。
落とし穴
小さな文字と数字は、近接写真でないと読み違える
温度計の目盛り、賞味期限のラベル、値札の価格は、全景写真では小さくなります。大きな画像は長辺が縮小されてから処理されるため、細かい文字が潰れる場合があります。文字を読ませたい項目は、近接写真を別に1枚撮ります。
- 数は概算:公式は、物の数え上げが正確でない場合があると明記しています。欠品の個数や陳列フェイス数は、判定の根拠にせず、人が数えます
- 位置の指摘もおおよそ:「左から3番目の棚」といった位置の記述は近似です。是正の担当者に渡す前に、写真と見比べます
- 日付と数値は人が入れる:メタデータを受け取らないため、撮影日時と温度の実測値は巡回者の入力が正になります
棚の配置そのものを段ごとに読み取らせる方法は、Claudeで棚割の変更案を作るで扱っています。巡回の写真から棚割まで見直すときは、そちらの表に起こす手順が続きになります。
スマートフォンの写真は形式と圧縮を確かめる
Claudeが読める画像形式は、JPEG、PNG、GIF、WebPの4つです。GIFはアニメーションに対応せず、最初のコマだけが使われます。HEICは対応形式の一覧に載っていないため、スマートフォンの設定が高効率形式なら、撮影形式をJPEGに切り替えるか、書き出し時に変換します。
もう1つ、LINEやメールで写真を回すと再圧縮がかかります。公式は、強いJPEG圧縮で文字が読みにくくなり、圧縮を何度も重ねるほど性能に響くと書いています。巡回の写真は、撮った端末から直接アップロードするか、共有フォルダの元ファイルを使います。
多店舗の巡回はFiles APIで1度だけ上げる
エリアマネージャーが数十店舗を回収する運用なら、チャット画面よりAPIが向きます。画像の渡し方は、base64、URL、Files APIで得るfile_idの3通りです。Files APIは1度アップロードした画像を何度も参照できるため、前回との比較で同じ写真を繰り返し使う巡回報告書と相性が合います。
APIでは、リクエストサイズにも上限があります。標準のエンドポイントで32MBのため、大きな写真を何十枚も入れる場合は、枚数の上限より先にサイズで失敗します。送る前に縮小します。
報告書にまとめる前の点検
提出の前に、次を見ます。
- 判定不能の項目に、再撮影か現地確認の担当を付けた
- 指摘のすべてに、画像番号と重要度と是正期限がある
- 期限が過ぎた継続指摘が、冒頭に出ている
- 報告書に載せる写真に、客や従業員が写っていない
- 温度や価格の数値を、巡回者が目で見て直した
サプライヤー側の監査で、チェックリストと所見を同じ型の表に整理する考え方は、Claudeでサプライヤー監査のチェックリストと所見を整理する手順でも扱っています。項目IDで所見と期限を結ぶ型は、巡回報告書と共通です。
まとめ
店舗巡回の報告書は、項目IDを軸にした表にすると、Claudeに任せる範囲が切り分けられます。写真との突き合わせと前回との差の下書きはClaude、是正期限の確定と最終判定は人です。判定不能を認める指示と、画像番号つきの根拠が、読み違いの検出を早くします。
最初の1店舗では、写真を10枚前後に絞り、項目も5つほどから始めます。表の列が固まってから、店舗数と項目を増やします。