Claudeで開店・閉店チェックリストを店舗マニュアルから作り、更新差分も確かめる
店舗マニュアルのPDFをClaudeに読ませ、開店・閉店のチェック画面をArtifactで作る手順です。出典ページの付け方、チェック状態の保存先、マニュアル改訂時の差分確認までを説明します。
店舗マニュアルのPDFは、開店と閉店の手順が数十ページに散らばりがちです。これをClaudeに読ませて、スタッフが毎日タップして使えるチェック画面にするには、Artifactを使います。ポイントは3つあります。各項目にマニュアルの出典ページを残すこと。チェックの保存先を個人か共有かで決めること。マニュアルが改訂されたら、差分表を作ってから画面を直すことです。
先に決めるのは「何を画面に載せ、何を載せないか」
チェックリストは、マニュアルの全文を写したものではありません。画面に載せるのは、毎回やる作業と、やったかどうかを確かめたい作業だけです。
マニュアルを渡す前に、次の4点を決めておくと、Claudeへの指示がぶれません。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 対象の時間帯 | 例開店前、閉店後の2つ |
| 項目の単位 | 例1項目=1つの動作(「レジ金を数える」と「釣銭を補充する」は分ける) |
| 担当の区別 | 例店長、ホール、キッチンのどれが確認するか |
| 画面に載せない情報 | 例金庫の番号、警備の解除コード、従業員の個人情報 |
最後の行は特に重要です。Artifactに保存されるデータは、共有ストレージを使う設計だと他の利用者にも見えます。暗証番号やコードの類は、マニュアルにあっても画面の項目にしません。「金庫を施錠する」とだけ書き、番号は別の管理方法に任せます。
マニュアルを渡す: チャットか、Projectか
PDFの渡し方は2通りです。サポート記事の制限は次のとおりです。
| 渡し方 | ファイルサイズ | 枚数・ページ数 |
|---|---|---|
| チャットに添付 | ファイルサイズ1ファイル500MBまで | 枚数・ページ数1チャットに20ファイルまで。PDFは1,000ページまで |
| Projectのファイル | ファイルサイズ1ファイル30MBまで | 枚数・ページ数ファイル数は無制限だが、内容全体がコンテキストに収まる必要がある |
PDFは100ページ以下なら、文字に加えて図や表などの見た目も読み取られます。101〜1,000ページでは文字だけが処理されます。店舗マニュアルは、手順の写真や配置図が入っていることが多いので、100ページ以内に分けて渡す方が取りこぼしを減らせます。
開店・閉店の手順は、1回作って終わりではなく、改訂のたびに見直します。そのため、マニュアルをProjectのファイルに置いておくと、後で差分を確かめる会話を同じProjectで始められます。Projectの使い方はClaude Projectsの完全ガイドにまとめています。ただし、Projectのファイルは文字の抽出が中心で、PDFの図表を読むのは、画像も読めるマルチモーダルPDFの場合に限られます。写真に重要な情報があるマニュアルは、チャットに直接添付して確かめる方が安全です。
手順1: 出典ページ付きで項目を抜き出させる
いきなり画面を作らせず、先に項目の一覧を表で出させます。画面にしてからでは、項目の抜けや誤読を見つけにくいためです。
添付したPDFは当店の店舗マニュアルです。
開店前と閉店後に毎日行う作業を、次の列の表にしてください。
列: 時間帯 / 作業(1つの動作) / 担当 / 出典ページ
・出典ページはPDFビューアーのページ番号で書く
・マニュアルに書かれていない作業は足さない
・担当や順序が読み取れない項目は「記載なし」と書く「PDFビューアーのページ番号」と指定するのは、PDFに印字されたページ番号と、ビューアーが示すページ番号がずれることがあるためです。ページを指定するときはビューアーのページ番号を使うよう、アップロードのサポート記事にも書かれています。
表が出たら、手元のマニュアルと突き合わせます。見るのは次の3か所です。
- 出典ページを開いて、その作業が本当に書いてあるか
- 「記載なし」の項目を、店長が埋められるか
- 毎日ではなく、週1回や月1回の作業が混ざっていないか
「記載なし」の担当を埋めるのは人の仕事です。Claudeに推測で補わせると、もっともらしい担当が入りますが、店の実態とは限りません。
手順2: チェック画面をArtifactで作る
表が固まったら、同じ会話で画面を作らせます。Artifactは、チェックボックスを持つ小さなアプリとして作れます。
さきほどの表を、チェックリスト画面のArtifactにしてください。
・「開店前」「閉店後」のタブを分ける
・各項目にチェックボックスを付け、出典ページを小さく表示する
・チェック状態は日付ごとに保存する(翌日は全項目が未チェックから始まる)
・保存先は共有ストレージにする。全員が同じ画面の状態を見る
・「今日のチェックをすべて外す」ボタンは確認ダイアログを挟む画面ができたら、まず自分で全項目を触ってみます。日付をまたいだときの動きは、画面の上では確かめにくいので、「昨日の日付でチェックした状態を見せて」のように、Claudeに日付を指定して動作を試させると確認できます。エラーが出たときは、エラー表示の近くにある「Try fixing with Claude」ボタンで、詳細を新しいメッセージに貼れます。
チェックの保存先は個人か共有か
Artifactのデータ保存には、個人ストレージと共有ストレージがあります。
- 個人ストレージ: 使う人ごとに別々のデータを持つ
- 共有ストレージ: 全員が同じデータを見る
開店・閉店のチェックリストは、店長が「誰がどこまで終えたか」を見たいので、共有ストレージが向きます。一方で、スタッフが個別の気づきを書き込む欄を付けるなら、その欄は個人ストレージに分けておく手もあります。どちらに何を置くかは、アプリを作る人が決めます。作ったあとで、Claudeに「このアプリのデータで共有ストレージに置いているものを一覧にして」と聞くと、置き場所を確認できます。
保存の条件は覚えておく必要があります。
- データの保存が使えるのは、Pro、Max、Team、Enterpriseのプランです。Freeでは使えません
- 保存できるのはテキストだけで、画像やファイルは入りません
- 容量は1つのArtifactにつき20MBまでです
- 新しいArtifactは、公開しなくても保存を試せます。2026年9月16日より前にチャットで作った旧形式のArtifactでは、公開するまで保存が成功しません
スタッフに共有するときの条件
作った人の画面でチェックリストが動いても、スタッフが開けるとは限りません。共有の条件はプランで変わります。
| 共有の方法 | 使えるプラン |
|---|---|
| リンクを知っている人に共有 | 使えるプランPro、Max、Team、Enterprise |
| メールアドレスで個別に招待(ベータ) | 使えるプランPro、Max、Team、Enterprise |
| 組織内の全員、または特定の人に共有 | 使えるプランTeam、Enterprise |
Freeプランでは、新しい形式のArtifactを共有できません。Freeで使えるのは、チャットで作った旧形式のArtifactを「公開」する方法だけです。
共有されたArtifactを開く側には、次の条件があります。
- 新しい形式のArtifactは、リンクがあってもClaudeアカウントなしでは開けません。例外は、チャットから公開した旧形式のArtifactです
- メールで招待する場合、招待された人は、招待に使ったメールアドレスのClaudeアカウントが必要です。招待の有効期限は30日で、1つのArtifactに組織外から招待できるのは50人までです
- Claudeを呼び出す機能や、他のアプリと連携する機能を持つArtifactは、リンク共有にできません。チェックリストは、そうした機能を入れずに作っておきます
- アクセスの強さは「閲覧」「コメント」「編集」から選べます。スタッフには閲覧だけで足りるか、チェックを押す操作に何が要るかを、試運転で確かめます
- Team・Enterpriseでは、組織の外への共有は、オーナーが設定で許可していない限りできません
スマートフォンのClaudeアプリ(iOS、Android)では共有設定を変えられません。設定はWeb版かデスクトップ版で行います。家族向けの招待の実例は、家族の共有買い物リストの記事にあります。
落とし穴
アルバイト全員がClaudeアカウントを持てるか
共有ストレージでみんなが同じチェック状態を見る設計は、スタッフ全員にClaudeアカウントがあって初めて成り立ちます。店の端末を1台のアカウントで共用する方法もありますが、その場合は誰が押したかが分かりません。アカウントを持てないスタッフがいる店は、画面は店長だけが使い、スタッフには印刷したチェック表を配る運用に分ける選択肢があります。
手順3: 運用に出す前の動作確認
本番に出す前に、次の流れで確認します。
試運転で確かめる5点
- 1
項目数を数える
手順1の表の行数と、画面のチェックボックスの数が一致するか確かめます。画面を作り直す途中で、項目が落ちることがあります。
- 2
出典ページを3つ抜き打ちで開く
画面に表示された出典ページを、マニュアルで実際に開いて、その作業が書かれているか見ます。
- 3
別の端末で開く
スタッフが使う端末(スマートフォンやタブレット)で開き、文字が切れないか、チェックが押しやすいかを確かめます。
- 4
2人で同時に押す
共有ストレージの場合、2人が別々の端末から違う項目にチェックを入れて、お互いの画面に反映されるか確かめます。
- 5
翌日の動き方を確かめる
日付が変わった後に、前日のチェックが残っていないか確認します。残っていたら、日付の持ち方を直させます。
マニュアルが改訂されたら: 差分表を先に作る
運用で一番ずれやすいのは、マニュアルの改訂に画面が追いつかないことです。更新のたびに「新しいPDFで作り直して」と頼むと、画面全体が作り直され、いつの間にか項目が消えたり、順序が入れ替わったりします。そこで、順序を決めておきます。
- 新旧のPDFを両方渡し、差分表を作らせる
- 人が差分表を確認する
- 確認した差分だけを、既存のArtifactに反映させる
添付した2つのPDFは、店舗マニュアルの旧版と新版です。
開店前・閉店後の作業について、次の3種類に分けて表にしてください。
・追加された作業 / 削除された作業 / 内容が変わった作業
各行に、旧版と新版の出典ページを付けてください。
表現が言い換えられただけで、作業の中身が変わらないものは含めないでください。差分表で人が確認するのは、ここです。
- 「内容が変わった」に、衛生や防犯、お金の扱いに関わる項目が入っていないか
- 「削除された」作業が、本当にやらなくなったのか。移動しただけではないか
- 旧版と新版のどちらにも出典ページがあるか
表現の言い換えと、作業の中身の変更を、Claudeが取り違えることはあり得ます。特に、数値(温度、時間、金額)の変更は、差分表の行ごとに原文を見て確かめてください。
確認が済んだら、既存のArtifactを直させます。
差分表のうち、私が確認した次の行だけをチェック画面に反映してください。
(確認した行を貼る)
それ以外の項目は変更しないでください。
反映後、変更した項目の一覧を前の画面と比較して見せてください。画面の項目数が、旧版の項目数に追加数を足し、削除数を引いた値になっているかを数えます。合わなければ、反映の指示が広く解釈された可能性があります。
保存済みのチェック記録はどうなるか
項目が変わると、過去の日付に保存したチェック記録と、画面の項目が対応しなくなります。過去の記録を残す必要がある店は、改訂のたびに項目に版を示す識別子を付けるよう、最初の指示に入れておきます。記録が不要で、毎日リセットされればよい店は、この点を気にする必要はありません。
使う場面ごとの目安
| 状況 | 向く作り方 |
|---|---|
| 店長だけが確認し、記録は不要 | 向く作り方個人ストレージ。Freeプランでは保存を使えないので、その場のチェックだけ |
| 店長が全員の進捗を見たい | 向く作り方共有ストレージ。共有にはPro以上のプランが要り、スタッフにもClaudeアカウントが要る |
| スタッフがアカウントを持てない | 向く作り方画面は店長だけ。スタッフには印刷した表 |
| 手順が数十行の本格的なSOP管理 | 向く作り方SOPの実行管理ツール。連携はProcess Streetのコネクタの記事を参照 |
| 内部監査の記録と突き合わせたい | 向く作り方ISO 9001の内部監査チェックリストの手順 |
まとめ
開店・閉店のチェックリストは、画面を作る前の項目表で品質が決まります。出典ページを付けて抜き出させ、人が確認してから画面にする。改訂時は、全体を作り直させず、差分表の確認済みの行だけを反映する。この2つを守ると、Claudeの読み違いが現場に出る前に見つかります。
保存先は共有ストレージが向きますが、Freeプランでは保存が使えず共有も限られ、スタッフ側にもClaudeアカウントが要ります。店の人数と端末の事情に合わせて、画面の運用とあわせて紙の表も用意しておく設計が現実的です。習慣の記録を同じArtifactの仕組みで作る例は、習慣トラッカーの記事にあります。