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ClaudeでISO 9001の内部監査チェックリストを作り記録と突合する

ClaudeでISO 9001の内部監査チェックリストを作り記録と突合する

品質マニュアルと要求事項の表をProjectに置き、部署別のチェックリスト作成と、提出された記録の不足箇所の洗い出しをClaudeに任せる手順。判定は人が担います。

ISO 9001の内部監査は、チェックリストの作成と記録の突き合わせにClaudeを使うと準備時間を削れます。品質マニュアルと「要求事項の表」をProjectに置き、部署ごとのチェック項目を出させ、提出された記録の不足箇所を判定させる流れです。ただし適合かどうかの結論を出すのは監査員です。この記事では、Projectの組み方、頼み方、人が確認する範囲を順に示します。

内部監査でClaudeに任せるのは「条項と記録の突き合わせ」

内部監査は、箇条9.2が計画した間隔での実施を求める活動です。品質マネジメントシステムが自社の定めた要求事項と規格の要求事項に合っているか、有効に実施され維持されているかを確かめます。監査ごとに基準と範囲を決め、客観性と公平性を保てる監査員を選び、結果を関連する管理層へ報告し、その証拠を文書化した情報として残します。

この流れのうち、紙の量が多いのは次の2か所です。

  • 監査前: 部署ごとのチェックリストを作る作業
  • 監査中・監査後: 提出された記録を要求事項に照らして読み、足りないものを拾う作業

この2か所は、条項の文章と記録の文面を突き合わせる作業です。Claudeが得意とする範囲に入ります。逆に、現場で人の説明を聞く、実物を見る、サンプルを抜く、は監査員の仕事のままです。

手順

Claudeを使った内部監査準備の流れ

  1. 1

    要求事項の表を人が作る

    規格本文を読み、箇条ごとの要求事項を自社の言葉で要約して表にします。

  2. 2

    Projectに知識と指示を置く

    品質マニュアル、手順書の一覧、要求事項の表をProjectの知識に入れ、判定の型を指示として登録します。

  3. 3

    部署別チェックリストを出させる

    監査対象の部署と範囲を伝え、確認する項目と見るべき記録を表で受け取ります。

  4. 4

    提出記録を突き合わせる

    記録の一覧を渡し、要求事項ごとに「記録あり」「不足」「判定不能」を返させます。

  5. 5

    監査員が現場で確かめる

    不足と判定された箇所と、記録はあるが中身が怪しい箇所を、面談と現物確認で詰めます。

規格本文は人が読み、要求事項の表にして渡す

最初の1手だけは、Claudeに任せない部分です。JIS Q 9001(品質マネジメントシステム-要求事項)の本文を読んで、箇条ごとの要求事項を表に起こすのは人です。理由は2つあります。

1つは、点検の物差しがずれるのを防ぐためです。Claudeに「ISO 9001の要求事項を教えて」と聞いて表を埋めさせると、記憶に基づく要約が基準になってしまいます。自社が受けている審査の版や、適用範囲の除外の有無も反映されません。

もう1つは、規格本文が購入して使う著作物だからです。本文をそのままProjectに貼り付けるかどうかは、購入時の利用条件に従って決めます。要約して自社の言葉に直した表なら、この問題を避けやすくなります。

表は次のような列で作ります。

箇条,要求事項の要約,関連部署,確認する記録,記録の保管期間
7.1.5,測定機器は校正され、校正状態が分かること,製造・品質保証,校正記録・校正有効期限の一覧,5年
7.2,業務に必要な力量を明確にし、教育で補うこと,全部署,力量表・教育訓練記録,在職中+3年
8.4,外部提供者を評価し、評価結果を残すこと,購買,供給者評価表・再評価記録,取引終了後3年
9.2,内部監査を計画した間隔で行い、結果の記録を残すこと,品質保証,監査プログラム・監査報告書,3年

上の数字や記録名は書式を示すための例です。箇条番号は、自社が使っている規格本文で確かめて入れてください。「確認する記録」の列は、自社の手順書が決めている記録の名前をそのまま書きます。この列があると、あとで記録の一覧と1対1で照らせます。

監査の進め方そのものは、JIS Q 19011(マネジメントシステム監査のための指針)にまとまっています。監査プログラムの管理や監査員の力量を自社の手順に落とすときは、この指針と照らすと抜けが見つかります。

Projectに置くもの、会話に渡すもの

Projectは、チャットの履歴と知識ベースを持つ独立した作業場です。知識ベースに入れた内容は、そのProject内の全チャットで使われます。使い分けは次のとおりです。

置き場所入れるもの理由
Projectの知識入れるもの品質マニュアル、要求事項の表、手順書の一覧、前回の監査報告書理由監査のたびに繰り返し参照するため
Projectの指示入れるもの判定ラベルの定義、推測で補わないという約束、出力の型理由全チャットで同じ判定基準にするため
会話への添付入れるもの今回の監査で提出された記録理由監査ごとに中身が変わるため

Projectには、チャットごとの文脈が引き継がれない点にも注意が必要です。ある会話で決めた内容は、知識ベースに入れない限り別のチャットには共有されません。前回の会話で決めた判定の方針は、指示か知識として残しておきます。

Projectの名前と説明は、Claudeには見えません。「品質マネジメント監査」と名付けても、その内容は伝わらないので、役割は指示のほうに書きます。

指示の例を挙げます。

あなたは内部監査の準備を手伝います。
・要求事項の表(知識)に書かれた箇条だけを物差しにしてください。
  表に無い要求事項を、規格の一般知識で補わないでください。
・記録の判定は「記録あり」「不足」「判定不能」の3つだけです。
  「適合」「不適合」の結論は出さず、監査員が確認する点として返してください。
・根拠は、記録名と該当箇所を示してください。示せないときは「判定不能」です。

「適合」「不適合」と言い切らせないのが要点です。結論はサンプルの抜き取りと現場の確認を経て、監査員が出すものです。

ファイルの上限と有料プランのRAG

Projectの知識として入れるファイルは、1ファイル30MBまでで、数に上限はありません。ただし内容全体がコンテキストウィンドウに収まる必要があります。Projectの知識では、PDF以外のファイルはテキストの抽出だけが行われます。図や写真は読まれません。

有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)では、知識がコンテキストの上限に近づくと、RAGモードが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。品質マニュアルと手順書の束が大きい会社では、この仕組みが働きます。無料アカウントのProjectは5件までです。

会話に直接添付する場合は、1つのチャットにつき20ファイル、1ファイル500MBまでです。PDFは1000ページまで読めます。100ページ以下のPDFは文字と図表の両方が解析され、101〜1000ページでは文字のみが対象です。XLSXを渡すには、アカウントでコード実行とファイル作成を有効にしておく必要があります。

複数人で監査チームを組むなら、Team・Enterpriseプランでは、Projectを「閲覧可」「編集可」の権限つきで共有できます。要求事項の表を直せる人を絞り、監査員には閲覧権限を渡す運用が考えられます。共有は管理者がオフにしている場合があります。点検記録をProjectに溜めて繰り返し使う例は、Claudeで空き家管理の点検記録と修繕履歴を整理する方法にあります。

部署別チェックリストを出させるプロンプト

監査の対象部署と範囲が決まったら、会話を開いて頼みます。

次の監査のチェックリストを作ってください。
対象部署: 購買部
監査範囲: 外部提供者の評価と再評価、受入検査
要求事項の表から関連する箇条を選び、次の列で表にしてください。
箇条 / 確認する質問 / 見る記録 / 記録が無いときの追加質問
質問はYes/Noで答えにくい聞き方にしてください。
表に無い箇条は入れないでください。

「見る記録」の列には、表の「確認する記録」が引かれます。「記録が無いときの追加質問」の列があると、現場で記録が出てこなかった場合でも、面談が止まりません。

質問の聞き方を指定するのも効きます。「手順書はありますか」のようなYes/Noで終わる質問より、「直近の再評価はいつ誰が行い、結果はどこに残っていますか」のほうが、記録の有無と運用の実態を同時に引き出せます。

チェックリストが出たら、監査員が目を通して削る・足す作業を挟みます。部署の実情は、要求事項の表にもマニュアルにも書かれていないことがあります。過去の指摘事項が残っている部署では、前回の監査報告書をProjectに入れておけば、「前回の不適合の是正が定着しているか」を確かめる質問も出させられます。

提出記録を突き合わせて不足を出す

チェックリストで確認する記録が決まったら、部署から提出された記録の一覧を渡します。一覧は次のような形にします。

記録ID,記録名,部署,作成日,承認者,備考
P-014,供給者評価表(A社),購買,2025-04-10,購買課長,
P-015,供給者評価表(B社),購買,2024-03-02,購買課長,再評価未実施
P-021,受入検査記録(2026年9月分),購買,2026-10-01,,

頼み方の例です。

添付の「提出記録一覧.csv」を、要求事項の表の「購買」の行と突き合わせてください。
箇条ごとに「記録あり」「不足」「判定不能」で返し、理由を1行で書いてください。
次の点は必ず見てください。
・承認者の欄が空の記録
・作成日が保管期間や再評価の間隔を超えている記録
・要求事項の表にあるのに、一覧に対応する記録名が無いもの
計算を伴う判定は、コードで計算して結果を示してください。

返ってくる表は、例えば次のような形になります。以下は例示で、実際の出力は入力によって変わります。

箇条判定理由
8.4供給者評価(A社)判定記録あり理由P-014が存在し、承認者の記載あり
8.4供給者評価(B社)判定不足理由P-015の備考に「再評価未実施」とあり、作成日が2024年3月
8.4受入検査判定判定不能理由P-021の承認者が空欄。承認が必要かは表に記載なし

3行目のように、表に書かれていない事項は「判定不能」で止めるのが正しい挙動です。止まったところが、監査員が現場で確認する項目になります。

日付の計算とコード実行

再評価の間隔や保管期間の超過は、日付の差を数える作業です。暗算に任せると数え違いが出やすいので、「コードで計算して示してください」と添えます。コード実行が使える状態なら、計算過程を見て検算できます。1行だけ自分で数えて合うかを確かめると、指示の出し方や列の取り違えに早く気づけます。

記録の中身まで読ませるときの限界

記録名や台帳の列だけでなく、記録そのもの(スキャンしたPDFなど)を読ませることもできます。この場合、数字や署名の読み取りには誤りが出ます。校正の有効期限や測定値のような数字は、Claudeの読み取り結果を信じず、原本と照らす対象に入れます。Wordに画像として貼り込んだ記録は、画像の内容が読まれない点にも注意が必要です。

判定の後に残る人の仕事

「記録あり」と返ってきても、監査員の仕事は終わりません。

  • 記録が実態を表しているか。記録は揃っていても、現場の運用と合っていない場合があります。面談と現物の確認で確かめます。
  • サンプルの抜き取り。提出された一覧は、部署が選んだ記録です。抜けを疑うなら、監査員が指定した期間の記録を出してもらいます。
  • 客観性。自分の部署の監査を自分で行わない原則は、Claudeを使っても変わりません。Claudeが作ったチェックリストを使うのは、別の部署の監査員です。
  • 所見の言い切り。不適合かどうか、重さの区分、是正を求める期限は、監査員と品質管理の責任者が決めます。

監査後には、結果の報告と是正の経過を文書化した情報として残す必要があります。Claudeに報告書の下書きを作らせるなら、「事実」「要求事項との関係」「所見の案」を列に分け、所見の列は監査員が書き換える前提にします。ハラスメント相談の記録を扱ったClaudeでハラスメント相談の一次対応記録を整理する手順も、事実と評価を分けて書かせる点で同じ型です。

同じ型は他の点検にも使える

要求事項の表を人が作り、Claudeに記録との突き合わせだけを任せる分担は、品質マネジメントに限りません。基準をラベルから転記し、防除記録と照らす手順は農薬の使用基準と防除記録をClaudeで点検する手順にあります。物差しを人が作る点が共通しています。

つまずきやすい点

  • 要求事項の表に、規格の一般知識が混ざる。指示に「表にない箇条は入れない」と書いて防ぎます。
  • 判定が「適合」「不適合」に寄る。指示で3値に固定し、結論の言葉を出させません。
  • Projectの知識が古い。手順書を改訂したら、古い版を削除して新しい版に置き換えます。
  • 機密情報の扱い。取引先名や品質不良の詳細を含む記録を渡す前に、社内の情報管理の規程で、AIサービスへの入力が許されているか確かめます。
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