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Claudeで作業手順書を多言語化 — 外国人従業員向けに用語をそろえる手順

Claudeで作業手順書を多言語化 — 外国人従業員向けに用語をそろえる手順

作業手順書を外国人従業員向けに訳すとき、ずれやすいのは文章より用語です。用語集をProjectsに置き、やさしい日本語を経由して訳し、母語話者が確認する運用の流れです。

作業手順書の多言語化で現場が困るのは、文章の巧拙より用語のゆれです。同じ工具が手順1では「ハンマー」、手順5では「槌」と訳されていれば、読む側は別の物だと受け取ります。Claudeに訳させる前に、用語集を作ってProjectsに置き、「日本語 → やさしい日本語 → 各言語」の順で訳し、最後に母語話者が確認する。この3点を固定すると、手順書が増えても訳語がそろいます。

手順書の翻訳でずれるのは「用語」と「禁止・必須の強さ」

手順書をそのまま翻訳に渡すと、ずれは主に2か所に出ます。

  • 用語: 工具・設備・不具合の呼び名が、文書ごと、訳すたびに変わる
  • 指示の強さ: 「〜すること」「〜しないこと」「〜が望ましい」の区別が、訳文で曖昧になる

この記事の対象は、工場・倉庫・飲食・介護・建設など、現場の作業手順書を外国人従業員に渡す担当者です。民泊の案内文を訳す流れはClaudeで民泊の案内文を多言語化する方法にあります。手順書では、用語を管理する仕組みのほうが重くなります。

先に用語集を作る

用語集は、訳す前に日本語側で作ります。列は4つあれば足ります。

日本語(現場の呼び名)やさしい日本語英語注記
養生やさしい日本語汚れや傷を防ぐために、物をカバーでおおうこと英語protective covering注記写真を付ける
ヒヤリハットやさしい日本語事故にならなかったが、あぶなかった出来事英語near miss注記報告先を併記
始業前点検やさしい日本語仕事を始める前に、機械を見て確かめること英語pre-operation check注記チェック表の名前と対応させる

上の表は書き方の例です。語の選び方は職場ごとに変わります。各言語の列は、訳語を一度決めたら人が確認して固定します。Claudeに「この用語の訳語案を3つ出して、違いを説明して」と頼めば、候補を比べる材料にはなります。ただし、どの訳語が現場で通じるかは母語話者に聞かないと分かりません。

用語集は、次のような形でテキストにしておくと、そのままProjectsへ置けます。

用語集.txt(例)
養生 | 汚れや傷を防ぐために、物をカバーでおおうこと | en: protective covering
ヒヤリハット | 事故にならなかったが、あぶなかった出来事 | en: near miss
始業前点検 | 仕事を始める前に、機械を見て確かめること | en: pre-operation check

既存の手順書から用語を拾い出す

用語集をゼロから書く必要はありません。すでにある日本語の手順書をClaudeに読ませ、用語の候補を拾わせます。

用語の拾い出しの依頼(例)
添付の作業手順書から、工具・設備・不具合・動作を表す語を拾ってください。
次の列の表にして、現場の呼び名の欄は原文の表記のまま書いてください。
列: 現場の呼び名 | やさしい日本語の案 | 手順書内の出現回数 | 同じ物を指していそうな別の呼び名

最後の列が役に立ちます。同じ物に複数の呼び名が使われていると、訳す前にその表記を1つに決められます。「ハンマー」と「槌」のように、手順書の側で呼び名がゆれている場合は、翻訳より先に日本語の原文を直します。呼び名を決めるのは現場の責任者で、Claudeは候補の一覧を作る役です。

用語集と訳し方のルールをProjectsに置く

Claudeは、新しいチャットを開くたびに前の会話を引き継ぎません。プロジェクト内でも、ナレッジに入れた情報以外はチャット間で共有されません。用語集を毎回貼る代わりに、Projectsのナレッジに置きます。Projectsは無料アカウントを含む全ユーザーが使え、無料では5つまで作れます。

置き場所は2つに分けます。

置き場所

Projectsに置くもの

  • ナレッジ

    用語集のファイルと、すでに確定した手順書の訳文です。プロジェクト内のすべてのチャットで使われます。

  • プロジェクト指示

    「Set project instructions」から保存します。訳す順番、用語集を優先するルール、未確定の語の扱いなど、毎回頼む条件を書きます。

プロジェクトの作成時に付ける名前と説明は、Claudeには渡りません。「製造ライン3の手順書」といった文脈を踏まえてほしいなら、指示かナレッジに書きます。

プロジェクト指示の例
作業手順書を、外国人従業員向けに訳す手伝いをします。
訳す順番は、日本語 → やさしい日本語 → 指定された言語です。
用語は、ナレッジの用語集にある訳語を必ず使います。
用語集にない専門語が出たら、訳さずに「用語集に未登録」と書いて一覧にします。
「〜すること」「〜しないこと」「〜が望ましい」の強さの違いを、訳文でも保ちます。

有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)では、ナレッジがコンテキストの上限に近づくとRAG(検索拡張生成)が自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。工程が多く手順書が増える職場でも、用語集と過去の訳文を溜め込めます。作成手順の詳細はClaude Projects完全ガイドにあります。

日本語からやさしい日本語を経由して訳す

手順書の原文には、業界の言い回しや省略が多く含まれます。それを直接英語やベトナム語に訳すと、訳文にも曖昧さが残ります。間に「やさしい日本語」を挟むと、原文の曖昧な箇所が先に見つかります。

やさしい日本語は、文を短くし、難しい語を言い換え、必要ならふりがなを付けた日本語です。厚生労働省の外国人労働者向けページには、求職申込書の書き方を「やさしい にほんご」で案内する項目があり、公的な案内でも使われています。

手順

手順書1本を訳す流れ

  1. 1

    1. 日本語の原文を整える

    主語が抜けた文や、「適宜」「しかるべく」のような曖昧な語を直します。Claudeに「曖昧な箇所を一覧にして」と頼んでもよい工程です。

  2. 2

    2. やさしい日本語に書き換える

    用語集のやさしい日本語の列に従って言い換えます。1文に1つの動作を入れます。

  3. 3

    3. 各言語に訳す

    やさしい日本語版を原文として、指定の言語へ訳します。用語集の訳語を使い、未登録の語は一覧にして止めます。

  4. 4

    4. 戻し訳で意味を確かめる

    訳文を日本語に訳し戻させ、元の手順とずれていないか比べます。

2の書き換えは、次のような形になります(書き方の例です)。

原文やさしい日本語
始業前に各部の点検を適宜実施し、異常があれば直ちに報告することやさしい日本語仕事を始める前に、機械を見て確かめます。おかしいところがあったら、すぐ班長に言います

1文に動作が2つ入っていた原文を、動作ごとに切っています。「適宜」は回数や場所を決めて書き換えるか、決められないなら原文側の曖昧さとして報告先に戻します。

3の依頼は、たとえば次のように書きます。

各言語への訳の依頼(例)
添付のやさしい日本語版を、ベトナム語に訳してください。
用語はナレッジの用語集の訳語だけを使い、言い換えないでください。
禁止の文は禁止のまま、必須の文は必須のまま訳してください。
訳したあとで、用語集に載っていない語を一覧にしてください。

戻し訳は、訳文が原文の意味から外れていないかを日本語側で気づくための手段です。気づけるのは意味のずれまでで、その言い回しが現場で自然かどうかまでは分かりません。

母語話者の確認を工程に入れる

安全や品質に関わる手順は、Claudeの訳文をそのまま配らず、母語話者の確認を挟みます。言語による精度の差はClaudeの多言語性能を言語別データで見るで扱っています。確認者がいる言語といない言語で、運用を分けて考えます。

確認を頼むときは、全文を見てもらうより、見る点を絞ったほうが戻りが早くなります。

  • 禁止・必須・注意の文が、元の強さで伝わるか
  • 工具や設備の呼び名が、現場の同僚が使う言葉と合っているか
  • 数字・単位・警告の語が正しいか
  • 同じ用語が、手順の中で同じ訳語になっているか

指摘が戻ったら、手順書の本文だけでなく用語集にも反映します。手順書だけ直すと、次の手順書で同じ訳語がまた出てきます。

訳文を配る前に人が決めること

法令に基づく書面や、事故時の対応を定めた文書は、翻訳の下書きを作る工程と、内容を決める工程を分けます。厚生労働省は、事業主が外国人労働者の雇用管理で適切に対処するための指針を定めています。手順書の内容が指針や社内規程と食い違わないかは、担当者が確認します。Claudeが出すのは訳文の下書きです。

もうひとつ、画像の扱いがあります。手順書に写真や図が入っているなら、図の中の文字は本文とは別に扱います。図ごとに訳文を用意して差し替える前提で、工程を組みます。

手順書が増えたときの運用

用語集は、手順書より長く使う資産です。更新の流れを決めておくと崩れません。

  1. 新しい用語は、手順書を訳す前に用語集へ追加する
  2. 訳語を変えるときは、ナレッジの用語集を差し替える。古い版を残したまま新しい版を足すと、どちらを使うか訳が揺れる
  3. 変更後は、影響する手順書の訳文を作り直す

配る訳文には、元になった日本語の手順書の版と、母語話者が確認した日を書き添えます。原文を改訂したのに、訳文だけが古いまま現場に残る事態を防げます。ファイルは言語ごとに分け、ナレッジに入れるのは確認済みの版だけにします。確認前の下書きは、プロジェクトの外か別のチャットで扱います。

TeamまたはEnterpriseプランなら、プロジェクトを組織内に共有できます。「Can view」のメンバーは内容を見てチャットできますが、編集はできません。「Can edit」は指示やナレッジを変えられます。用語集の管理者だけを「Can edit」にして、現場の班長は「Can view」にすると、各自が手順書を訳しても用語集は書き換わりません。管理者が共有をオフにしている組織では、この共有は使えません。

翻訳専用のツールで用語集を効かせたい場合は、ClaudeとDeepLの連携が候補になります。訳したあとの検証の考え方はClaude翻訳ワークフローにまとめています。

よくあるつまずき

  • 用語集が長すぎて使われない: 全工程の語を一度に入れず、まず1ラインの手順書で必要な語から始めます
  • やさしい日本語を飛ばして直接訳す: 原文の曖昧さがそのまま訳に残ります。短い手順書でも2段にします
  • チャットごとに用語集を貼っている: 貼り忘れた会話だけ訳語が変わります。ナレッジに置きます
  • ナレッジに古い訳文が残っている: 新旧が並ぶと下書きが揺れます。確定版だけを残します
  • 名前と説明に文脈を書いている: この2つはClaudeに渡りません。指示かナレッジに書きます

まとめ

訳す順番を固定し、用語は先に決め、確認は母語話者に任せる。Claudeが得意なのは、その枠の中で下書きを大量に、速く作ることです。最初の1本は、短い手順書1つと10語ほどの用語集で試すと、自分の職場に足りない列や言語が分かります。

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