Claudeで広報の年間計画を組む手順 — 過去リリースと社内予定から発表カレンダーへ
過去のリリース一覧、社内の決算・製品予定、業界の記念日をClaude Projectsに置き、媒体が動く時期に発表を割り振って年間の発表カレンダーにする手順です。
広報の年間計画が崩れる原因は、発表のネタ不足より、同じ週に発表が重なることのほうが多いものです。製品の新機能、決算、採用、提携のお知らせが、別々の部署の都合で同じ月に集まります。
Claude Projectsは、専用のチャット履歴とナレッジベースを持つワークスペースです。過去のリリース一覧と社内予定を置いておけば、年間の発表カレンダーを一度に組み、重なりの点検まで同じ場所で進められます。本記事は、その素材の置き方と頼み方をまとめた手順です。
年間計画をClaudeに任せる範囲
先に分担を決めておきます。Claudeに任せやすいのは、素材を並べ替えて案にすることと、案どうしの衝突を探すことです。決められないのは、未公表の社内予定そのものと、媒体が実際に動く時期です。前者は担当者が資料として渡し、後者は担当者が指示に書いて初めて計画に反映されます。
Claudeに頼むことと、担当者が決めること
Claudeに頼む
過去リリースの月別集計、予定の時系列への並べ替え、同じ週に重なる発表の洗い出し、案ごとのメリットと懸念の書き出し。
担当者が決める
どの発表を年間の柱にするか、決算や製品予定の確定日、媒体の企画時期。ここはClaudeに推測させず、資料か指示に書いて渡します。
個別の発表文を書く作業は別の工程です。リリース本文の下書きはClaudeでプレスリリースの文面を下書きする手順、媒体ごとの切り口の調べ方はClaudeでメディアリストを作る広報の手順にあります。ここで扱うのは、それらを走らせる前の、1年分の割り振りです。
素材は3種類に分けてナレッジに置く
Projectsのナレッジには、ドキュメントやテキスト、コードの断片をアップロードできます。入れた内容は、そのプロジェクトのどのチャットでも前提として使われます。年間計画なら、置く素材を次の3種類に分けると、後で差し替えやすくなります。
| 素材 | 中身の例 | 更新の頻度 |
|---|---|---|
| 過去の発表 | 中身の例直近2〜3年のリリース一覧(日付・件名・掲載媒体・反響のメモ) | 更新の頻度発表のたび |
| 社内の予定 | 中身の例決算の日程、製品の出荷予定、イベント出展、人事の節目 | 更新の頻度予定が動くたび |
| 外部の暦 | 中身の例業界の展示会、記念日、媒体の特集時期、連休 | 更新の頻度年に1回 |
過去の発表は、日付が揃った表の形が向いています。「いつ、何を、どこが載せたか」が列で並んでいれば、月別の偏りを数えさせるときにも誤読が減ります。
ファイルを添付する場合の上限は、1ファイルあたり30MB、1チャットあたり20ファイルです。過去数年分のリリースを1枚の表にまとめておくと、この上限に当たりにくくなります。
量が増えたときの扱いも押さえておきます。有料プランでは、ナレッジがコンテキストの上限に近づくと、自動でRAG(検索拡張生成)モードに切り替わります。容量は最大10倍まで広がります。無料プランはこの対象外で、作れるプロジェクトも5個までです。仕組みの違いはClaude ProjectsのRAG検索の仕組みと全文投入との違いで扱っています。
手順
年間の発表カレンダーを組む流れ
- 1
招待制のプロジェクトを作る
未公表の予定を入れるため、可視性は最初から招待制にします。プロジェクト名と説明はClaudeに渡らないので、中身はここに書きません。
- 2
指示に割り振りのルールを書く
発表の間隔、避ける時期、重要度の段階を指示に入れます。例は次の節に示します。
- 3
3種類の素材をナレッジに入れる
過去の発表、社内予定、外部の暦を、それぞれ別ファイルでアップロードします。
- 4
年間の叩き台を表で出させる
月ごとに発表候補を割り振った表を依頼し、Artifactとして受け取ります。
- 5
重なりの点検を別の問いで頼む
作らせた表を、別の観点で点検させます。作る問いと点検する問いを分けるのがこの手順の要です。
指示に書く割り振りのルール
プロジェクトの指示(Set project instructions)は、保存すると同じプロジェクトのすべてのチャットで使われます。毎回貼り直さずに済むのは、ルールのほうです。
あなたは当社の広報計画の補助役です。
- 発表は原則として月2件まで。同じ週に2件重ねない。
- 決算発表日の前後3営業日には、製品・提携の発表を置かない。
- 発表を3段階に分ける。S=年間の柱、A=媒体向けの発表、B=自社サイトのみ。
- 日付は「予定」と「確定」を区別して書く。確定していない日付を断定しない。
- 資料にない媒体の動きや日付は推測せず、「要確認」と書く。ルールは数字と条件で書きます。「バランスよく」のような曖昧な語を入れると、案ごとに解釈がぶれます。
最後の2行は、担当者が決めることをClaudeに埋めさせないための歯止めです。年間計画では、日付の取り違えが外に出る前に気づかれにくいので、「要確認」と明記させる運用が効きます。
年間の叩き台を依頼する
素材とルールが入ったら、次のように依頼します。以下は依頼文の例で、返ってくる表の形は資料の中身によって変わります。
ナレッジの3つの資料をもとに、来年1月から12月までの発表カレンダーを
表にしてください。列は「月・週・発表案・段階(S/A/B)・根拠の資料・要確認」です。
過去2年で発表が集中した月と、空いている月を先に3行で示してください。「根拠の資料」の列を入れておくと、どの行がどのファイルに基づくかを後から追えます。根拠が空の行は、Claudeが埋めた推測かもしれません。
表はArtifactとして会話の隣に開きます。Artifactを使うには、Free・Pro・Maxでは設定のCapabilities、Team・EnterpriseではOrganization settingsのCapabilitiesで、Cloud code execution and file creationをオンにしておく必要があります。Artifactを使うための前提条件なので、最初に確かめておくと迷いません。
衝突チェックは別の問いで頼む
叩き台ができたら、同じ会話で点検を頼みます。作ったそばから点検させると、自分の案を肯定する方向に偏りがちです。観点を明示して、別の問いとして出します。
| 点検の観点 | 頼み方の例 |
|---|---|
| 週の重なり | 頼み方の例同じ週に2件以上の発表がある行を、週ごとに列挙してください |
| 決算の前後 | 頼み方の例決算日の前後3営業日に入っている発表を挙げてください |
| 段階の偏り | 頼み方の例S・A・Bの件数を月別に数え、Sが連続する月を示してください |
| 外部の暦との衝突 | 頼み方の例連休や展示会の週に置かれた発表と、その影響を書いてください |
| 日付の確度 | 頼み方の例「予定」のままの日付に依存する発表を一覧にしてください |
最後の行が、年間計画では最も効きます。確定していない日付に3件の発表がぶら下がっていると、その日付が動いたときに計画全体が崩れるからです。
点検の結果は、表の修正としてそのまま依頼できます。「第2週の発表をA段階に下げて、第4週へ移してください」のように、行と動かし方を指定すると、直したい箇所だけが書き換わります。
公表前の予定を入れるときの共有範囲
年間計画には、未公表の決算日や製品名が入ります。共有の範囲は、作成時に決めておきます。
Team・Enterpriseのプロジェクトは、作成時に公開か招待制かを選びます。公開にすると、組織の誰でもOrganizationタブから探して使えます。招待制なら、招待された人だけが見られます。後から切り替えることもできます。
共有した相手の権限は2段階です。Can viewは中身の閲覧とチャットまでで、編集はできません。Can editは指示とナレッジの変更もできます。たとえば広報チームはCan edit、役員や事業部の担当者はCan viewにする分け方があります。
プロジェクトを共有しても、各人のチャットは本人のものです。公開プロジェクトの中でも、自分のチャットは手動で共有しない限り他のメンバーに見えません。
管理者が共有そのものを止めている組織もあります。その場合は新しい相手に共有できません。公開設定を止める仕組みはClaude組織のプロジェクト公開を無効化する方法にあります。
年度が替わったときの更新
年間計画は、作って終わりではありません。四半期ごとに、動いた予定をナレッジに反映します。
押さえる点は、チャットどうしが文脈を共有しないことです。ある会話で直したカレンダーは、ナレッジに入れ直さない限り、別の会話からは見えません。そこで、確定版の表は書き出して、ナレッジのファイルを差し替えます。差し替え前のファイルが残ったままだと、古い予定を前提に案が出ます。
SNSの月次運用は、年間計画の下に置く別の層です。年間の柱を決めたあと、月ごとの投稿の割り振りはClaudeのProjectsでSNS投稿カレンダーを月単位で管理するの手順で進められます。
年度が終わったプロジェクトはアーカイブできます。アーカイブしても共有の権限は外れず、メンバーと権限、ナレッジはそのまま保たれます。アーカイブ済みのプロジェクトは削除できないため、消したいときは先にアーカイブを解除します。未公表の情報を入れていた場合は、アーカイブで済ませず、共有メンバーを外す操作も別に必要です。
つまずきやすい点
- 説明欄に前提を書いても反映されません。名前と説明はClaudeに渡らないので、前提は指示かナレッジに入れます。
- 過去の発表を文章の羅列で渡すと、月別の集計がぶれます。日付・件名・媒体の列がある表にします。
- 「予定」と「確定」を区別しないと、動く日付を断定した案が出ます。指示に区別を書いておきます。
- 媒体の企画時期は、資料に書かない限りClaudeは知りません。ここを推測で埋めさせず、担当者が外部の暦に書きます。
- 差し替えを忘れると、古い予定が前提に残ります。四半期の見直しの日を、カレンダーの行として入れておくと忘れにくくなります。
まとめ
年間の発表計画は、割り振りを考える作業と、重なりを疑う作業に分かれます。Projectsに素材とルールを置けば、前者は叩き台を出させ、後者は別の問いで点検させられます。日付の確定は人が握り、確度の低い日付に依存する行を最初に洗い出す。この順にすると、計画が動いたときの手戻りが小さくなります。