Claude Media
Claudeでメディアリストを作る広報の手順 — 媒体別に切り口を変える

Claudeでメディアリストを作る広報の手順 — 媒体別に切り口を変える

ClaudeのResearchで媒体ごとの掲載傾向を調べ、メディアリストと切り口の表にまとめる手順です。記者個人の連絡先やプロファイルを扱わない線引きも示します。

同じ新製品のリリースでも、業界専門誌、経済紙、Webニュースでは、載りやすい切り口が違います。媒体ごとに書き分けるには、まず各媒体が最近どんな話題を載せているかを調べる必要があり、広報担当の時間はここで消えがちです。

この調べものは、ClaudeのResearchと相性がよい作業です。ウェブを横断して媒体ごとの掲載傾向を集め、出典付きで表にまとめさせれば、メディアリストの土台と切り口の案が一度にそろいます。一方で、記者個人の連絡先や人物像を集める使い方は、利用ポリシーの線に触れます。この記事では、媒体単位で調べる手順と、個人を扱わない線引きを順に説明します。

メディアリストでClaudeに任せる範囲

メディアリストと言っても、作業は性質の違う三つに分かれます。

  • 媒体の候補を挙げ、読者層と最近の掲載テーマを調べる
  • 自社のリリースを、媒体ごとの切り口に言い換える
  • 実際に誰に、いつ、どう連絡するかを決める

Claudeに任せやすいのは最初の二つです。三つ目は、関係性や過去のやり取り、自社の方針が絡むので人が決めます。リリース本文そのものの書き方はClaudeでプレスリリースの文面を下書きする手順に任せ、この記事は「誰に向けて切り口を変えるか」に絞ります。

調べる単位は媒体と記事です。記者の氏名は、媒体の公開記事に署名として載っている範囲を、記事とセットで見る程度にとどめます。理由は後の節で述べます。

前提: Researchが使える条件

メディアリスト作りの調査は、Researchで進めます。Researchは、有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)で、Web版、Claude Desktop、Claude Mobileから使えます。無料プランは対象外です。

もう一つの条件は、ウェブ検索がオンになっていることです。オフのままではResearchが機能しません。

有効にするには、チャット画面の左下にある「+」ボタンから「Research」を選びます。画面下部に青い表示が出れば有効で、もう一度押すと無効に戻ります。Gmail、Googleカレンダー、Googleドキュメントを接続していれば、Claudeはそれらの社内の情報とウェブの両方を調べに行きます。

Researchの基本的な使い方や出典の確かめ方は、Claudeリサーチの使い方に詳しくあります。ここでは広報の調べものに必要な部分だけを扱います。

媒体の掲載傾向を調べさせる指示

最初に決めるのは、調べる媒体の範囲です。Claudeに候補を挙げさせる方法と、自社で付き合いのある媒体を渡す方法があり、混ぜても構いません。次の指示は、自社で挙げた媒体と、Claudeに追加させる候補を一度に調べる形です。

Claude、リサーチ機能を使って次を調べてください。
 
目的: 新製品「(製品名)」のリリースを送る媒体を選ぶ
対象媒体: (自社で挙げた媒体名を列挙)
追加してほしい候補: (業界・分野)の専門媒体を5件まで
 
各媒体について、直近半年の公開記事から次を整理してください。
- 想定読者(媒体の公開されている紹介文から)
- 掲載の多いテーマ(記事の見出しの傾向)
- 参考になる記事3本(タイトルとURL)
- 製品発表の記事がどんな見出しで載っているか
 
注意:
- 個人の連絡先、SNSアカウント、私生活の情報は調べないでください
- 記事の署名として載っている担当領域は、記事URLとセットでのみ記載してください
- 根拠のURLがない項目は「未確認」と書いてください

最後の注意書きは、Claudeに推測で埋めさせないための歯止めです。「未確認」と書かせておけば、人が確認する項目がどこかが表で見えます。

Researchが動いていないように見えるときは、依頼の冒頭を「Claude、リサーチ機能を使って〜」にして促します。社内の資料を調べに行ってほしいのに行かないときは、「関連する社内の情報を、(参照先)から引いてください」と取得元を指定します。

調べた結果は、列を決めた表に落とす

Researchのレポートは、そのままでは長い文章です。広報の現場で使うには、媒体を行、確認項目を列にした表に直します。列は次のように決めると、後で並べ替えや絞り込みがしやすくなります。

列入れる内容
媒体名・種別入れる内容専門誌、経済紙、Webニュースなど
想定読者入れる内容媒体の紹介文から読み取れる範囲
掲載テーマの傾向入れる内容直近の見出しに多い話題
参考記事入れる内容タイトルとURL
今回の切り口案入れる内容自社リリースのどこを前に出すか
確認状況入れる内容人が記事を開いて確認したか

指示は、Researchのレポートを渡して「上の列で表にまとめてください。根拠のURLがない項目は『未確認』のままにしてください」と続ければ足ります。表はスプレッドシートに貼り付けて使えます。

「確認状況」の列を設けるのが肝心です。Researchの回答には出典が付くので、リンクを開いて中身を確かめられます。表に載せた掲載傾向のうち、実際に使う媒体の分だけでも、人が記事を開いて読み、一致を確かめてから「確認済み」に変えます。

媒体別に切り口を変える

掲載傾向がそろったら、同じリリースの素材を媒体ごとの切り口に言い換えさせます。切り口の案は、リリースの事実を変えず、前に出す点だけを変えるのが原則です。

次の表は、切り口の考え方の例です。媒体の種類で型を示したもので、実在の媒体の傾向を述べたものではありません。実際の切り口は、前の節で調べた各媒体の掲載傾向から決めます。

媒体の型前に出しやすい点後ろに回す点
業界専門誌前に出しやすい点技術的な仕様、既存製品との違い後ろに回す点市場規模の数字
経済紙前に出しやすい点市場や取引先への影響、事業の数字後ろに回す点機能の細部
Webニュース前に出しやすい点一言で伝わる変化、利用者の体験後ろに回す点専門用語の詳細
地域・業種別メディア前に出しやすい点地元や業種への具体的な効果後ろに回す点全国規模の話

切り口を言い換えさせる指示は、素材と媒体の表をセットで渡します。

添付のリリース素材と、メディアリストの表を使います。
表の「確認状況」が「確認済み」の媒体だけを対象に、
媒体ごとに次を1〜2文で出してください。
 
- 今回の切り口(見出し案を1つ)
- その切り口を選んだ理由(表の掲載テーマの傾向に紐づけて)
- 切り口によって前に出す事実と、後ろに回す事実
 
リリース素材にない数字や引用は、どの切り口にも加えないでください。

最後の一文は、切り口を変えた結果、素材にない数字や修飾が混ざるのを防ぎます。媒体に合わせて言い換えるほど、事実が一緒に動いてしまう危険があるためです。出てきた案は、数値・固有名詞・日付をリリース素材と突き合わせてから使います。

字数や体裁を媒体別に調整する考え方は、採用担当向けのClaudeでスカウトメールの文面を作る手順にも同じ型があります。広報では宛先が個人ではなく媒体になる点が違います。

個人の連絡先とプロファイルを扱わない線

ここまでは媒体と記事を単位に調べてきました。記者個人まで踏み込む使い方は、別の問題を抱えます。

利用ポリシーを具体例で説明するサポート記事は、エージェントを監視や無許可のデータ収集に使うことを禁じています。例として挙がるのは、本人への通知や同意なしにオンライン上の行動を追跡すること、保護された属性や機微な特性、個人的な事情にもとづく人物像を作るために個人情報を集めて分析すること、複数のサイトを横断して大量監視を行い、連絡や標的を絞った働きかけをすることです。

メディアリストの作業に当てはめると、避ける線は次のようになります。

  • 記者個人のSNSの投稿を追い、関心や人柄を分析してプロファイルにまとめる
  • 私生活や所属以外の属性にもとづいて、対応の仕方を変える
  • 複数のサイトから個人の連絡先を集め、一斉に連絡する

一方で、媒体の公開記事に署名として載っている担当領域を、記事とセットで見ることは、媒体単位の傾向調べの延長にあります。連絡の入口は、媒体が公開している問い合わせ窓口や、自社がすでに持っている連絡先の台帳にします。台帳の管理は、通常の個人情報の取り扱いの方針に従います。

外部のデータサービスを使う場合

Claudeのコネクタには、広報や営業向けのデータサービスも並んでいます。MeltwaterのMCPサーバーは、数十億件のニュース記事とSNS投稿の検索、指標や動向の取得、検索条件(Boolean query)の生成や保存した検索の管理を、自然言語で行うものです。利用にはMeltwaterの契約が必要で、サインインも求められます。

別のLushaのコネクタは、B2Bの連絡先や企業のデータを扱い、直接のメールアドレスや電話番号を含むと説明されています。営業先のリスト作りを主な用途に挙げているサービスです。

こうしたコネクタを使うか、どの範囲で使うかは、自社の個人情報の取り扱いと、サービス側の規約で決めます。Claudeの機能が使えることと、個人の連絡先を集めてよいことは別の話です。コネクタには、信頼できる開発元のものだけを使うよう注意書きもあります。Anthropicは各開発元が提供するツールを管理しておらず、想定どおりに動くことや、後で変わらないことを確認できないためです。

使用量とやり直しの回し方

Researchの使用量の扱いは、通常の会話と同じ上限の中にあります。ただし、複数の情報源を集めて詳しく答えるので、通常の会話よりも早く上限に近づきます。

調べる媒体が多いときは、一度に全部を依頼せず、種別ごと(専門誌、経済紙、Webニュースなど)に分けて回します。種別ごとの結果は、そのまま表の行になります。調べ直したい媒体だけを再実行できるので、使用量の節約にもなります。

継続的に媒体の動向を追いたい場合は、Coworkリサーチの進め方のような仕組みに任せる方法もあります。ウェブ検索だけで足りる調べものは、Claudeのウェブ検索の使い方が参考になります。

よくあるつまずき

  • 掲載傾向が実際の記事とずれている: 出典のURLを開き、見出しの傾向が一致するか確かめます。表の「確認状況」が空の行は使いません。
  • 切り口の案が全媒体でほぼ同じになる: 媒体の表にある掲載テーマの傾向を指示に含めていないと起こります。理由の欄を必須にし、傾向に紐づけさせます。
  • リリースにない数字が切り口案に入る: 「素材にない数字や引用は加えない」と明記し、出てきた案を素材と突き合わせます。
  • Researchが動かない: ウェブ検索がオフ、または対象外のプランである可能性があります。依頼の冒頭で、リサーチ機能を使うよう明示します。
  • 個人の連絡先を求める指示を書いてしまう: 指示の「注意」欄に、個人の連絡先とプロファイルは調べないと最初から書いておきます。

まとめ

メディアリスト作りでは、Researchに媒体と記事の単位で掲載傾向を調べさせ、列を決めた表にまとめ、「確認状況」の列で人が記事を開いて確かめた行だけを使います。切り口は、リリースの事実を固定したまま、前に出す点だけを媒体ごとに変えます。

記者個人の連絡先や人物像は、集めて分析しません。連絡の入口は媒体の公開窓口か自社の台帳に置きます。データサービスのコネクタを足す場合は、その範囲を自社の個人情報の方針で先に決めておくと、調べものと連絡の境目がぶれません。

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