マンション標準管理規約の令和7年改正をClaudeで自分の規約と突き合わせる
令和7年10月に改正されたマンション標準管理規約を、国土交通省の新旧対照表PDFとあなたのマンションの規約を使ってClaudeで突き合わせる手順と、読み違えを防ぐ検証のしかたをまとめます。
マンション管理組合の理事になると、総会の議案づくりの前に「標準管理規約が変わったらしいが、うちの規約のどこを直せばよいのか」という問いにぶつかります。令和7年の改正は総会の定足数と決議要件に直接触れるため、読み流せません。国土交通省が公表した新旧対照表PDFと自マンションの規約をClaudeに渡せば、条文ごとの差分表を短時間で作れます。この記事では、その渡し方、指示文の組み立て方、出てきた表を原典で検算する手順をまとめます。
令和7年改正で規約の見直しが要る箇所
改正の背景は、令和7年5月に成立したマンション関係法の改正です。中核の改正区分所有法は令和8年4月1日に施行されました。国土交通省は、この改正に合わせて「マンション標準管理規約」を令和7年10月17日付で改正しています。
改正の概要PDFは、項目ごとに2つの記号を付けています。
- ◎: 標準管理規約に準拠した規約を変えないと区分所有法に抵触するなど、変更が必須の項目
- ○: 変えなくても区分所有法には抵触しないが、適合させることが望ましい項目
突き合わせの優先順位は、この記号でそのまま決まります。概要PDFが示す項目を、単棟型の関係条項と合わせて並べます。
| テーマ | 記号 | 単棟型の条項 | 改正の中身 |
|---|---|---|---|
| 総会決議の多数決要件 | 記号◎ | 単棟型の条項第47条 | 改正の中身特別決議も出席者の多数決に。基本の定足数は「半数以上」から「過半数」に |
| 総会招集時の通知事項 | 記号◎ | 単棟型の条項第43条 | 改正の中身全議案に「議案の要領」を示す。緊急招集の最短期間は5日間から1週間に |
| 共用部分等の損害賠償請求権の代理行使 | 記号◎ | 単棟型の条項第24条の2(新設) | 改正の中身理事長が一元的に行使する規定を創設 |
| 所在不明の区分所有者の除外 | 記号○ | 単棟型の条項第67条の3(新設) | 改正の中身所在が分からない区分所有者を総会決議等から除外する制度を使う際の手続きを規定 |
| 修繕積立金の使途 | 記号○ | 単棟型の条項第28条 | 改正の中身再生の調査・設計段階の支出や「改良」工事にも充当できると明確化 |
このほか、国内管理人制度(第31条の3)、所在不明の専有部分や管理不全の専有部分に使う財産管理制度(第67条の4・第67条の5)、区分所有者の責務(第20条)などが○に入っています。社会情勢を踏まえた見直しとして、理事の職務代行者、役員の欠格条項、役員就任時の本人確認、防災業務と防火管理者の規定、喫煙ルールの考え方も加わりました。
多数決の母数はどう変わるのか
最も影響が大きいのは、特別決議の母数です。国土交通省のパンフレットは、10人中5人が賛成して「賛成5/10で否決」になっていた事例が、出席者6人中5人賛成なら「5/6(83.3%)で可決」に変わる例で説明しています。無関心や所在不明で欠席する人が、反対票と同じ扱いにならなくなりました。
主な決議要件は次のとおりです。
特別決議などの要件の変化
改正前の標準管理規約
特別決議は組合員総数と議決権総数の各4分の3以上。定足数は決議の種類を問わず議決権総数の半数以上でした。
改正後の標準管理規約
特別決議は出席組合員とその議決権の各4分の3以上。定足数は組合員総数の過半数かつ議決権総数の過半数です。
共用部分の変更のうちバリアフリー化に必要なものなどは、4分の3から3分の2に緩和されました。再生(建替え・更新・売却・取壊し)の決議は原則5分の4で、客観的な事由がある場合は4分の3です。新しい再生手法として、更新・売却・除却が規約に入っています。
規約の改正手続は総会の招集時期で分かれる
国土交通省の留意点資料は、規約の改正を決議する総会について、招集手続を令和8年3月31日までに始めたか、4月1日以降に始めたかで手続が変わると説明しています。
- 3月31日までに招集手続を始めた総会: 従前の例による。現行規約どおりに招集し、定足数は議決権総数の半数以上、決議は組合員総数と議決権総数の各4分の3以上。会議の日が4月1日以降でも、この扱いのままです
- 4月1日以降に招集手続を始めた総会: 現行規約の定足数と決議要件は改正法に抵触して無効になるため、改正法第31条第1項に従う。定足数は組合員総数と議決権総数の各過半数、決議は出席組合員とその議決権の各4分の3以上
「総会に出席した組合員」には、書面や代理人で議決権を行使した人も含まれます。半数ちょうどは「半数以上」には入っても「過半数」には入らない点にも注意が必要です。留意点資料はこの違いを明記しています。
招集通知にも落とし穴があります。現行規約の第43条第9項は、緊急時に理事会の承認を得て招集通知の期間を5日間まで縮められると定めています。改正法第35条第1項は1週間前までを原則としつつ規約で伸ばすことだけを認めるため、5日間への短縮は抵触する場合があります。規約の突き合わせでは、ここも拾いたい箇所です。
この記事の手順は、これらの条文をClaudeに読み比べさせる作業が中心です。判断が割れたときの最終的な拠り所は、国土交通省の資料と区分所有法の条文になります。
Claudeに渡す資料を揃える
用意するのは3種類です。
| 資料 | 入手先・備考 |
|---|---|
| 令和7年改正の新旧対照表(自マンションと同じ型) | 入手先・備考国土交通省の「マンション標準管理規約」ページ。単棟型は73ページ |
| 改正の概要と手続の留意点 | 入手先・備考同ページの「改正の概要」(3ページ)と「手続の留意点」(4ページ) |
| 自マンションの管理規約 | 入手先・備考管理組合の保管分。紙しかなければスキャン |
型の確認が先です。標準管理規約には単棟型・団地型・複合用途型があり、条文番号が違います。たとえば総会の会議と議事は、単棟型が第47条、団地型が第49条と第73条、複合用途型が第51条です。自マンションの型と異なる新旧対照表を渡すと、条文番号の対応がすべてずれます。
アップロードの上限と読み取りの質
Claudeのファイルアップロードには、1チャットあたり最大20ファイル、1ファイル30MBという上限があります。PDFは100ページ以下ならテキストと図表などの視覚要素の両方を解析し、101〜1000ページはテキストのみの処理です。
単棟型の新旧対照表は73ページなので、視覚要素も含めて読ませられます。新旧対照表は左右2段の組みなので、改正前と改正後の取り違えは起こりえます。ページ番号を指定するときは、PDFビューアーが表示するページ番号を使います。印刷されたページ番号とはずれる場合があります。
自マンションの規約がスキャンした画像PDFのときは、読み取りの誤りが出やすくなります。数字(4分の3、過半数など)の箇所だけは、元の紙と見比べて確認します。
継続して使うなら、Projectsに新旧対照表と自マンションの規約を入れておく方法もあります。理事会ごとに同じ資料を貼り直さずに済みます。使い方はPTAや町内会の文書をClaudeのProjectsで作るに、PDFを読ませる際の考え方は英語論文PDFをClaudeで読む方法にあります。
突き合わせの手順
規約の差分チェックの流れ
- 1
型と現行規約のベースを確認する
自マンションの規約が、令和7年改正前のどの型に準拠しているかをClaudeに判定させます。条文構成が標準管理規約と大きく違う場合は、次の手順の精度が落ちると考えてください。
- 2
◎項目から条文対応表を作らせる
概要PDFの◎項目(多数決要件、招集通知、損害賠償請求権の代理行使)について、自マンションの規約のどの条文が対応するかを表にします。
- 3
○項目を追加で確認する
所在不明の区分所有者の除外、修繕積立金の使途など、変えなくても抵触はしない項目です。規約に該当する定めがあるか、改正後の標準管理規約と文言がどう違うかを洗い出します。
- 4
結果を原典で検算する
Claudeが示した条文番号と数字を、新旧対照表と規約の紙面で確かめます。この検算を飛ばさないことが、手順全体でいちばん重要です。
- 5
議案の素案に落とす
見直しが要る条文だけを、総会に諮る議案の素案にします。最終的な文言は、管理会社やマンション管理士、弁護士など専門家の確認を経る前提で扱います。
指示文の例
手順2では、次のような指示文が出発点になります。添付は新旧対照表(単棟型)、改正の概要、手続の留意点、自マンションの規約の4ファイルです。
添付は、令和7年改正のマンション標準管理規約(単棟型)の新旧対照表、
改正の概要、手続の留意点、当マンションの管理規約です。
当マンションの規約は、改正前の単棟型に準拠しています。
改正の概要で◎が付いた項目について、次の表を作ってください。
列は「テーマ」「当マンション規約の該当条文(条番号と原文の引用)」
「改正後の標準管理規約の条文」「差分」「見直しの要否」の5列です。
守ってほしいこと:
- 条文の引用は、添付の文言をそのまま写す。言い換えない
- 該当する条文が見つからないときは「該当なし」と書き、推測で埋めない
- 数字(分数、過半数、半数以上、日数)は、改正前後の両方を原文どおりに示す
- PDFのページ番号は、ビューアーの表示に合わせて添える引用を言い換えさせない、見つからなければ空欄にさせる、の2点が要点です。規約の条文は一語の違いが意味を変えるため、Claudeの要約を信じて進めると誤読に気づけません。
定足数の条文だけは別に問い直す
総会の定足数と決議要件は、改正の核心であり読み違えの温床でもあります。表を作らせたあと、次のように個別に確認します。
当マンション規約の総会の定足数と、規約の変更に必要な決議要件について、
次の3点を答えてください。
1. 現行規約の定足数は「半数以上」か「過半数」か。条文を引用する。
2. 決議の母数は「組合員総数・議決権総数」か「出席組合員・その議決権」か。
3. 区分所有法の施行後に、規約の定めが法に抵触するのはどの部分か。
手続の留意点の記載に基づいて答える。留意点資料は、現行規約の定足数が「議決権総数の半数以上」であり、改正法の「区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数」とは人数要件の有無も異なると示しています。この3点は、その違いをClaudeが拾えているかの確認になります。
出力を検算するときの見どころ
Claudeの出力で起きやすい誤りは、数字と母数の取り違えです。
- 「半数以上」と「過半数」を同じものとして書く
- 特別決議の母数を、改正前の「組合員総数」のまま書く
- 単棟型の条番号を、団地型や複合用途型の対照表から拾う
- 改正前と改正後の列を左右逆に読む(新旧対照表は2段組)
- 招集手続を始めた日が3月31日以前か4月1日以降かで、定足数と決議要件の扱いが違う点を落とす
検算では、Claudeに「いま示した条番号について、新旧対照表の該当ページを開き、改正前と改正後の文言を一字一句そのまま引用してください」と頼みます。引用が原典と食い違えば、その行の差分は採用しません。引用が合っていても、数字の読みはあなたの目で確認します。
差分表は、完成してからが本番です。管理会社の担当者や専門家へ持ち込むときは、表をそのまま「結論」として渡さず、Claudeが作った下書きであること、原典との照合を済ませた行と未確認の行を分けて伝えると、相談が早く進みます。
資料に載せてよい情報と、載せない情報
管理規約そのものは、通常、区分所有者全員が閲覧できる文書です。一方、同じフォルダに入りがちな総会議事録、理事会議事録、区分所有者名簿、滞納者の情報には個人名や住戸番号が含まれます。突き合わせに必要なのは規約の条文だけなので、議事録や名簿は渡しません。
議案の素案づくりで過去の議事録を参照したいときも、氏名や住戸番号を伏せてから使う運用が安全です。入力してよい情報の線引きはClaudeに個人情報を入力する前に確認する一次資料はどれかにまとまっています。
限界と専門家の使いどころ
Claudeの差分表は、規約の読み合わせを速くする道具であり、法的な適合性を判断する仕組みではありません。次の点は、専門家の領分として残ります。
- 自マンション独自の特約や、標準管理規約から大きく外れた条文がある場合の解釈
- 改正規約の文言そのもの。特に総会の決議要件は、誤ると決議の有効性に影響しうる
- 総会招集手続の日程と、管理規約の改正を決議する議案の組み立て
国土交通省は、改正の説明用にパンフレットとスライド形式の資料集も出しています。理事会や総会で説明するときは、Claudeの出力ではなく、これらの資料を共有の根拠にします。Claudeの出力は、あなたが資料を読む順番と、見落としを探す観点を整えるために使います。
まとめ
令和7年改正の突き合わせは、◎の項目から条文ごとに進めると迷いません。Claudeには、引用の言い換えを禁じて条文対応表を作らせます。数字と母数の検算は人の手で行います。型の取り違えと、半数以上と過半数の混同だけは、毎回疑ってください。