PTAや町内会の文書をClaudeのProjectsで作る
PTAや町内会で毎年作る議事録や会報は、Claudeのプロジェクト機能に過去文書を蓄積すると文体を揃えて作成できます。無料プランの制限や具体的な手順を解説します。
PTAや町内会は、毎年同じような文書を作り続けます。総会の議事録、会報、当番表、退任・就任のあいさつ文といった書式は、前年度の文書を参考にしながら作るケースが大半です。担当が1年ごとに交代することも多く、前任者から引き継いだフォルダの文体を保ったまま新しい文書を書くのは、思いのほか手間がかかる作業です。Claudeのプロジェクト機能を使うと、過去の文書をまとめて読み込ませたうえで、文体を揃えた新しい文書を作成できます。
PTA・町内会の文書作成でClaudeに任せられること
Claudeは、総会議事録や会報、行事の案内文、退任・就任のあいさつ文といったPTA・町内会の文書を、要点を伝えるだけで下書きできます。過去の文書と同じ言葉遣いに揃えることも、Projectsの知識に過去文書を読み込ませれば可能です。
たとえば「今回の懇親会の出席人数と会費、開催日時をもとにお礼の文章を作って」と伝えると、過去のあいさつ文と同じ言葉遣いで下書きが返ってきます。誤字脱字の確認や文章の長さ調整も、同じ会話の中で依頼できます。
具体的には、次のような文書で使えます。
- 総会・役員会の議事録: メモや録音の文字起こしから、決定事項と担当者が分かる形式に整理する
- 会報・お知らせ: 前号の会報と同じ見出し構成で、今月の行事とお知らせをまとめる
- 予算・決算報告: 数字の一覧をもとに、保護者向けに読みやすい説明文を添える
- 退任・就任のあいさつ文: 前任者のあいさつ文と同じ長さ・言葉遣いで下書きを作る
- 当番表の案内文: 当番の割り当て表をもとに、対象者への案内メールや配布文を作る
ただし、Claudeが最初から組織内の言葉遣いの慣習を知っているわけではありません。文体を揃えるには、過去の文書そのものを読み込ませる工程が必要です。次の章でその仕組みを説明します。
Projectsに過去文書を蓄積してトーンを揃える仕組み
プロジェクト機能には新しいベータ版の展開が始まっていますが、対象はClaude Codeを使うProプラン・Maxプランの一部ユーザーに限られます。チャットで使う既存のプロジェクト機能は従来どおり利用できるため、本記事もこちらを前提に説明します。
Claudeのプロジェクト機能(Projects)とは、それぞれ独立した会話履歴と知識ベースを持つ作業スペースのことです。プロジェクトの中に過去の議事録や会報をアップロードしておけば、以降の会話すべてでその内容を参照しながら文章を作成します。
プロジェクトには「プロジェクトの知識」という機能があり、関連文書やテキストをアップロードして会話の文脈として使えます。加えて、プロジェクトごとに指示文を設定できます。「フォーマルな文体で書く」「特定の役職の立場から回答する」といった調整が可能です。PTAや町内会の文書であれば、昨年度の会報や議事録をまとめてアップロードします。指示文に「昨年度の会報と同じ文体・見出し構成で作成する」と書いておくだけで、以降の依頼すべてにその方針が反映されます。
有料プランでは、プロジェクトの知識が一定量を超えると、Retrieval Augmented Generation(RAG、検索拡張生成)により検索対象が自動的に拡張されます。容量は最大10倍まで拡張されるため、数年分の会報や議事録をまとめて保存していても、必要な部分だけを検索して回答に反映します。無料プランではこの拡張は対象外で、アップロードできる知識の量が少ないうちに上限へ達しやすくなります。
実際の作成手順
Claudeのアカウントがあれば、無料プランでも次の手順を試せます。
- Claudeの画面でプロジェクトを新規作成する
- プロジェクトの「知識」に、過去の議事録・会報・案内文をアップロードする(PDF・DOCX・TXTなどに対応)
- プロジェクトの指示文に、文体や構成のルールを書き込む
- 新しい文書が必要になったら、そのプロジェクト内のチャットで要点を伝えて依頼する
- 下書きを確認し、必要な部分だけ会話で修正を依頼する
手順4では、たとえば次のように伝えます。
- 「今月の行事予定と参加費をもとに、会報のお知らせ欄を作って」
- 「先月の総会で決まった3つの議題を、決定事項が分かる議事録の形にまとめて」
- 「今期で退任する会計担当者向けのあいさつ文を、去年の文面と同じ長さで作って」
指示文は次のような形で書くと、以降の依頼すべてに同じ方針が反映されます。
このプロジェクトはPTA本部役員会の文書作成用です。
・文体は「です・ます調」で統一する
・会報の見出しは「ごあいさつ」「今月の行事」「お知らせ」の順に構成する
・金額や日付は算用数字で書く
・保護者向けの案内文は難しい言い回しを避けるアップロードできる文書形式は、PDF・DOCX・CSV・TXT・HTML・ODT・RTF・EPUB・JSONです(表計算のXLSXはコード実行とファイル作成の設定を両方有効にした場合のみ対応します)。写真で撮影した文書はJPEG・PNG・GIF・WebPで送れますが、文字認識の精度は元データの解像度に左右されます。
過去の文書をアップロードする際は、プロジェクトファイルの制限に注意します。1ファイルあたり30MBまでで、ファイル数に上限はありませんが、合計の内容がClaudeの文脈の許容量に収まっている必要があります。抽出されるのは基本的に文字情報のみで、画像として貼り込まれた表やイラストの内容は読み取れません。PDFについては、100ページ以下なら図表も解析対象になります。
無料プランでは作成できるプロジェクトが最大5個までです。PTA本部用・学年懇談会用・広報委員会用のように目的ごとにプロジェクトを分けたい場合、この上限に達しないか事前に確認しておくと安心です。
無料プランと有料プランでできることの違い
PTAや町内会の運営は無料プランでも試せますが、資料の蓄積量が増えるほど有料プランとの差が出てきます。
| 項目 | 無料プラン | 有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise) |
|---|---|---|
| 作成できるプロジェクト数 | 無料プラン最大5個 | 有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)公式ヘルプに上限の記載なし |
| プロジェクト知識の拡張(RAG) | 無料プラン対象外 | 有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)容量が最大10倍に拡張 |
| 他の役員とのプロジェクト共有 | 無料プラン不可 | 有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)Team・Enterpriseプランのみ可 |
町内会やPTAは役員が毎年入れ替わるため、複数人で同じプロジェクトを編集したいという要望が出やすい場面です。共有機能はTeamプランとEnterpriseプランに限られるため、個人のProプランやMaxプランでは、次年度の担当者にファイルとプロジェクトの指示文をそのまま引き継ぐ運用が現実的です。
Team・Enterpriseプランで共有する場合は、メンバーごとに「閲覧のみ」と「編集可」を分けて権限を設定できます。閲覧のみのメンバーは、プロジェクトの内容・知識・指示文を見たり、プロジェクト内でチャットしたりできますが、知識や指示文は変更できません。編集可のメンバーは知識の追加やメンバー管理まで行えるため、本部役員には編集権限、他の保護者には閲覧のみを割り当てるといった運用も可能です。共有はメンバーを個別に指定する方法と、組織全体に公開する方法のどちらも選べます。共有されたプロジェクトは「共有されたプロジェクト」タブにまとまり、共有された側にはメール通知も届くため、役員の引き継ぎ漏れを防ぎやすくなります。
文書作成でよくあるつまずき
過去文書をそのまま活用しようとすると、いくつかの点でつまずきます。
- スキャンしたPDFの解像度が低いと、Claudeが文字を正しく読み取れないことがあります。可能であれば元のWordファイルやテキストファイルをアップロードします。
- 手書きの当番表や図表中心の資料は、画像として貼り付けられた部分の文字情報を拾えません。表の内容は別途テキストで伝える必要があります。
- 101ページを超えるPDFは、Claudeがテキストのみを処理し、レイアウトや図表は解析対象から外れます。長い会報を1つのPDFにまとめる場合は注意します。
- プロジェクトの指示文を書いたまま更新を忘れると、翌年度の書式変更が反映されず、以前のルールで文書が作られ続けます。役員が変わるタイミングで指示文も見直します。
- Claudeが作る文書はあくまで下書きです。配布前に人の目で内容を確認しておくと、金額や日付、人名の誤りを防げます。
- PTA・町内会の文書には、保護者や住民の氏名・電話番号といった個人情報が含まれることがあります。アップロードする前に名簿など個人情報を含む資料が本当に必要かを見直し、不要な部分は取り除いてから読み込ませると安心です。
町内会によっては、回覧文書をNotePMなどの文書管理システムで保管しているケースもあります。その場合は文書管理システムMCP対応で紹介しているように、MCP経由でシステム側と直接連携する方法も選べます。FAXで届く申込書や連絡文書が多い町内会では、ClaudeをFAX業務で使うで紹介している読み取り・下書き作成の手順も参考になります。地域に日本語を母語としない住民が多い場合は、案内文の多言語化を検討する前にClaudeの翻訳精度をビジネス文書の実例で検証するで翻訳品質の実例を確認しておくと安心です。
まとめ
PTAや町内会の文書作成は、過去の書式を毎回参照する作業の積み重ねです。Claudeのプロジェクト機能に過去の議事録や会報をアップロードし、指示文で文体のルールを決めておけば、担当者が変わっても同じトーンで文書を作り続けられます。無料プランでも試せますが、資料が増えてきたら有料プランのプロジェクト知識拡張や、役員間の共有機能への切り替えを検討する余地があります。
最初の1年は過去文書のアップロードと指示文づくりに手間がかかりますが、一度整えたプロジェクトは翌年度以降も引き継いで使い続けられます。総会シーズンや会報の発行月にまとめて手を動かすよりも、日々のやり取りの中で少しずつ知識を蓄積していくほうが、結果的に毎回の文書作成が楽になります。