ClaudeにSciteコネクタをつなぎ、論文の主張が後続研究に支持されるか確かめる
Sciteコネクタの対象プランとMCPクレジット、接続手順、引用が支持・反論・言及のどれかを手がかりに論文の主張の強さを確かめる流れと、結果の読み方の注意をまとめます。
Sciteコネクタが返すのは「引用のされ方」を踏まえた文献検索
Sciteコネクタは、Claudeの会話から査読論文を検索し、各論文が後続の研究にどう引用されているかを踏まえた答えを返させるためのコネクタです。Claudeのコネクタ一覧では、Scite社が提供する「Anthropic verified」の項目で、カテゴリは「Health & life sciences」、サインインが必要です。追加時期は2026年4月と表示されています。
Sciteの特徴は、引用の「数」ではなく「文脈」を見る点にあります。Scite社はこれをSmart Citationsと呼び、引用箇所の前後の文章を取り出して、その引用を次の3つに分類します。
- 支持(supporting): 引用先の主張を裏づける形で引いている
- 反論(contrasting): 引用先の主張と食い違う結果として引いている
- 言及(mentioning): 裏づけも反論もなく、背景として触れている
引用数が多い論文でも、反論の引用が目立つことはあります。逆に被引用が少なくても、追試で支持されていれば根拠は堅い。この違いを会話の中で拾えるのが、このコネクタを使う理由です。
コネクタの基本情報
公開ツール
1つ
search_literature
サインイン
必須
Sciteのアカウント
MCPの条件
有料プラン
無料トライアルも可
追加時期
2026年4月
ディレクトリ掲載
使えるのは有料プランかトライアルのアカウントだけ
Claude側のコネクタを追加しても、Sciteのアカウントが無料のままでは使えません。提供元の料金ページには、MCPの利用に有料プラン、有効な無料トライアル、または組織のEnterpriseライセンスのいずれかが要ると書かれています。無料アカウントと未認証のリクエストはMCPの対象外です。個人の新規契約者には7日間の無料トライアルが用意される場合があり、トライアル中に解約すれば最初の課金は発生しません。
プランごとのMCPの枠は「クレジット」で決まります。
| プラン | 月額(月払い) | 年額 | MCPクレジット | API |
|---|---|---|---|---|
| Basic | 月額(月払い)$20 | 年額$144(月あたり$12) | MCPクレジット月250 | APIなし |
| Pro | 月額(月払い)$50 | 年額$480(月あたり$40) | MCPクレジット月2,500 | APIあり |
| Team | 月額(月払い)1席あたり$50 | 年額1席あたり$480 | MCPクレジット1人あたり月2,500 | APIあり |
| Enterprise | 月額(月払い)個別見積もり | 年額個別見積もり | MCPクレジット組織でまとめて利用 | APIあり |
Basicの項目には「ClaudeとChatGPTのコネクタ」が含まれています。個人で文献チェックに使うなら、Basicの250クレジットが出発点になります。Teamは15席までセルフ契約でき、研究室単位で入れるときの形です。大学や図書館向けの組織契約はEnterpriseで、学生・研究者向けの割引は、所属機関にSciteを推薦するメールを送って割引コードを申請する方式です。
何回の検索で1クレジットを使うかは、料金ページに説明がありません。250という枠で何件調べられるかは、最初の数回の利用前後でSciteの利用状況を見て把握するのが確実です。
接続の流れ
接続自体は、ほかのコネクタと同じ手順です。コネクタの全般的な仕組みはClaudeのコネクタ解説にまとめています。
Sciteコネクタを使えるようにする
- 1
Sciteのアカウントを用意する
有料プランか無料トライアルを開始します。無料アカウントのままだとMCPには入れません。
- 2
ディレクトリから追加する
Claudeのコネクタ一覧でSciteのページを開き、「Add to Claude」を押します。接続先のURLは
https://api.scite.ai/mcpです。 - 3
Sciteのアカウントで認証する
サインインの画面が出るので、Sciteのアカウントでログインします。OAuth 2.0の認証で、スコープは
mcpです。 - 4
会話で呼び出す
新しい会話でSciteを有効にし、論文について質問します。
提供元のセットアップページには、ChatGPT向けの注意として、セッションごとにコネクタを「Reconnect」で再接続すると安定するという記述があります。これはChatGPTのコネクタについての案内で、Claudeでの同様の挙動は説明されていません。応答が止まったときは、まずコネクタを外してつなぎ直す方法を試せます。
ディレクトリのページには、信頼できる開発元のコネクタだけを使うようにという注意書きがあります。Anthropicは開発元が提供するツールを管理しておらず、想定どおりに動くことや後から変わらないことは保証できないという趣旨です。リモートのMCPサーバーなので、検索語はScite側のサーバーに送られます。未発表の研究テーマを検索語に含めるときは、この点を踏まえて使います。
論文の主張が支持されているかを確かめる手順
ディレクトリのページに載っているツールは search_literature の1つだけです。ここまでの案内では、支持・反論の件数が戻り値にどの形で付くかは説明されていません。そのため手順は「Claudeに聞く」で終わらせず、結果を2段階で読む形にします。
1. 主張を一文にして検索させる
確かめたいのは論文そのものではなく、論文が言っている「主張」です。主張を一文に書き出して渡すと、検索がぶれません。以下は入力するプロンプトの一例です。
次の主張が、後続の研究でどう扱われているかを調べてください。
主張: 高齢者の週3回の筋力トレーニングは、抑うつ症状を軽減する
条件:
- Sciteで検索し、この主張を直接検証した論文を挙げる
- 各論文について、主張を支持するか、反論するか、背景として触れるだけかを分けて示す
- 反論している論文は、どの点が食い違うのかを引用箇所つきで説明する主張に条件(対象者・期間・指標)を含めておくのがコツです。条件を外して「運動はうつに効く」と聞くと、広い話題の論文が混ざり、支持の件数が実態より厚く見えます。
2. 反論の引用だけを先に読む
支持が多い論文ほど、反論の引用がどこにあるかを先に確認する価値があります。2つ目のプロンプトで、反論と言及を分けて掘り下げます。
先ほどの結果のうち、主張に反論している引用だけを取り出してください。
- 反論の理由は、対象者の違い、測定方法の違い、再現しなかった、のどれに近いか
- その論文の主張と、反論側の条件が同じかどうか反論の引用が「条件の違い」に由来するなら、元の主張が間違っているとは限りません。再現しなかったという種類の反論なら、根拠の強さを割り引いて読むことになります。
3. Sciteの画面で突き合わせる
文献レビューに使う論文は、Claudeの回答だけを根拠にしません。Claudeが挙げた論文の分類は、Scite本体のSmart Citationsの画面(論文ごとの引用レポート)で突き合わせておくと、取り違えを防げます。Claudeが要約した引用文が、元の文章の意味を保っているかも同じ画面で確かめられます。
結果を読むときの落とし穴
- 「言及」を支持と数えない: 言及は背景として触れているだけの引用です。支持の件数に混ぜると、根拠が強く見えてしまいます。
- 件数の差だけで決めない: 支持3件・反論1件でも、反論が大規模な追試なら重みは逆転します。件数より、どの研究がどの条件で言っているかを読みます。
- カバー範囲が一様ではない: Scite社の案内は、データの可用性が製品・プラン・ライセンス・出典へのアクセス権によって変わるとしています。分野や出版社によって、引用の文脈が取れていない論文はあり得ます。取れていない論文は「支持が無い」のではなく「分類されていない」だけかもしれません。
- 規模の数字が案内によって異なる: MCPのページは索引済みの引用を16億件超、提携出版社を44社超としています。一方、提供元のLLM向け案内は、索引済みの論文を3億1,500万本超、出版社の提携を30社超としています。数える対象が違う面もありますが、規模の数字は目安にとどめ、特定の論文が対象に入っているかは検索して確かめます。
PubMed・Consensusとどう使い分けるか
ディレクトリには、文献系のコネクタがほかにもあります。それぞれ説明の軸が違います。
文献系コネクタの役割
Scite
論文が後続の研究にどう引用されているかを踏まえて答えます。主張の強さの確認に向きます。
ディレクトリには、Wiley Scholar Gatewayやプレプリントを扱うbioRxivのコネクタも並んでいます。流れとしては、PubMedやConsensusで候補の論文を集め、読む価値が高い数本についてSciteで引用の文脈を確かめる、という二段にすると、各コネクタの強みが重なりません。文献レビュー全体の組み立て方はClaudeで文献レビューの計画を立てるに書いています。
Scite本体の機能との関係
Sciteには、Claudeを経由しなくても使える機能があります。Collectionsは論文を整理して、新しい引用や、取り下げ・編集上の注意の通知を受け取る機能です。Reference Checkは、投稿前の原稿の参考文献に取り下げ論文や反論の引用が含まれていないかを調べます。
どちらもMCPの機能としては案内されていません。コネクタでできるのは文献検索と引用文脈の取得で、通知や原稿チェックはScite本体の画面で行う作業だと切り分けておくと、期待とのずれが出ません。
まとめ
Sciteコネクタの価値は、論文を探すことよりも、見つけた主張の強さを引用の支持・反論・言及で測れる点にあります。MCPは有料プランかトライアルが条件で、Basicなら月250クレジットが枠です。使うときは、条件つきの一文にした主張を渡し、反論の引用を先に読み、最後にScite本体の画面で突き合わせる。この3段を踏むと、Claudeの要約をそのまま引用するリスクを抑えられます。